ハサウェイがアムロやシャアに影響される前に機械オタクになった世界線のお話   作:陸奥九十九

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大変だ!話が全く進まない!そして話の展開をどうしようかも考えてない!

次回地球に降りるのか、それとも戦闘が起こるのか、私にもわかりません!明日の私、頑張って考えてくれよな!

お楽しみいただければ嬉しいです。


とりあえずの決断

サイコミュ兵器は、この15年で凄まじく小型化されたらしい。

 

僕にとってのサイコミュ兵器はファンネルで、それを装備したニューガンダムがざっくり20メートルちょっとだから、そんなもんなんだろうと思っていたが、どうやらジオン系のメカで見ると全く違う印象があるとのことだった。

 

一年戦争では全長50メートルを超える超大型モビルアーマーでなければファンネルを稼働できず、その後5年以上の研究を経て、ようやくモビルスーツサイズに収めることができたらしい。

ただ、モビルスーツサイズだとファンネルの操作以外がほぼ不可な、格闘戦などが難しい仕様だったため、その後再度大型化。大型化したその余剰スペースに格闘戦能力や砲撃戦能力を装備させた。ただそこまで盛り込み過ぎるとコスト的にもサイズ的にも運用が難しかったので、それを再度小型化。

そこまでやって、ようやくクシャトリヤまでの完成度に落とし込めたらしい。

 

全長約20メートル。素体となるモビルスーツにファンネルを格納する大型バインダーを4枚装備させ、バインダーにファンネルポッド、大型スラスター、Iフィールド、メガ粒子砲、物理盾の5役をこなさせ、さらに本体にもメガ粒子砲を装備。

そこそこ小型かつ運用に困らないスペシャルなモビルスーツ、いや、超小型モビルアーマーとして、クシャトリヤが完成したのである。

 

 

 

……よくこんなのとジェガンでやりあったな。

 

見れば見るほど思う。これ明らかに小隊とか中隊とかで戦う相手だろ。そして完成度が高いし攻撃力も高い。

ファンネルを24基も運用可能なのだ。ニューガンダムの4倍である。何それ羨ましい。連邦の技術力なのか、それともアナハイムの技術力なのかは分からないが、サイコミュに関してはジオン系と比べてそれほどの技術的なレベル差がある。

 

そしてこうも思う。24基のファンネルを装備したスペシャルな機体を1機作るか、それともニューガンダムを4機作るか。設計思想にも連邦とジオンで大きく差があり、そこがバリエーションに繋がっているとも。

 

ただどうなんだろう?今ファンネルを扱える人で知ってる人って、アムロさん、僕、クェス、シャア、クルスさん、その位しか知らないな。ロンドベルでも数えるほどしかいないってオットー艦長が言ってたし、だったら1機で扱えるファンネルの数を増やした方が良いのか?

 

24基、確かに一度に扱える数はそのくらいだろう。それを操作したうえで戦闘となるとまた違うと思うが、もうバインダーを2枚増やして36基にしても大丈夫な気はするが、恐らく大型化を嫌ってこの数に収めている気がする。

 

 

 

「よし、出来た。トムラさん!こっちのバインダー終わりました!」

「おう!じゃあバナージの方手伝ってくれ!」

「はーい!」

 

そんな僕は今、バナージと一緒に僕が破壊したクシャトリヤの整備をしていた。

 

クシャトリヤの予備パーツは意外にもそれなりにあったのだが、如何せん仕様が特殊過ぎて整備に手間を食うし、なにより僕が派手にぶっ壊したので早期復活は無理として、艦の片隅に追いやられていた。

 

元々クシャトリヤ、というかクルスさんは、フロンタルさんの艦じゃなく別の艦に乗っていたらしいが、そちらが手狭とのことと、大規模な補修とセッティングが必要とのことで、より広いフロンタルさんの艦の一角を借りている状態とのことだった。

 

そして、何故かフロンタルさんは、僕とバナージにそんなモビルスーツに触る許可を出してくれた。

 

明らかに軍事機密、しかもサイコミュ兵装というトップシークレット級の技術を使っているはずなのに、艦備え付けの装備のみ使用するのであれば、そしてお目付け役をつければさわってもいい、なんて言ったのだ。

 

そもそもモビルスーツに触れるような機材は持っていないし、お目付け役も整備担当のトムラさんとパイロットのクルスさんで、時折凄い軍服を着たお兄さんたちがこちらをちらちら覗きに来るけど、その程度のものだった。

 

 

 

フロンタルさんは、どこか不思議な接し方を僕たちにする。

 

何と言おうか、大変気安いのである。僕たちに気を遣ってくれるし、まるで甥っ子か親戚の子供のように接してくる。一時的にでも敵対関係にあったとは思えないほどに。

そして声と立ち振る舞いがシャアっぽくて戸惑うのだが、よくよく接するとシャアより全然大人な感じがする。地に足がついている感じ、形容しにくいのだが、雰囲気からして大人なのだ。

ただそんな感じで接してくれるせいか、時折凄い美形な軍人さんに凄い目つきで睨まれる。怖い。

 

というかジオン軍人美形多くない?どういうこと?フロンタルさんも雰囲気あるし、フロンタルさんの部隊(親衛隊と言うらしい)もなんか美男ばっかだし、クルスさんも美形だし、絶妙にこの艦、居心地が悪い。

 

 

 

それ以上に捕虜的な緊張感もあるわけなのだが、だからこそ慣れ親しんだ機械いじりは心を落ち着けてくれる。

しかも全くさわったことのない異形かつジオン系のマシンである。ザクは見たことも触ったこともあるが、あれは設計がちゃんと古くて、現在の最新モデルの参考にはならなかったし、特にクシャトリヤは設計思想からして特殊だ。かなり面白い。

 

「バナージ、手伝うよ」

「ありがとう。じゃあ、この溶けてべったり歪んだバインダーを、バーナーとカッターとハンマーで除去して」

「おう……すごいじゃん……」

 

僕がサーベルを突き刺したバインダーであるが、出力が足りず焼き切れていなかったらしい。結果装甲を溶かす程度に終わって、それが今になってマシンアームにこびりつき、ついでに根元まで溶かして大変なことになっているらしい。

 

「ええーー……これプチモビとかで引きちぎれない?」

「やったらメインアームごとひしゃげるよ。ここら辺の細かいのは全部手作業でやるしかないでしょ?」

「おう……がんばるかー……」

 

バナージと同じようにゴーグルをつけて、溶けたガンダリウム合金を、超高温の特殊なバーナーでひたすら焼いて、柔らかくなったらハンマーでたたいて剥離して、一気に取れ無さそうな部分はカッターでトリミングしていく。

 

 

 

ジェガンのような腕も足もいくらでもパーツがあるようなスーパー量産機ならこんな作業は必要ないのだが、クシャトリヤはゴリゴリの特殊機である。腕ごとアッセンブリーなどはできないが、ただ時間をかければ普通に直せる、そんな状況なのだ。

 

そしてここにアナハイムでそれなりに経験がある暇な小僧が二人と、ジオン系メカのスペシャリストであるトムラさんがいる。まあ直すよね。

ただ、どんなに頑張っても1ヶ月くらいはかかりそうな損耗状況ではある。なにせ下半身は僕が吹き飛ばして、4枚中2枚のバインダーは僕が吹き飛ばして、マシンの至る所を結構な推力で僕が蹴り飛ばしたので、見た目以上に中身がボロボロだからだ。

 

センサー異常も10か所以上出しているし、多分実際にはそれ以上壊れていると思う。

 

ただ、見れば見るほど完成度の高い機体ではある。

高出力・高火力、そこまでなら条件次第ではジェガンでもクリア可能だが、このマシンはその上に防御力と高機動力も確保している。そしてバランスも良い。

 

これほどの完成度のサイコミュマシンは、いや高性能モビルスーツはそうないのではないだろうか?

かつて見たアルパにしても、あれは大型なうえに格闘戦能力は全くなかった。無論それを補うための超高出力と超火力なので、クシャトリヤと用途が違うといえばそれまでだが。

ユニコーン?全身サイコフレームがブラックボックスというかジョーカー過ぎて比較対象ではございません。お引き取りください。

 

 

 

バナージと二人で必死に溶けたガンダリウム合金をトリミングして、やっと壊した2枚のバインダーを大まかに除去できた。そのころには結構な時間になっていて、その日の作業は一区切りになった。

 

ただ、トムラさんに許可をもらってクシャトリヤのOSだけは先に確認してみたいと、僕は一人格納庫に残りマシンを見ていた。

 

「うわ……」

 

なんじゃあ、こりゃ?

 

OSをみて、思わずうなってしまった。僕はこう考えていた。ニューガンダムの6基のファンネル制御でさえ、凄まじいボリュームのプログラムが必要で、ラー・カイラムにいた時は、それを必死で圧縮し続けた。とにかくマシンを軽くする方向で、レスポンスを上げる方向で。

 

結果それは功を奏して、アムロさん曰く別物の挙動になってくれたらしい。セッティングを出しはしたが、その後時間が無さ過ぎてニューガンダムを僕自身でテストすることはできず、結局その違いを絶妙に実感できずにいた。

 

そして、クシャトリヤの24基制御は、恐らくニューガンダム以上に複雑かつ整列されたシステムでファンネルを制御しているのだと思った。ジオン系には連邦系とは全く異なった制御アプローチがあって、だから連邦ではできなかった24基や、それ以上の制御ができていたのだと。

 

 

 

結論から言えば、全くそうでは無かった。

 

「シンプル過ぎる……」

 

整列されてはいるが複雑では無かった。というより、これは本当にファンネルの制御コントローラーなのか?極めてシンプルな命令が多数準備されているだけで、それらの連携だとか制御だとかが全く存在しない。

出来る奴なら操作できる。この出来るとは能力のレベルではなく、適性の有無だ。僕とクェスはできる気がする。けど、アムロさんはどうだろう?出来るかもしれないが、間違いなくニューガンダムレベルの操作は無理だと思う。

 

僕もクェスもサイコフレームさえあればファンネルをそれなりに制御できるが、あくまでそれなりなのだ。だからシャアとの戦闘の時はファンネルの制御を全てクェスが担ったし、さらに言えばあの時12基を運用したのはジェガンの火力不足を補うためでもあった。

 

自分でモビルスーツを操縦し、その上でファンネルを操作して、アムロさんクラスと戦う。そのためには高性能なサイコミュコントローラーは不可欠で、だからこそ必死にファンネルのセッティングを出したのもある。

 

「こんなのであのレベルの戦闘を……?」

 

脳が焼き切れる。もしくはブラックアウトする。あまりにもパイロット任せのセッティングに、思わず声が漏れてしまった。

 

「そうだ、そのための強化人間だからな」

「うへっ、あ、クルスさん……」

「……マリーダで良い。皆そう呼ぶ」

 

クルスさん、マリーダさんが目の前にいて、思わず変な声が出た。

 

「どうだ?クシャトリヤは?」

「その、順調ではあると思います。ただ、損害が大きいので、直すのにひと月くらいはかかるかなと」

「そうか、まあ、しばらくの間パイロットはお休みだな」

 

マリーダさんはそう言って解放されたコクピットハッチの端に背中を預けた。

 

「何を見ていたんだ?」

「サイコミュのコントローラーです。連邦で、24基もファンネルを扱うっていうのは、あまり想定が無いように思って」

「それで、収穫はあったか?」

「あったとえばあるような、ないような、そんな感じです」

「なんだそれは?」

 

おかしい答えを聞いたようで、マリーダさんがくつくつと笑う。

 

「その、マリーダさんは、このコントローラーでファンネルを制御して、しかも戦闘までできるんですよね?」

「お前の方が分かるんじゃないのか?クシャトリヤをこんなにしたのはお前だろう?」

「いや、それはその、そうなんですが……」

 

すみません、と思わず謝ると、それもおかしかったようでマリーダさんが笑う。

 

「まあ、言いたいことは分かる。まず間違いなく他のものに扱える仕様ではないし、お前も無理だと思ったのだろう?」

「……ですね」

「そう言う仕様なんだ。マシンの完成度を高めようとした時、ファンネルはある程度オミットするしかなかった。ただ性能は補完させたい。そのために強化したパイロットを用意する。結論ありきの機体なんだよ、こいつは」

「それは……」

「ジオンは、連邦に比べて国力が低い。だから質を高めるしかなかったが、それにも限度があった。だから、質の高い存在を科学的に作ろうとした。私たちはそう言う存在なんだ」

 

道理にもとる、そう思った。人道という道に反する。けれど、それを彼女に言えるはずも無かった。

 

「お前の言いたいことは分かる。だが、私はここにいる。それが答えだ」

 

マリーダさんは優しい目で僕を見つめていた。

 

「……アクシズ事件で、強化されたパイロットに会いました。戦場で、ほんの少しの間だけ。彼が言っていたんです。本来扱える機体じゃなかったけど、強化して乗れるようになったって。そして、その代償もあったって」

「それが、お前が言っていた、アクシズ事件で会った強化人間なんだな」

「……はい」

「男なのであれば、私とはまた違った方向での強化なのだろう。素養があると思った人間に、後付けで強化する。そう言う方向性の調整だ」

「方向性?」

「私の場合は、もう少し闇が深いと言える」

 

マリーダさんの瞳が、ほんの少し揺れたように見えた。

 

「まあ、そんなことは良い。そう言った闇もある。それだけだ」

 

寂しそうな瞳を揺らして、マリーダさんはそう呟いた。

それが、子供の頃のチェーミンや、いつかのクェスと重なって見えた

 

「僕の実家に……」

「……なんだ?」

「僕の実家に、僕の直した車があるんです。この前の長期休暇で帰った時にようやく組み上がった車で、色んな部品を寄せ集めて作ったんですよ」

 

怪訝そうなマリーダさんを見ながら、何とか僕は言葉を紡ぐ。

 

「Z33型のフェアレディZで、かつてのGTレースで走っていた仕様のレプリカを作ろうって。NAエンジンをターボ化して、フェンダーもワイドにしてエアロもつけてって」

 

何を言っているか自分でも絶妙に分からない。何を言っているんだ僕は?

 

「そしたらすごく苦労して、元々のエンジンが400馬力くらいまでのキャパしかなくて、600馬力オーバーを出そうとしたら色々壊れて。しかもエンジンルームも狭くて、載るものも載らなくなって、色んな部分切って叩いて場所開けたりして」

 

マリーダさんは静かに僕を見つめている。僕は、必死に言葉を紡いでいた。

 

「それでようやくできた車は、凄く速いけど結構気難しくて、しかももっと簡単に安上がりな方法もあって、それでも、僕はその方法を選んで」

 

何を話したいんだろう?なぜ、こんな言葉が漏れ出るんだろう?

 

「その車は、僕にとっての宝物になりました。他の人が見れば、馬鹿らしく映るかもしれません。でも、僕や、僕と一緒にその車を作ってくれた人にとっては、本当に大切な、かけがいの無いものになったんです」

 

宝物の価値は、人によっては違う。

 

「僕が出会った彼は、僕を見送ってくれました。でも、シャアはその時彼を嘲笑った。僕はそれが許せなかった。必死に生きた命を、不出来だと嗤ったシャアが。僕には許せなかった」

 

だから僕は、あの時怒ったんだ。

 

「命は、ただそこにあるだけで美しい。だから、強化人間だとか、ニュータイプだとか、そんなのは関係ない。だから、マリーダさんがどうであれ、僕にとってマリーダさんは、バーンさんのことを心配して必死に追いかけて、今こうして僕に気を遣ってくれる、そんな人です」

 

だから、悲しそうにしないで欲しい。そんな言葉を出そうとして、マリーダさんが微笑んだ。

 

「気にし過ぎだお前は。私は今の生活が嫌いじゃないし、自分を嫌うほどナイーブにもなっていない」

 

それに、お前もこうして気を遣ってくれるしな。そういってまた笑ってくれた。

それにつられたのか、ほっとして思わず僕も笑っていた。

 

「それで、答えは出たのか?」

「えっと、答え、ですか?」

「ああ、大佐が言っていた、連邦に戻るのか、どうするのかというやつだ」

 

そうだ、言われればそんなことを言われていた。

 

「そう、ですね。少なくとも、ネェル・アーガマには戻れなさそうですよね。僕が接した人たちが、僕を殺すことに積極的だったとは思いませんけど、ただ、どちらにせよ危険だとは思いますし」

 

ただ、未だに信じられない部分もある。シャアの暗殺でも、それこそロンドベルの失脚を狙う画策でもなく、僕という個人の、しかも民間人の暗殺。

ただの学生風情の僕に、暗殺する価値などないだろう。それに、フロンタルさんも全てを語っているわけでは無いとも思った。ただ、そこに僕を陥れようという気配はなかった。勿論、僕を陥れて得があるとも思えないのだが。会話して、あの人は優しさを湛えていた。その理由というか、原因が分からなかった。間違いなく初対面の、僕に対しての優しさが。

 

「ネェル・アーガマは、先の作戦で失敗したら戦力を整えて、本腰を入れて作戦に掛かる、みたいなことは聞いてました」

「ああ、聴取で言っていたな」

「そのためにかかる時間は、どうなんでしょう?ラー・カイラムが何処にいるか知らないですけど、ルナ2だとして、約3日?ロンデニオンでも同じくらいで、もし地球だったら、もっと時間かかりますよね?」

「恐らくな」

「ラー・カイラム、というかロンドベルじゃなく、連邦宇宙軍が追加戦力を寄こすなら、ルナ2から艦隊が派遣されて、この宙域に来るまでに、5~7日くらい、ですかね?それまで、フロンタルさんはここにとどまり続けるんでしょうか?」

「いや、恐らくもっと早くに行動を起こすだろうな」

 

そうだ、今ここにとどまってるのは、恐らく補給か何かなんだろう。それに、フロンタルさんは公式の軍隊じゃない、とは言っていたけど、艦の装備も戦力も、ここは整い過ぎている。大きな後ろ盾があるのは間違いない。

その後ろ盾は、ジオン共和国?それとも、まさかアナハイム?

 

「どうするべきなんでしょう?正直僕も分からなくなってきてます。ラー・カイラムなら問題なく僕を保護してくれると思うんですけど、僕の暗殺が本当なら、連邦はおとなしく父さんを寄こしてくれますかね?」

「しないだろうな。むしろ援軍は、暗殺をたくらむ連中の息のかかった者を寄こすだろう」

「その場合、例えば脱出用のランチとかもらっても、状況次第ではハチの巣ですよね?」

 

マリーダさんは無言で頷いた。そう、ラー・カイラムが来れば問題ないのだが、それ以外だと割とどうしようもないのだ。僕も殺されたくはないし。

 

「ラプラスプログラムは、次の座標に地球を示したそうだ」

「地球、ですか?」

 

あれ?それって僕が聞いてもいいやつ?というか、地球のどこ?

 

「じゃあ、フロンタルさんはこれから地球に?」

「どうかな?シナンジュは地上運用に適さないし、そもそもこの艦は宇宙艦だ。地上での運用はまず無理だろう」

「となれば、ユニコーンは別の艦に乗せ換えて、その後地球へ?」

「恐らくな。そして、バナージ・リンクスにはそれに着いて来てもらうことになる。当然だがな」

「地球は連邦の本拠地ですけど、そこらへんは大丈夫なんですか?」

「連邦も一枚岩ではないし、お前のことの様にこちらに繋がっている者もいる。やり様はいくらでもある」

 

うわぁ、連邦本当にどうかしてるじゃん。テロリストともつながってるのは、どうなんだ?酸いも甘いもなのか、善悪表裏一体なのか、単純な腐敗なのか、もうよく分からん。

 

「詳しくは聞かないですけど、おおよそのスケジュールもできてる感じですか?」

「こうして話せる程度にはな」

「じゃあ、僕もバナージについていきます」

 

そう答えると、マリーダさんは少し驚いた顔をした。

 

「いいのか?ラー・カイラムが来る可能性も十分ある。ロンドベルには、独自行動権があるのだろう?」

「うーん、実はまだ迷ってます。父さんに心配かけたくないし、なるべく早くジェガンも返さなきゃだし、あとジェガンも直さなきゃですけど、でも、友達おいて一人で帰るのは、結構イヤです」

 

最後は感情論に流れるあたり、子供じみてるとは思う。でも、バナージを戦場においてひとり帰って、バナージが無事に帰ってきたとき、笑顔でお帰りと言える自分は、正直想像できない。

そして、バナージが帰ってこなかったときに、僕はそれを受け入れることはできるだろうか?……うん、無理な気がする。

 

「父さんには、あとで怒られることにします。なので、とりあえず一生懸命働くので、僕も連れて行っていただければと思います」

「良いのか?大佐について宇宙に残れば、少なくともお前はすぐに帰れる可能性が高い」

「帰るときはバナージと一緒です。そこは外せない」

「行く場所は戦場だ。まず間違いなく危険がある」

「暗殺未遂を2回も経験したんです。何処だって危険でしょう?」

 

僕がそう笑うと、マリーダさんが苦笑した。

 

「正直家に帰りたい気分ではあります。工専もぶっちして、家に帰って、適当に機械いじりしたい気分です」

「お前の家というと……」

「地球ですね。結構田舎ですけど、いい場所なんですよ。機会があったら是非」

「その機会は、当座こなさそうだがな」

「です、かね?マリーダさんはどちらに?」

「私はすぐ近くだ。本当の故郷など知らないが、今はパラオという資源衛星に住んでいる」

「良いですね。行く機会は、どうなんでしょう?」

「ネオジオンの秘匿拠点だ。行く機会は恐らくないな」

 

二人して絶妙な苦笑いを浮かべて、そんなお互いの顔を見合ってまた笑った。

 

「戦争が終われば……いえ……」

「……戦争が終わればな。だが、もう17年も戦争を続けている。小康状態はあるにせよ、戦争が終わった後の平和なんて、あるのかさえ分からない。私もお前も、戦争の時代に生まれたから」

「……正直、何が良くて何が悪いのか、僕にはよくわかりません。3年前はシャアのやってることはどうかしてると思ったし、今は連邦のやってることはどうかしてると思ってます」

「私も同じだよ。ただ私はジオンの兵士だった。だから連邦と戦う、それ以上の理由はない」

 

きっと誰も分からない、この争いの止め方を。平和の時代の作り方を。そのバランスのとり方を。

 

「とりあえず、やれることをやろうと思います。世界とか戦争とか、そう言うものは僕には分からない。なので、明日もバナージと一緒にクシャトリヤを直して、地球に降りてからは、またそこで仕事でもしようかと思います」

「分かった。大佐には伝えておこう。良い時間だ、お前ももう仕事を切り上げろ」

 

その言葉に従って、クシャトリヤから降りて、振り返った。

酷く損傷したその姿は、物悲しく、そして戦いの凄惨さをよく表していた。そして、そんな状況を作り出したのが、他ならぬ自分であるということも。

 

 

 

深く考えるな。多分、そこを探しても答えはない。

そう思い込んで、僕はマリーダさんと共に格納庫を後にした。

 

 




読了ありがとうございました。マリーダさんとお話しして終わった。何なんだこの回は。まあ、書いてて楽しくはあるんですけど。

次回はお労しいお父さんが出てくる、のか?誰がユニコーン奪還に動くのかもまだ考えてません。明日の私がどうにかしてくれることでしょう。

いつも誤字報告ありがとうございます!
そして感想と高評価もありがとうございます。嬉しくて何度も読み返してます!

引き続き感想、高評価いただけると嬉しいです!
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