流転のベグディアス:Reborn in The Cycle of Reincarnation   作:るろうに2025

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Destiny.6 変貌

 食堂から出て真正面にある細い廊下の途中に、職員室はあった。一般的な教室三つ分の広さがあるその部屋は、いつ来ても異質な雰囲気をまとっている。

 

「ここ……か」

「魔物がいるかも」

 

 私は確かめるようにデバイスをそっと撫でる。

 

 ――もし、また魔物が出たら……。

 

 鼓動が高まり、胸がざわつく。覚悟を決めるように息をすーっと吸い込む。

 

「じゃあ、いくよ……」

 

 千代が「いっせーの、せ!」と鼓舞するように声を上げ、扉をガッと開ける。私も咄嗟に右腕で顔を守った。

 

 ところが。

 

「……なに、これ……」

 

 沙知の声の通り、扉の先には誰も想像すらしなかったものがあった。

 

 一般的な職員室からはかけ離れた無機質な内装。大きく横に広がる大小様々なモニター群。教室のそれとは似ても似つかないテーブル。

 

 それはまるで、ロボットアニメに出てくるような指揮室のようだった。

 

「え?職員室は?」

「ここのはず……だけど」

 

 私の疑問に、千代は確信のない答えを返した。

 

「一応、入ってもいいんだよね?なんかレーザービームかなんかで殺されないよね?」

「じ……じゃあ試そっか」

 

 千代は右足の上履きを脱いで、職員室の中に投げてみた。ドサッという音と共に上履きが着地する。

 

 結果は、特に何も起きなかった。

 

「安全そう……かな?」

 

 千代は上履きを拾うべく室内に入った。それに釣られるように、私たちも職員室に足を踏み入れる。

 

 各々が変貌した職員室の姿に驚きを隠せずに、その一方で興味深そうにテーブルやモニターを眺めている。

 

「ここ……本当に職員室だったの?」

「なんかSFっぽくてワクワクするな」

 

 そんな会話を横目に、私は部屋の奥に据えられた巨大な中央モニターへと足を向けていた。

 

 他のモニターより一回りも二回りも大きく、まるでこの部屋の主人のように鎮座している。その見た目は、まるでガラスのようだった。

 

「これ、何を表示するものなんだろ」

 

 私はモニターにそっと触れた。何かが熱くなるような、不思議な違和感が胸に走る。

 

「なんだろ、この感覚……」

 

 そう呟いた瞬間だった。

 

 右腕のデバイスが、激しく光った。

 

 私の意思とは関係なく、腕全体が白く輝き始める。皮膚の上を光が走り、脈打つように強弱を繰り返す。

 

「さくら……!?」

 

 沙知の声が背後で跳ねた。

 

 私は腕を引こうとしたが、身体が固まったように動かない。デバイスが、何かに強く引き寄せられている感覚だけがある。

 

 思わず瞑った目を開けた時、職員室の雰囲気はガラリと変わっていた。

 

 モニターが一斉に起動したのだ。暗かった部屋が白い光で満たされていく。

 

「なにが起きたの……!?」

 

 千代をはじめ、室内の全員が驚きの目でモニターを見つめる。

 

 さっきまで沈黙していた画面に、次々と映像が浮かび上がる。

 

 校舎の廊下。

 

 階段。

 

 食堂。

 

 校庭。

 

 しかし、中央のモニターだけは全く異質の映像を映していた。

 

 細い線が重なり、曲がり、接続し、幾何学的な図形をいくつも形成していく。

 

 私は言葉を発することすらせず、ただその線の連なりを見つめた。

 

 数秒後に構築されたもの。それは。

 

 謎のロボットの図だった。

 

 人型、だけれども各所が人間とは異なる比率で描かれたロボットの図。

 

 大きく出張った肩と戦車のように太い脚部。胸には巨大なコアのような円環が存在し、背部からは翼のようなものが伸びている。

 

 そのモニターの隅に、とある文字が書いてある。

 

 "MODEL:ZESDIVA"

 

「ゼスディヴァ……?」

 

 思わず、私はその文字を口にした。

 

「これが……このロボットの名前?」

 

 ――こんなものが、この世界にあるの……?

 

 ビーッ。

 

 突如、警報音が部屋中から響いた。何人かが耳を咄嗟に塞ぐ。

 

 "WARNING"

 

 ロボットの図に重なるように、『警告』の文字が表示された。

 

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