流転のベグディアス:Reborn in The Cycle of Reincarnation   作:るろうに2025

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Destiny.4 クラスメイト

「お前……なんだよそれ……」

 

 男子の一人が私の右腕を震えながら指差している。

 

「お前、なんで戦えてるんだよ?」

「なんでって……分からない……」

 

 私は突き刺さる視線にたじろぎながら、今分かること、つまり分からないという事実を伝えた。

 

「なんか白い空間が現れて、謎の声が聞こえて、そしたらスマホが変な機械になって……」

「そんなの信じられるかよ!」

 

 男子の声が揺れながらも強く私の胸を貫く。

 

「あの魔物の仲間なんじゃねえのか?手を組んで俺たちを嵌めてるんじゃねえのか!?」

「そんなわけないじゃない!」

 

 私は声を荒げた。

 

「私だって何が何だか分からないのに……それでも……」

「そうだよ!さくらはみんなのために勇気を振り絞って戦ってくれたのに、そんな言い方酷いよ!」

 

 言葉に詰まった私を、沙知が援護する。その言葉は、沙知の本心に聞こえた。

 

 沙知の言葉で潮目が変わったのか、クラスメイトの目が和らぐ。

 

「さくらは私を守ってくれた……今までもずっとそうだった……」

「サチ……」

 

 しゃがみ込み涙を床に垂らす沙知の背を、私はそっと撫でる。

 

 ――沙知には、私はそう見えてたんだ……。

 

「さくら……さんでいいの?」

 

 一人の女子が私に歩み寄ってくる。

 

「わたし、要千代(かなめちよ)といいます。あの……さっきはありがとうございました。あなたが居なかったら、わたしたちはみんな死んでたかも……」

 

 千代は両手で私の右手をギュッと握る。温かな温度がダイレクトに伝わる。

 

「でも、そのスマホ?から剣とかが出たのよね?」

「うん……なんでかよく分からないけど」

「わたしたちのスマホは……」

 

 そう言うと、千代はスカートのポケットからスマホを取り出し、電源ボタンを長押しした。しかし、画面は一向に光らない。

 

「起動しないんだよね。びくともしない」

「じゃあ、私だけ?」

「そうみたい」

 

 千代が首を縦に振る。眉を若干ひそめながら。

 

 ――私だけ……。

 

 その言葉の意味が、皆の胸に浸透するまで時間はかからなかった。

 

「あいつだけが戦えるのか?」

「私たちは戦えないの……?」

 

 期待と不安が入り混じった視線が、再び私に集まる。さっきまでの疑念とは違う、もっと厄介な種類の視線。

 

 ――頼りたいという、視線。

 

「でも、ずっとなんて無理だよ。今回だってまぐれかもしれないし、なにより、頭が真っ白で……」

 

 皮肉な話だった。

 

 さっきまで死に場所を探していたはずなのに、今じゃ恐怖心に怯えている。

 

 皆の期待に応えられないことへの、恐怖に。

 

「でも」

 

 誰かが小声で呟いた。

 

「あいつがいたから、俺たちは今生きてる……」

 

 ――生きてる……。

 

 言葉が重りになるように、私の視線が右腕のデバイスに落ちる。

 

 ――これ、いつまで使えるんだろう?

 

 ――私が死んだら、どうなるんだろう、これ……?

 

 そう思った時だった。

 

 キィン……。

 

 あの音。

 

 全員の目が黒板に向く。

 

「まただ……」

「今度は何……?」

 

 やがて光の文字はとある単語を形成した。

 

 "SCHOOL EXPLORATION"

 

 "POPULATION:36"

 

「学校探索?」

 

 私は首を傾げながら言った。

 

「学校って普通の教室しかないんじゃないの?」

「でも、購買とかパンもありそう」

 

 沙知の言葉に私はハッとした。

 

 ――食料ないと、私たち生きられないじゃん。

 

 すると、千代がポンと手を叩いた。

 

「じゃあ、全員で食料とか探しに行きましょう!他にも仲間がいるかもしれないし」

 

 男子女子問わず皆がざわつきを見せる。

 

「そうか、他にもいるかもな!」

「俺たちだけってのもありえねえよな」

「そうなると俄然やる気も出るよね」

 

 千代が再び手を叩く。

 

「なら、そうだな……。戦えるの、さくらしかいないからなぁ……。一人にやらせるのも気が」

「やるよ」

「え?」

 

 千代が私の方を驚いた顔で見る。

 

「私、やるよ。戦う。一人で」

「さくら……」

「だってそうしないと、満足に生きることも、死ぬこともできないし」

 

 私は沙知の方を向いて、緩やかな笑みを浮かべた。

 

 ――弱いと、死に場所すら選べない。藤原くんのように。

 

 だから、戦うんだ。

 

「でもさぁ、その前に」

「前に?」

「みんなの名前、知りたいなあ。私」

 

 私は千代の胸に付けられた名札を指差して言った。

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