ハサウェイがアムロやシャアに影響される前に機械オタクになった世界線のお話   作:陸奥九十九

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ご報告です!1つ前のお話について一部内容を修正しました。
修正内容は最後の方のハサウェイとクェスが会話してる場所です。最初ロンデニオンと書いてたんですが、逆シャア見直したらロンデニオン着く前でした!すいません!
他のコロニーに寄ってるわけでも無さそうなので、ラー・カイラムの中の自然を感じられる休憩スポットにしました。

あの二人マジでどこで話してるんだ?何か私服の人後ろにいるし、本当にラー・カイラムの中なのか?分かる人いたら教えてください、マジで!


怒れる拳に火をつけろ

「おお、あれがコロニーか……」

 

凄いな、巨大な鉄の筒の中に、本当に世界がある。家があって、森があって、川があって、そして大きな町もある。コロニー、確かにその名の通りだ。人が生きていくための小さな世界が、そこにあった。

 

「本当?見せて!」

 

クェスが小さい窓に頭を寄せてくる。

 

「わあ……凄いね!」

「ね、本当に凄い」

「確かに、こんなものを見れば、人類が革新できるって信じられるかも」

「革新……って、シャア・アズナブルのこと?」

「うん、宇宙に上がれば、人は革新できるって」

「クェスは、それが正しいと思ってる?」

「え?それは……分かんない……」

「そっか、僕は、あんまり正しいとは思わない。多分、これからも思わないと思う」

「それは、なんで?」

「僕は地球で生まれたし、地球で育った。地球に家族を残してるし、好きな人もたくさんいる」

「好きな人?」

「ほら言ったでしょ?武道の先生や機械いじりの先生」

「ああ」

「宇宙に上がれば全部解決するから、地球にある何もかもを捨てて、宇宙に上がれない人も見捨てて、もしそれで、本当に人類が革新されて、未来が良くなったとしても、多分、僕は納得できない」

 

だから僕は、シャアのことが嫌いなんだ。そう言うと、クェスは俯いてしまった。そんなクェスの頭を、チェーミンにするように思わず撫でてしまった。

 

「怒ってるわけじゃないよ。ごめんね、分かり辛くて。ただ、そのことは伝えたかったんだ。別に地球という場所が特別で、地球そのものが大事なわけじゃない。地球にいる人や、残したものが大事なんだ。もし僕が宇宙で生まれて、僕の大切が全部宇宙にあれば、シャアの言うことにも、同意は、多分しないけど、積極的には否定しないかもしれない」

 

クェスがおずおずと顔を上げて、上目遣いに僕を見る。ほら、怒ってないでしょ?そう伝えるために笑う。

 

「でも、本当にコロニーは凄いね。こんな大掛かりな機械を、宇宙空間で組み立てて、それを維持してる。本当に凄い」

「……機械?」

 

クェスが分からないといった風に言う。

 

「うん。コロニーって、疑似的な重力を遠心力で発生させてるわけでしょ?あれほど大きな機械を、休みなく絶え間なくグルグルと回してる。それにほら、川が流れてる。あれどうやって管理してるんだろう?高低差で全部管理できるのかな?水量の調整もどうしてるんだろう……あ!見て!あそこ車走ってる!見たことない車だ、コロニーは全部EVなんだっけ?ガソリン車は一台もないのかなあ?」

 

ハッとクェスを見ると、あっけにとられたような顔をした後、くすくすと笑い始めた。

 

「ハサウェイ、なんだか子供みたいっ、アハハハハ!」

「なに?そんなに笑う?」

「だってっ、アハハハハ!」

 

そんなに笑うかあ?とも思うが、まあ俯いているよりはずっといいか。僕は苦笑して肩をすくめた。

 

「あ、見てあそこ。なんだかロンドンみたいな街並み」

「どこ?……本当だ。古く見えるね。あそこが町の中心かな?」

「ねえ、どんなお店があるのかな?」

「一通りあるんじゃない?服屋さんにご飯屋さんに、あとお土産屋さんとか?」

「お土産!ねえ、ロンデニオンって何が有名なの?」

「何だろう、全然詳しくないや。行ってみれば、お店の人が教えてくれるんじゃない?」

「そうだね!ねえ、どこから行く?」

「うん?一緒に行くの?」

「え?行ってくれないの?」

 

思わず聞き返すと、すぐにクェスが驚いたように、不安になったように言う。ああ、そうじゃない、そうじゃないよ?

 

「ああゴメン、行きたくないとかじゃなくて、クェス、お父さんと一緒に来たんでしょ?予定とか大丈夫?」

「大丈夫だよ!お父さんは仕事で来たんだし、私に付き合う暇はないよ!だからさ、ね!」

「そっか、なら、大丈夫かな」

「うん!大丈夫だよ!!」

 

クェスがそう言う。こういうところを見ると、昔のチェーミンを思い出す。小さい頃は、お兄ちゃんお兄ちゃんと、いつも僕の後ろについて回ってきてた。僕が友達を家に呼んだ時に、チェーミンがずっと引っ付いてきて、大いに揶揄われたのを覚えている。

そう言えば、空港の時は久しぶりだったな、チェーミンが僕に引っ付いてきたのは。最近のチェーミンは、もっぱら母さんと一緒にいたから気づかなかった。

 

それだけ、不安だったってことだよな。

母さんとチェーミンは大丈夫かな?チェーミン、泣いてないかな?

 

「ハサウェイ?」

 

クェスが僕の顔を覗いていた。

 

「どうしたの?怖いの?」

「……大丈夫、怖くないよ。地球にいる、母さんと妹のことを思い出してたんだ」

「妹さん?」

「うん、チェーミンっていうんだ。2つ下の妹でね、宇宙に上がる前の空港で、随分不安そうだったから」

「そっか、心配だね」

「うん、でも、きっと無事だよ。だから、大丈夫。そうだ、連絡先教えておくよ。ロンデニオンのどこで会うかも決めないとね」

「うん!どこから回ろうか?」

 

私ね、服見たいんだ。とクェスが楽しそうに言う。そうだ、楽しいコロニー観光だ。何事もない、戦争もすぐに終わる。そうだろ?窓に反射する僕の顔は、何とも冴えない顔をしていた。

 

 

ロンデニオンの港に降りると、そこには仰々しい迎えが待っていた。その迎えに対し、アデナウアーさんが当然といった風に会釈をしていた。

父さんを始めとする、多分ラー・カイラムの偉い人たちが、アデナウアーさんを見送る。

 

「よく時間内に入ってくれた。これで地球は救われる」

「交渉のご成功を」

「交渉?誰と?どこで?」

「ラサから宇宙軍を指揮するあなたが、散歩の為に宇宙にいらっしゃったとは思えません」

「私がここに来たのは、連邦政府から発表があるまでは内密だぞ」

「はっ」

 

父さんが敬礼し、アデナウアーさんを見送る。

 

「じゃあ、また後でねハサウェイ。すぐに連絡するから」

「うん、また後でね」

 

手を振ってクェスを見送るが、クェスが不安そうに何度か振り返る。大丈夫だよ、そう伝えようと笑って見せると、クェスも納得したのか、嬉しそうに去っていった。

 

「やるじゃないかハサウェイ、デートの約束か?」

 

揶揄ったようにアムロさんが言う。

 

「そうですけど、そうじゃないですよ。友達との遊びの約束です」

「デートじゃないか。上手くやったな」

「そういう色っぽい感じじゃないですよ。アムロさんみたいに」

 

そう返すとアムロさんがアメリカ映画の俳優のように肩を大げさにすくめる。なんか腹立つなこの人。

 

「ハサウェイ、デートなのか?そうなのか?アデナウアーさんの娘と恋人になったのか?」

「……仕事が山ほどあるんでしょ?早くいけば?父さん」

 

待てハサウェイ、なんか父さんに冷たくないか!?ハサウェイ!?ハサウェーイ!!そう言う父さんを尻目にアムロさんとチェーンさんと一緒にロンデニオンの市街へ続くエレベーターヘ行く。友達が言う父親の鬱陶しさを、ちょっと理解できた気がした。

 

 

 

「オクトバーさんの資料は下についているそうです」

「そりゃあ良かった」

 

エレベーターの中で軍人さん二人がしてる会話って、聞いてない振りしたほうが良いのかな?

 

「あの新しいフレームは良いアイディアですよ」

「フレーム?」

 

ハッと気づいたときには、既に僕の口から出ていたようだった。二人と目が合う。

 

「あー……、スミマセン」

「大丈夫だよ、聞いても問題ないものだから。フレームが気になるのか?」

「えーっと、フレームの素材や構造なら、ちょっとだけ」

「素材はそうだが、構造に大きな変化はないよ。と言っても、最新の全天周囲モニターだが」

「素材って、強度的なものですか?より強靭で固い素材が見つかったとか?」

「では無いな。素材については、まあ秘密だ」

 

ですね、軍事機密ですね。ぎこちない笑みを浮かべながら、乾いた笑い声を出す。

 

「素材が気になるの?どうして?」

「その、趣味で車やバイクを、あとアルバイトでプチモビをさわってて、それで最新のマテリアルがちょっと気になって……」

「へえ、珍しいわね、目の前にアムロ大尉がいるのに」

 

ねえ大尉?そう茶目っ気たっぷりにアムロさんに顔を寄せる。うわあ、こういうの見たくないなあ。思わず目をそらす。

 

「モビルスーツには興味は無いのか?俺が君くらいの年の頃は、最新兵器に心ひかれたものだよ」

「無いわけじゃないんですけど、モビルスーツは触る機会中々ないですから。それに、車やバイクの方が単純に好きなんですよね。なんというか、古臭いエンジン搭載車が」

「そうか……パイロットより、メカニックの方が興味がある?」

「仕事にできるかどうかは分かりませんが、まあメカマンになれたらなあ、くらいには思ってます。好きな機械いじりを仕事にできたら楽しそう、くらいなものですけど」

「そうか。……残念だな、あれほどまでにパイロット適性があるのに。だが、好き好んで軍人になるには、今の世の中は少し物騒すぎるかな?」

「かもしれません。それに、母も妹も、父さんのこといつも心配してますから」

「君もだろ?」

「あはは、そうですね」

 

ブライトに伝えておくよ、とアムロさんが言う。言わなくていいですよ、恥ずかしいし。

 

「クェス・パラヤ、大事にしろよ」

「だから、そういうんじゃないですよ」

「そういうつもりが無くても、さ。アデナウアー・パラヤは、とある仕事でここにきている。それが、俺には些か以上に受け入れがたい」

「それは……」

 

連邦のお偉いさんが、仕事で?それも、連邦軍人が受け入れがたいって……。まさか、ジオンとの交渉?隕石墜としをしたテロリストと?

 

「戦争が、起こるんですか?」

「分からない、だがその可能性は大いにある」

「アムロ!子供にそんな……」

「可能性の話をしただけだ。大丈夫、分かっているよチェーン」

 

アムロさんがそう言ってチェーンさんの手を握る。

 

「詳しいことは、聞きません。聞けないと思いますし、聞かない方が良いですよね?」

「ああ。ただ、いつだって後悔は先に立たない。身構えているときには、死神は来ないものだ」

「……そうですね」

 

そうだ、死は音も無くやってくる。僕の背中にいつの間にか立っているものなんだから。

 

 

「おお、内燃機関車だ。コロニーなのに」

 

アムロさんが用意してくれた車は、なんと古いオフロード車だった。軍用車だろうか?ジープなのかランドローバーなのか、車種は良く分からないが、ドアが何と鉄パイプである。確かバモスホンダもこんなのあったよな。

 

「ボンネット開けても良いですか?」

「本当に好きなんだな、良いよ。でもクェスが待っているんだろう?手短にな」

 

エンジンは、直列4気筒だ!4気筒のディーゼル。そうか、整備性と出力を考慮しての4気筒か。うわあエアクリーナーボックスが鉄製だ!しかもデカい。もしかして、安定した空気供給のためにわざわざ鉄製で大きいサイズなのかな?しかもこれ、フロントサスもリーフスプリングだ!ストラットでさえない!

 

「悪路走破性高そうですね!良いですね!」

「楽しそうでよかったよ。じゃあ、クェスを迎えに行こうか」

 

クェスから連絡をもらったドレーク・ホテルへ向かうと、既にクェスは外で待っていた。

 

「ハサウェイ!あ、アムロも!」

「やあ、お待たせ」

「お待たせクェス、今日アムロさんが付き合ってくれるって。よろしくして」

「よろしく、アムロ。それでハサウェイ、どこに行くの?」

「アムロさんが、ビオトープ連れて行ってくれるって」

「ビオトープ?」

「自然公園みたいなとこ。奇麗な湖と森と、あと白鳥とかの水鳥が沢山いるんだって」

 

楽しそうだね?と言うと、クェスが、うん!と返事してくれた。それを見て、アムロさんは微笑ましそうにしていた。

 

 

 

自然公園へ行くと、そこには大自然が広がっていた。映像で残される様な美しい大自然。青々と茂る草、葉を揺らす木々、そして水の匂い。涼やかな風が抜ける、清涼な香りさえする。

すごい、こういうコロニーもあるんだな。人の住処としてだけでなく、大地としてのコロニー。いや、人は自然を求めるのかもしれない。特に理由なく、心がそれを求めるのかもしれない。いい場所だな、そう思った。

 

アムロさんが結構なペースで草の生い茂る野原を飛ばしていく。後席は完全なベンチシートだし、サスがサスなので結構スリリングな乗り味だ。少し面食らってる僕と相反して、クェスは凄く楽しそうだ

 

「水鳥が、すごい!ねえハサウェイ、すごい!」

「うん、すごい」

「あ、白鳥!アムロ、あの白鳥を追いかけて!」

 

アムロさんがステアを切る。道なき道を走る。アクセルオンのまま小高い丘を越えると、揺り返した様にドンと衝撃が来る。凄いなアムロさん、キレキレだ。

 

その時、脳にノイズが走った。

 

「ぐっ、あ?」

 

白鳥が、何かに見える。人、か?あれは。

 

「(うふふふふふふ、あはははははは)」

 

白鳥が笑ってる。違う、誰かが笑ってる?……いや、呼び寄せられてる?

 

何だ?嫌な予感がする。何かがおかしい。見えない手が、僕たちを引き込もうとしている!

 

「アムロさん、止まって!なんか変だ!おかしな光が見える!」

「!ハサウェイ、君は、君も感じているのか?」

「止まってアムロさん、何かに呼び寄せられてる気がする!」

 

するとそれは、森の陰から現れた。馬に乗った、金髪の男性。誰だ?

アムロさんが車を停める。すると、その男性も馬を止めた。一瞬の間の後、馬が駆けだす。

 

「貴様!」

 

アムロさんはそれが誰か分かったようだった。

 

「どうなさいました?」

「ギュネイを呼べ」

「はっ」

 

その男性の仲間と思しき人が、同じように馬に乗って去っていく。

 

アムロさんがすぐに車を出す。逃げる金髪の男性を追う。

何だ?誰だ?いや……

 

「シャア……?シャア・アズナブル?」

 

そう口から漏れた。脳に、何かが響く。何だ?僕は何を感じてるんだ?

 

「ハサウェイ?大丈夫!?」

 

クェスが僕の手を握る。だが、それに応えられる程度の余裕さえない。何かが、脳に流れ込んでくる。

 

「なんでここにいるんだ!」

「私はお前と違って、パイロットだけをやっているわけにはいかん!」

「なんだと!?」

 

アムロさんがシャアと言葉をぶつけあう。

 

そうだ、あのア・バオア・クーからそうだ。いやその前のサイド6で出会った時から……。

 

何だ?僕はそんなこと知らない。シャアなんて映像でしか見たことないし、アムロさんとも大昔に地球で会ったことはある、でもそれだけだ。ア・バオア・クーなんて知らないし、サイド6なんて行ったことが無い。

何を、僕は見せられているんだ……?

 

「俺達と一緒に戦った男が、なんで地球潰しを!?」

「地球に残っている連中は地球を汚染しているだけの、重力に魂を縛られている人々だ」

 

二人の言葉が聞こえる。汚染ってなんだよ?何を基準に言ってるんだ?地球そのものが大事なんじゃない、地球から動かせない大切なものがあるんだよ。適当こいてんじゃあねえぞ。

 

「ハサウェイ……」

 

ああ、クェスが、揺れている。そうか、クェスはシャアの言うことも分かるのか。僕とシャアは、全然考えが違うもんな。

いや、それだけじゃない。あの男は光を放ってるんだ。人を引き付ける光、魂を焼くような光、危険な光を。実際に会うと、それがよく分かる。

 

「大丈夫」

 

クェスの手を握る。何が大丈夫なのかさっぱりだ、僕は何を言っている?でも、この子を安心させなくちゃ。何とかして僕は笑顔を作った。

 

シャアが走った先に牛の集団がいて、シャアは思わず速度を落とす。その瞬間に、アムロさんが追いつく。

 

「シャア!」

 

並走するシャアの馬めがけて、アムロさんが飛びつく。

 

無茶をする!すぐに僕はステアリングを取る。

二人は馬から落ち、もみ合いになりながら襟を取り合う。殴り、殴られ、何度も上下を取り合う。

 

「なんで!」

「世界は、人間のエゴ全部は飲み込めやしない!」

「人間の知恵は、そんなもんだって乗り越えられる!」

「ならば!今すぐ愚民どもすべてに英知を授けてみせろ!」

 

クェスが、揺れている。いや、苦しんでいる。あの男が放つ光に、脳を焦がす鮮烈な光に。

 

「ハサウェイ……」

 

泣きそうな顔で僕を見る。そんな彼女を、僕はいつの間にか抱きしめていた。

 

「大丈夫、ゆっくり深呼吸をして。鼻から吸って、口からゆっくり吐くんだ」

 

スゥー……ハァー……。クェスがゆっくりと呼吸し始める。

 

「脳の瞳を閉じるんだ。あの光は、見ちゃいけない」

「脳の、瞳……どうやって……?」

「目をつぶって。今、クェスの前に大きな窓がある。強い光が差し込んでる。その窓に、カーテンを引くんだ」

「カーテンを……」

「そう、ゆっくり引いて。ほら、もう眩しくないよ」

 

そう告げると、クェスの体から力が抜けた。軽いな、クェスは。僕へクェスをゆっくりとシートに寝かせる。瞑ったその目からは、涙が流れていた。

 

「大丈夫だよ、お休み、クェス」

 

そう言ってクェスの涙をそっと拭う。

僕は、ゆっくりと車から降りた。

 

 

 

頭で何かが響いている。

赤い軍服を着た仮面の男。復讐を誓った男。復讐だと心に決めて親友を殺して、勝手に傷ついている男。

自分を受け入れてくれた少女を戦場に出して、失って傷ついて、それを受け入れられない男。

その少女と分かりあい、その少女を殺した少年に、自分が決して勝てなかったその少年に、憎悪と情を感じている男。

その決着をつけるために、地球も宇宙も全部引っ掻き回して、結果僕の大切を、全部踏みにじろうとした男。

 

 

 

頭の先から足の先まで、すべてが熱い。カノウ先生の言葉がよぎる。そうだ、鉄の心を持つんだ。

 

目の前に、奴がいる。

何もかもを台無しにしようとしている、奴がいる。

そうだ、だいたい全部こいつのせいだ。父さんが家に帰ってこれないのも、そのせいで母さんが時折寂しそうにしているのも、チェーミンが空港で泣きそうになってたのも、クェスがこうして泣いてしまったのも。

 

気づいたときには、その男の前にいた。

怒りに燃えども、武は体に沁みついている。大地を踏め、腰を回せ、あごを引け、腕を引き絞れ。さあ、叩きつけろ。

 

「ふざけてんじゃあ、ねえぞ!!!」

 

僕は渾身の右こぶしを、奴の顔面に叩き込んだ。

 

「ぐおっ!」

 

たたらを踏む奴に、勢いそのままに左のミドルを叩き込む!

 

「ぐあっ!」

 

体がくの字に折れるが、膝はつかない。

そうだろうな、体格差も体重差もあるもんな!固くて重い一発が必要だよなあ!

 

丁度よく折れ曲がった奴の膝に、一歩助走で飛び乗り、奴の髪の毛を掴んで、顔面目掛けて、僕は右の膝を叩き込んだ!

 

「ごぷっ!」

 

変な音を立てながら、奴が草原に沈む。

死んだだろうか?死んでも良いか。うん、こいつは死んでいい奴だから。

 

「シャア!?」

 

アムロさんが思わず駆け寄る。だが、空から何かがやってくる。

 

ザクだ!トリコロールカラーというか、コニカミノルタカラーみたいなザクが、奴のもとに降りる。ザクはそのまま奴を回収し、すぐに飛んで去っていった。取り逃がした、いや、踏み潰されれば死んでいた。見逃してもらったのか。

 

何だろう、ひどく疲れた。今日は楽しい日だったはずなのに、変な幻覚は観るし、頭痛いし、テロリストが現れるし、クェスは泣いちゃうし、本当に疲れた。というか、未だ以て頭が痛い。全開の俺だったら、あの正拳突き一発で奴の意識を断ち切れたはずだ。いや、修行不足の言い訳をそんな風に使っちゃ……、うん?おかしなことを考えてる?

あれ、脳が、しびれ……?

 

僕は、そこで意識を失った。

 




読了ありがとうございます。
さあどうしよう!大きく原作と内容が乖離してきました!後の展開は何も考えてません!
でも、この流れでクェスがシャアの下に行くとは思えなかったんです。許してください。
この続きはどうなるのか、明日の私!頑張って考えてくれよな!

いつも誤字報告ありがとうございます。見直してるはずなのに、必ずどっか誤字してる。
それに感想と高評価もありがとうございます!とても嬉しくて何度も読み返してます!

感想や高評価など、創作の励みになりますので、引き続きよろしくお願いします!
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