17話 感動レストラン
深夜2時前離乳食全滅。いくらなんでもこの時間に料理は面倒くさいし、音も出るのでコンビニまで走って食料を買ってきた。
「594円……5食分……はい」
スプーンの使い方も覚束ないようだけど、ひと口食べれば大げさにリアクションをとる。
「すごい! 何これ! んーっ!」
そんなに感動するほどのものだろうか、自分からは決して出ないであろう喜び方に彩葉は呆気にとられる。
「えっとオムライス……かな」
「オムライスカナ大好き!」
説得力のある食べっぷりを見つめつつ、余計な語尾のついた料理名を訂正する。
「あの、オムライス初めて食べたの?」
「おいしいね! アノオムライスハジメテタベタノ!」
「ダメだ何も考えてないなこれ」
18話 ハングリーモンスター
あっという間に卵とじケチャップライスを食べた少女に、彩葉は肝心な事を尋ねる。
「あなたどこから来たの?」
ろくな答えは期待してなかったけど、少女は喋らずベランダの外を指差すのみだ。
「えっ、どこ?」「んー」
窓際に寄って詳しく見ると、空にはまん丸のお月様が浮かんでいた。
「つ、月?」「かなぁ?」
ほんの数秒だけ屋外に気を取られて、視線を戻すと彩葉用の夜食にスプーンを差し込んでいる。
「あー」
「こいつ私の夜食まで狙って……! メッ!」
19話 生後ボーナスノーカウント
「で? 宇宙人は何しに来たの? 無銭飲食?」
今のところ人の財布に大打撃を加えてるが、観光しに来たんなら風光明媚な景勝地に行って欲しい。
「う〜ん、何かあんまよく覚えてないんだけど〜、とにかく毎日ちょーつまんなくて〜、楽しいところに逃げた〜いって思った気がする」
彩葉は自分の楽しいツクヨミには来て欲しくないので、世間一般のオススメの逃避先へ誘導する。
「海とか山に行ってきな。そんで歩いてるうちに自分を見つめ直してそのまま帰りな」
「なははは! そう簡単には見つめ直さないかなー! だって」
「だって?」
謎の美少女は、どこで覚えたんだか頭にコツンと手を当てて開き直った。
「まだ生後2日なんだもん♡」
「この2日間だけでもだいぶ反省点溜まってるよぉ〜? おっと待て逃げるなー?」
20話 世界なんて何度救ったか(ゲーム)
「あのさ、ちなみにこれに心当たりは?」
「なぁにこれ?」
古文予習用にタブレットに入れた竹取物語を見せると、心当たりが無いらしく月のどの宇宙人か見定められない。
「えっと、このなんちゃらセレニティさんとかでは、ない?」
「しらなーい」
「じゃあ変な尻尾とかは……はえてないね?」
「ないよ、ほら」
女の子はシャツの裾を持ち上げてつんつるてんなものをオープンにする。
「それなら地球とか月のピンチのために戦う展開にはならなそうだね。じゃあ勉強に集中できる……かな」
「彩葉って星の最終防衛ラインなの? すご」