ヒトヒトの実 超人種モデル ゴールドマンを食った男の話   作:アルピ交通事務局

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カレー!の巻!

 

 貴虎の傷は物凄い速さで治っている。

 流石は貴虎と言ったところだろう。

 

「お前の好物、だったな」

 

「ああ……私が作ったのとは天と地の差があるな」

 

「当然だ」

 

 貴虎の治療に専念する事になっているので食事のメニューも貴虎に合わせている。

 ザウスが作ったのはアップルパイとアップルティーで過去に貴虎がザウスを仲間にする為にと作ったアップルパイとは大きな差があるなと感じ取った。ザウスは当然だと自分のアップルパイと嘗て貴虎が作ったアップルパイとの間には大きな差がある事を否定しなかった。

 

「このアップルパイでお前用の料理は終了だ」

 

「すまないな」

 

 怪我人用の料理をザウスは貴虎に振る舞っていたが、怪我の状態がよくなったなと次からは普通の食事に戻すことを伝える。

 わざわざ自分の為だけに料理を作ってくれていた事に感謝しつつも貴虎は謝った。ザウスとしては料理人として当然の事をしたまでだとそのお礼に対しては特に返事をしなかった。

 

「お前達、リンゴジュースは問題無く飲めるな?」

 

「どうかしましたか?」

 

「貴虎用にアップルパイやアップルティーを作るためにリンゴを使ったからな。少々リンゴが余ったんだ」

 

 貴虎の食事を終えればザウスはリンゴジュースを飲めるのかを悪魔超人軍一同に聞いた。

 いきなりに話が振られたので何事かと孔明が聞けば、貴虎用に作った料理の為にリンゴが少々余ったことを伝える。

 

「確か、貴虎のは加工用のリンゴで生のままでは酸味がキツくなかったか?」

 

「ふむ……」

 

 余ったリンゴをリンゴジュースにして飲ませようと考えているザウスだったが、リグレットが貴虎が好んで食べているリンゴは火を通さないと酸味がキツい品種だ。リンゴジュースにして出したとしてそれはキツい酸味があると言われればザウスは考える。

 なにかいいメニューはないのかと考えていればワトソンが挙手した。

 

「カレーなんて如何ですか?確か隠し味にリンゴを入れれば美味くなると聞いたことがあります」

 

「……はぁ、ワトソン、貴様、もう少し学があると思っていたが……」

 

 ワトソンがリンゴを隠し味に使ったカレーなんてどうだと提案をすればザウスは大きなため息を吐いた。

 医学に対して博学で常識的な性格をしてはいるのだが、やはりミンク族として暮らしていたのかその辺の知識には疎い。

 

「なにか問題でも?」

 

「ワトソンさん、カレーは海軍が金曜日に決まって食べるものなんですよ」

 

「そうなのかい」

 

「ああ……曜日感覚を保つ為に海軍が金曜日にカレーを食べるようにしている」

 

 ワトソンがなにが問題なのかが分からないので聞けばハヤトがカレーは海軍が食べるものだと答える。

 ワトソンは意外そうな顔をしているが、ザウスがハヤトの説明に対して少し補足を入れてカレーは海軍が食べる物だと言う。

 

「ふぅむ、そいつは参りましたな……しかし、ここは悪魔超人軍であって海賊ではないのでしょう。だったらカレーを食べてもなにも問題はありゃしませんがね」

 

「上手い事を言いおって……仮にカレーだとして……厄介だぞ?」

 

「ふむ……ならば余ったリンゴをカレーに使うか」

 

 私達は悪魔超人軍であって海賊ではない、その盲点を突いてきたのだたカレーだとしても厄介だと言う。

 ザウスは余ったリンゴを隠し味にしてカレーに使うかと考えたのだが、ここでハヤトが言った。

 

「あ、じゃあそこに鰹の出汁を入れてください」

 

「鰹の出汁か……うどんや蕎麦を扱う店で作られているカレーだな」

 

「お待ちください。ここは中華スープをベースにカレー粉と片栗粉でトロミをつけたカレーを」

 

「いや、折角だ。野菜を沢山煮込んだ無水カレーを」

 

「……船長、これは?」

 

「各々が各々のカレーがあるんだ」

 

 ハヤトはうどんや蕎麦の出汁を入れたカレーを作って欲しいと頼んだ。

 孔明は中華スープをベースにカレー粉と片栗粉を混ぜた簡易的なカレーがいいと言った。

 リグレットは水を一切使わずに野菜から出た水分のみで作る無水カレーがいいのだと言った。

 

 カレンはこの光景を見てどういうこと?となるので、私は全員が全員、好みの味付けのカレーがある事を伝えた。

 

「一口にカレーと言っても色々とある。スパイスに拘ったカレーから具材が無いがトロミがあるオーソドックスなカレーまで色々と……意図的にカレーの注文を避けていたのは誰のカレーにするのかで止まるからだ」

 

 人間は1回はぶつかる、自分好みのカレーがなんなのかに。そして拘りのカレーを作りたがる。

 悪魔超人軍の面々も各々で好みのカレーがある。そのカレーが食べたいという欲があり、そのカレーではないカレーを食べてしまえばカレー欲が中途半端に掻き乱される。国や地域によって同じ料理でも味や作り方に差がハッキリと出る料理は揉める原因だ。

 

「ロビンは食べたいカレーはあるかしら?」

 

「そうね。しいて言うならばキーマカレーかしら」

 

「カレン、話をややこしく広げるな」

 

 まだ自分がどんなカレーを食べたいのかを言っていないロビンにカレンは聞いた。

 作り方に色々と拘りがある中でキーマカレーが食べたいと言い出すのだから話はやややこしくなる。

 

「カレーもいいですけど、やっぱりカツカレーじゃないと」

 

「宗次」

 

「食べ物ぐらいは贅沢を言わせてくださいよ」

 

 更に話をややこしくする宗次を軽く睨むが宗次は動じない。

 食べ物ぐらいは贅沢を言いたいと遠慮なく言ってくる。これ以上はこの話は無理だなと私は諦めるが、ザウスは話を纏めた。

 

「色々と注文をしてきているが、リンゴを隠し味に使った普通のカツカレーを作らせてもらう」

 

「やった」

 

「お前達のカレーの好みは分かったが、普通のカレーが一番だ……確か人魚は肉を食べないんだったな」

 

「ええ……鳥と獣の肉は食べないわ」

 

「ならば待っていろ。今日の夕飯はカツカレーだ」

 

 カレンに人魚は海獣や獣の肉を食べないのかを確認したザウスはカレーを作りにキッチンに向かった。

 まだ仲間にすらなっていないカレンの事を気にかけて料理を作ろうとしているのは流石は料理王と言ったところだろう。

 

「……なんだか迷惑をかけたわね」

 

「気にするな。あのままだと話に終わりが見えん」

 

 自分が人魚だからと色々と気を遣ってくれたザウス。

 他の面々は食べたいカレーがあったが、カレンが人魚だからで普通のカツカレーに……カレンの分にカツを乗せなければカレンは問題無く食べる事が出来る。カレンは申し訳なさそうにしているが、他の面々は食べたいカレーを色々と言っているので話の終わりが一向に見えず、結果的にはカレンが居るおかげで助かった。

 

「貴方はリクエストしなかったわね」

 

「ふん……再現しようにも覚えていないのだから仕方があるまい」

 

 カレンが私がどういうカレーが食べたいのかについて一切リクエストしなかった事について聞いてくる。

 カレーの思い出の味が無いといえば嘘になる。しかし、カレーを作る時にカレー粉と小麦粉以外の材料を適当に入れている。生姜、コーヒー、ココア、チョコレート、ヨーグルトとその日余っている材料を入れている。

 

 如何にザウスが料理王と言えども家で食べたカレーを再現するという事は出来ない。

 それは偶然と偶然が重なり合って出来るカレーであり、意図して作ることも再現することも不可能なカレーだ。

 

「取りあえずはこれで余っているリンゴの処理は出来ましたね」

 

「ふん……」

 

 カレーを作ることが決まってワトソンが本来の目的であるリンゴの処理が出来たことを語る。

 結果的にはいい方向に流れたが、あのままいけばくだらん小競り合いになっていた。とは言え、それをわざわざ口にする程に私は矮小な人間ではない。

 

「あ、将軍さん!手配書が更新されてますよ!」

 

 ザウスがカレーを作るのに専念していれば宗次はニュース・クーから新聞を購入した。

 何かしらの事件が起こったかと確認していれば私達の指名手配書を手に取った。

 

【恐怖の将 悪魔将軍】

 

 賞金 100、000,000ベリー

 

【果物戦士 貴虎】

 

 賞金 10,000,000ベリー

 

【魔弾のリグレット】

 

 賞金 5,000,000ベリー

 

【天剣の宗次】

 

 賞金 15,000,000ベリー

 

「……お前はカウントされている様だな」

 

 悪魔超人軍が世界政府加盟国で荒らし、海軍と衝突して撃退した。

 正確にはエルデンランドの隣の世界政府加盟国でないところで軽く激闘を繰り広げていただけなのだが、政府としてはどうしても私達を黒として扱いたい。

 

 奴隷のオークションを破壊した異常は賞金額が上がるのは覚悟していた。

 別に今更金額が上がったところで怯える程に私は弱くはない。しかし新聞には宗次が悪魔超人軍の1人として活動しているかの様に掲載されており、その事について指摘した。

 

「この船に厄介になった以上は賞金首になるのは覚悟の上ですよ……ホントに大事なのは最後まで戦えること、それが出来るのならば、僕が戦った証ならばコレは喜ぶべき物です」

 

 宗次は自分の手配書が自分が生きている証、自分が戦い抜いている証、そう認識していた。

 悪魔超人軍でなくゼロ・オリジン号に乗船している人間の1人が何時の間にか悪魔超人軍にカウントされているが、宗次にとっては些細な事だった。

 

「……酷いわね」

 

 カレンは新聞を手に取りニュースを読んだ。

 悪魔将軍がヒューマンオークション会場に乗り込んで悪魔超人軍と共に奴隷達を解放し、奴隷を購入しようとした者達から金品を巻き上げた。なにも間違った事は書いていない。

 

 私としてはそれを誇らしく思うことはしない。かと言ってそれを軽蔑する事もしない。

 この世界ではこういうのが当たり前の様に見られる。ただそういう風に認識をしている。

 

「お前が乗っている船は、そういう事を平然とする船だ」

 

 私達悪魔超人軍は海賊を名乗っていないが、やっていることは海賊と大して変わらない。

 海兵や海軍が来れば倒す。同じ海賊同士が相手ならば倒す。気に食わないところがあれば破壊する。蛮族と言われればその通りだろう。

 

 カレンに改めて、自分が乗っている船がただの船でなく危険な船だと分からせる。

 新聞を強く握っているカレンは私の方を見つめてくる。

 

「確かに、貴方達は海賊より酷いかもしれないけど……なにかが違う気がするわ」

 

「ふん……私は殺す時は殺すと決めている」

 

 カレンは普通の海賊とはなにかが違うと言ってくるが、私は甘い人間ではない。

 この世界では文字通り敵を倒すのであって殺さない。殺さない事で後々にルフィ達にとっていい方向に事が進んでいく。一部の恩恵は受けるつもりではあるが、それでも私は殺す。倒す=気絶させるでなく倒す=殺すが悪魔超人軍の考えだ。

 

「出来たぞ」

 

 その日の夜にカレーが出てきた。

 人参、じゃがいも、玉ねぎとオーソドックスな具材の上に豚カツが乗っているカツカレーで、カレンの皿にはカツが乗っていない。依怙贔屓等でなく人魚は肉を食べないという配慮をしたからだ。

 

「うん、美味しいわ」

 

 肉を実際に入れてはいないが牛骨でしっかりと出汁を取ったカレーだ。

 カレンはその事について指摘をしない、と言うことはその辺が曖昧なのだろうか?……いや、気にしている場合ではないか。

 

 カレーの中に肉は入っていないが豚カツをトッピングしている。

 カツカレーをモグモグと食べ進めていけば各々がおかわりを要求するのでザウスが一瞬で盛り付けた。

 

「貴虎の容体も安定してきたし、明日からは普通の航路にするぞ」

 

「ええ、任せてくださいよ!」

 

 食堂で貴虎もバクバクとカツカレーを食べている。

 元気になった証だと分かれば今まで停滞していた航海を明日より再開する事を伝えればハヤトは張り切った。




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