ハサウェイがアムロやシャアに影響される前に機械オタクになった世界線のお話   作:陸奥九十九

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完全なつなぎ回となりました。次回は再度戦闘かな?どうだろう?

若干駆け足な感じもしますが、楽しんでいただければと思います。


ラプラスプログラム

夢を見ているようだった。

 

あの赤いモビルスーツを、シナンジュを倒さなくちゃと。ハサウェイの言葉に従って、必死に逃げ回って、必死に追いかけて、そうしたら、ユニコーンは思い通りに動くようになって。

 

そうだ、NT-Dが発動して、そこからは意識が溶けていくようだった。

 

ユニコーンは思い通りに動くようになったけど、それは、自分自身がユニコーンへと溶けていくようで、夢見心地で、温かくて、けど、少し怖かった。

 

ビームマグナムを撃って、やったと思った時にはシナンジュが目の前にいて、必死でビームサーベルを振り回した。

 

相手が引くのが見えて、ここだと思って飛び出したとき、そこで、敵の術中に嵌ったと悟った。

 

緑色の大型モビルスーツが出てきて、必死に逃げて、けれど逃げ切れなくて。

 

捕まった!やられる!

 

そう感じた時には、もうハサウェイが助けてくれていた。

 

ハサウェイはあっという間にシナンジュを倒して、緑色のモビルスーツも引かせて、終わったんだ、そう思った。

 

 

 

そう思った時に、ユニコーンがハサウェイに斬りかかって……

 

 

 

 

 

「うわあっ!!」

「うへいっ!」

 

絶叫と共に目を覚ました。その絶叫に誰かが呼応していた。目を覚ましてすぐにバナージが目にしたのは、他ならぬハサウェイだった。

 

「うわあ、びっくりしたー!大丈夫、バナージ?」

 

心配そうにハサウェイが顔を覗きこむ。それにバナージは何とも返すことが出来なかった。

 

「あ、お、俺……俺は、ハサウェイ……っ!」

 

震える声で何かを絞り出そうとするバナージに、ハサウェイは一瞬呆けたような顔をして、すぐそれを察してか、ベッドで縮こまるバナージの頭を抱き寄せた。

 

「大丈夫だよ。大丈夫だから」

 

バナージはこらえ切れなくなったように声を殺して涙を流した。喉を鳴らすように、それを何とか押し殺しように。

 

「大丈夫、僕は生きてる。それに、バナージも生きてる。あんなヤバそうな敵からちゃんと逃げ切れたんだ。超がんばったよ。だから、もう大丈夫だよ」

 

ハサウェイが酷く優しい声でそう呟く。かつてアムロが自分にそうしたように、ガシガシとバナージの頭を撫でまわして。震えるバナージを、落ち着くまでそうなだめた。

 

 

 

「……ごめん」

「何が?何もなかったよ?」

「……うん、あの、ハサウェイ」

「なに?」

「……ありがとう。助けてくれて」

「気にするなよ、友達でしょ?」

 

恥ずかし気なバナージに、ハサウェイがウインクしてそう茶化す。それにつられて、バナージも柔らかく笑顔をこぼした。

 

「あの後、どうなったの?」

「相手の引き際が良かったおかげか、すぐに戦闘宙域から離れられたみたい。ただ、この艦がどこに向かってるのかがよく分からないんだよね」

「分からない?」

「そう、連邦の拠点ならルナ2だし、アナハイムへ行くならグラナダだけど、何ともはっきりしてなくて」

「他のロンドベルとの合流を目指してる、とか?」

「かもね。ラー・カイラムと合流できれば、多分僕たちが出なくちゃいけないような事態には陥らないと思うし」

 

そう返すと、バナージが俯くように言う。

 

「……本当に戦場へ出てたんだな、俺」

「……実感ないよね。分かる」

「ハサウェイも、そうなの?」

「うん。……あんまり言っちゃダメなんだけどさ、3年前にも戦争をしたことがあるんだ」

「3年前って、……アクシズ事件?」

「そう。その時は、なんというか、本当にどうしようもない状況で、戦場へ出て、必死に戦って、気づいたら全部終わっててさ。戦争をやったんだって実感は、その大分後だったよ。大分後になって、よくあんなことやったなって。だから、そんなもんだよ」

 

ハサウェイがそう微笑むと、バナージもそれにつられて笑った。

 

すると、医務室のドアが開いた。そこには席を外していたハサンと、オットー、ダグザがいた。

それを見て、ハサウェイが音も無く床に座る。

 

「ハサウェイ?」

 

バナージが怪訝そうな顔で言う。

 

「さあバナージ、バナージはベッドの上でご一緒に。……大変申し訳ございませんでした」

 

ハサウェイは床に額をこすりつけんばかりに頭を下げて、謝罪を放った。

オットーもダグザも、そしてハサンも、勿論バナージも、それに酷く困惑したようだった。それにいち早く反応したのはオットーだった。

 

「……民間人が、許可もなく戦闘状況に介入する。それがやってはいけないことだとは分かっているな?」

「……はい」

「ちゃんと、やってはいけないことだと分かって、やったんだな」

「……はい」

「待ってください!ハサウェイは、この艦を助けるために……」

「確かにそうなった。でも、そうはならなかったかもしれない。結果良ければすべて良しとは、そうはならない」

 

オットーはバナージへそう返す。

 

「頭を上げなさい」

「……はい」

 

オットーへ促され、ハサウェイが顔を上げる。

 

「……ありがとう、我々を助けてくれて。君がいなければ、恐らく我々は死んでいただろう。そこには感謝しかない。だが、ちゃんと反省してくれ。軽々に、命を投げ出そうなどと考えないでくれ。君に命を救ってもらった我々に、そんなことを言う資格はないと分かっている。だがそれでもだ」

 

約束してくれるね、そう優しく言うオットーに、はい、とハサウェイが返答する。

 

「ならこれで謝罪はおしまいだ。お咎めも無し、いや、12時間の医務室への拘束刑だ。ハサン先生に看守役を頼もう」

「ああ、承った。二人とも、大人しくしたまえよ」

 

そう悪ぶる二人に、ハサウェイもバナージも苦笑しつつ肯定の返答をする。

 

「なら、ネェル・アーガマの艦長として言うべきことは全て終わった。で、ダグザ中佐、貴方は何を仰るのかな?」

「……ユニコーンに搭載された、ラプラスプログラムなるシステムを、アナハイムと我々で確認しました」

 

ラプラスプログラム?と、バナージが呟く。

 

「ユニコーンは、ラプラスの箱へと導く鍵の役割を担っています。そしてそのシステムは、プログラムが示した座標へ到達することで、徐々に紐解かれていくものだと」

「……スタンプラリーでもするつもりですか?というか、ユニコーンはアナハイムとビスト家の持ち物でしょう?アルベルトさんなら、ユニコーンのことを何でも知ってるんじゃないんです?」

 

ハサウェイが思わずそう聞くと、ダグザが否定を示す。

 

「プログラムは完全にブラックボックス化され解読できない。しかも、生態認証も完全にロックされていて、ラプラスプログラムはこちらからの指示を受け付けない。出来ることはプログラムに従うことしかない」

「じゃあ、アナハイムの拠点へ行けば、そのプログラム自体も解読できるんじゃ……」

「連邦は、そのような許可を下していない」

 

バナージの言葉を、ダグザが即座否定する。

 

「つまり中佐はこう仰るわけだ。その宝探しに付き合って、アナハイムに頼らず、箱なるものを、我々ネェル・アーガマのみで手に入れろと」

 

オットーが冷めたようにダグザへ言う。

 

「ネェル・アーガマのみ?」

 

ハサウェイが思わずそう呟く。

 

「他のロンドベル隊、というか、ラー・カイラムとかと合流しないんですか?」

「……そのような予定はない」

「え?じゃあこの艦って、今どこへ向かっているんですか?」

「……次なるラプラスプログラムの座標データへだ」

 

その返答に、思わずハサウェイが呆ける。

 

「次に襲撃があった時、その、どうするんです?敵襲は、必ずありますよ。しかも、次は今回より装備を充実させて来る」

「……その前に状況を解決させる他ない」

 

返答が返答になっていない。誰もがそう感じただろうし、話すダグザ自身、それが無理筋だと分かって話しているようだった。

 

「……連邦は、極秘裏にラプラスの箱を回収する。そう決めてるってことですよね」

 

バナージが呟くような声でダグザに言う。

 

「……これは極秘任務であり、増援の見込みははなからない。そういうことだ」

 

その言葉に、ダグザを含めて、その場にいた全員が大きく息を吐いた。

しばしの沈黙が流れ、その沈黙をハサウェイが破った。

 

「オットー艦長、その、失礼を承知で伺いますが、よろしいでしょうか?」

「何だね?」

「このネェル・アーガマは、その、もしかして、ロンドベルの研修艦的立ち位置なのでしょうか?」

「……わかるか、いや、分かるよな」

「やっぱり、そうだったんですね。言葉を選ばずに言えば、その、モビルスーツ隊の練度が、あまり高くないと思って」

「ああ、この艦は一部クルーを除いてほとんどが新兵で構成されている。無論、ロンドベルとしての最低限のレベルにはあるが、それでも今一つ足りない部分もある」

 

バナージは少し驚いたような反応をしたが、他のものは誰も大きく反応さえしなかった。

 

「正直、シナンジュとあの大型のモビルスーツは強敵です。高機動高出力のマシンと、それに匹敵する性能にファンネルを用いるマシン。今回は強襲で意表を突けましたが、次はそうはいかないと思います。どっしり構えられるとどうしようもないし、何よりファンネルへの対策がほぼ無い」

「ファンネルへの対策?」

 

バナージの声にハサウェイが応える。

 

「そう。昔アムロさんと何パターンか作ったんだけど、この状況だとどれも難しいと思う」

「アムロさんって、あのアムロ・レイ?」

「そう、多分そのアムロ・レイ。対抗策の内、1つはファンネルにファンネルで対抗する。でも、この艦にファンネルって無いですよね?」

「無いな。そもそもサイコミュ兵装を使えるものはロンドベルでも数えるほどしかいない」

「ああ……」

 

やっぱり欠陥兵器やないか、とハサウェイが小さく呟いた。

 

「もう一つは近接格闘に持ち込むことなんですけど、これはダメでした。懐に潜り込んだんですけど、普通にファンネルで迎撃してきました。かなり難しい芸当なんですけど。相手はかなりの手練れですね。ファンネルの扱いに関してはアムロさんレベルかも」

「そのレベルの相手か……」

 

少なくともネェル・アーガマのモビルスーツ部隊では対応できない、オットーはそう考えた。

 

「もう一つは広範囲攻撃で、面制圧的にファンネルを潰していく。これが一番現実的なんですけど、これも難しいと思います」

「どうして?それなら俺でもできる気がするけど……」

「敵が1機だけならね。ただ、高速遊撃が可能なシナンジュがいて、後方に狙撃部隊も構えてた。ファンネルに意識を割くとそっちにやられる」

「先の戦闘では、それらに対応できていたようだが?」

 

ダグザがそう聞く。

 

「ファンネル持ちが最後まで隠れてましたから、そのおかげですね。多分こっちの戦力を誤認したんでしょう。だから戦力の逐次投入なんて真似をした。まあ電撃戦とか鹵獲目的でなんでそんな馬鹿な真似をしたかは知りませんけど、多分次はそうはいかないでしょう」

「ならば、なぜ墜とさなかった?」

 

ダグザがハサウェイを睨むように言う。

 

「強敵であれば墜とせるときに墜とすべきだ。にもかかわらず、君は敵をむざむざ見逃した。ありうべからざる行為だ。何故、そんな利敵行為をした?」

「僕たちは軍人じゃありませんし、状況に流されて人殺しをするだなんてごめんです」

 

ハサウェイが真っ直ぐにダグザを見つめる。

 

「そりゃ、命の危機に瀕すれば、そうせざるを得ない状況が来るかもしれない。それは、次の戦闘がそうなのかもしれない。でも、しょうがないで殺しを選ぶなんて、そんなのは嫌です。命は、散った後では戻らないんですから」

「そのために味方を、この艦を危険にさらすというのか?」

「そう言うつもりはありません。でも、なんて言いましょう、その、悲しいじゃないですか。身の安全のために、まるで障害物を避けるように人を殺すのは」

 

軍人さんに言うことじゃないとは思いますけど。ハサウェイは消え入るような声でそう言った。

 

「その時は来るかもしれない。けど、避けられるなら避けたい。僕はそう思ってます。だから、どうするべきかを話しましょう。今後についても、箱についても」

 

その言葉に、その場にいる誰もが押し黙っていた。

 

 

 

 

 

 

首相官邸ラプラス。それがラプラスプログラムの示した座標データらしい。

 

僕もバナージも戦場へ出ることになった。いや、出ざるを得ない状況になった。

今後の何もかもについて、全て結論は先送りになった。ただ事実として、時はこちらに味方しない。時間がたてばたつほど、相手の状況は充実していくのだから。

 

連邦はラプラスの箱なる存在を早期に、かつ秘密裏に回収したい。

アナハイム、というよりビスト家はそれを独占し続けたい。

ジオンの強硬派はそれを用いてジオン内でも、さらには連邦に対しても優位に立ちたい。

 

正体不明の物体Xに、みんなして振り回されている状況だ。

 

そして、民間人を乗せているにもかかわらず、連邦の事情によってネェル・アーガマはコロニーに立ち寄ったり、ロンドベルの増援を待つこともできない。

 

降りかかる火の粉は自分たちで振り払うほかない。思っている以上に状況は切迫していた。

 

 

 

「おおーー……」

「言われた通り進めておいたぜ。どうよ、俺も結構やるもんだろ?」

「無駄口叩いてねえで仕事しろタクヤ!」

「ハイっ」

 

そう言った事情で、ありものの装備でジェガンをアップデートすることになった。

ジェガンに不満を言うつもりは全くないが、ただシナンジュや緑色のモビルスーツ(4枚羽と呼称するらしい)と戦闘するにあたって、機動力と衝撃力が圧倒的に不足しているというのも事実だった。

そこで、その場凌ぎのアップデートである。

 

腰部にプロペラントタンクを装備し、右肩部に大型ビームキャノンを追加装備した。

プロペラントタンクで機動力を、大型ビームキャノンで衝撃力を追加したのだ。4枚羽と相対したとき、このビームキャノンであればIフィールドを突破できるし、ビームライフルと違って直撃すれば確実に墜とせる破壊力がある。敵の頭を押さえられる。

 

そんな装備の追加をタクヤが手伝ってくれた。手持ち無沙汰だし自分も何かしら役に立てると立候補してくれたのである。ジョナさんも手が空き次第そちらを補助してくれて、要望通りにジェガンがアップデートされたようだった。

 

 

 

では僕は何をしているかというと、ユニコーンのOSを必死になってバナージと調整していた。

 

先の戦闘でユニコーンが暴走した原因は、その異常な感度の高さにあると思えた。大変見覚えがある症状、それは、かつてのニューガンダムのファンネルの感度である。

 

ニュータイプ・デストロイヤー・システム、NT-Dは、酷く見覚えのあるプログラミングだった。ニューガンダムのサイコミュコントローラーとその設定が酷似していたのである。

ファンネルを動かす要領で、脳波でマシン制御をする。ニューガンダムでは反応速度にほんの少しのアドバンテージをもたらしたそれを、大量のサイコフレームでマシンの完全な脳波コントロールへ持ち込む。

何の基準でニュータイプを判断して、なんでデストロイしようと思ったのかが全く分からないが、恐らくシステムに感応できる外部の対象を攻撃するようにシステムを作ったのだろう。その意味は理解できないが、現状はバナージの操縦レベルを向上させるのに役立ってくれる。

 

そしてこのユニコーン、如何にも試作機然とした仕様であり、またその完成度も試作機然としたものだった。

 

よくバナージはこんなものに乗って無事だったな。本当にそう思う。

 

異常なほど機敏で遊びが無く、一切の遅れなくマシンは脳波によってコントロールされる。コントロールされるのであろうが、如何せん遊びが無さすぎる。

戦闘中の、右へ避けるか左へ避けるかの、そんな一瞬の逡巡でマシンがシェイクされパイロットがミンチにされかねない。そんなえげつない仕様になっていた。

 

思わず叫びそうになった。このOSの仕様で問題ないと許可を出した馬鹿は誰だと。

しかもその危険性を、OSの修正でなくノーマルスーツの強化で良しとした馬鹿は誰だと。

 

ただ、元のセッティングがニューガンダムで僕が出した仕様とかなり似ていたのだ。まさかあの時間のない時に出した仕様を、アナハイムがそのまま使い続けるわけがないとは思うが、それほど似ていた。

 

そのため修正もかなりやりやすかった。

プログラムを一から組むのではなく、ありものと引き出しの中身で割合何とかなったからだ。

 

僕が必死に圧縮して、圧縮したものをバナージが欲しい方向へ発展させる。乗ったことのあるマシンなだけあって、バナージの中でどうしたいかの方向性もかなり定まっていたようで、そういう意味でもセッティングは驚くほど早く進んだ。

 

 

 

そしてユニコーンの武装面に関して、なんとタクヤが色んな案を出してくれた。

ビームマグナムではあまりにも過剰火力というか、状況によっては使いづらいとは思っていたが、タクヤの案は大変面白いものだった。

 

実弾やビーム兵装も含め、通常兵装を数多く搭載し、手数でもって状況をコントロールする、という、確率問題をしらみつぶしで回答していくようなものだった。

 

だが現状ではそれが正解だとも思った。ありもので最適解を模索するより、ありものを全部乗せて状況ごとに解決策を模索する。パイロット任せと言えばそれまでだが、その分出来ることも増える。

 

結果ユニコーンは、シールドとビームマグナムに加え、両足にミサイルポッド、シールド下にビームガトリング、背中にバズーカを背負って戦場へ出ることになった。どう見ても過剰火力ではあるが、まあ足りなくなるよりかはいいだろう。

 

 

 

ここまでで3日。

幸いなことに敵襲は無かった。こちらも準備できていなかったし、被害が無かったことは単純に喜べる。

 

だが、それは相手も十全に準備を整えた、ということでもある。

先の戦闘で与えた程度のダメージだったら、ラー・カイラムなら12時間で修復できる。ストレス攻撃さえしてこなかったということは、次の戦闘で戦力を一気に放出するつもりなのだろう。

 

そして敵の歩哨やアクティブレーダーさえ感知できなかったということは、もしかしたら敵はこちらをいつでも感知できる状況にあるのかもしれない。

 

臆病に過ぎる気もする。ただ、嫌な予感は消えない。ならばそう言う可能性もあるだろうと、そう思った。

 

 

 

「ユニコーンだけで出撃させる、ですか?」

「そうだ、敵に察知される前にユニコーンをポイントへ送り込み、ラプラスプログラムを更新させて早々に離脱する。これが一番安全だと考えた」

 

作戦会議は極めてひっそりと行われた。

オットー艦長、ダグザさん、バナージ、そして僕の4人。ネェル・アーガマのモビルスーツ隊の人もおらず、またアナハイムの人もいない。

ダグザさんの部隊のエコーズにはダグザさんから、ネェル・アーガマのクルーの人にはオットー艦長から、それぞれ必要最低限の人に共有されるらしい。極秘任務然としている、ともいえるが、どうかしているとも捉えられる。

 

そして、先の戦闘で数少ないベテランパイロットを失ってしまった現状において、シナンジュや4枚羽と相対したとき、対応可能なのは僕とバナージだけだと判断された。

 

「ネェル・アーガマはどこで待機するんです?」

「ポイントから少し離れた場所だ。適当なデブリ地帯を見つけた。そこで身を潜ませることになる」

「ユニコーンにはバナージが乗り、俺も同乗する。そして、少し離れたポイントでコンロイ少佐がロトからユニコーンをモニタリングする。そして、迎撃要員としてハサウェイのジェガンも別ポイントで待機させる」

「アナハイムから、ラプラスプログラムに関しての情報は何もないんですか?」

「ない。奴らも何も知らんのか、それとも知らぬ存ぜぬなのか。行ってみねばどうなるかもわからん状況だ」

「サイコミュシステムはジオン由来の技術ですし、サイコフレームもジオン由来らしいですから、相手が一方的にユニコーンを捕捉できる可能性もありますけど」

「その可能性も分かるが、かといってネェル・アーガマで乗り込むわけにもいかん。艦を攻められる方が圧倒的に不利だ。ならばやはり……」

「ユニコーン単機でポイントへ、もし襲撃があればユニコーンとジェガンで対応。撃破が無理なら即時撤退、ですね」

 

作戦は決まった。

 

そしてこの作戦でユニコーンが敵に鹵獲されたり、ネェル・アーガマに重大な被害が発生する事態になれば、現場判断でロンドベル、ないしはエコーズの応援を呼び、再度事態の収拾にあたるらしい。その現場判断も、本来は許されている範疇にないらしい。そして大きな被害が確認されなければ、上は一切の許可をしないだろうとも。

 

3年前から分かっていたことだが、本当に連邦は腰が重いし判断が遅い。

オットー艦長もダグザさんもひどく苦心してのこの作戦となったようだった。

 

作戦会議を終えて艦長室を出て、最終調整のために、格納庫へ向かう。

この2日同じように艦長室から格納庫へ向かっていたが、今日は少し違った雰囲気があった。

 

艦内がピリピリしてきた。3年前にも感じたこの気配。

戦場が近い、戦争が始まる。そう思った。

 




読了ありがとうございました。
大変だ、野郎しか出てねえこの作品。おかしい、可愛い女の子が一切出てきていない。クェスもオードリーもマリーダさんも出したいのに、気づけばおっさんばかり出してる。

いつも誤字報告ありがとうございます。大変助かります。
そして感想、高評価ありがとうございます。嬉しくて何度も読み返してます!

引き続き感想、高評価いただけると嬉しいです。
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