ハサウェイがアムロやシャアに影響される前に機械オタクになった世界線のお話   作:陸奥九十九

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なぜ更新が遅れたかって?はい、詰まりに詰まってました。
あと戦闘描写が凄く苦手です。これで良いのか?と毎回悩みながら書いていますが、如何でしょう?

お楽しみいただければ幸いです。


戦闘、ユニコーンの暴走

どうにも不幸は重なるらしい。

 

思い返さずとも散々だった。

バナージのデートに遭遇したと思ったら、急に戦争が始まって、戦闘に巻き込まれて、やっと助かったと思ったら友達が死んだかもしれないと聞いて、そうしたら正体不明のモビルスーツからバナージが出てきて、それでバナージが助かったと分かったけど、とにかく本当に疲れた。

こんなに疲れたのは初めて宇宙に上がった時以来だと思う。

 

ただ、どうにもその不幸はまだ終わっていないらしい。

 

 

 

ネェル・アーガマが揺れる。

攻撃を受けたのか、その振動で艦が揺れる。

 

「来た、こんなにも早く」

 

それが敵襲だとすぐに気付いた。

ジェガンのOSの整備のため格納庫で作業していたが、予想以上に早い襲撃に思わず声が出る。

ジオンがこの情勢下で事を起こした、だからそれなり以上に重要なものがあるとは思っていたけど、どうやらそれなり程度ではないらしい。

 

「ハサウェイ!すぐに避難しろ!スクランブルがかかる」

「はい!皆さんもお気をつけて!」

 

メカ長のジョナさんにそう声をかけて、ジェガンから出る。

 

 

 

避難所として空けてもらったレクリエーションルームへ行く途中、立ち尽くしていたバナージを見つけた。

 

「バナージ!早くノーマルスーツを着ないと……」

 

また大きく艦が揺れる。攻められているのか?ロンドベルの艦が?強者揃いのロンドベルに、一方的優位に戦況を構成できる相手?敵はただものじゃないわけか。

 

「オードリーが」

「え?」

「オードリーが、ガンダムに乗って逃げようって。そしてあのガンダムを壊せって。箱を決してジオンに渡してはいけないって」

「……箱?」

 

バナージが呟くように、自分に言い聞かせるように、そう言う。

 

「俺、俺は、オードリーの力になりたい。あんな風に義務や責任で、しなくちゃならないことに追われる彼女じゃない、彼女がしたいことを、助けられるようになりたい」

 

俯きながらつぶやくバナージだったが、その言葉には力がこもっていた。

 

「父さんは、ユニコーンがオードリーを助ける力になるって言って、俺に託してくれた」

 

父さん?バナージの?

 

「……彼女の言うことと、バナージのしたいことも、またすれ違ってるわけだ」

「ハサウェイ、俺は……」

「バナージ。バナージは、どうしたい?俺はバーンさんのことも良く知らないし、バナージの父さんのことも知らない。だから、バナージはどうしたい?」

 

バナージと目が合う。力強い瞳だった。覚悟を決めた瞳だと思った。

 

「彼女を助けたい」

「なら、そうしよう」

 

そこに迷いはなかった、僕も、バナージも。

 

「彼女は何処へ?」

「大柄な人に連れていかれた。多分ブリッジだと思う」

 

『攻撃中の敵機、聞こえるか?ただちに攻撃を中止せよ。本艦は、ミネバ・ザビを捕虜にしている』

 

その放送は、唐突に流れた。

 

「艦内放送?いや、オープン回線?」

 

ダグザさんの声が響く。その内容は、あまりにも剣呑な内容だった。

 

『繰り返す。本艦はザビ家の遺児、ミネバ・ラオ・ザビを捕虜にしている。攻撃が中止されなければ、身の安全は保証できない。我々には交渉の用意がある。賢明なる返答を待つ』

 

「これって……!」

「バーンさんのこと?なら、バーンさんが、ジオンの偉い人の血縁ってこと?」

 

というか人質交渉?今の時代に?ダグザさんは本気なのか?いや、会話で膠着状態を作り出して援軍を待つ腹積もりなのか?だめだ、意図がよく分からない。ロンドベルがいるのに直接戦闘を避ける?それほどの敵が来てるのか?

 

「ブリッジへ行こう、ハサウェイ」

「だね。僕も状況は知りたい」

 

『映像は確認した。私は、ネオ・ジオンのフル・フロンタル大佐だ。要求を聞こう』

 

「は?」

「どうしたのハサウェイ?」

「いや……」

 

シャアの声じゃん。は?シャアが攻めてきた?いや、は?

 

『連邦宇宙軍特殊作戦群エコーズの、ダグザ・マックール中佐だ。攻撃を中止して、速やかに撤退願いたい。そうすれば、ここにいるミネバ・ザビの安全は保証する』

『返してはもらえないのかな?』

『交渉の用意はある。本艦が安全と判断する場所まで移動した後、という条件はつくが』

『捕虜ではなく人質というわけだ。だが、そこにいるミネバ様が本物であるという確証もない』

『赤い彗星の再来といわれる程の男が、ずいぶんと慎重なことだ』

『我々は、そちらが定義するところのテロリストだ。軍と認められず、国際法の適用も期待できないとなれば、臆病にもなる』

 

テロリスト?いや、そこはどうでも良いか。声は確かにシャアそっくりだけど、シャアじゃない。シャアの持つ熱感が全く感じられない。じゃあ、別人?でも赤い彗星の再来って、いやシャア死んでないけど、うん?

 

というかダグザさんは本気で人質交渉で場を切り抜けるつもりなのか?

敵がこちらを積極的に墜としたくないと考えていることは分かった。人質交渉を本気でしなければならない程度にはこちらが劣勢なわけだけど、どこまでが本気なんだ?増援を待つための遅延行動なのか?

 

『我々は人権は尊重する』

『民間のコロニーに特殊部隊を送り込んでおいてよく言う。まして貴艦は、人質を盾にとっている身だ』

 

バナージの顔が歪む。何も言わず、僕はバナージの背中をポンと叩いた。

 

『では今度は、こちらの要求を言う。インダストリアル7より回収した物資、及び、ラプラスの箱に関するデータをすべて引き渡してもらいたい』

 

また箱か。よく出て来るなその単語。

 

『……見返りは?』

『以後の安全な航海、ということでは不服かな?』

『不服はないが、応じようがない。我々はラプラスの箱なるものを持っていない』

『ガンダムタイプのモビルスーツを回収しているはずだが』

 

繋がってきた、かな?箱=バナージの乗ってたモビルスーツ?あれガンダムタイプなのか。それをジオン?いやジオンとは別系統のテロリスト?が欲しがってる。……なんで?

 

『あれは連邦軍の資産だ。箱とは関係がない』

『要求が受け入れられないなら、貴艦は撃沈する』

『捕虜の命は無視するというのか?』

『不確定要素に基づいた交渉には応じかねる。3分待とう。賢明なる判断を期待する』

 

「バナージ、箱って何か分かる?」

「分からない、けど、父さんは、ユニコーンが箱への道を導いてくれるって言ってた」

「導く……じゃあ、あのモビルスーツが欲しくて襲撃してきたわけじゃないのか……?」

 

箱とは何か。あのユニコーンというモビルスーツにデータが隠されているのか?いや、だったらそんな回りくどい言い方はしないか?

 

『ブラフだ。奴がザビ家の遺児を見捨てるわけがない』

 

うん?オープン回線を開いたままにしてる?

 

『それはどうかしら?フル・フロンタルは、旧ジオン体制の復古を願っている男です。そしてその旗頭はザビ家でなくとも良い。キャスバル・ダイクンがネオジオン総帥である今、私の存在は彼らにとって必須の存在ではない』

『そのキャスバル、いやシャア・アズナブルが融和政策を取り始めたからこそ、強硬派たる彼らにとって、貴方の存在が、ミネバ・ザビの存在が重要なのでは?』

 

少し見えてきたな。あのシャアの声の人は僕の知ってるシャアとは別人で、今のシャアの方針に反対の人というわけだ。

……あの金髪ちゃんと仕事してんのか?がっつり反対派が独自行動しとるやんけ。どないなっとんじゃ?

 

『袖付きの中にも、ザビ家を信奉する者は多いはずだ』

『そう信じるなら、益のない交渉を続けるがよい。だが、ジオンの武人は貴公らほど甘くはないぞ。ジオンの軍人なら、この間にラプラスの箱に繋がるものは処分することを考える』

『おぉ、そうだ! 今のうちに、ユニコーンの電装部品を破壊しておこう! あれは鍵であって、箱そのものではない! あれを壊してしまえば、箱の安全は……ぐお……』

 

微かに舌打ちの音も聞こえた。なるほど、会話そのものをオープンで流して、相手へのプレッシャーにするつもりだったのか。ただ、それが分からない間抜けがいて、思わず舌打ちしたわけだ。

もしかしてダグザさん、交渉事割と苦手か?顔にも態度にも出ないけど、やり方が結構強引じゃない?それともこれが連邦流なのか?

 

『連邦の軍人の矜持、見せてもらおう。ダグザ・マックール中佐。その勇気があるなら、鍵を壊し私を殺すがいい。さすれば、鍵と私の喪失によって、ネオ・ジオンに打撃を与えることはできる。あるいは、このまま何もせずにすべてを奪われるか。もう猶予はないぞ』

 

バーンさんの芯のある、しかし若干強張った声の後、沈黙が響く。

 

そして、ブリッジに着いた。

 

「オードリー!」

 

バナージがブリッジへ入り彼女の前へ行く。彼女自身、バナージが来るとは思ってもいなかったのか、酷く驚いたようだった。

 

「そんな話し方をしちゃダメだよ。人も自分も追い詰める」

「バナージ……」

 

彼女の声に柔らかさが戻る。

 

「ここを出よう。君はこんなことに関わるべきじゃない!」

 

そう言って彼女の手を取ろうとするが、彼女がそれをハッと振り払う。

 

「私はミネバ・ザビであるっ」

「オードリーだよ!嘘でも本当でも、俺にはオードリー・バーンだ!」

 

強張った声で彼女はバナージの手を振り払うが、バナージはそれでもと返す。

 

「やめないか。子供の理屈が通る時ではない」

「子供って……オードリーはどうなんです!」

「彼女は、ネオジオンの要人だ」

「俺が子供なら、オードリーだって子供だ!子供を人質にするなんて、大人のやることですか!」

 

その言葉に、ブリッジが沈黙する。だがすぐに、その沈黙は破られた。

 

『時間だ。返答を聞こう』

 

フル・フロンタルなる男の声。その声に応えることなく、ネェル・アーガマは沈黙でもって回答した。

 

『了解した。貴艦は撃沈する』

「来るぞぉ!対空防御! モビルスーツ隊各個、迎撃に当たれ!」

 

ブリッジが一気に騒がしくなる。敵の攻撃が再開され、それに対応するために誰もが動き始める。

 

「箱なんて……、箱なんて渡しちゃえばいいでしょう!?何なのかわからないもののために、人が大勢死ぬなんて……!」

「では君は、責任をとれるのか?」

 

バナージの慟哭のような声に、ダグザさんが冷徹に返す。

 

「ラプラスの箱には、連邦を覆す何かが隠されているといわれている。それがネオジオンの手に渡り、より多くの人の命を奪う結果を招いてしまった時、君は、なんと言って死者や遺族たちに詫びるつもりだ」

「悪魔の証明で選択を迫るのは、あまりにも残酷ですよ」

 

思わずそう声が出ていた。僕の声に、ダグザさんやバーンさんも僕の方を向いた。

 

「……本気で人質交渉をしていたんですね。ちょっと、びっくりしました」

「……君もブリッジから出ていきなさい。ここは民間人の来る場所ではない」

「バナージじゃないですけど、相手にはきれいごとを言って、自分たちはなりふり構わずなのは、やっぱり好きになれません。箱とやらの価値も、彼女の価値も、僕は分からないけど、軍人さんが子供に銃を突きつけることは、どう考えたって間違ってますよ」

 

言うつもりのなかった言葉が流れ出ていく。きれいごとだけじゃどうにもならない状況だってあるのだろうし、そんなことは分かっているつもりだった。でも、いざそんな状況に遭遇すると、やっぱりそう納得できるものでもなかった。

僕の言葉にバナージが何か感じたのか、ダグザさんを見据えて言う。

 

「あの赤いモビルスーツをやっつければ……オードリーを人質にしなくて済むんでしょう……やりますよ!」

「そう言うことみたいです。敵を追い払って、気分良く帰りましょう」

 

バナージの言葉に続いて、僕もそう言ってブリッジを出る。

すると、僕の後ろから誰かが付いてくる。

 

「君!待ちたまえ!」

 

誰だ?と思ったが、アナハイムのワッペンをつけている。アナハイムの人?

 

「何でしょう?格納庫へ向かいながらなら……」

「ユニコーンには専用のノーマルスーツがある。それを渡そう。君の操縦を助けてくれるはずだ」

 

その人はニタニタとした笑みを浮かべながらバナージへ話しかける。

 

「それは、どうも」

「バナージ、作戦のあては?」

「作戦?いや……」

「相手はロンドベルが手こずるほどの強敵らしい。よほど性能の良いモビルスーツなのか、よほど腕のいいパイロットなのか、その両方か」

「そうだ!相手はあの赤い彗星の再来で、その機体もまた強力だ。だが、ユニコーンはさらにその上を行く!」

「そのモビルスーツって、ジェガンと比べるとどのくらい強いんでしょう?」

 

思わずそう聞くと、したりといった風に返してくれた。

 

「比べるべくもない、パワーから機動力まで何をとってもシナンジュの方が上だ」

「じゃあ足がいるな。バナージ、ゲタ貸してもらうから乗って一緒に行こうか。えっと、あなたは……」

「ああ、私はアルベルト・ビストだ。ユニコーンの武装なども準備させよう」

「ありがとうございます。お願いします。で、バナージ、作戦としてはバナージは機動力を生かして一撃離脱。多分敵は複数いるから、バナージがひと当てして、浮いた敵を僕が刈る。そんな感じで行こう」

「え、でも、相手はユニコーンじゃないと倒せないんじゃ……」

「相手はユニコーンを、多分捕まえたいんだと思う。だからバナージは基本引きで戦って。止まらずに動き続けて、狙える状況が来たら止まらずに撃つ。バナージを追う敵を僕が叩く。それで行こう」

「……ごめんハサウェイ、色々巻き込んで」

「何言ってんの。友達でしょ?」

 

そう話すうちに格納庫へ着いた。それじゃあ、と言って、僕はジェガンへ、バナージはユニコーンへと乗り込む。

 

「ハサウェイ!?何やってんだ!」

「出ることになりました!ジョナさん、ジェガンの武装一式とベースジャバーを借りていきます!」

 

返答も聞かずジェガンに装備を付ける。そしてベースジャバーにも予備の装備をいくつか括り付け、早々に準備が完了する。

 

「こっちは準備できたよ。バナージは?」

『俺も大丈夫。いつでも行ける』

「艦から出るときに狙撃されるかもしれない。頭上注意で、常に周囲を警戒。動き続けることを意識して、決して止まらないで」

『聞こえるかねバナージ君。初期設定のやり方はわかるな?そのパイロットスーツには、耐G負荷を薬理的に軽減するシステムが内蔵されている。NT-D発動時にオートで作動するはずだ』

『NT-D?』

『ユニコーンのリミッターが解除された状態のことだ。君は一度それを使いこなしている。大丈夫だ』

 

バナージの緊張が伝わる。そりゃそうだ、実戦だもの。僕の時はどうだったっけ……いや、緊張する暇もなかったな。

 

「バナージ」

『っ、何?』

「大丈夫だよ、僕もいる」

 

そう伝えると、バナージが大きく息を吐く音が聞こえた。

 

『ハサウェイ』

「何?」

『ありがとう……発進準備、完了!……強制解除!』

 

凄まじい速度でユニコーンが加速し、発艦する。それを追う様に、僕もゲタに乗って出る。

 

「うわっ」

 

直後頭上から撃たれたビームを回避し、バナージを追う。

 

 

 

本当に速いな。ゲタが無ければまず追いつけない。けど、これだけの推力があれば敵もやすやすとは追いつけない。

 

「見つけた」

 

赤いモビルスーツ、しかもモノアイで如何にもジオン系っぽい見た目。直後バナージがその機体へ向けて射撃する。

 

「はあ!?」

 

メガ粒子砲もかくやという威力の閃光が駆け抜ける。あんな威力を携行兵装に!?アナハイムはバカになったのか!?

 

「バナージ、当てようとしなくていい!止まらないで、とにかく逃げて!牽制的に撃って!」

 

でも、これなら敵もさらに及び腰で戦ってくれるはずだ。

 

さあ、僕も仕事をしよう。

 

ユニコーンを追うシナンジュ(推定)へ、2射を偏差で撃つ。

 

相手が動く先と、さらにその先へ。1射目は躱されたが、2射目はシールドで防がれる。流石の腕前。何より速度がある。もう少し先でも良いな。

 

シナンジュがユニコーンを追い、僕がシナンジュを追う。基本的に奴は僕に掛かり気味になるが、バナージの牽制にも意識を割かなければいけない。

 

そしてゲタを借りてきてよかった。これが無ければまず追いつけなかった。ニューガンダム並の出力、いやそれ以上か。でも、アムロさんほどヤバくない。

 

連続の偏差撃ちが奴を捕え始める。が、ドッグファイトを嫌ったのか、ユニコーンを追うのをやめ、こちらに迫ってくる。

 

そう来ると思った。

 

ゲタに積んだハイパーバズーカに持ち替え、面制圧のために拡散弾頭を撃つ。

 

「バナージ!距離を取りつつ赤いのを狙って!さっきの鬼ごっこの逆パターン!」

『分かった!』

 

またビームに持ち替えて、頭を押さえるように必死に逃げながら奴の動きを制限する。

 

 

 

だが、やはり敵もプロである。

 

 

 

「増援か!」

 

これまで様子を見ていたであろう機体が掛かった。増援3機、射程の長いビームを持つ紫色と、残り2機は恐らく通常兵装。

 

「バナージ!赤い奴を足止めして!僕はあの3機を墜とす」

『やってみる!』

 

バズーカをシナンジュの方へ投げ、頭を押さえながら投げたバズーカを打ち抜く。爆発、と共に奴をビームで撃ち動きを抑える。

それと同時に、バナージに追われてシナンジュがこちらから意識を外す。

 

「さあ、時間が無いな」

 

引きながら戦っても、それでも凄まじいプレッシャーを奴は放っていた。一対一だと多分厳しい。

 

「ネェル・アーガマのモビルスーツ部隊の人!聞こえますか!赤い奴以外を散らします。浮いた敵から墜としてください!」

 

返答は聞かない、オープン通信だ、敵も聞いているはず。多少でも意識を散らせるならそれでいい。

 

まずは緑色。全速力で接近しつつ2射の偏差射撃。2射目を防がせ足を止める。直後にすり抜けると同時に両足をサーベルで切り落とす。振り返らずにビームを放ち、右腕を撃ち抜く。

 

「ひとつ」

 

回避行動!紫色がこちらの狙撃体勢に入っている。ただ、もう一機の緑色を誰かが巻き取ってくれている。リ・ガズィっぽいあの機体、確か、リゼルだっけ?ありがたい。

 

正確な狙撃、だからこそ躱せる。そして足を止めてくれるから、こちらも撃ちやすい。

 

1射で奴の大型ビームライフルを撃ち抜き、2射目で両足を撃ち抜く。これで運動能力は半分以下になった。

 

 

 

さあバナージの元へ戻れ。何処だバナージ、何処に……そこか!

 

直感と共にビームを連射する。ユニコーンへ近づく大型のモビルスーツを牽制する。相手もそれを察してか、すぐにこちらに掛かる。

 

「ファンネル!?」

 

一気に加速しファンネルを振り払う。どうする?こいつにかかずらうとバナージの元へはいけない、でも突っ込めばファンネルでハチの巣にされる。しかもファンネルの数が多い。

アムロさんとやった時は4基でも何度も撃ち墜とされた。突っ込むのは死と同義だ。でも、時間をかければその前にバナージが落とされかねない……。

 

覚悟を決めろ。

 

ファンネルを引き連れたまま、緑色の大型機を無視して、シナンジュへ接敵する。

 

奴はライフルを腰に置き、サーベル装備の状態だ。突っ込める。

 

意識を薄く広げろ。アムロさんが言ってただろ、後ろにも目をつけろって。意識を広げて、後ろからの射撃に対応する。

 

右へ回避、一拍おいて左へ、大きく回って回避して、ほら、シナンジュの目の前だ。

 

接敵と同時に奴もこちらへかかる。

シールドで奴のサーベルをよけ、勢いそのままにゲタから飛び、奴のコクピットめがけて蹴りを放つ。

バルカンで回避行動をさらにとらせ、回避先にビームを置く。

ビームが、シナンジュの両足を焼く。

 

そのまま、ベースジャバーで後ろからの射線を切る。直後ゲタがファンネルに撃ち抜かれ爆散し、緑色との射線が爆発で遮られる。

 

その爆発越しに、緑色を狙撃し、直後に爆炎を突っ切って接敵する。

 

目と鼻の先。サーベルを叩きつけるが、フィールドに遮られる。

 

「Iフィールドか!」

 

避けろ!反射的に離脱する。直後にファンネルのビームが過ぎ去る。

サーベルもIフィールドで吸収され、近接でもファンネルを使える。距離を取ればオールレンジで攻撃され、距離を取ろうにもゲタはもうない。

 

これはヤバいか?

 

その逡巡の刹那、緑色が踵を返し帰っていく。ファンネルもそれに伴い回収して。

視界の端にシナンジュが撤退行動に入っているのが見えた。ああ、そうか。痛み分けで引いてくれたのか。

 

 

 

はあ、と息をつこうとして、反射的にサーベルを出した。

 

ユニコーンが、こちらを攻撃してきている。

 

「はいっ!?」

 

鍔迫り合いの硬直、だがその硬直もすぐに崩壊する。ユニコーンのサーベル出力が高すぎて、こちらのビームサーベルが飲まれる。

 

頭を下げるように距離を取るが、ユニコーンがすぐに迫る。

 

「バナージ!どうしたんだ!バナージ!?」

 

牽制と言わんばかりにユニコーンがバルカンで弾幕を張る。一気に振り切りたいが、追いつかれる。

 

「聞こえないのかバナージ!!」

 

必死に鍔迫り合いを回避しながら、バルカンをシールドで避け、ユニコーンとの距離を確保する。

 

バナージの気配を感じない。通信が途切れたとかそう言うレベルじゃなく、マシンからバナージのプレッシャーがない。そして、ユニコーンから発せられる圧倒的なオーラ。真っ赤に染まった怒りのようなエネルギー。

 

「マシンに呑まれたとでもいうのか!?」

 

というか何で光ってるんだ!?何のための用途だよ、その光るの!?

いや、まさか……

 

「全身がサイコフレームで出来ているのか!?」

 

だからこんなに速いのか?そうだ、ニューガンダムもそうだった。サイコフレームのせいかもわからないけど、マシンの反応速度が上がっていた。この機体は、その検証機か?そのためのサイコフレームなのか?

 

「アナハイムは馬鹿なのか!?」

 

やることが極端すぎる!ただ、こうして実際にバカみたいな反応速度が出てる。このジェガンのOSだって力作なのに、それ以上に、反射レベルでの速度を常に維持している。

 

「……ごめんバナージ」

 

痛いから気張ってね。

 

ユニコーンと相対した状態から、反転し背を追わせる。ユニコーンはすぐに速力を出してこちらに迫り、ビームを放とうと構える。

 

まだだ、あとひと呼吸。

 

ビームが放たれる寸前にサーベルを手放し、一気に射線から離脱する。

 

サーベルが爆発し、それに気を取られたのかユニコーンの動きが一瞬鈍る。

 

その刹那を見逃さずに、V字機動で一気にジェガンを引き起こして、加速のGに必死に耐えながら、全速力でユニコーンへ迫り、その勢いのままコクピットを蹴り飛ばす。

 

蹴り飛ばした瞬間ユニコーンの挙動から一気に力が抜ける。念のためにもう一発膝蹴りをコクピットへ叩きこむ。

 

残心は忘れない。ただ、ユニコーンは完全に脱力し、ガンダム顔から元の一本角へと戻っていった。

 

「はああぁぁーーーー……」

 

これ以上なく大きなため息が出た。

 

「こちらジェガン、ハサウェイ・ノアです。ネェル・アーガマへ帰投します」

 

疲労感と脱力感が酷い。ただ、どうやら危機は切り抜けられたように思った。

 




読了ありがとうございました。

このペースでユニコーンを駆け抜けることができるのか?私は閃光のハサウェイまでたどり着けるのか?だんだん怖くなってまいりました。

とりあえずちょっとずつ頑張っていかねば。

いつも誤字報告ありがとうございます。本当に私は良く誤字する。大変ごめんなさい。
そして感想、高評価ありがとうございます。本当に嬉しいし創作の励みになります。

引き続き感想、高評価いただけると嬉しいです。よろしくお願いいたします。
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