5話 無尽蔵のバイタリティ
学校から16時30分に帰宅。急いで復習を済ませて、夕食を簡素に済ませてパソコンデスクに飛びつく。
「はぁ〜、ここやばい。こんなの、こんなの、うぅ〜っ……」
昨夜のライブ配信のアーカイブを見て、彩葉は人知れず涙を流す。
「ありがとうヤチヨ……ヤチヨのおかけで私、毎日頑張れてるよ……いつもありがとう……」
朝が来てスマコンを外す。急いで冷凍庫からタッパーを取り出し、お弁当に詰めて残りを食べたら、着替えて鏡の前で前髪を整える。
カバンをもったら扇風機を消して、名残惜しくパソコンを閉じると、祭壇に手を合わせてから元気に家を出る。
「ふ〜、1日徹夜したぐらい余裕余裕。いこっ」
6話 無尽蔵のバイタリティアフター
学校をつつがなく終えて、いつも忙しいバイトを今日も乗り越えた。
「あっ、ちょっとやばいかも」
睡眠を取らずに早36時間経過。その1日半前の睡眠も、夏の始まりを感じさせる暑さでうなされて、夢うつつを気合でごまかしてきたがだいぶ限界が来ている。
「三連休がついにやってまいりやした……超久しぶりに1日6時間は寝られる……」
休みを目前にすると、SNSに書いた気合いの残滓で奮起しようと思ってもなかなか力が入らない。
ここぞというときに、いつも心の支えになってくれたrememberを無意識に再生する。
「大切なメロディーは流れてるよ〜♪」
1小節聴いただけで足が止まり、その美声に頭上の月を見る。
「うぅっ、くっ、あ……泣いたらっ、泣いたら負けっ……! まだっ……! まだ引き分けっ……!」
彩葉は超ムリ限界ギリてすが、上を向いてる限り負けは無いのでした。
7話 彗星は零れ落ちる涙のように
見せたくない涙を隠してくれるみたいに、月夜の下を彗星が輝きながら走る。
「流れ星!」「帝様の願いがかないますように!」
「願いごと……」
彩葉は彗星に一縷の願いを託す。
「帝アキラの願いなの!? ちょっと俺には!?」
「かっ金……」「帝様はみんなに夢を見せてくれるから!」
空の輝きに気づかせてくれたのは良かったけど、仲よさげな二人組みの声に気を取られてしまう。
(彩葉ー、コーラ買ってこれるか? お兄ちゃんペプシやないで、ゼロカロリーとの違い分かるかー? アセロラドリンクやトマトジュースやないでー)
(コーラくらいわかる)
(赤い缶、赤い缶のやつなー)
初めてゲームで賭けをした日が頭をよぎる。あの頃の兄はイタズラっ子の面影が残ってて。
(お兄ちゃん買ってきたよー)
(おっドクターペッパーでもやらかすかと思ったが、彩葉はマジメやなー)
8話 見つけてしまった帰り道
家の前までなんとか辿り着くと、目の前には七色にネオンの輝きを放つ電柱がある。
「まぁ、夢でしょう」
普通の人には輝いてる風に見えないんだろうと、気にせず通りすぎようと思ったら開こうとしてくる。
「せいっ! うぉっ、なんだこの力は……!」
眠気にまかせて冷蔵庫のドアくらい乱暴に閉じると、なかなかの力で電柱は扉をこじ開けて、中には赤ん坊がいる幻覚を見せてきた。
「ははははは! こちらの電柱妊娠中ですってか! いいぞぉかかってこい!」