奇天烈大百科を手に入れた、その日の夜。
ゼロ・オリジン号はタソガレ王国の港に停泊している。記録指針の記録が溜まるまで、あと五日。急いで出航する理由はない。
キテレツ斎の一件に関してもこちらから積極的に首を突っ込むつもりはなかった。キテレツ斎が何を作ったのかは興味深い。奇天烈大百科に書かれている技術も非常に興味深い。
甲板には静かな潮風が吹いていた。
昼間の喧騒が嘘のように街は静まり返り、港に停泊している船からもほとんど人の気配を感じない。
私は甲板に立ち、夜空を眺めていた。手元には、昼間に持ち帰った奇天烈大百科。
何冊もあるうちの一冊を開き、ショーグン・アイを使ってページを確認している。
「……優れた科学は魔法と変わらんか」
ページに記されているのは、理解するだけでも一苦労するような発明品の数々。
農業、医療、機械工学、気象、エネルギー。中には悪魔の実の能力としか思えないような現象を科学的に再現しようとしているものまである。栄之進、いや、キテレツ斎。あの男は容姿といいこの技術力といいまさにキテレツ大百科に出てくるキテレツ斎そのものだ。
これほどまでの発明品を作る事が出来る者が捕まったのは……危険だからか、はたまた更に裏に何かがあるのかのどちらか。
「その本に興味津々ですな」
「ワトソンか……仕組みなどの細かい点は理解は出来ない。だが、恐ろしい発明品の数々が載っている」
奇天烈大百科を持ち帰ってから奇天烈大百科をずっと読んでいる。
ワトソンは興味津々な事について指摘してくるので奇天烈大百科に載っている発明品の細かい仕組みは理解出来ない。しかし結果的には巻き起こす事が出来る現象がおそろしいのは分かる。
「どんなのがあるんですかい?」
「開運札と言ってな……運気を操るお守りがあるようだ」
「運!?……そりゃ科学でどうにかなるもなんですかい?」
「この奇天烈大百科に書いている以上は効力があるのは確かだろう」
冥府刀と言うイカれた性能をしている発明品を知ったがそれ以外にも何があるのかが気になるワトソン。
今読んでいるページには開運札と言う発明品について載っていて、その名の通し運気が良くなるという科学でどうにかする事が出来る代物ではない代物が載っている。ワトソンは運は流石に科学でどうにも出来ないと言いたいが、この奇天烈大百科に載っている以上はしっかりと効果は発揮するというのは確かだろう。
非科学的な領域にまで足を踏み入れた発明品がある。
キテレツ斎と言う男はとんでもないなとワトソンが感心している。その後ろでは、ザウスが明日の食事について考えているのか、何やら厨房の方へ向かっていた。ロビンや孔明達もそれぞれ船内で過ごしている。
奇天烈大百科を手に入れたがそれ以外は特に進展らしい進展はない普段通りの夜だった……
「……」
「どうしました?」
気配を感じた。この船に乗っているものではない気配を。
何かがいる。気配を上手く隠しているが、それはなんとなくでわかるので見聞色の覇気を強く意識して感じ取る。
呼吸、心臓の鼓動、筋肉の動き、普通の人間ならば見落とすであろうレベルに巧妙に隠している。
「……私を前にして殺気を隠し切れると思ったか?」
私が呟いた瞬間、殺気が漏れた。ほんの一瞬だったがそれで充分だった。
「敵襲!」
ワトソンが叫ぶ。
流石のワトソンも私に対して向けられた殺気について気付いたので叫べばゼロ・オリジン号でそれぞれが寛いでいる中で孔明、リグレット、ロビン、宗次、カレン、ザウス、貴虎と次々と仲間達が甲板へ集まってきた。
「何者だ!」
貴虎が周囲を見回す。
殺気を感じたのは船のマストの部分であり、そこに視線を向ければ……体は包帯で巻かれているが、忍者の格好をしている男が居た。
「やれやれ、流石は億単位を越える海賊達……そう簡単に首を取らせてくれませんか」
「貴方、忍者なんですか?」
「いえいえ、ただの趣味、コスプレですよ」
姿を現した男は簡単に私達の首を取ることは出来ないと少しため息を吐いた。
忍者の格好をしているので宗次が忍者なのかを聞けばただの趣味、コスプレであることを伝えた。
「悪魔将軍、果物戦士、魔弾のリグレット、天剣の宗次……」
男が私達の名前を順番に口にする。
「申し訳ありませんが、その首を貰う」
「随分と詳しいな。だが、残念だったな」
「……なにがです?」
「この船に乗り込んだ時点で、貴様は既に失敗している」
私がそういうと忍者の格好をしている男が手裏剣を取り出した。
「ならば、試してみますか!」
忍者の格好をしている男から手裏剣が投げられた。
「ふん」
私は片手を伸ばして飛んできた手裏剣を掴んだ。
「甘い!」
宗次が別の手裏剣を掴む。
「これで終わりか?」
リグレットも飛んできた手裏剣を受け止めていた。
「まだ来るわよ」
ロビンが言った直後。無数の手裏剣が飛んできた。
「まとめて来たか」
私は手を振る。迫ってきた手裏剣を全て掴み取った。
ご丁寧に毒が塗られている手裏剣で、無理に反撃しようならば毒にやられていた
「まさか軽々と受け止めるとは……」
「ここがどういう船なのか分かって乗ったのだろう?」
『イチゴ!』
忍者の格好をしている男は手裏剣が軽々と悪魔超人軍が捌いたのを見て困惑している。
しかし次にどういう風に動くのかは考えており、貴虎はそれを見抜いた。貴虎は戦極ドライバーを装着してこの前手に入れたイチゴのロックシードを取り出した。
「変身」
『イチゴアームズ! シュシュッとスパーク!』
仮面ライダー斬月 イチゴアームズに貴虎は変身した。
イチゴアームズのアームズウェポンは無数のイチゴクナイなのだが貴虎はイチゴクナイを見つめた
「……私にしては、可愛すぎるな」
可愛らしい見た目のイチゴアームズにどうもしっくりと来ない貴虎。
可愛らしいかと疑問はあるものの、忍者の格好をしている男に向かってイチゴクナイを投げれば忍者の格好をしている男はクナイを取り出して弾く。
「その手の武器が相手ならば私は負けない」
イチゴアームズのアームズウェポン、イチゴクナイを弾く忍者の格好をしている男。
クナイや手裏剣の様な投擲するタイプの武器ならば負けることはないと貴虎が投げてくるイチゴクナイを自分のクナイで捌いていく。
「どうやらその格好はただのコスプレではないみたいだな……だが、これは科学の武器だ」
普通にイチゴクナイの投擲をしても勝つことは出来ないと貴虎は察した。
戦極ドライバーに装填されているイチゴロックシードを無双セイバーに装填し無双セイバーを振るえば赤色のクナイ型のエネルギーの弾が無数に忍者の格好をしている男に向かって飛んでいく
「っく……」
男はクナイでエネルギー弾を弾こうとするが出来なかった。
持っていたクナイは砕け散りエネルギー弾が何発か当たって手から血を流している。貴虎は一瞬の間に間合いを詰めようとするが忍者の様な格好をしている男は煙玉を投げた。
「無駄だ!煙の中であろうが、斬月に変身しているならば見える」
煙玉を投げたことで姿を隠すつもりなのだろうが、貴虎は斬月に変身している。
なにも斬月は強化パワードスーツなだけではない。毒ガス等の有毒な成分は除去するし、煙などを使って姿を晦まそうとしても何処に居るのかをロックオンすることが出来る。
「狙いはそこではない」
貴虎が見上げた先には忍者の格好をしている男が居た。
手には巨大な手裏剣……確か風魔手裏剣だったか?……風魔手裏剣を装備していて高速で移動することで残像を生み出した。
「風魔烈風刃!」
忍者の格好をしている男は風魔手裏剣を投げてくる。
貴虎だけでなく私達にも投げてくる。回避することは出来なくもないがここは船の上、回避してしまえばゼロ・オリジン号が傷ついてしまう。ただでさえ船大工が居ないのだから何処をどういう風にメンテナンスすればいいのかが分かっていない状態で船が壊されてはたまったものではない。
「ふん!」
あまり使いたくはないがマグネットパワーを使う。
無数の風魔手裏剣がマグネットパワーの磁力に引き寄せられていき、ゼロ・オリジン号に穴は空けられなかった。
「ふっ!」
貴虎は忍者の格好をしている男に向かって無双セイバーを振るう。
忍者の格好をしている男は避けていくが貴虎は避けられるのは分かっている。
「将軍、すまん」
「うぐっ!?……それは、刀ではないのですか……」
無双セイバーの斬撃を忍者の格好をしている男は避けていた……が、無双セイバーの正体には気付いていなかった。
無双セイバーは刀であると同時に銃でもある。刀だと思い込んでいた忍者の格好をしている男に向かって無双セイバーの弾を撃った。軽く肩を掠めて無双セイバーの弾丸はゼロ・オリジン号に突き刺さる。貴虎はそれが分かっていたからか、先に私に謝った。
「ふぅ……参った」
「……なに?」
「そのままの意味ですよ。私ではこの果物戦士には勝てない、この果物戦士以外にも強い人達は他にも居る。なら私はどう頑張っても悪魔超人軍及び悪魔将軍の首を取れない」
肩を軽く撃たれた忍者の格好をしている男は降参をした。
参ったと言うので、思わず貴虎が聞き返せばそのままの意味だと言い隠し持っていた鉤爪ロープや鉄製の双節棍を出した。
「貴様……どういうつもりだ?ただの賞金稼ぎとは違うようだが……」
「私達の首を狙って来た割には、随分とあっさりしているな」
「勝てない相手に無駄に挑み続けるほど、私は愚かではありません」
あっさりと降参をした。降参したフリかと貴虎は疑っていたが忍者の格好をしている男は隠し持っている武器を全部出した。
あまりにもあっさりと負けを認めたのでその事について指摘をすれば勝てない相手には挑まないともっともらしい事を言った。
「勝てない相手に挑まないって……ここが何処だか分かった上で言ってるんすか?」
「ええ、ここは海賊船なのは百も承知……悪魔将軍の首を手土産にキテレツ斎様の無罪放免を狙っていたんですがね」
勝てない相手には挑まないと言うことはもっともらしい意見だ。
しかし、この船に喧嘩を売ってきた。売ってきたのだから、負けを認めたから直ぐに戦いが終わるわけではない。喧嘩をするという事がどういうことなのかを分かっているハヤトがこの船に喧嘩を売るという意味が分かっているのかを忍者の格好をしている男に聞けば、理解した上で狙っていて……キテレツ斎の名前を出した。
「忍者の格好といい明らかに戦闘の訓練をしている……貴様、何者だ?」
「曲者が名乗る名前があるとでも?」
キテレツ斎の名前が出てきたのでなにかがあるなと睨めば名乗るとでも?と言い返される。
その通りだと思い、何処から聞くべきかと考えていれば忍者の方から口を開いた。
「私はタソガレ王国特殊工作兵、雑渡昆奈門」
「喋るの!?」
「このままぐだぐだやっても仕方ないからね……忍者の格好をしてて忍者っぽい戦いとか武器とかを使ってるのは完全に趣味、ワノ国の人間でもなんでもないこのタソガレ王国の人間だよ」
素性を名乗るつもりは無いと言う空気を醸し出している中で、忍者の格好をしている男改めて雑渡昆奈門が自己紹介をした。
普通に自分の素性を明かしたことにカレンは驚くが、昆奈門はぐだぐだとやっても仕方がないからとさっきまでの戦いの空気を壊しつつ軽く自分について説明をする。
「じゃあ、キテレツ斎さんも?」
「ええ。和服と丁髷がしっくりと来ているからやっているだけで、生まれも育ちもこのタソガレ王国です」
キテレツ斎がワノ国の人間じゃないのかと疑っていた宗次だったが、しっくりと来ているからあの格好をしていると返ってきた。
ワノ国の人間じゃなかったことを宗次は喜ぶべきか落ち込むべきか悩んでいるが、それよりも聞かなければならないことがある。
「私の首を取って、キテレツ斎を無罪放免にすると言っていたな……あの様なくだらない裁判で、キテレツ斎が座敷牢での終身刑自体がおかしい。いったいなにがどうなっている?」
「……それについて説明をしたいですが……すみませんが治療してくれませんか?思ったよりもダメージが大きくて」
斬月に変身した貴虎との戦闘が思った以上に深手な昆奈門。
治療を求めたのでワトソンが治療をすると船内に入った……今日はもう遅いので、詳しい話を聞くのは明日になりそうだ。
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