ヒトヒトの実 超人種モデル ゴールドマンを食った男の話 作:アルピ交通事務局
「ふん!」
2週間も滞在する事になるのならば流石にオーバーボディを作らなければならない。
マグネットパワーを地面から噴出させて自分にぶつければエコガインダーの見た目に変わっていた。やはり今回も違うのかと感じると同時にオーバーボディの中はミチミチで窮屈だ。
「それにしても、意外ね」
「なにがだ?」
「将軍が物語を書くことが出来るだなんて」
「この見た目の時はエコガインダーと呼べ」
「あら、失礼。じゃあ改めてエコガインダーが物語を書けたのね」
ロビンと一緒に島を散策していればロビンに意外と言われる。
私はその事について特に怒るわけでも呆れるような姿を見せるわけでもない。
「物語に関してはあくまでも知っている、だ……私が作った物ではない」
「エコガインダーの知り合いが作ったのね。どんな方なの?」
「一方的に知っている関係だ。とは言えこの世には存在しない」
「そう……歳だったのね……」
「どうだろうな……少なくとも人間という種族で私よりも年上なのはドラム王国のドクターくれはぐらいだ」
あくまでも一方的に知っている関係であり作者達とは知り合いではない。
これから彼らの作品を借りて金儲けをする事にやや罪悪感を抱きながらもプランBについて考える。
「万が一、売れなかった場合はやはり奪うのが一番だろうな」
「市民達から略奪をせずに、海賊達からの略奪がメインね……安定してお金を稼ぐことが出来ないから、出来ればプランAで終わってほしいのだけれど」
「……ロビン、一旦足を止めろ」
万が一のプランBを考えていれば常に一定の距離でこちらに近付いてくる気配を感じ取った。
ロビンに足を止めろと言えばビクッとロビンは反応して私を盾にするかの様に隠れている。
大した強さを持っていない三流のチンピラだ。
ロビンでも倒せるぐらいには弱い……私達が足を止めたことで気付かれた!と驚いている者やそれと同時に狙い時がやってきたのではないのかとチャンスを伺う者もいる。
いちいち相手にしていても仕方がないと覇王色の覇気を放つ。
予想通りと言うべきか全員がポンポンと倒れていくなかでジャリィっと音が鳴った。手錠の音にしては変わった音だなと確認しようとすれば力が抜けた。
「気をつけて!それは海楼石の手錠よ!」
「ほぉ、噂に聞く海楼石か」
1人の男が持っていたのはただの手錠でなく海楼石で出来た手錠だった。
悪魔の実の能力者が海と同じ力を持つ海楼石に触れるのは危険だと海楼石の手錠を持っていた男につけてゼロ・オリジン号に戻った。
「船長さん、それは?」
「私やロビンに挑もうとした者だ……なにやら面白い物を持っていたが、私には触れるに触れられないものでな」
「コレは、海楼石の手錠か」
船場をしていた宗次が奇妙なものを持って帰ってきたなと視線で訴えるので見せる。
貴虎が男がつけているのがただの手錠でなく海楼石で出来た手錠だと見抜いた。ロビンは海楼石の手錠の鍵を貴虎に渡せば貴虎は男の手錠を外した。
「おい、起きろ」
「……っ!ひ、ひぃ!?」
「まったく……勝てないと分かった途端に情けない姿を見せて」
気絶している男を貴虎が起こせば囲まれていることに気付いて怯えている。
挑もうとしたのに相手との力の差を今になって理解して怯える姿は醜く、貴虎は呆れている。
「それで、貴方は……賞金稼ぎ、にしちゃあ力をあんまり感じませんね」
「しょ、賞金稼ぎじゃねえ!人攫いだ!」
「どっちにせよロクでもないわね」
宗次が意識を取り戻した男が賞金稼ぎかどうか確認するが、本人が人攫いと認めた。
ロビンはどっちにせよロクでもない存在だと分かったのだが……
「どちらが狙いだ?」
「あ、あんただよ……見たことがないから能力者か何かだと思って海楼石の手錠まで用意したのに……ちくしょう」
海楼石の手錠や人を攫うのに使えそうな布袋は1つしかない。
私とロビンのどちらかが狙いで、どちらが狙いかと聞けばロビンでなく私の方が狙いだったことを認め、ここで終わりかと人攫いは落ち込んでいる。
「攫ったとして何処に売り払うつもりだ?」
「そりゃあ、この街の裏の名物のヒューマンオークションだ……悪魔の実の能力者なら時価で売れるからな」
「……どうします?船長さん?」
ヒューマンオークションを堂々と叩き潰す口実を作ることに成功してしまった。
宗次は今から破壊しに行こう!ではなく、これから具体的にどういう風に動いてヒューマンオークションをぶち壊しにするのかを聞いてくる。
「そのヒューマンオークション、今回の目玉の商品はあるのか?」
「あ、ああ。女の人魚が居るとかどうとか……若い女の人魚はヒューマンオークションじゃ稀少で億単位で売れるなんて当たり前!おそらくは今回のオークションはかなりの額の金が動くことになるはずだ」
「ふむ、そうか……ならば連れて行くがいい」
「船長さん!?」
面白い情報は聞けたと海楼石でない普通の手錠を人攫いに渡した。
いきなりのことで宗次は驚いているが、他の面々は何をするのかを大体は見抜いた。
「ヒューマンオークションで奴隷を購入した人達からお金を奪って……そのまま奴隷達の解放ね」
「そうだ……私を連れて行きたいのであろう?連れて行くといい……無論、オークションの日程も教えろ」
「っは、はい!」
人攫いはもう完全に私達悪魔超人軍に逆らう事は出来ない。
海楼石でなく普通の手錠をつけた状態でヒューマンショップに向かえば私は数百万ベリーで売られた。そこは手数料及び縁切り代だと人攫いから金を徴収する事はしない。
「……」
人攫いに捕まった人が多くいる。
大抵は人間族の若い人間であり、悪魔の実の能力者や珍しい種族は……2人だけいる。1人は人攫いが言っていた様に若くて美しい人魚、1人は髭を携えた犬のような見た目の人間。確かミンク族と言ったか?
「貴様はミンク族か?」
「おや、ご存知なのですかい……ミンク族ってのは世界じゃあんまり見かけない閉鎖的な種族なんですが」
「実際に見るのは初だ。動く島に住んでいて何処に居るのかが分からないとは聞いたことがあるが……」
「ええ、その通りです。ミンク族は象の上にあるモコモ公国に住んでます」
ミンク族の男と軽く談笑をする。
モコモ公国に住んでいる事をなんの迷いもなく、いや、この場合は少し諦めた様に答えた。
「お兄さん、随分と奇抜な格好だけど能力者か」
「そんなところだ」
「そうかい……私が若く見えるかい?」
「いや、おじさんと呼べる年齢に見える」
ミンク族の男と会話をしていれば年齢の話に変わる。
若く見えるかと聞かれても髭を生やしているのでどうしても若くはみえない。声の音程からしておじさんと呼べる年齢に達している事だけは確かだろう。
「やはりそうですか」
「なにか気にする事でもあるのか?」
「いえ、実はミンク族に決戦の日があるんですよ……でも恥ずかしい話、その頃には私の肉体は全盛期を過ぎていて戦えない。ならばと得意の医学を極めようと旅に出たのはいいんですがこの通りの結果でして」
ミンク族の男はそう言うと自分につけられている手錠を見せる。
決戦の日と言うのは赤鞘の侍達が二十年の時を超えてワノ国にタイムスリップして現れる、このミンク族もまたワノ国の為に戦おうと考えて己なりの戦いを見つけたという事か。
「そちらの美しい人魚さんはどういう経緯で?」
「……あまり聞こえはいい話ではないぞ?」
「すみませんね……コレで終わりかと思えばグイグイっと聞いて。ああ、失礼。私はワトソンと言います」
人魚に対してどういう経緯で拐われたかについて聞こうとするミンク族もといワトソン。
人の触れてはいけない部分にガッツリと触れようとしているので私が少し注意を促すがワトソンは少し絶望の顔をして諦めている。
ここに居るのはなにも金のために自分を売った者達だけではない。
珍しいからを理由に普通に拉致されてしまったものも居るわけで……おそらくは人魚もその口だろう。
「…………」
「おっと、失礼。話題を変えましょう……人魚さんには得意な事や好きな事はありますか?」
どういう経緯で拐われたかについては地雷なので答えない人魚。
流石にこれはまずいと思ったワトソンは話題を変えようと人魚に得意な事や好きな事は無いのかを聞けば人魚は少し黙った後に口を開いた
「勉強……」
「おぉ、勉強が好きなのか……因みになにが?」
「……医学が,好き」
「おお、こりゃ奇遇だな。医者志望かね……さっき聞いてたと思うんだけど、私は医者でね……そうかそうか。人魚の医者か、珍しいな」
人魚は心を閉ざしているところがあるがワトソンがなんとか歩み寄ろうとしている。
ワトソンも人魚もどちらも医学に対して心得があったり興味を抱いていたりするようで馬が合う。
※
「もう一度聞くぞ」
「船長さん、ヒューマンオークションの商品になりに行きましたよ」
「……何故そうなる!?」
一方のゼロ・オリジン号。
リグレットが悪魔将軍の帰還が遅いので疑問を抱けば宗次がスゴい簡潔に述べた。何故そうなる!とリグレットはもっともらしいツッコミを入れる。
「ヒューマンオークションには数々の富裕層がやってくると聞きます…代金を奪ってヒューマンオークションの商品、即ち奴隷達の解放を狙っているのでしょう」
何故そうなる!と言う疑問に対して孔明は冷静に答えた。
奴隷の解放と奴隷を高値で買おうとする者達から金目の物を強奪する……一石二鳥というやつだ。
「将軍が売られるであろうヒューマンオークション会場、将軍が売られる日、この島に近づいて来ている堅気とも言えるがそうでもない奴のリストだ」
「早いな」
悪魔将軍が売られるヒューマンオークション会場等の情報を貴虎は既に押さえていた。
手際が良いなとリグレットは素直に感心する。
「将軍が居ないんだ……俺がなんとかするのが筋だ」
圧倒的な強さと圧倒的なカリスマ性で悪魔超人軍を束ねる悪魔将軍。その悪魔将軍が現在は不在だ。
ならば副船長に任命された自分がしっかりと動く。普段は悪魔将軍の影に隠れがちなものの、ここぞという時は副船長としてしっかりと仕事を果たす。
「堅気とそうでない連中がいて、目と鼻の先には世界政府加盟国か……将軍と金を攫えば即座に逃げるのが正しいルートだな」
ザウスはヒューマンオークションにやってくる顧客を見る。
堅気と言えるものから裏社会で活躍するものまで多くいる。世界政府加盟国ならば捕まってもおかしくない者達も中には当然いる。
自分達が滞在している島はエルデンランドのすぐ近くの島であってエルデンランドではない。しかしエ世界政府加盟国のエルデンランドがすぐ近くにあると言うのならばこの辺りを担当している海軍がすっ飛んでくる可能性は非常に高い。
悪魔将軍及びヒューマンオークションの奴隷の購入金を手に入れればそそくさと逃げる事を優先するべきだなと考える。
「俺とリグレットと宗次がオークションに向かう。ザウス、孔明、ハヤト、ロビンは何時でも出航する事が出来る様にするんだ……オークション開催日はちょうど記録が溜まった日だ」
「ほぇ〜」
「どうした?」
「いや、副船長ってホントに副船長なんだなって」
何時もならば悪魔将軍があれこれしているのだが今回は悪魔将軍が居ない。
貴虎が副船長としてテキパキと指示を出せば、この人はやっぱり副船長だったなとハヤトは改めて感心する。
「この船の船長は言うまでもなく将軍だ。その将軍が居ないなら、俺が回す……ただそれだけだ」
「我等が船長である悪魔将軍と比較するのは酷ですが、貴虎も副船長に必要な素質は兼ね備えてありますよ」
悪魔将軍が居ないなら副船長として貴虎が回す。
孔明は貴虎に副船長として必要な能力はしっかりと持っていることを補足しておく。
「海兵がどれだけ出てくるか。堅気と呼べない連中の護衛が誰をするか……並大抵の奴等ならば幾ら挑んでも意味は無いだろうが、大物が出てくるとなれば話は変わるからな」
オークション会場にやってきている堅気と呼べない人のリストを確認する貴虎。
大抵の相手ならば自分達で倒せるが、予想外の敵が出てきたのであればと考えている。
「……将軍が居なくとも、ある程度は回せそうですね」
はじめての悪魔将軍不在という出来事が起こった。
悪魔将軍のカリスマ性等に魅了されて悪魔超人軍に入った者達が多いが、悪魔将軍が居なくなった途端に悪魔超人軍が崩壊すると言う情けない姿を見せない。孔明は空を見上げてこちらは大丈夫ですよと悪魔将軍に心の中で伝えた。
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