1人の少女が眠っていた少年に語りかける。
『さようなら、ヒノス。』
『そして、おやすみ、ヒノス。また、出会える日まで――』
『――ヒノス!』
「……んあ?」
俺は目を覚ます。
辺りを見渡すと、いつもの花畑だった。
俺の手には1本のケシの花があった。
俺はケシの花を近くに置き、立ち上がる。
『もー!目を離したらいっつも寝てるんだから!』
「わ…悪い…」
『ほら!早く学校行こ?』
「ちょ…待てってミカ…!」
走り出したミカに追いかける。
ミカは振り返り、楽しそうにこちらを見て、再び走り出した。
俺はさらにミカとの距離を縮める。
俺は手を伸ばし、ミカの肩を掴む。
ミカは止まり、ニコッと笑う。
「はぁ…はぁ…つ…疲れた…」
『ほらほら!早くしないと学校遅れちゃうよ〜?』
「そもそも…ミカが毎回花畑通って学校行こうって言うから…」
『でも、それは花畑で寝ちゃうヒノスが悪いんじゃない〜?』
「うぐっ…た、確かにそうだが…」
『ま、いいじゃん!早く行こ!』
「はぁ……あぁ。」
俺はミカの隣で歩く。
ミカは楽しそうに歩いている。
非対称的に俺は疲れている。
長い道のりを歩き、学校に着いた。
『遅いですよ?ミカさん?ヒノスさん?』
『あ、ナギちゃん!』
『「あ、ナギちゃん!」じゃありませんよ。遅いですよ!』
「わ、悪い…」
『まったく…』
ナギサはいつも通り俺たちより早く学校に来ていた。
というか、俺たちが遅いのだが…
『ミカさんはティーパーティーとして、責任感を持ってください。』
『え〜?ヒノスには何も言わないの〜?なんで私だけ?』
『ヒノスさんはミカさんよりちゃんとしているからですよ。』
『私だってちゃんとしてるよ?』
『ミカさんはこの前だってゲヘナの方と問題を起こしたそうじゃないですか。』
『な、なんでナギちゃんが知ってるの!?』
『ヒノスさんから全部聞きましたよ。』
『え!?』
『ヒ、ヒノス!あの事は黙っててって言ったじゃん!』
「悪いな。俺は口が軽いんだ。」
『もー!!』
「今度なんか買ってやっから。そんな怒んないでくれ。」
『いくらなんでも幼馴染でもそれは許せないかなぁ〜!』
「ごめんって。マジで今度欲しいもん買ってやるから。」
俺はミカを宥めながら、ナギサの方へと向く。
「それより、ナギサ。」
『なんですか?』
「最近耳にしたんだけど。なんか先生が毎日トリニティに来てるって噂を聞いたんだけど…」
『……』
ナギサはミカの方を見る。
ミカは咄嗟に顔を背ける。
ミカの頬には冷や汗が流れている。
ナギサはため息をつく。
「やっぱ、あの日の襲撃事件か?」
『……ここでは答えれません。』
「……そうか。」
セイアが殺されたあの日以来…
ナギサも考え込んでるみたいだな…
それに…最近ミカの言動が異常だ…
ミカはナギサの言うことには大体賛成してたが…
最近はエデン条約絡みだけ反対する事が多くなってきた…
流石にゲヘナ嫌いだからでは片付けれなくなってきた…
ミカは…何か隠しているのだろうか…
心配だ…
もう、無事を祈るしかない…
無事にエデン条約が終わる様に祈るしか…
俺はそう思いながら、ナギサ達と別れ、自分のクラスに行く。
クラスはクラスメイトの談笑する声で溢れていた。
俺は自分の席に座る。
それそも…一番謎なのはセイアの死だ。
なぜ、セイアが狙われた…?
トリニティの誰かか…?
それとも、ゲヘナ…?
誰が殺ったんだ…?
分からない…
とりあえず、今後はエデン条約まで大人しく待っとくか。
俺はそう決めた瞬間、チャイムが鳴った。
教室の談笑していた声は段々と小さくなり、皆戦術教育BDを取り出し、知識を学び始めた。
俺もそれに続くように戦術教育BDで知識を取り入れ始めた。
……
50分後、授業の終わりを知らせるチャイムが鳴る。
なんとなく廊下に出て、窓から外を見るとエデン条約の準備が進めてあった。
俺は実感する。
明日、トリニティとゲヘナで犬猿の仲に終止符が打たれるのだと。
俺はこれでナギサの負担は無くなると思うと、安心した。
多分、ミカも精神的にストレスがかかっていたのだろう。
俺はそう思い、教室に入った。
数時間後、学校は何事も無かったかのように終わった。
俺は1人で帰る。
ナギサはティーパーティーとしての最後の準備があるらしい。
ミカは何か用事があるといい、どこかに行ってしまった。
俺は朝歩いた道を歩く。
見た慣れた光景に辿り着く。
朝、俺が眠ってしまった花畑だ。
花畑にはケシの花やヒガンバナ、シオンにミヤコワスレ、白カーネーションなどが咲いている。
とても、綺麗で美しい。
俺はそう思い、地面に座る。
ここは、俺の好きな場所だ。
落ち着くし、安らぎを与えてくれるからだ。
こんな気持ちが、学校に居る時も続いたらいいのに。
そう思いながら、立ち上がる。
帰ろう、家に。
俺は歩き出した。