ヒトヒトの実 超人種モデル ゴールドマンを食った男の話 作:アルピ交通事務局
「島が見えてきました!」
ザウスの言っていた様に偉大なる航路の入口は出鱈目な気候だった。
雪は降る、雹は降る、濃霧に包まれる、急な嵐がやってくる……普通の気象学では太刀打ちが出来ない物が多かったが、孔明は天候を読み切った。ハヤトは天候を孔明から聞いて己の手足の様にゼロ・オリジン号を走らせた。
リグレットは望遠鏡で島を見て、島にやってきた事を伝える。
孔明は
「どうやらあの島が一番最初の島の様ですね」
「ふぅ……思っていた以上に手こずらせやがって」
最初の島が目視出来るところにまでやってきたのでハヤトはやっと終わったと少しため息を吐いて舵輪から手を離した。
「いや〜ヤバかったっす」
「……そこは怯えないのね」
舵輪を手から離したことで普段のハヤトに戻った。
偉大なる航路の出鱈目な気候で悲鳴を上げるかと思ったが予想以上にケロッとしている。ハヤトは意外と肝が据わっている事をロビンは意外そうにしていた。
「覚悟を承知で乗っているんだ、確かにハンドルから手を離せば情けないが……奴もまた、悪魔超人軍の1人だ」
なんの覚悟も無しにハヤトはこの船に乗ったわけではない。
私の冒険が終わるまで地獄の果てまで船を操縦すると誓って鬼出しの釜に手を入れてもなに1つ問題は無かった。ウソップ達と同様に海に出る覚悟そのものは出来ている。
「ふむ……船の損傷は0。偉大なる航路に入って偉大なる航路の洗礼を受ければ大破するか大きな損傷を船は受けるが見事な物だ」
「いや〜それほどでも」
「ザウス、それはなんだ?」
「栄養補給のおにぎりと疲労回復の梅のゼリーだ」
ザウスは船に損傷を全くと言って与えていない事に気付いた。
ハヤトを軽く褒めればハヤトは少し照れる。貴虎がザウスが手に持っているおにぎりとゼリーについて聞いてくるので栄養補給と疲労回復用の料理であると伝えれば悪魔超人軍は食べる。
「島は見えて海も安定していますので、問題無く上陸は出来ますね」
「でも、その後の問題があるわ」
おにぎりを食べるリグレットはこのまま問題無く最初の島に上陸することが出来ると安堵する。
ロビンはその後に抱えている問題があるとゼリーを口にする。
「そうですね……あの島に、どれだけ居ればいいのかが分かりません」
リヴァースマウンテンから最初の島にやってくれば、最初の島の磁気を
それが偉大なる航路での冒険ではあるが、問題は1つ。最初の島に辿り着いたとして
一週間かもしれない。一カ月かもしれない。一年かもしれない。
最初の島がウイスキーピークだったらリヴァースマウンテンに戻るつもりなのはウイスキーピークの次の島がリトルガーデンで、
「最初の島は必ずと言って賞金稼ぎの島だからな……」
「絶対にあってはならないのは
「魚人島!?……立ち寄るんすか!?」
「ええ……と言うよりは全ての海賊は一度魚人島を通りますよ」
「楽しみが出来たなぁ〜」
賞金稼ぎの島で自分達を見て何処まで暴れてくるのかを心配する貴虎。
孔明は
「さて、上陸するか」
「一応は聞いておくが、オーバーボディは作らないのか?」
「場合による」
ゼロ・オリジン号を島の港に停泊させる。
貴虎がオーバーボディを作らないのかを聞いてくるが、ここは世界政府加盟国でも何でもない島の1つだ。リヴァースマウンテンを越えた海賊達が7分の1の確率でやってくるので海賊達を見ても物凄く怯えるような真似はしない。
世界政府加盟国ならばオーバーボディでの変装も考えたが、ここは賞金稼ぎの島だ。
この島がどんな島なのかを見てこの島の
「ウェルカ〜ム」
「む?」
「ようこそ、パルフェ島へ……取りあえずは、持ってるもん全部置いてけ」
「貴虎よ……まさか私は絡まれているのか?」
「なにを喜んでいるんだ」
島に上陸すれば如何にもゴロツキな奴等が数名現れた。
島の名前を教えて歓迎してくれるかと思えば身ぐるみを剥ごうとしている。コレはまさかと思い貴虎に聞いてみれば、貴虎は呆れた。
私は自分自身に長い間、覇王色の覇気をぶつけていた。そのせいで威圧したつもりはなくとも見ただけで威圧感が伝わってくる。
自警団を除く村の者達は私に対して少し苦手意識を抱いたり、腕のある者達がコイツは強いなと声をかけてくるのはその為だ。しかし目の前にいるゴロツキ達は私が特に何もしていない威圧感を物ともしていない。
「こんな低俗なチンピラに絡まれるなんて、スゴく久しぶりだ」
「誰が低俗だ!……身包みだけにしてやろうと思ったが気が変わった。お前等の全部を貰うわ」
チンピラの1人がそう言うとマスケット銃を抜いた。
リグレットが反応して何時でも銃を撃ち落とせる様にしようとするが貴虎は手で制止する。チンピラはマスケット銃の弾丸を撃ったが、私は軽々と指で摘みとった
「……は?」
「ふん、所詮はこの程度か」
私から放たれる威圧感に動じることはないのだが、見聞色の覇気で感じ取れる力通りその辺のチンピラだ。
撃たれたには撃たれたが、簡単に2本の指で摘み取れる物で痛くも痒くもない。
「な、何者だ!?まさか、能力者なのか!?」
「……悪魔将軍だ、覚えておけ」
「ひ、ひぃ!?」
「逃げるぞ!」
名を名乗れば逃げ出すチンピラ達。
発砲音を聞きつけて港に居た者達がこちらを見てくるのだが、見ているのを私が気付いた素振りをすれば全員がそそくさと視線を外した。
「この島の名前はパルフェ島というのか」
「大丈夫ですか、将軍様?」
「あの程度の輩、どうという事でもない……それよりも誰が行く?」
この島の名前がパルフェ島だと言う事は分かった。
リグレットが心配してくるが、あの程度の輩はどうという事でもなく……誰がこの島に上陸するかについて聞いた。
「私は行きますよ」
「僕は遠慮しときます」
「私は行こう」
「全員が1回上陸をし終えたら行こう」
「私はザウスが行く時に行くわ」
「私は出ます」
孔明と貴虎とリグレットは上陸する。ハヤトとロビンとザウスが今回は船番をする。
やることは決まったなと船番をする者達と島に上陸する者達で分かれて、港から市街地部分に足を運ぶ。
「ふむ……」
「偉大なる航路はそれぞれの島が独自の生態系等を持っていると聞くが……ここは普通の街だな」
「……普通で済ませるのか?」
「普通ですよ」
市街地を歩いていれば視線を感じる。
私達を他所者と認識している視線でなく、賞金首かどうか強い奴かどうかを物色する様な視線だ。今まで何度も何度も味わっているので貴虎は普通の街である事を告げればリグレットは普通じゃないと言いたげだが孔明は普通と言い切る。
「先ずは情報を集めましょう……やはり酒場で聞くのが一番でしょう」
「初手でそこに行くのか?」
「ええ……酒場での情報収集は基本ですよ」
「そうか……ならば私とリグレットは他を当たろう。この街の名物等の情報を、将軍、頼んだぞ」
孔明は酒場で情報を集めると言う。他にも色々とあるのに初手で酒場か?と貴虎は聞くが情報を集めるのならば逆に酒場の方が定番であると孔明は言えば貴虎は納得した。ここからは更に二手に分かれようと私と孔明は酒場に、自分とリグレットは別の場所で情報を集めようとする。万が一が起きる事を想定しているので貴虎は一言念を押してくる。
「失礼な……では参りますか」
その万が一が起きた際に自分が足手まといになると思われているので少しだけ孔明は怒る。
私と孔明は酒場に足を運ぶ。酒場では宴会騒ぎ……今まで色々と酒場に足を運んだが、こういう部分は何処も変わらない物だ。
「いらっしゃい……なににする?」
「ミルクでも貰おうか」
「っぷ、聞いたか?」
「あの風貌で酒じゃなくてミルクだってよ」
瓶を拭いている酒場のマスターが注文を聞いてくるのでミルクを求める。
酒場で騒いでいる連中は私の風貌でミルクを貰おうとしているのを見て笑っているが、私も孔明も然程気にしていない。マスターはミルクを出した。
「少々聞きたいことがあるのですが、よろしいですか?」
「お前もなにか頼め」
「これは失礼。烏龍茶を」
「……お前等、ここ酒場だぞ」
「四六時中飲む場所ではありませんでしょう」
孔明は情報収集だと
孔明は烏龍茶を頼めばマスターは呆れている。酒場だから酒を飲んで行けと言いたいのだろうが、孔明は情報収集に来ていて如何に酒場と言えども四六時中飲んでいる場所ではないと言った。
氷が入って冷たい烏龍茶が出てきた。
「それでは改めて……
「3日もあれば溜まる……だが、3日も生きれるかどうかはお前達次第だ」
「これはご丁寧にどうも」
酒場のマスターに
この島には3日も滞在すれば
「この島の名物かなにかはないか?」
「海賊との喧嘩……あんたは確か、賞金首だったな」
「リアクションが薄いな」
「いちいち驚いていたらキリが無い……特にこういう場所では。ああ、先に言っておくがここでの喧嘩はやめてくれよ。やるってならあんた達に物を売ることはしない」
「マスターはそこそこ偉いのだな」
「色々と見てきただけだ」
この島の名物がなにかを聞けば海賊の喧嘩と軽く答えて私が賞金首だったなと思い出すマスター。
リアクションがやけに薄いなと聞けばこの程度は偉大なる航路では当たり前の事であり、マスターは酒場での喧嘩だけはしない事と、もししたのならばこの島で買い物が出来ない事を言ってくる。
マスターはそこそこ偉い立ち位置の島民だと思ったが、どうにも長生きをしているからの様だ。
「賞金5000万ベリー……マジか……」
「この額とあの雰囲気、マジもんだ」
「だが奴にとってはここが初めての島だ……だったらチャンスはある筈だ」
「どうやら楽しめはしそうですね」
手配書を手にしているゴロツキと呼ぶには少し身なりが整っていて高い戦闘力を持っている者達が何人か居る。
私の賞金額を見て驚いているのと同時にどうやって倒すのかを考えている。今すぐに襲ってこないのは襲ってきたとしても勝てないというのを何処かで認めているという事だ。孔明はここに滞在する3日の間で面白そうな事があるなと感じていて笑みを浮かべている。
「喧嘩は構わんが、店や商売道具は壊さんでくれよ」
「島民の物は早々に壊さん……このミルク、水気が多いな。ここは夏島か?」
「ああ。夏島でこの島の今の季節は春だ」
「……出鱈目な気候だな」
ミルクを飲んで爽やかな後味だった。牛のミルクは牛の食べる物によって味が変わる。
冬場などは体に栄養を蓄えるので濃厚になるが夏場は水を沢山飲むのでミルクの濃度が変わる。夏島かどうかを聞けば当たっていた。それと同時に季節は春だと教えてくれる。
ここに来るまでに雪やら雹やら嵐やら濃霧やら色々とあっただけに、夏や春を連想できない。偉大なる航路は出鱈目な島だなと再認識する。
「あまりめぼしい物は無く……少なくとも普通の島です」
「偉大なる航路は島がそれぞれ独立した生態系や文化を築き上げていると聞いたが……流石に最初の島だと大して変わらない様だ」
酒場での
リグレットは成果を報告する。普通の島だと言う。貴虎はメモ帳で偉大なる航路の情報を少しだけ確認するが、ここは偉大なる航路最初の島だけあってか独自の文化や文明は無いみたいだった。
「英気は養っておけ」
「この島を出るには最低でも3日は必要……これから偉大なる航路の洗礼が待ち受けていますよ」
私や貴虎を獲物と見てくる者達がかなりの数がいる。
私は英気を養う様に言い、孔明はこれからが本番だと一言だけ告げた。
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