悪魔超人軍総帥 悪魔将軍   作:アルピ交通事務局

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奇天烈大百科!の巻!

 昨日は私と宗次、ザウス、ロビンで街を歩いたが、今日は孔明、リグレット、ハヤト、貴虎を中心に街を見て回ることになった。

 

 カレンは船に残っている。

 カレンは人魚である以上、人目の多い街中を自由に歩き回るのは難しい。ワトソンは船に足りない医療用具を買いに行った。

 

「……孔明ならば問題はあるまい」

 

 昨日の時点で、この島がタソガレ王国という世界政府非加盟国であることは分かっている。

 この国が少なくとも表面上は穏やかな国であることも。 ただし、昨日の裁判を見てしまった以上、この国は何かがあると分かった。

 

 栄之進もといキテレツ斎、からくり技師として数々の発明を行い、ポークポテトのような食料まで生み出した男。

 そんな男がオナラが物凄く出る芋を作ったという理由で逮捕され、座敷牢での終身刑を言い渡された。あまりにも馬鹿げた話だ。

 

 あの裁判はキテレツ斎を裁くためのものではない。キテレツ斎が持っている何かを奪うための茶番。

 深入りする理由は無いものの、何かがあるとすれば気になるのが人間というものだ。

 

「さて……何が出てくるやら」

 

 私はそう呟き、甲板から街へと視線を戻した。

 

 ※

 

「……なるほど。記録指針の記録が溜まるまで一週間ですか」

 

「ええ。それくらいだそうです」

 

 孔明は酒場にやってきた。店主から聞いた情報を頭の中で整理していた。

 昨日、悪魔将軍達が聞き込みをした肉屋兼惣菜屋ではなく、何時もの様に酒場を選んだ。

 

 記録指針が次の島を指し示すまでにどれほどの時間が掛かるのか。それが孔明にとって一番重要な情報だった。

 偉大なる航路では、記録指針に従って航海する必要がある。だからこそ、この島にどれだけ滞在することになるのかは把握しておきたい。

 

「一週間あれば次の島へ向かえる……と」

 

「そういうことですね……次の島に関してはちょっとわからないね」

 

「ならば、焦る必要もありませんね」

 

 この島で一週間過ごさなければならない。

 長いと言えば長い、短いと言えば短い。だが、少なくとも今日明日で慌てて出航する必要はなくなった。

 酒場の店主は次の島に関する情報は知らないと言ったが次の島に何時出発することが出来るかが分かったので孔明は一安心する。

 

 酒場で必要な情報を手に入れたので街を散策するが街は平穏だった。

 商人が商品を並べ、子供達が走り回り、道端では老人が世間話をしている。昨日悪魔将軍達が見た光景と大きく変わらない。

 

 キテレツ斎が逮捕されたという事件が起きているにもかかわらず、街全体が沈んでいるわけでもない。むしろ、人々は日常を続けている。それだけに、昨日の裁判が余計に異質に感じられた。

 

「それにしても……妙に平和だな」

 

「世界政府非加盟国とは思えないほどに、ですか?」

 

「ああ」

 

 孔明の質問にリグレットは頷いた。

 

「キテレツ斎とやらがこの国を豊かにしていたという話は本当なんだろうな」

 

 豊かな文明の裏で頑張っているのが噂のキテレツ斎なんだなと貴虎は感じていた

 

「……何かありますね」

 

 世界政府非加盟国でありながら豊かな文明国であるタソガレ王国。キテレツ斎が裁判に掛けられた事については文句の声は所々聞こえている。それだけキテレツ斎と言う人間がこのタソガレ王国を支えている。そんなキテレツ斎があまりにもくだらない理由で捕まっては裁判となり座敷牢での終身刑を言い渡された。

 

 あまりにもおかしな話でなにやら裏があるなと孔明が小さく呟いた。

 

「だろうな」

 

 貴虎も同意した。

 

「ですが、証拠がありません」

 

 キテレツ斎を逮捕しなければならない理由が今のところは見当たらない。どうして捕まったのか、それに関して気にはなるのだが、わざわざ藪蛇を突く様な真似を孔明はしない。何かがあるとすればと幾つか推測するがそれだけに留まり、ゼロ・オリジン号に戻る。

 

 ※

 

 私は甲板から街の方角を眺めていた。記録指針の記録が溜まるまで、あと5日。

 まだ時間はある。この島の住人が海軍に通報するという真似はしてこないのでこのまま行けば何事もなく次の島に向かうことが出来るだろう。

 

「将軍さん!」

 

 ハヤトが慌てた様子でやってきた。

 

「どうした?」

 

「街で事件が起きたんすよ!」

 

「事件?」

 

 既にタソガレ王国随一の発明家であるからくり技師のキテレツ斎が逮捕された。

 それを上回る事件などあるのか?如何に世界政府非加盟国と言えども最低限の法律や司法がある。事件が起きたというのならばタソガレ王国の人間が解決するだろう。しかしハヤトは大慌てでなんの事件が起きたのかを私は聞いた。

 

「キテレツ斎さんの店が荒らされました」

 

「店だと?」

 

 またキテレツ斎関連の事件の様で今度はキテレツ斎の店が荒らされたという知らせを受ける。

 キテレツ斎が店を経営しているという事は聞いている。確か色々と便利な物を作って売っている奇天烈堂と言うからくりもとい機械の店で、街の困りごとを聞いては色々な発明品を使って解決しているらしい。

 

「何者かに襲撃されたということか」

 

「そうなんすけど……」

 

「どうした?」

 

 キテレツ斎の店が何者かによって襲撃された。

 あまりにもくだらない裁判を行っているから裏があるのは分かっていた為に然程驚くことではない。キテレツ斎に対して何かをしたいと言う企みをタソガレ王国の誰かが持っている。キテレツ斎を座敷牢での終身刑を言い渡したのならば、その隙を狙ってキテレツ斎の工房でもある奇天烈堂を狙うことが出来る。

 

 色々と推測する事が出来るのだが、ハヤトは何かあるのか言いづらそうにしており、代わりに孔明が答えた。

 

「それが……何も奪われていないようです」

 

「なにも?」

 

「ええ、荒らされているのは確かで金庫等も開けられていたのですが金品の類は一切奪われておりません」

 

 キテレツ斎の店である奇天烈堂が荒らされているのは確かだった。

 店内は滅茶苦茶に荒らされ棚は倒され、商品も床に散乱している。書類も引き出しから放り出されていて金庫も開けられているが、中に入っているお金には一切触れていない。

 

「それで盗難品は?」

 

「今のところ確認されていません」

 

 孔明やリグレットの報告を聞いて妙な話だなと感じる。

 キテレツ斎がこのタソガレ王国を豊かにしたというのであればそれ相応に私財は溜め込んでいる。しかし家を押し入った者達は金庫を開けても金品等を奪うという素振りを見せていない。

 

 しかし何かを探そうとしているのは奇天烈堂が荒らされているのだから確かだろう。

 

「考えられる事として……なにかしらの設計図を探していたのではありませんか?」

 

 奇天烈堂を荒らした犯人の狙いは、キテレツ斎が作り上げた発明品の……設計図と孔明は睨む。

 金品も狙っていなければ店の破壊が目的でもない。ならば設計図が目的だろう。

 

「お前達、戻ってたのか。ちょうどいい、この島の名物の蜜柑のゼリーを作ったところだ」

 

 設計図が目的というのは分かったが、そこまでする価値があるのかと疑問を抱いているとザウスが蜜柑のゼリーを持ってきた。

 色々と情報が混雑しているので気持ちと頭をリフレッシュする為にザウスが作った蜜柑のゼリーを食べる事にした。

 

「甘い……これはシロップ漬けの蜜柑なの?」

 

「いや、この島で採れた蜜柑だ……品種としても特別に珍しい物ではない。ありふれた蜜柑だ」

 

「その割には今まで食べた蜜柑の中で一番甘くて美味しいって感じるのだけど」

 

 蜜柑のゼリーを食べて美味しいと感じるロビンだが、今まで食べたどの蜜柑よりも美味いと感じた。

 この島の散策は一応は終えているので、この島もといタソガレ王国の名物等は分かっている。タソガレ王国はキテレツ斎によって文明が豊かになっている。

 

「キテレツ斎が作った発明品で、特殊な音を当てることで蜜柑の熟れ具合や糖度を上げる琴がある。この蜜柑はその琴を使って成長させた蜜柑だ……」

 

「ふむ……その様な物を作るとは」

 

「植物の品種改良とかも出来るけれど、本職はからくり技師、機械屋みたいね」

 

 キテレツ斎の発明品で通常よりも更に美味くなっている蜜柑だとザウスが教えてくれた。

 蜜柑を更に美味しくする琴を作るとは、中々に凄まじい技術力と私はキテレツ斎に少し興味を抱く。ロビンはキテレツ斎は色々な方面に技術を手を出しているが本業が機械屋、発明家と言った。

 

「……少し行ってみるか」

 

 キテレツ斎が何故逮捕されたかについては大凡の見当はついている。

 作ってはいけない物を作ってしまった、悪魔の実の能力の領域に足を踏み入れた発明品を作った、そんな所だろう。

 

 キテレツ斎がいったいどんな物を作ったのかが気になった。

 事件の現場に向かうかとハヤトと一緒にキテレツ斎が経営する奇天烈堂に向かえばボロボロに荒らされた跡が残っている。

 

「誰も手をつけんのか?」

 

 現場が荒らされているが、誰かが証拠保存等には動いていない。

 荒らされたままの現場が残っているだけで……火事場泥棒の様な真似は誰もしない。だが、誰かが手を加えるというわけではない。

 

「キテレツ斎さんが作った発明品って、どんなのですかね……」

 

「設計図があればいいが……」

 

 荒らされている奇天烈堂に入ってもいいので入った。

 壊れている機械や散乱している工具、倒されている家具や隠し金庫等色々とある。これだけあればお宝の1つでも出てきてもなんにもおかしくはない。

 

 私は何処かに設計図かなにかがないのかを探す。ハヤトも探しては見るが特に目ぼしい物は見つからない……だが、1つおかしな物があった。

 

「なにも書いていない本が複数あるな」

 

 初心者でも分かりやすい科学の本やからくり仕掛けの本等が散乱している中でなにも書いていない本が複数あった。

 パラリとページを捲ってみるのだが、なにも書かれていない……だが、不自然になにも書いていない本が散乱されている。

 

「ショーグン・アイ!」

 

「あ、なにか浮かんでます!」

 

「ふん、そういうことか」

 

 無数の散乱されているなにも書かれていない本をショーグン・アイで見た。

 目から放たれる赤い光線が触れている間だけなにも書かれていなかった無数の本に文字が浮かび上がり、表紙に奇天烈大百科と書かれていた。

 

 私は直ぐにショーグン・アイをやめた。

 ここで答えを言えば色々と厄介な事になる。なにも書かれていない本だけを持ち帰らせてもらう。

 

「将軍さん、もしかしてその本って」

 

「ああ、特殊なインクが使われている」

 

 本を持ってゼロ・オリジン号に帰ろうとしている最中にハヤトは聞いてくる。

 ショーグン・アイを使っている間だけ本に文字が浮かび上がったことから、本に特殊なインクが使われているのではないのかとハヤトは予想しているのでその通りだと頷いた。

 

「私は悪魔の実の能力で読んだが……おそらくは専用の眼鏡を通して見なければこの奇天烈大百科を読むことは出来ないだろう」

 

 キテレツ斎が作った数々の発明品の設計図や説明書である奇天烈大百科。

 これを狙って奇天烈堂を誰かが荒らしたのだろうが、キテレツ斎は奇天烈大百科を特殊なインクで書いており専用の眼鏡でなければ見ることが出来ない様にしている。

 

 奇天烈堂を荒らした者達は必死になって奇天烈大百科を探したのだろうが、どれが奇天烈大百科なのかが分からず断念した。そんな所だろう。

 

「成る程……その本を探していたからですか」

 

「いったいなにが書かれているんですか?」

 

 ゼロ・オリジン号に戻り、奇天烈大百科を持って帰った事を伝えた。

 孔明は奇天烈大百科を狙って奇天烈堂が荒らされたというのをすぐに理解と納得が出来た。

 

 宗次が奇天烈大百科になにが書かれているのか?と聞いてきた。

 私は奇天烈大百科の適当なページを開いて、ショーグン・アイで目から赤い光を放ち奇天烈大百科に書かれている文字を読む

 

「ほぉ……これは驚きだな」

 

「なにがあったんすか?」

 

「お前達、ヨミヨミの実と言う悪魔の実を知っているか?」

 

 奇天烈大百科を適当に開いたページに書かれていた発明品の説明文を見て驚いた。

 ハヤトがなにが書いてあるのか聞いてくるので、ヨミヨミの実と言う悪魔の実について聞いてみた。

 

「聞いたことは無いが……悪魔の実と言う事は超常的な力を使えるという事だろう?」

 

「ああ……ヨミヨミの実は死んだ後に黄泉の国から蘇る悪魔の実だ」

 

「ま、まさか死んだ人を生き返らせる技術でも書かれていたのですか!?」

 

 貴虎が聞いたことはないが、悪魔の実ならばと考える。

 私はヨミヨミの実について軽く説明をすればリグレットが死んだ人を生き返らせると言う禁断の技術が載っているのかと驚く。

 

「いや、流石にそんな物は載っていない……だが」

 

「それと同等の物が載っていた……なにが載っていたの?」

 

 流石に死んだ人間を生き返らせると言う反則的な発明品は載っていない。

 しかし書かれている内容からしてそれと同価値の物だ。ロビンはそれに気付いてなにが載っていたのかについて聞いた。

 

「このページに書かれていたのは冥府刀と呼ばれる刀の説明文だ」

 

「冥府刀?……刀って事は物凄い武器なんですか?」

 

「……先ほど言った様にヨミヨミの実は黄泉の国から蘇る悪魔の実だ。黄泉の国、つまりはあの世が存在している。冥府刀はその黄泉の国への入口を斬り開く事が出来る科学の刀だ」

 

 刀と言うワードに宗次は反応するがそんな生易しい物ではない。

 冥府刀、設計図も説明文もしっかりと残っているがこの世界から黄泉の国の道を斬り開く刀で、生きたまま冥界に行くことが出来る……悪魔の実の領域に足を踏み入れた発明品で、死後の世界に干渉すれば厄介だと絶対に作ってはいけないと記載されている。

 

「死後の世界って、そんな曖昧な所を斬り開けるの!?」

 

 冥府刀の能力を軽く説明すればありえないと驚くカレン。

 しかし実際に載っている……この奇天烈大百科に載っている物が本当に作れるというのであれば、それはもう世紀の発明品を大量に作っている。

 

「……ふむ……」

 

 パラパラとページを捲って奇天烈大百科に載っている物を確認する。

 ドラえもんのひみつ道具かと言いたくなる様な能力を持っている物が多いのだが、中には雨雲を操る事が出来る装置があった。雨雲を操る事が出来る装置は確かこの世界では犯罪、しかもかなりの重罪になっていた筈……奇天烈大百科に記されている物はベガパンククラスの天才を引っ張って来なければ理解は出来ない恐ろしい代物だな。




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