ヒトヒトの実 モデル超人種 ゴールドマンを食った男の話   作:アルピ交通事務局

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集まりし悪魔超人!の巻!

 

 私の徹底したやり方に対してやや疑問を抱いているもののシュウジは強くなることにした。

 

 何をするにしても力をつけなければならない。どれだけ素晴らしい思想を持っていたとしても力が無ければ意味が無いのだから。

 

「ほぉ、お前さんが噂の悪魔将軍とやらか!中々じゃな!」

 

 海賊を殺したが中には賞金首も当然居るわけだ。それを金に換えない手は無い。

 

 海軍に渡せば金になる……と言っても生け捕りではないのでそれなりに足元を見られるのだが。

 

 死ねば、元の実となってしまう悪魔の実の能力者ならまだしも能力者でもなんでもない海賊は殺してもなにも問題は無い。

 

「私のやり方に対して文句を言いに来たのか?」

 

 海軍の英雄であるモンキー・D・ガープがやってきた。

 

 海軍本部のガープの軍艦でなく、私達が住んでいる村を担当している海軍のボロい船でだ。

 

「海賊なんぞに同情はせん……それを覚悟の上で旅立っておる」

 

「ならばなんの用事だ?」

 

「なに、海軍に入らんか?」

 

「ふん、くだらん!そんな戯言を言いに来たのであればさっさと帰れ……正義と言う思想が異なる物を掲げている人間は嫌いだ」

 

 ガープが難しい話を一切せずに海軍に来ないかと誘った。

 

 正義とかいう思想が異なるものを掲げている人間は嫌いだ……特にその言葉を免罪符にして使っている人間達はな。

 

「なんじゃい、せっかく誘っておるのに」

 

「正義を掲げるなど、悪魔将軍である私とは縁が無いにも程がある……正義と言う言葉は決して己の理想そのものではない」

 

「ふむ……」

 

「なんだ?」

 

「ちょうどそこにお誂え向きのリングがあるしいっちょワシと勝負せんか?」

 

「ふむ……いいだろう。だが、言っておくがこの私を力で従えようと言うのであればそれ相応の覚悟を持っておけ」

 

 戦闘技術を教える為にある超人プロレス用のリングがある。

 

 ガープは拳で語り合うのがいいと思っている。超人たるもの言葉による語り合いよりも拳による語り合いの方が好ましいのだろう。

 

 それは私にとっては好都合だ。ガープが腕をパキパキと鳴らしながらリングに入った。それならばと私もジャンプしてリングに乗った。

 

「シュウジよ、そして隠れ見ている者達よ。見ておけ」

 

「いくぞ!」

 

 ゴングは鳴らない。しかしガープは攻めて来る。

 

 その破壊力は隕石が落下したと思わせるほどの拳骨で攻めて来る……であれば私もそれに応える。

 

 私も拳を構えて殴る。ガープとは相打ち……ではない。互いに全くと言ってノーダメージだ。

 

「覇気を用いないただの拳骨でこれとはな」

 

 今までの相手とは明らかに別格なのが分かるほどの拳骨、それも武装色の覇気を一切纏っていないものだ。

 

 やはりこのレベルの人間になればなにかしらの形で徹底的に衰弱させてからでなければ通常攻撃は効かない。特にこの男は根性1つで攻撃を余裕で耐える男だ。

 

「やるな!じゃったら今度は本気でやる!」

 

 ガープはそう言うと武装色の覇気を纏った拳を握り振り被る。

 

 それに対して私はダイヤモンドパワー+武装色の覇気の硬化+鉄塊を使う。

 

「っぐぅ!?ワシの拳骨が!」

 

「ふっ、さしもの貴様でも私の硬さには勝てぬようだな……私はこの世で最も硬いダイヤモンドの硬さを持っているだけでなく己の肉体に武装色の覇気を徹底的に染み込ませた。名刀の中で極一部しかない黒刀と同じ領域にまで肉体を仕上げている」

 

 名刀、秋水が武装色の覇気を徹底的に染み込ませた物であるのならば肉体にも染み込ませることは可能。

 

 武装色の覇気を会得し時間があるのならばと武装色の覇気を徹底的にこの肉体に染み込ませた。纏うのでなく内側に入れる形で。

 

 自分の拳骨で砕けないレベルの者に出会うのは初めて……ではないな。軍艦サンドバッグと言うものをしているのだから。だが、それでもロジャーの死後にこのレベルの猛者と出会うのは初だろう……とは言え

 

「私はそれでは倒れん。デルタダイナマイト!」

 

「なんの!」

 

 腕、肘、頭を同時にぶつけるタックル技、デルタダイナマイトをぶつけるがガープは受け止めて投げ飛ばす……が、超人である私にとっては特に痛くも痒くも無い。相手を叩きつけない限りは投げ技は通じない。

 

「とぁーっ!」

 

 ガープとロックアップの体勢に入る……ふむ……

 

「ふん、つまらん」

 

「なぬ?」

 

「貴様、かなり手を抜いているな?」

 

 山をサンドバック代わりにしてボコボコにする事が出来る男が本気の拳骨を放てば島が崩壊する。

 

 自分の力を理解しているので込める覇気を抑えている……もう少し本気で込めればおそらくは私を吹き飛ばせていただろう。

 

 ロックアップをすることでガープとの間にある実力差を感じれる。私の方が上と言えば上ではあるものの、ガープは全力ではない。

 

「本気でやれば村の奴等に迷惑がかかるじゃろ……本気で暴れたいなら海軍に来い!」

 

「生憎だが、正義と言う言葉を使いたくはない……まぁ、いい。貴様の力量は大体は測れた」

 

 全力で挑む場合はお互いに文字通りの命がけの戦いを繰り広げなければならない、そのレベルの相手だ。

 

 一歩間違えれば私が死ぬ……だが、悲しいことか。これからガープは徐々に衰えていく。衰えても尚、恐ろしい存在故に惜しい。

 

「お前が本気で挑まないのであればスパーリングにすらならん……茶を飲んで談笑するつもりは無い。さっさと失せろ」

 

「まったく……まぁ、よい。とりあえず海兵を1人置いておくぞ」

 

「この村の権限は私には無い。筋を通すならば村長に通せ……言っておくが、私を取り込もうという考えは捨てておけ」

 

 私と情の鎖で繋がっている者は後にも先にも弟だけだ。その弟はもうこの世の何処にもいない。

 

 ガープはなにを狙っての海兵を1人置いていくかは知らないが、その程度のことで揺れ動く私ではない。そしてこの村でその手の権限は私は持っていない。

 

「んじゃ、村長に挨拶に行かんとな」

 

 ガープは鼻くそをほじりながらそう言うとリングを後にして村長の経営する酒場に向かった。

 

「あ……嵐みたいな男だな」

 

「己の正義を貫き通しているバカだ」

 

 一連のやりとりを無言で見ていたシュウジはここで言葉を出す。ガープが嵐みたいな男と言うがまさにその通りだろう。正義と言うよりはただの歩く災害だ。

 

「それで、何時まで見ているつもりだ?」

 

 ガープは歩く災害みたいな男だがこちらが余計な事をしない限りは基本的には無害だ。

 

 それよりも今は気にしなければならないのは少し前からこちらを見ている数人の村の連中だ。

 

「お前は、マツシロ!アラン!ナンジロウ!ブラッド!デンゾウ!」

 

 見ているだけでなにかをしてくるというわけではない。だが、いい加減にしろという思いはある。

 

 出てこいと睨みを利かせればコッソリとこちらを見守っていた5人が姿を現した。シュウジと大して変わらない年齢の若い男だ。

 

「私になにか用事か?」

 

「……あんた、シュウジを鍛えてるんだよな?」

 

「ああ」

 

 シュウジを鍛えている事についてマツシロと呼ばれるアフロの男は聞いてきた。

 

 否定する要素は特に無く頷けば他の4人もシュウジを見る。出会って数ヶ月の間に筋肉がムキムキとなった……が、まだまだ練度は足りない。

 

「頼む!オレたちをあんたの弟子にしてくれ!」

 

「このままじゃダメなのは俺達も分かっている。でも、力が無い……あんたなら力を与えてくれるだろ!」

 

「アラン、ナンジロウ……」

 

「愚か者が」

 

 頬に傷がある男とポニーテールの男が頭を下げる。

 

 ここ最近のシュウジとの修行を見ていて自分達もと思っているのだろうが、今の発言で愚か者としか言えない。

 

「私はシュウジに力を与えた事など一度も無い!コレはシュウジが自らの手で掴み取った物だ!力を与えてもらおうなどと甘えた考えでなく自らを鍛えて力を手にせんか!!」

 

 力は与えてもらうものでない。己を鍛えることで会得するものだ。

 

 私の下で鍛え上げればシュウジの様に、そして私の様にと思っているのだろうが例え私が1から10まで鍛え上げたとしても生まれるのは何処かが私に劣る劣化コピーに過ぎない。

 

 私を超えたいと思うのならば私の理解の外にあるなにかを見つけ出さなければならない。

 

「だったら言い直そう。私達を鍛えてくれ」

 

「ブラッド……いいのか?海賊達なんて俺が」

 

「それではいかん。1人でなにもかも出来る程に世の中は甘くはない……お前だって何時かは誰かに助けてと言う。その時に手を伸ばす事が出来るようになりたい」

 

 ブラッドと呼ばれる男は言葉を訂正する。

 

 シュウジは海賊ならば自分1人で倒すことが出来ると言うが1人でなんでもかんでも背負い込んでしまってはいけないと注意をする。

 

「……まぁ、いい。強くなりたいと言うのであれば鍛えてやる……だがしかし、悪魔超人の道を選んだのだからタダでは返さん」

 

 シュウジを見て自分達も強くなろうという意思を手に入れたのであれば、剣の握り方の1つでも教えるのが筋だろう。

 

 シュウジ以外にもマツシロ、アラン、ナンジロウ、ブラッド、デンゾウの5人が新しく部下に加わる。

 

 そこからは大して語ることは無い。努力はしなければならない物だ。ただ力を鍛えたとしてもそれを活かす知性や理性が無ければ意味が無い。

 

 自警団という1つの組織を立ち上げる……シュウジをリーダーにと思ったが、シュウジは私こそが長を務めるのに相応しいと言う。

 

 1つの群れを率いる長の権利を軽々しく手放すとは……だが、それでいいのであれば私は素直に受け入れる。自警団と言いみかじめ料等というくだらない物は取らない。自らで畑を耕し時には家畜を育てる。そして仕留める。

 

 生きる上で命を奪い、命を食べる……それは極々普通のことである。それを改めて思い知らせる。

 

「それで、お前はどうする?」

 

「……」

 

 ガープが置いていくと言っていた海兵は幼かった。そもそもで何歳から海兵になれるかは分からないが明らかに幼い。

 

 しかし目にはしっかりと生気が宿っている……が、こいつは悪魔超人の門を叩いていない。海軍には海軍が持っている育成マニュアルがあるのだからそれをこなせばいいのだが、なにかを訴えたい目を持っている。

 

「……お前は強いな」

 

「力あるものは強い、それは普通の事だ……そういうお前は海兵でありながら弱いな」

 

 ガープが置いていくにしてももう少しマシな人材を置いていくと思ったが、何時もの海賊回収のオンボロ海兵達と大して変わらない。

 

 海軍本部の人間か?と思ったが、海軍本部の人間ならばもう少し正義と言う鬱陶しいものを掲げているだろう。

 

「どうしたらお前の様に強くなれる?」

 

「私の様になってどうする?お前にはお前の強さがあるだろう」

 

「暴力と言う力じゃない。もっと根っこの部分にあるなにかがお前は違う……その強さの根底を知りたい。そしたら海の戦士ソラみたいに」

 

「ふっ……残念だがそれを知れたとしても海の戦士ソラの様にはなれない」

 

 ボロボロの絵本、海の戦士ソラを海兵は手に取る。ヒーローに憧れた。ヒーローの様な心や力が欲しい。そう願っているのだろう。だが、残念だがそれを知れたとしても海の戦士ソラの様な勇敢なヒーローにはなれない。

 

「私はヒーローなどと言うものではない……何故ならば心に愛が無いからだ」

 

「愛?」

 

「そう。スーパーヒーローに必要な物は愛だ……ただ分かりやすい悪を倒すのがヒーローではない。悪と戦い分かり合う慈愛こそがスーパーヒーローに必要な事だ」

 

「……海賊なんかと分かりあうなんて嫌だ。俺が育った場所は掃き溜めの様な場所だ……ヒーローが待っても来ないならヒーローになるしかない。だから海軍になった」

 

「ならばお前に残酷な言葉を教えてやろう。ヒーローは遅れてやってくることを」

 

 海の戦士ソラの様なカッコいいヒーローを目指しているのだろうが1つだけ致命的な欠点がある。ヒーローは遅れてやってくる。

 

 ホントに助けてと思っている、泣いている、叫んでいる……そんな時にヒーローはやってこない。後からしゃしゃり出て間違っていると言う。事件が来ない限りは動かないのがヒーロー、自らの意思で事件を探さないのは偽善とも言える。

 

「じゃあ、どうしたら遅れてやってこないヒーローになれる?」

 

「遅れてやってこないヒーローは居ない。仮にそれが居たのならばそれはヒーローでもなんでもない……ただの優しい人間だ」

 

「優しい人間、か……」

 

「強くなりたいと思うのであればそれと同時に優しさを忘れるな……少なくとも、強くなってしまえば見えていたものが見れなくなる。その結果、心を失う」

 

「将軍、あんたは……失くしたのか?心を」

 

「どうだろうな……だが、シュウジ達を鍛える日々は不思議と悪くはない。そう言えば海兵お前の名前を聞いていなかったな」

 

「……貴虎だ」

 

 貴虎か……いい名前だな。

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