突然だが、俺には前世の記憶がある。
だから何だって話だが。前世で優秀だったわけでもないし、名前も顔も覚えていない。
なんならエピソード記憶が全部消えてたから周りより少し早熟だっただけだ。
まあ勉強は楽になると思うが。
そんなことはどうでもいいのだ、なぜなら前世の存在よりもっと不思議なものがあるから。
この世界、化け物がいるのだ。どいつもこいつもクッソキモイがな。
ケモミミ美少女なんて化け物は生まれてこの方見た事ねえ、ヒトミミの集合体みたいな化け物なら居たが。
ちなみに他の人には見られないようだ、目の前を横切っていても一切反応してなかったことから確実だと思う。
推測になるが、多分妖怪的なサムシングだと思う。
人間に取り付いてる奴もいたし、何より見た目が気持ち悪い。
あれを流石に良いモンだとは思えない、断言できる。
そして俺も不思議な存在だ、俺の体にはよくわからない力が
『宿っている』や『持っている』ではないのは明らかに噴き出ているからだ。
最初はハンターハンターの念かと思って必死に止めた、普通に止まったがいつの間にかまた噴き出ている。
だが噴き出し続けていても体がだるくなったりもしないことから念ではないことが分かった。
しかしこれを纏えば化け物共に触れれるし、体に循環させれば身体能力が上がる。
体に循環させて身体能力を上げるのは力が強くなりすぎて調整しないと周りに被害が出るが。
まあ、ここまで来たら察すこともできる。
多分これは呪力だ、呪術廻戦の。
えぇ…呪術廻戦かよ。百鬼夜行とか渋谷事変とか死滅回遊とか…俺死ぬんじゃね?
なんて思っていたが思ったより早く死ぬ事になりそうだ。
親が帰ってこなくなった。もうそろそろ五歳になる時期に。
もとから父親は見えなかったし、母親はいろんな男を連れ込んでいたからそのうちのどれかかもしれないが多すぎて特定できない。
ちなみに俺は生まれたばかりの赤子、一人では飯を食う事も出来ない。
呪力で強化すれば別だが、買い物や金はどうしようもない。
しばらくは家にあるもので食いつなげると思うが…家に飯がなくなったら警察のお世話になるか。
今すぐにお世話になったら母親のもとに返されるはず、そしたら虐待やネグレクトが待っているだろう。
それなら母親がどっか行った後に児童養護施設にボッシュートされる方がいい。
呪術廻戦の世界なら今の時代は前世とそんなに変わらないはずだから児童養護施設もちゃんとしたものだと思う、そうじゃなかったら?まあどうしようもないかな。
幸い身体能力だけなら大の大人が大人数で掛かってきても勝てるレベルだ。
つっても暇だな、幼少期。
六歳になったら小学校に通うことになる。それまで時間が有り余っている。
そうなると、修行か。
呪力総量は増えないが出力と効率は鍛えれば鍛える程上がるはず。
あとゴリラ力だな、呪術廻戦はゴリラ力勝負と言えるくらいゴリラ力が重要だ。
早速取り掛かるぞ。
まだ首も真面に座っていない体を呪力で強化し、立ち上がる。
赤子用ベットから掃除されておらず、汚い床に降り腕立ての姿勢を取る。
腕立てをしながら呪力を循環させる。
最初はゆっくり、段々と速く。
すると呪力操作に綻びが出てくる、それをその都度直し呪力精度を高める。
呼応するように腕立ての速度も上がる、既に残像が出てきている。
一通り終わらせた後で自分を客観視する。
めちゃくちゃシュールじゃん。
はたから見れば五歳にも満たない赤子が高速で腕立てをしているということになる。
とういか実際そうなのだが、客観すれば爆笑ものだ。
そういえば最近、生得術式が発現した。
術式は赤血操術。
そう、加茂家の相伝術式だ。
そのとおり、禪院の十種影法術や五条の六眼、無下限呪術と比べて地味な赤血操術だ。
少し肩透かし感は否めないが十分有能な術式だろう。
しかしそれは反転術式を習得していた場合だ、反転術式が無ければ消耗速度がガン早なクソ燃費術式である。
俺の血が呪霊に毒かも調べなければならない、そうでなかったら本当に地味な術式になるが。
一応当たり術式と言っていいものだな。
そんなこんなでスクワットやら上体起こしやらしながら数日過ごした。
そして食料がとうとう尽きた、一日三食食べれば意外とすぐになくなるもんだな。
受話器を取り、番号を入力する。
児童養護施設…長いな、孤児院でいいか。
孤児院の花ぞの園に入った、そして出会った。
「こんにちは!わたし
推しの子は殆ど知らないが流石にこれは分かる。
星野アイ、伝説のアイドルにしてドーム直前に死んだ悲劇のアイドル。
その子供時代がそこには居た。
「ああ、こんにちは。これからここでお世話になる
この世界クロスオーバーだったのかよ…
まあクロス先が推しの子だったのは幸運だろう、現代に準拠した作品で世界の危機みたいな厄ネタは無かったはずだ。
他の子供も俺に自己紹介をしている、それに全て反応する。
それが終わったら質問攻めにあった、対処しながら孤児院を見渡す。
―――呪霊が多い。
孤児院の子供たちは表面上明るくふるまっているが、こういう施設に居る以上腹に一物抱えているのだろう。
まあ、術式持ちや呪力総量が多いものは居ないっぽいから定期的に祓えば問題ないな。
その日の夜、孤児院の全員が寝静まった頃。
この時間帯に出てくる強力な呪霊が居ないか探すために孤児院を探索している。
「大きな呪力を持っている呪霊は居なそうだな、なら今のうちに雑魚呪霊を祓っとくか」
呪力で身体を強化し、呪霊を殴って祓う。
術式を使わないのかだって?
朝起きたら孤児院が血まみれだったら大事件だろう。
ギィ…
呪霊の断末魔が心を躍らせる、呪霊を祓うのが楽しい。
精神的にも呪術師の才能があるかもしれない。
そんなことに気を取られていたからだろうか、物陰から近づいてくる何者かに気付けなかったのは。
「ねぇ…なにしてるの?」
見られた、やってしまった。しかもよりにもよって星野アイだ。
「っ…!?」
どうする?誤魔化せるか?
もしかしたら決定的なところは見られていないかもしれない
「あ、あぁ…喉が渇いたからさ、水を飲みに来てたんだ」
「うそ、おばけのこと倒してるの見たよ」
はい!終了!おつかれサマンサー!!!
たぶんつづかない。