転生したら虚だった件(勘違い)   作:奴隷貸出中

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和倉青羽

 和倉青羽と名乗った半醜鬼。

 護達からすれば珍しくもない半醜鬼だが、半醜鬼の中で不意を突いたとは言え護を殴り飛ばせる者がどれだけいるか。

 

「…………………」

「あら、頑丈なのね」

 

 突然の事に放心していた護だが直ぐに立ち上がる。ココと波音を護るように前に出て、青羽は不敵に笑う。

 

 強いな。

 醜鬼をそれなりに食って力を増しているココ達よりも多い霊圧………というかエネルギー量。素質があった、だけで説明がつくのか?

 

「お、おいあんた……!」

「安心して下がってなさい。大丈夫、私強いから………ね!」

 

 一気に駆け出す。響転(ソニード)とは別の超高速移動。

 疾い。が、()()

 

「!?」

 

 青羽の拳は空を裂く。

 一瞬で背後に移動した護が暴れぬよう青羽を地面に押さえつける。

 

「おちつ…………!?」

 

 落ち着けと言う前に、髪が絡みついてくる。髪を操る能力? さっきの超高速移動はまさかただの身体能力だとでも?

 

「もごご………」

 

 髪自体は護からすれば大した事はない。巨大醜鬼すら絞め殺すのではなく圧殺出来そうな力で締め付けてくるが、むしろ逆に千切れる。

 

 締め付けてる場所は勝手に千切れるが伸縮自在の髪というのは力技では千切りにくい。やりづらいだけでやれはするが、と力を込めた際、訓練中うっかり波音の髪を切り裂き三日三晩拗ねた時のことを思い出し固まる。

 

 と、護の体が浮き上がり離れた地面に叩きつけられる。

 

「これなら………!」

 

 ガバ、と開けた大口に灯る光。溜まるエネルギー。

 

「どうよ!!」

 

 放たれる光線。科学技術を用いて高い金かけて作る爆薬よりも遥かに威力を持つそれを、護は同様に光線………虚閃(セロ)で相殺。

 

「………っ!!」

 

 自身の最大火力を打ち消され目を見開く青羽。

 確かに強いが、それでも護に劣る。同胞を喰らいその力を取り込んで来た護の力は特殊個体としても別格の位置にいる。

 

 青羽は歯噛みしながら懐から何かをとりだす。あれは、魔都の桃?

 

 一人一つ以上食うのは危険な桃をそのまま喰らう青羽。桃の精気が増幅し、押さえつけられそうになった醜鬼の妖気が増幅する。暴れ回るエネルギーを無理やり支配し己の力へと還元した青羽は先程以上の高速移動で護へ殴りかかり拳を受け止められた。

 

 これでも届かない。

 

「っ!! あんたがいくら強かろうと、私はお姉ちゃんよ!」

 

 弟か妹がいるらしい。え、それ関係ある?

 

「なら俺はココのお兄ちゃんだ!」

「アタシの!?」

「上等よ! 兄と姉、弟がいるか妹がいるか………古来より続く戦いに終止符を打ちましょう!」

 

 古来より続いてたんだ、それ。

 

「どちらが上か……………え、今喋った!?」

 

 

 

 

「いやぁ〜、まさか鍛錬だったとわね。それにしても、人間から醜鬼に転生しちゃうなんてことあるのね」

 

 その後互いに事情を説明し、和解した。

 青羽もやはり魔都にて桃を食い醜鬼化した人間。ただ、波音達と異なり力の暴走具合がかなり酷く、少しずつ醜鬼化ではなくほぼ一気に人型醜鬼化。しかも人としての理性を保つ為に本能と戦っていたらしい。

 

「お前等経験ある?」

「ないわ」

「ねえな。理性保ってあれか、暴れたくなる的な?」

「確か、護さん曰く少し凶暴にはなってるんでしたっけ?」

「でも人としての理性を失った、っていうほどじゃないかな」

「え、嘘。あたしだけ?」

「力の量が違ったのかもな」

 

 桃を見つけては食っていたようなので元は解らないが、醜鬼を食って強化したはずのココ達よりも強いのだ。そもそもが相当強い可能性がある。

 

「でもさ、桃でも強くなれるってのは朗報だよな! これでもう、醜鬼食わなくてすむ!」

 

 と、嬉しそうにいうココ。醜鬼の肉食うの、そんなに嫌だったのか。嫌なんだろうな。

 

「護も、どう? 醜鬼を食べて桃の力も上がるのなら、逆も然り、じゃないかしら」

 

 波音(なおん)の言葉にふむ、と差し出された桃を受け取る護。実際青羽も桃を食べた際醜鬼としての力も上がっていたし。

 

「お前達は、狭間を生きている」

 

 対して、護は肉体的には完全なる醜鬼だ。

 

「まあ食うけど」

 

 人に力を与える桃を醜鬼とは言え元人の自分か食えばどうなるか、気になる。桃は本人の願いにより能力が左右されるとも聞く。

 

「いただきまーす」

「いただきます」

 

 ココと護は桃を食べた。

 

「んぐう!?」

「がっ!?」

 

 そして2人同時に倒れる。

 ココは内を渦巻くエネルギーを制御出来ず、護は、心臓が2つに増えたかのような感覚に襲われていた。

 

 ビギッと仮面に亀裂が奔った。

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