ヒトヒトの実 超人種モデル ゴールドマンを食った男の話 作:アルピ交通事務局
「……」
「珍しい酒があるだろ」
パルフェ島に上陸したその日の夜に貴虎は酒屋にやってきた。
酒屋には偉大なる航路の酒が置いてあってこれは珍しいなと興味津々に貴虎は見ている
「あんちゃん、酒を飲むってタイプじゃなさそうだが……」
「飲む時は飲む……普段はあまり飲まないのは確かだが」
長年、酒を売っている事だけあってか貴虎があまりお酒を飲むタイプの人間ではないなと見抜く酒屋の店主。
貴虎自身も飲む時は飲むが普段からグイグイと飲むタイプではない。
「やはりここぞという日に飲む酒が欲しいと思ってな」
悪魔超人軍は海賊ではない。故に宴をする回数などが海賊と比較すれば少ない。悪魔将軍自身が宴だ!と叫ぶタイプの人間ではない。
騒ぐタイプの人間ではないが、飲む時はしっかりと飲んでいる。貴虎も一応は酒はイケる口なのだが、生真面目な性格でもあるので酔うに酔えない。
酒の味という物を少しは理解しているつもりだが、蟒蛇ではない。
貴虎はここぞという時に飲む酒がないのかを見に来た事を伝えれば店主が一本の酒瓶を出した。
「こいつはリュウゼンカグラって酒でね、あんちゃんみたいなのにオススメだよ」
酒屋の店主はリュウゼンカグラを勧める。
試しに飲んでみなと別のリュウゼンカグラの瓶を開いて試飲様のお猪口に入れる。貴虎は口にすると驚いた顔をし、コレだ!と納得した。
「どうやら気に入ったみたいだな……このリュウゼンカグラは偉大なる航路では比較的に流通されている酒だ。美味いぞ」
「ああ、悪くはない……ところで、まぼろ酒と言う酒を知らないか?」
「アレは度数も低い酒で偉大なる航路の人間には不人気で置いてねえよ」
「そうか……そいつは残念だな」
「まぼろ酒はあんちゃんが飲むのか?」
「いや、船長が好んで飲んでいる酒だ……中々に見ないが、不人気なのか」
貴虎がリュウゼンカグラを購入すると決めた。
酒屋の店主は気に入ってなによりだとなるのだが、貴虎は悪魔将軍が好んで飲んでいる酒、まぼろ
「いい酒が手に入った……コイツは飲むと決めた時に飲むか」
貴虎はリュウゼンカグラを手に入れ嬉しそうにしている。
「勝者!3−0でザウス!」
「ふむ、この程度か」
一方のザウスはパルフェ島で一番の腕自慢の料理人に挑んでいた。
結果は見事にザウスの圧勝。偉大なる航路の未知なる料理を相手にしてもザウスは軽々と勝利していた。
「なんちゅーもん、食わせてくれたんだ……コイツを食ったらもう」
「流石は伝説の料理人だ……」
審査員達がザウスの料理の味を知ってしまった。
この味を一度知ってしまえば、今までの味では満足が出来ない。ザウスの事を知っている者が伝説の料理人だと褒めるがザウスは然程気にしない。
「偉大なる航路は独自の生態系や文明等が根付いているが……どうやらここではまだ未知なる料理や食材は無かったか」
「ここは7つある偉大なる航路の最初の島の1つだから仕方ない」
料理人として未知なる味を求めたが、なにせ偉大なる航路の最初の島。
変わった酒は貴虎が購入したが変わった料理や食材は早々に見つからない。審査員の1人の仕方ないと言う言葉を聞いてザウスは少しだけ落胆するものの直ぐに受け入れた。
「ふむ……品揃えは悪くないか」
「自分の手に馴染むかどうかだよ」
一方のリグレットは銃を見に来ていた。
悪魔将軍に何れは武器を作ることの話を聞いており、自分の武器も水や湿気に極度に弱いことを自覚している。偉大なる航路に入れば良い感じの武器が手に入るかと少し期待して銃や火薬類を扱う武器屋にやってきた。
思っているよりも品揃えがいいなと興味を抱くリグレット。
武器屋の店主はいい武器はあるが手に馴染むかどうかが重要だと言ってくる。
「コレは?」
大砲の弾と思わしき物を発見したリグレット。
普通の大砲の弾とは異なっており爆弾の様な導火線が付いている事に気付いた。
「榴散弾、大砲の弾が着弾すると同時に散弾がばら撒かれて爆発する弾丸だ」
「普通の弾以外にもこういうのもあるのか」
「凹ますだけが大砲の弾じゃないから……使ってみるってか、そろそろ使うだろう」
「ああ……少し借りるぞ」
こういう大砲の弾もあるのかと感心したリグレット。凹ますだけじゃないと店主が教えれば使ってみるかどうかを聞くが使うだろうと言い直す。リグレットは大砲と榴散弾を借りて店の外に出た。
「始まるか」
ゼロ・オリジン号に残っている悪魔将軍は呟いた。
夜になったことでパルフェ島は静けさを増した。それと同時に今まで身を潜めていた賞金稼ぎ達が動き出す……偉大なる航路に入った者が高確率で味わう賞金稼ぎの洗礼だ。
「やはり来たか」
リュウゼンカグラが数本入った紙袋を抱えて船に戻ろうとしていた貴虎はそう呟いた。
背後には十数名の賞金稼ぎ達が立っていた。賞金稼ぎは予想通りと言うべきか徒党を組んで戦いやすい夜の時を狙ってやって来た。
「賞金額500万ベリーの果物戦士だな!お前を狩らせてもらうぜ!」
「はいそうですかで頷ける程に私は優しくはない……今回はコイツを試してみるか」
リュウゼンカグラが入っている紙袋を地面に置いた貴虎は戦極ドライバーを取り出して装着した。
何時もならば斬月の基本形態であるメロンアームズになるが、今回はそれなりの数の賞金稼ぎがいる。貴虎からすればあまり強くはないのだが、さっき購入したリュウゼンカグラがなにかの拍子で破壊されては困る。
『ブドウ!』
「変身」
『ソイヤ!ブドウアームズ! 龍・砲・ハッハッハッ!』
仏恥義理島でカトリーヌから奪い取ったブドウロックシードを取り出してブドウアームズになった。
変身した貴虎を見て少年の様に目を輝かせる賞金稼ぎ達だったが貴虎は気にせずにブドウアームズの武器、ブドウ龍砲を見る。
「この形態の武器は銃か……刀の方が使いやすいが、まぁいい」
ブドウ龍砲を左手に、無双セイバーを右手に持つ貴虎。
ブドウアームズになった感想を述べれば賞金稼ぎ達が斬月に変身している貴虎に挑みに行く。貴虎はブドウ龍砲の弾と無双セイバーを駆使して戦う。
「紅蓮砲爆!」
「ギャアアアア!!」
「なんてピンポイントに、あれ大砲だぞ!」
大砲を借りたリグレットは早速、榴散弾の威力を試す。
相手は勿論、自分達を狙いにやって来た賞金稼ぎであり、大砲の榴散弾をピンポイントで当てる事が出来ているのに賞金稼ぎ達は驚いている。
「インスタント・スレット!」
リグレットは舞うように動き愛用の銃の弾を四発撃った。
一発も外すことなく当てて賞金稼ぎ達を蹴散らしていく。
「ぎゃああ!う、腕が!?」
一方のザウスも賞金稼ぎ達に絡まれていた。
この島に上陸した時から賞金稼ぎが自分達を品定めしていたのは分かっていた事で、相手が銃を抜いたと言う事はこちらを襲うつもりだと判断して人間を解体する用の包丁を取り出した。
「腕の桂剥きだ」
賞金稼ぎの1人の右腕を骨だけ残して剥いた。目にも止まらない一瞬の内にだ。
ザウスは腕の桂剥きである事を伝えれば他の賞金稼ぎ達は怯える。
「挑むのは構わないが、悪魔超人軍に絡んで来た以上は覚悟をしろ」
「っ、お前等!やるぞ!」
賞金稼ぎ達はザウスに挑む。
貴虎、リグレット、ザウス、同じ時間にそれぞれ別の場所で賞金稼ぎ達に挑まれており3人は軽々と倒していく。
「天地雷鳴!」
「ぎゃあああ!!」
「うわ〜雷も操れるんすね」
一方のゼロ・オリジン号に残っている面々も賞金稼ぎから奇襲を受けていたが孔明は奇襲を読んでいた。
ウェザリアの天候科学兵器を使い雷を呼び起こして降らせれば賞金稼ぎ達は雷に焼かれる。ハヤトはこんな事も出来たのかと孔明を見て驚いている。
「天候学を極めればこの程度はどうという事ではありませんよ……それよりも将軍。どうなさいますか?」
雷を操った事を大したことでは無いと流し、悪魔将軍にどうするのかを聞いた。
「ふん、ここに居る者達では相手にならん」
見聞色の覇気で島にいる貴虎達と賞金稼ぎ達を比較した。
両者の戦闘力には大きな差が開いている事を悪魔将軍は直ぐに理解し、これで負けることなどはありえないと考えている。
「副船長達は強いっすけど、コレを最低でも3日間はキツいっすよ!将軍さん、ここは船長らしくガツンといっちゃってください!」
貴虎達と賞金稼ぎ達では数の方では賞金稼ぎの方が圧倒的に有利だ。
例え今日、撃退する事に成功しても明日に挑んでくる。明後日にも挑んでくる。
ハヤトは悪魔将軍に船長として一発ガツンとかましてくれと発破をかける。
悪魔将軍は見聞色の覇気でパルフェ島の気配を感じる。ある一定の力量を持っていて尚且つ貴虎達に闘争心を剥き出しにしている者のみを選定し
「!」
覇王色の覇気を放った。
悪魔将軍の周りに黒い稲妻の様な物が見える。
「はぁ……出来れば直ぐにやってほしかったがな」
悪魔将軍の覇王色の覇気に当てられて気絶をする賞金稼ぎ達。
貴虎に挑んでいた十数人の賞金稼ぎも綺麗に意識を失っている。覇王色の覇気を放って気絶させたなと貴虎は直ぐに理解したが、出来る事ならば戦いが始まる前に終わらせて欲しかったと不満を少し口にしながらも変身を解除した。
「……おそろしい圧だが、呼吸をするのと同じ感覚か」
リグレットを襲っていた賞金稼ぎ達も覇王色の覇気の威圧にひれ伏し意識を失った。
自分には向けられていない覇王色の覇気なのは分かったが、ほんの少しだけ威圧感が伝わったリグレットは冷や汗を一滴垂らす。悪魔将軍が放ったものなのは分かったが、悪魔将軍は呼吸と同じ感覚で放ったので悪魔将軍の凄まじさを感じ取っていた。
「ふむ、終わりか……念には念を入れさせてもらうぞ」
ザウスを襲っていた賞金稼ぎも全員意識を失っている。
ピクピクと痙攣している動きを見たザウスは万が一だと針を取り出して意識を失っている賞金稼ぎ達に刺した。神経を一時的に麻痺させるツボを針で突いた。ピクピクと筋肉が痙攣していた動きすらも止まった。
「皆、おかえりなさい……どうだった?」
「大した事はない相手だった」
3人が一斉にゼロ・オリジン号に帰ってきた。
ロビンがおかえりの言葉を送った後に賞金稼ぎはどうだったのかについて聞くので貴虎は大した事が無い相手だと言う。
「いや、副船長達が強いだけっすから……僕が相手なら追い詰められてましたよ」
「あの程度の者達ならば何人も見てきた……あっさりと散るだけだ」
ハヤトは賞金稼ぎ達を大して強くないと認識している貴虎達が強すぎなのであって、賞金稼ぎが弱いわけではないと気づいている。
リグレットはあの程度の者ならばと一蹴する。
「ほぉ、リュウゼンカグラか……いい酒を選んだな」
「出来れば、まぼろ酒も置いてないかと思ったのだがな」
貴虎が買って帰ってきたリュウゼンカグラを見て、ザウスは感心する。
いい酒を選べた事を特に威張ることはせず、貴虎はまぼろ酒が置いてなかった事を言う。
「アレは酒としてはあまり人気が無い……度数も低く酔いづらく、味も派手ではない。取り扱っている所は意外と少ないが一定数の需要がある為に作られ続けている」
まぼろ酒が見つからなかった事を貴虎が言ったので、ザウスが少しだけまぼろ酒について語った。
素朴で質素で何処か懐かしい味わいの酒、その酒よりも美味くて高級品な酒は幾らでもあるが、その味を好んで飲む一部の愛好家が居る。悪魔将軍もその内の1人だ。
「この島の
賞金稼ぎ達が気絶して、夜の街の住人が眠りにつく。
パルフェ島の明かりは一部だけが灯されているが、それ以外は真っ暗だ。
孔明は記録指針を見る。記録が溜まるまでにもう1回か2回は賞金稼ぎから悪魔超人軍が狙われるなと予測する。
「ケホッ、ケホッ……うわ〜スゴいな。おでん様が使ってたって言う妖術を使うことが出来るなんて」
「っ!?」
賞金稼ぎ達は意識を失っているものの孔明は一応は警戒している。
それなのにも関わらずあっさりとゼロ・オリジン号に乗っている男に全くと言って気付かなった。
「まさか……いや、それはありえません」
孔明は悪魔将軍の覇王色の覇気で耐えた猛者が居たのかと驚いたが、そんな猛者が居たのならば悪魔将軍は戦いに行くと考える。
船に乗り込んできた男からは気配らしい気配を感じない。そこに居るのは確かで、目の前にいる男は見聞色の覇気に引っかからない様に気配を消していた。
「お姉さんは賞金首じゃないよね……出してくれませんか?」
「……随分と堂々とした賞金稼ぎですね」
「感じるんですよ……圧倒的な力を」
孔明を見て男は賞金首の貴虎か悪魔将軍を出してほしいという。
堂々と言ってくるなと皮肉を込めて言えば、男はニヤリと笑みを浮かべて……闘志を剥き出しにした。流石に闘志を剥き出しにすれば悪魔将軍も気付いた。