ヒトヒトの実 モデル超人種 ゴールドマンを食った男の話   作:アルピ交通事務局

8 / 35
ゴングは鳴り響いた!の巻!

 

「ふん!」

 

 シュウジを弟子にした。

 

 取りあえず定番の自分と同じ体重の重りをつけての日常生活や筋トレ等をする。

 

「悪魔将軍……俺は何故畑を耕している?」

 

「なにを言い出すかと思えば、お前は四六時中特訓に時間を費やせる程に裕福な人間ではないだろう。畑を耕すことでお前の筋トレと同時に金を得る。一石二鳥と言うやつだ」

 

 シュウジに重りをつけての畑仕事をさせている。腕立て伏せ等の誰でも分かる筋トレは勿論しているのだが、それとは別枠で畑を耕す。

 

 自分は強くなる為に弟子入りをした筈なのにどうして鍬を持って畑仕事をしているのかと素朴な疑問を抱くので金を得る為と答えた。

 

「村を守るのであれば極端な話、傭兵でも雇えばいい。しかし貴様は村の人間として村を守ると決めた。ならば村の人間として生きる術を覚えるのもまた道理……勿論、この島に襲いに来る海賊達が持っている物資を略奪して海軍に売り渡すのは勝手だ。少なくとも海賊を倒したのはお前だ。ならば処遇を好きに選べるのもお前だ」

 

 戦闘能力を高めるのは大いに構わない。しかしその戦闘力は使うところが無いとただひたすらに危険な凶器である。

 

 武術を極めた達人達が出てくる漫画があるが、味方側の達人達は金を稼ぐ能力に圧倒的に乏しい。敵側の達人達は殺し屋という武術を最も活かしやすい仕事に就いている。

 

 シュウジが仮に力を得ても安易に殺し屋にならない……外の世界に憧れるのも出ていくのも勝手だ。それを止める権利をオレは持っていない。しかし安易に楽な道は選ばせない。命を育む事は命を奪う技術を覚える上では覚えなければならないものだ。

 

「将軍は、なにを読んでるんだ?」

 

「礼儀作法の本だ」

 

 今まで山で暮らしていたが、シュウジとの接触で村に降りることが出来た。ならばとダイヤモンドパワーで生み出したダイヤモンドをほんの少しの金に換金し礼儀作法の本を購入した。

 

 オレ自身、腕にそれなりに自信がある。80年以上もただひたすらに修行に費やしてきた。だが、腕っ節だけが強い人間を強者とは言わない。相手が格上の存在でナメられない様に自分を大きく見せるという考えは間違いではない。しかし時には相手が格上だとしてもそれ相応の礼儀で応じる。

 

 強くて品性が無く暴れている者は蛮族だ。悪魔将軍であるならばある程度の品格という物を持っておかなければならない。特にシュウジという弟子を作った以上は師匠としての品格を持ち合わせておかなければ色々とナメられてしまう。

 

「悪魔が礼儀作法って」

 

「悪魔だからだ……正義はコロコロと変わるが悪魔は契約には誠実だ」

 

 悪魔が礼儀作法というものを学ぼうとしている事に関して疑問を抱くシュウジだが、悪魔とて礼儀作法は学ぶ。

 

 やはり自分の事をオレでなく私と言う方が強者感があるか……どうも覇王色の覇気を自分にぶつけ続けていた影響か、オレを見ると無意識の内に威圧感を感じさせてしまっている。まぁ、悪魔将軍が目の前に居るのだからくだらんギャグの一言を言ったとしても通じる相手ではないというのがなんとなくで分かってしまうと言うものだ。

 

「安心しろ。まずは基礎だ……戦う以上は筋肉が無ければなにも出来ない」

 

 シュウジに無理にプロレスと言うかオレの戦闘技術は教えない。正確に言えば教えることが出来ない。

 

 まだ基礎とも言える体が出来上がっていない。ONEPIECE世界における圧倒的な運動能力、それを支える筋肉が生まれていない。筋肉が無ければなにも話にならない。

 

「イメージしろ。自分は常にスゴく硬い鎧を纏っているのを……そうすればコレが可能だ」

 

 筋肉を鍛えるのと同時に覇気を教える。覇気に関しては無理矢理教える事も出来るが、その場合は武装色の覇気に偏ってしまう。

 

 覇気は人によって得意な色がある。見聞色の覇気が得意な者も居れば武装色の覇気が得意な者も居る。どちらも満遍なく鍛え上げるのが大事な事であり、下手に1つの色に偏った場合、特訓次第で誰でも覚えれるタイプの技術が会得不可になる。

 

 オレは武装色の覇気の答えだけを見せる。武装色の覇気を纏えば腕は黒くなる。シュウジは腕が黒くなれとイメージをするが上手くいかない。ルフィ達ですら1年以上かかった技能、下手したら一生開花しない物でもあり、危機的状況を何度も体験しなければ普通は開花しないものだ。

 

「ふむ……」

 

 シュウジに技術を教える間、オレも研鑽を怠らない。

 

 ゆで理論溢れるプロレス技を覚えているがここはONEPIECE世界、この世界独自の技術を活かした物を覚えなければならない。

 

 幸いにも武装色の覇気は大分覚えれている。岩に触れて武装色の覇気を流し込んで物理的に破壊する武装色の覇気を纏うのでなく流し込む技術に関しては会得出来ている。ここから答えを見つけないといけない。

 

「ふん!」

 

 その結果、見つけた1つの答え。

 

 武装色の覇気は物にも宿すことが出来る。そして武装色の覇気を応用した衝撃波をぶつける事が出来る……ならば、武装色の覇気を空気そのものに纏わせる事が出来るのではないか?と。

 

 空気の塊をぶつける道具があるのだから空気に武装色の覇気を纏わせて空間を固定する。そしてそのまま拳を振りかぶれば固まった空気が飛んでいき衝撃波を生み出す。剣圧で相手を斬る技の応用だなこれは。

 

 しかしコレは間違いではない。拳を使うことで目に見えない空気の弾丸を飛ばすことが出来る……いや、弾丸というよりはハンマーか。エアハンマーとでも名付けるか。

 

「見えない鎧でなく見えない剣……より鋭くより硬く」

 

 他にも別の技を考える。手刀……と言えばベルリンの赤い雨をイメージするがオレがイメージしているのはそれじゃない。

 

 ベルリンの赤い雨は何処まで行っても物凄いチョップだ。別にそれが悪いわけではない。オレが目指しているのは物凄い手刀だ。手刀、つまりは刀の如き切れ味を持つチョップだ。その技をオレは知っている。

 

 武装色の覇気や硬度調節機能で体の硬さを上げるだけではこの技は完成しない。硬いだけならばダイヤモンドで充分だ……必要なのは研ぎ澄まされた鋭さだ。最適なフォームで最高速度で武装色の覇気を研ぎ澄ませた状態で手刀を放つ。

 

「悪くはないな」

 

 地面が砕ける、と言うことはなかった。綺麗にパックリと裂け目が生まれた。

 

 刀と言っても過言ではないほどの切れ味を持つ手刀をオレは会得した。コレの本来の名前が聖剣(エクスカリバー)だが、悪魔将軍であるオレが聖剣(エクスカリバー)は似合わない。やはり魔剣でなければならない。聖剣(エクスカリバー)の逆ならば1つ、魔剣(グラム)だろう。

 

 飛ぶ斬撃ならぬ飛ぶ拳圧を手刀に変換した……手の技だけでなく足の技も会得しなければならない。

 

 人間は腕よりも足の方にパワーを持っている。足のエアハンマー……いや、それでは芸が無いしこのゴールドマンの力を使いこなせていない。

 

「……ダイヤモンドを作るか」

 

 ダイヤモンドパワーで体をダイヤモンドにする。足で空気に武装色の覇気を纏わせると同時にダイヤモンドの汗をぶつける。ダイヤモンドの塊が生まれるが見てくれだけのダイヤモンドの塊であり……オレはダイヤモンドの足を用いて削る、削る。

 

 綺麗なダイヤモンドの球体が生まれる。オレはそれを思いっきり蹴り飛ばす……確かダイヤモンドレイだったか。

 

 見てくれだけのダイヤモンドである部分が大半が故にダイヤモンドレイを放ち物体にぶつければダイヤモンドレイは粉々に砕ける。オレのダイヤモンドパワーは普通のダイヤモンドと違い衝撃に対してもそれなりに強いのだが……まぁ、ダイヤモンドレイはしっかりとした武器だという事が分かったので問題は無い。

 

「ふっ!せい!やぁ!」

 

「攻めろ!外の世界には種族の段階で別格な生物が沢山居る。そんな者達を相手にラッキーパンチで勝とうなどと甘えた考えは捨てろ!」

 

 自身の研鑽を怠らないのは当然だがシュウジを鍛える事も手を抜かない。

 

 この世界ではラッキーパンチなんて早々に無い。スゴい血統の人間はスゴい力を持っている。勿論後天的にも鍛える事が出来るがこの世界は意思1つで変わる。ラッキーパンチで勝てることは稀にあるかもしれないが、それに頼ってはいけない。

 

 防御を売りにした戦闘はオレの性に合わない。

 

 とにかく攻める。耐え忍び最高の一撃の機会を待つのでなく、怒涛の攻めにより突破口を切り開く。待つのでなく、作る。

 

 シュウジには攻めの守りを教える。己の持っている武術で超人パワーや覇気を使わなくても使える技術を教える。

 

「悪魔将軍、来たぞ!」

 

「ふむ……」

 

 そんなこんなで修行は2か月程続ければ自然とシュウジにも筋肉がついた。

 

 奇跡的と言うべきか、海賊達がやってこなかった……が、それは一時のものに過ぎない。望遠鏡を覗いた先に髑髏の海賊旗を掲げた船がやってくる。

 

「悪くはないか」

 

 明確な悪意をしっかりと感じる。悪人な海賊だろう。

 

 何時もの様に覇王色の覇気で威圧して倒すのも可能だがそれでは意味が無い。見聞色の覇気で海賊達の力を感じ取るが大して強い者は居ない。

 

「コレがそうであれば使えるはずだ……ふん!」

 

 悪魔将軍となった際に手に入れた天のダンベル、これこそが我が命の証であるが色々と便利な物の筈だ。

 

 砂浜をドンッと天のダンベルで叩けばミシミシと亀裂が走りプロレスをするのに最適な大きさのリングが出現した。

 

「なんだ?なんでこんなところにリングがあるんだ?」

 

「ようこそ、この島へ。ここにあるのはただの村だ。お前達が求めている冒険も財宝も何処にも無い」

 

 海賊達が船から島に上陸すればオレとシュウジは出迎える。

 

 悪魔将軍の見た目をしているので無意識の内に威圧感を感じており海賊達は冷や汗を流している。コイツとは戦うのは危険だと思っているのだろう。

 

「海賊達!お前達はなにをしに来た!!」

 

 海賊であるだけで嫌悪感を剥き出しにするシュウジ。

 

 船の海賊旗と同じマークが入っている帽子を被っている男が笑みを浮かべ答えた。

 

「決まってるだろ。偉大なる航路への船出の準備だ」

 

「ならばそれ相応の金は持っているのだろうな?」

 

「まさか!海賊は奪ってなんぼだ!」

 

「おのれ……」

 

「シュウジよ、お前は自らの意思で強くなると決めた。力をどのように振るうかはお前の勝手だ……守る力と言うのならばその場がちょうど来た。戦え」

 

 海賊は奪ってなんぼだと言えばシュウジは強く海賊を睨む。

 

 こちらは2人、向こうは20人程度だ。オレは近くの岩に腰掛けた。

 

「シュウジを殺したのであれば遠慮なく村を襲うがいい」

 

「なっ!?……将軍!?」

 

「強くなる術を学び得てその力を発揮する機会があった。そこで何も出来ないならば死ね……力無き者にはなんの資格も無い。それともお前は自分が死んでもオレが居るからと言う甘えた気持ちで今の今まで鍛えていたのか?」

 

 シュウジが死んだならば村を襲うことを許可する。シュウジはそれについて驚くが、コレは最初から決めていた事だ。

 

 いざとなればオレが居る。なんとかしてくれる。それは甘えた考えだ。勿論、シュウジが自分の足で歩けるようには鍛え上げるが肝心の本番で使い物にならないのであれば意味が無い。

 

「リングがそこにある。1人ずつシュウジに挑め……それが嫌ならばこうだ」

 

 オレは普通の手刀で海を割った。

 

 飛ぶ拳撃等この世界では割と見るものだろうが、まだ海賊稼業をはじめて間もない者達にとっては異次元の強さであろう。

 

「かかってこい!俺が倒してやる!」

 

 覚悟を決めたシュウジはリングの上に立った。

 

 複数で挑んできたり戦っていない者が銃等で支援をすると言うのであればマグネットパワーで妨害はしたが海賊達は素直に応じる。

 

「へっへっへ、なにかと思えば武器1つ持っていないじゃねえか。拳は剣に勝てねえんだよ!」

 

「愚かな。武器の強さに頼り、己の強さに頼らんとは」

 

 剣を持った海賊がリングに立った。

 

 シュウジは武器らしい武器を持っていない。自分は剣を持っている。ただこれだけで圧倒的な力の差が生まれると過信している。

 

 剣や銃等の武器が強いことは否定しない。だが、どれだけ優れていてもそれを使いこなす事が出来る人間が弱ければ意味が無い。

 

 オレは海賊の発言を愚かと呆れながらも見守る……結果として、シュウジは左のストレートパンチで相手の顎の骨を折って気絶させた。

 

「コレを……俺が?」

 

「オレはお前にそれなりに教えているつもりだ」

 

 人間の骨と言えばかなりの硬さを持っているものでそうそうに折ったりすることは出来ない。

 

 しかしシュウジは渾身の一撃でなく普通の左のストレートで海賊の顎の骨を折った。何分これがホントに最初の実戦の為に今まで自分が強くなっているとは思っていなかった。

 

 畑仕事等をさせていて一日中武術でみっちりと言う生活をさせていなかったからシュウジは己の強さを理解していない。2ヶ月という期間があればそれなりには強くなるという物だ。

 

「さぁ、次だ」

 

 顎の骨が折られた者は意識を失った。

 

 まだまだ居るので次に出てくる者は居ないのかと聞けば次の戦いのゴングが鳴った。シュウジは戦う。戦って戦って戦って……倒した。

 

「やった……倒した……倒したぞ!俺は村を守ることが出来たんだ!!」

 

「まったく……勝ったと言うのはそういう事ではない。相手を完全に沈めてからだ。貫抜!」

 

 シュウジは全ての船員を倒したことを喜ぶが倒したのであって仕留めたわけではない。

 

 相手の息の根をキッチリと止めなければ勝ったとは言えない。

 

「なっ、なんで」

 

「愚か者が……コイツラを更生させるわけではないのであろう?ここでキッチリと仕留めず野に放てば最後、他の奴等が苦しむのだぞ?」

 

 ONEPIECE世界では相手を倒すのを重視しているがオレはそれを好まない。

 

 何故ならば相手が悪人だからだ。悪人だから成敗して終わらせるのでなく悪人だから語り合い改心させるのならばまだ納得がいく。しかし目に見える分かりやすい悪人を倒すだけでその後は何もしないというのは良くない。

 

 倒すと言う曖昧な言葉で片付けるぐらいならばオレはハッキリと仕留める。そちらの方が後腐れが無い。

 

「対話の精神を持って語り合わないのであれば仕留める……それが出来て一人前だ」

 

 話し合いで分かり合うのならばそれはそれで構わん。それは否定しない。

 

 だが、殺さずの誓い等というくだらない物は不要。殺すことで意味がある……死という恐怖は誰にだってあるのだから。

 

「さて、身包みを剥ぐぞ」

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。