ヒトヒトの実 モデル超人種 ゴールドマンを食った男の話 作:アルピ交通事務局
オレが向かったところ……それは月だ。
なにを言っているんだと思うだろうが、超人は月に行くことが出来る。宇宙なのだから酸素ボンベが無いとダメとか色々とあるだろうが、超人は月から地球に1時間もあれば余裕で往復が出来る。なんだったら弱い奴でも新幹線を東京から大阪まで突き飛ばす事が出来る怪力を持っている。
「ここならば、問題無く修行は出来るな」
悪魔の実を口にし弟と離れたとしても、なにかしらの形で海賊達と関わり合いを持ってしまう可能性がある。
だが、月ならば流石の海賊も海軍も追ってこれない。まぁ、宇宙海賊に捕まればその時点でおしまいだが。
「筋トレ……は、無意味か」
地球よりも月の方が重力が軽い。どれだけ入念に筋トレを行ってもかかる負荷が根本的に違う。
超人的な肉体を手に入れたとして、その肉体に胡座をかかずに鍛錬を積まなければならない。
「ふむ……青い星だな」
ONEPIECEの世界には月があるが、主人公達が居る星の事を地球とは言わない。
別の正式名称があるとかどうとかだが、それについては知らない。公式設定集かSBS辺りでポロっと零しているだろう。まぁ、呼び方なんてどうでもいい。
月と言うのは人類にとってほんの片足だけ踏み込んだ世界だ。
嘗てアポロ11号が月面着陸に成功したりしたがそれ以降は特に無い。理由は色々とあるが一番はシンプルに金がかかるからだ。宇宙事業は未開拓な分野でロマンが溢れている事は否定しない。だが、ロマンだけでは食ってはいけない。なにかしら社会に貢献出来る物を手に入れなければならない。その為のコストは洒落にならない。
「この景色は悪くはない」
ONEPIECE世界も一応は宇宙に足を運び入れる技術はある。とある人物が月に行くことに成功している。だが、そいつが生まれるまで大分時間がある。それまではオレが見ることが出来る最高の景色だろう。
「さて……覇気を覚えるか」
ONEPIECE世界の住人ならば一応は誰でも覚えることは可能な技術、それが覇気だ。
覇気とは人が生まれながらに持っている意思の力……なのだが、肉体のエネルギーや精神のエネルギーであるのかフワッとしている。
覇気を過剰に吸い取る厄介な刀が存在しているが、その力が振るわれた際に体内の覇気を奪われた者は痩せ細った腕になった。覇気は意思の力とも言えるのならば精神的なエネルギーだが肉体にまで影響を及ぼしている。精神的なエネルギーか肉体的なエネルギーか……この場合は両方を併せ持つ感じだろう。
覇気は大きく分けて3つ、気配や動きを感じ取ること見聞色の覇気、覇気という力を纏う武装色の覇気、そして相手を威圧する覇王色の覇気の3つだ。
基本的には特訓すれば誰でも使えるのが見聞色の覇気、武装色の覇気の2つでありは覇王色の覇気は生まれながらの素質が物を言う。
オレが真っ先に覚えたいのは覇王色の覇気だ。自分が転生者だから覇王色の覇気を覚えれるという甘えた考えは持っていない。覇王色の覇気だが、コレはコントロールをすることは出来ても本人が人間的に成長したり強くならない限りは成長することがないよう描写がされている。
覇王色の覇気は先天性、才能の世界と言うがこれは少し違うとオレは解釈している。覇気は形はどうあれ意思の力だ。意思が弱ければ覇気は使えない。自分が出来るというイメージを持つのが覇気のコツだろう。
覇王色の覇気だが、人間的な強さや戦闘力が高まらない限りは鍛え上げる事は不可能なものだ。だが、逆にコントロールすることは容易い。
誰でも覇王色の覇気が使えるわけではないとは言うが、覇気に関しては色々とフワッとしている。
殺意を持った意思が相手に威圧感を与えることは普通の事だ。覇王色の覇気は殺意を持った意思に宿る相手を威圧するエネルギー的な部分を抽出した物と言う考えも一応は出来る。
「ふん……」
相手を威圧する覇王色の覇気を求める理由は1つ、自分自身に覇王色の覇気をぶつけたいからだ。
覇気とは誰でも使えるが専用の修行をしなければならない。だが、中には危機的状況に極限まで追い詰められて開花する者が居る。
現実でも危機的状況に追い詰められる事で視野が広まるもしくは狭まり、常人や常識では計り知れない力を発揮する事が出来る。バトル漫画でも危機的状況のおかげで一気に成長するという事は極々普通にあることだ。
今のオレは修行をするのに意識を割いている。強敵達との激闘も悪くはないが、そういう唐突に現れる莫大な経験値でなく地道に重ねた1という経験値を今は稼がなければならない……自分を極限まで追い込むのであれば覇王色の覇気を自らに向ける事でより重圧を与える。
仮に覇王色の覇気が無理ならば無理で方向性を変えればいい。
少なくとも修行すれば見聞色の覇気は誰でも覚えることが可能な物だ。この見聞色の覇気だが、気配や感情の動きを読むものである。そしてその見聞色の覇気に引っかからない気配を消す技術がある。ならばその逆、気配を大きくする技術もあってはなにもおかしくはない。
「知識だけのアドバンテージだが、悪くはない」
イメージするのは相手を威圧する、ではなく自分を威圧する事だ。
殺気という物を感じ取れる奴等はこの世界では極々普通に居る。ならばその殺気をコントロールする。相手に向けるのでなく、自分に向ける。殺気を自分に向ける事で無理矢理に防衛本能を叩き起こす。感情でなく本能がなにかを告げるのであればなにかしらの覚醒を果たす。
集中だ。とにかく集中だ。
覇気を使う上で大事なのは意思の力だ……ふっ、皮肉なものだな。ゴールドマンが意思の力を手に入れようと奮闘するのは。ゴールドマンの正体は感情に左右されない為に神から1から10まで徹底的に教えを受けた超人だと言うのに。
心の力はゴールドマンが求めたがゴールドマンは自身では使えないと判断した。擬似的に使うことが出来るものの、誰にでも使う事が出来るものではない。
「本来の目的物を探すか」
1日2日で覇気とは身につくものではない。覇王色の覇気が無理ならば無理で諦めるとして、本来の目的物を探す。
月に来た理由は余計なのに絡まれない為でもあるが、それならば青い海の星の何処かでも良かった。それでも月を選んだのには理由がある。それは月に文明がある……ONEPIECEの空島編のボスであるゴロゴロの実の能力者であるエネル、ルフィ達に倒されたがONEPIECE世界において敵を倒すのは気絶させると言う意味合いであり殺すことではない。
殺されなかったエネルが向かった先は月、その後にどうなったかと言えば扉絵で物語が動き最終的には月に上陸し、月に嘗て存在した高度な文明を見つけ出す。
オレはその文明を先に掘り当てたい。
「……意外とあっさりと見つかるものだな」
月にある文明を見つけ出したいと月の遺跡を探して色々と掘ってみればあっさりと見つかる。
明らかに人工物と言える物だらけ……右を見ても左を見ても同じなロボットが沢山居る。しかしこのロボット達は動かない。故障をしていると言うわけでなく、純粋にロボットが動くのに必要な電気エネルギーが無いからだ。
エネルギーは0……だが、ハッキリと文明の後は残っている。
「やはりあるか」
古の人間達が残している遺産、月に文明を作るだけでなく宇宙船を作りONEPIECE世界の星に向かう技術を持っている。
「……わからんな」
古代の遺跡で見つけた書物だが当然と言えば当然だがなにを書いているのか分からない。月の言語で書かれているのだろう。
コレを翻訳することが出来れば新しい力を手にする事が可能だ。そしてこの文字を読むことが出来るのはこの古代遺跡の文明に残っているロボット達だ。
「……皮肉にも程があるな」
ロボット達は動かすことが出来ない。何故ならばロボット達を動かすのに必要な動力が無いからだ。ロボット達を動かすには莫大なまでの電気エネルギーが必要だ。そしてその莫大なまでの電気エネルギーをゴロゴロの実の能力者であるエネルは生み出せる。奴は雷人間だからだ。
オレはゴールドマンなので雷を生み出す事は出来ない……だが、雷を無理矢理操る方法については心当たりはある。
それは完璧超人の秘技とも言えるマグネットパワーだ。この力を応用すれば雷を生み出すことが可能だ。マグネットパワーの正体は星の生命エネルギー、それを知っている完璧超人始祖達は危険な物やロクでもない物だとしてサイコマンとザ・マン以外は認めなかった。そして認めた2人はその力に取り憑かれてロクな事に使わなかった。
その力を今、ゴールドマンになったオレが求めようとしている。なんともまぁ奇妙な物だ。
「アルティメットアイ!……ふむ、見えるな」
マグネットパワーは星の生命エネルギーであり、鍵穴の様なところからマグネットパワーが出てくるがそれは星の至る所にある。それがアポロンウィンドウと呼ばれる場所。
ゴールドマンの力であろう色々な物を見抜く目を用いて具体的に何処にマグネットパワーがあるのかを見抜く。そしてマグネットパワーを噴出させる……ふむ
「力が漲るな」
マグネットパワーは星の生命エネルギー、応用をすれば自分の力を増幅させる事が出来る。なるほど、確かにこの力は恐ろしい。
しかしこの力はあまり使う気にはならない……悪いものではないと認識を切り替える事が出来る程度だ。
「サンダーサーベル!」
マグネットパワーから生み出した星の生命エネルギーを電気に変換しサンダーサーベルを作り出す。
狙いは1つ、この星に眠っているロボットだ。具体的に何処に電気を通せばいいのかが分からない。エネルも取りあえずは雷をぶつけていたのだから、取りあえず雷をぶつければなにかが起きる筈だ。
雑にも程があるだろうと思うだろうが、如何せんこれ以外に方法が思い浮かばない。
「……おはようございます!」
「……む……」
まだ完璧に使いこなす事が出来ているわけではないサンダーサーベル。
結果として十数体のロボット兵だけが起動した……もう1発2発サンダーサーベルを撃ち込むか?と思ったが、マグネットパワーの正体は星の生命エネルギー。下手にマグネットパワーを使い続ければ月自体が持っている生命エネルギーを0にしてしまう可能性が高い。
「貴方様が我等にエネルギーを与えてくれたのですか!」
「ああ、そうだ……ここについて説明等をすることは可能か?」
「可能であります!」
「ならば教えてもらおう。ここは何処か?そしてここで蓄えられた数々の技術を」
ロボット兵がオレにお礼を言うのでここについての詳細を聞けば、答えることが可能と言う。
ならば教えろとこの文明について問いただし学ぶ……やはりと言うべきか、月にはオレの知らない莫大な情報や技術が眠っている。だが、この技術は使いこなせないだろう。なにせオレは技術屋でも発明家でもない。とは言え、文明にあった書物を手に入れる事は出来た。知識でオレよりも優れた人間に何時かはそれを託して未来を作ることが出来るだろう。