ヤムチャになったってどうしたらいい 作:茉莉
タンバリンの死体(であった塵)を見つめながら、俺は決意を固めた。ここで悟空と一緒にピッコロ大魔王の刺客を各個撃破していくのも一つの手だが、効率が悪すぎる。今の俺に必要なのは、さらなる「次元の違う修行」だ。
「クリリン、悪いが俺は別行動をとる。お前は今すぐ悟空たちのところへ戻って、このことを伝えてくれ。決して一人で行動するなよ」
「えっ!? ヤムチャさん、どこに行くんだよ!」
「……世界を救う『鍵』を握ってる場所に、先回りしてくる」
俺は困惑するクリリンを残し、夜の闇へと飛び出した。向かう先はカリン塔、そしてそのさらに上空。カリン様には以前お世話になったが、今回はその上の「神殿」が目的地だ。
本来なら、ピッコロ大魔王を倒した後に悟空が向かう場所。だが、原作の知識がある俺に「順番待ち」なんて言葉はない。
カリン塔に到着した俺は、驚くカリン様を説得し、神殿へと繋がる「如意棒」のジョイントへと向かった。
「お主、まだピッコロを倒しておらんのに神様に会おうというのか……。だが、その実力と覚悟、タダ事ではないようじゃな。行ってみるがよい」
カリン様の許可を得て、俺は如意棒を伸ばし、雲を突き抜け、天空に浮かぶ巨大な神殿へと辿り着いた。
「……待っていたぞ、ヤムチャ」
神殿のタイルを踏んだ瞬間、深緑色の肌をした付き人――ミスター・ポポが姿を現した。その隣には、ピッコロ大魔王の半身である「神様」が、静かに、だが鋭い眼差しで俺を見つめている。
「神様……。急な訪問、失礼します」
「お主のことはカリンから聞いておる。そして、下界で起きた異変もな。……まさか、悟空よりも先に、これほどまでの『気』を持つ人間がここへ来るとはな」
神様は俺の前に立ち、その杖をカリンと鳴らした。
「お主は、ピッコロを倒すために来たのか?」
「それだけじゃありません。ピッコロを倒したその先……数年後に来る、宇宙からの脅威。それに対抗できるだけの力を、俺に、そして地球の戦士たちに授けてほしいんです」
俺は深く頭を下げた。ただのヤムチャなら、ここで「傲慢だ」と一蹴されるかもしれない。だが、俺は重力スーツでの過酷な修行、そして天津飯や悟空との死闘を経て、精神的にも「戦士」として完成されつつあった。
「……ポポよ。この若者を試してやるがよい。ただし、今までのような修行では済まぬぞ」
ミスター・ポポが無表情のまま、俺の前に立った。
「ヤムチャ……。ポポ、お前を鍛える。無駄な動き、まだある。心の雑音、消す練習。……始め」
こうして、俺の「神殿での先取り修行」が始まった。
下界ではピッコロ大魔王が世界征服を目論み、悟空が超神水を求めてカリン塔を駆け上がっている頃だろう。だが、俺はここで「精神」と「気」の真理を、数年分前倒しで叩き込む。
「……見てろよ。ピッコロ。お前が世界を恐怖に陥れる前に、俺がその絶望を終わらせてやる」
薄暗い神殿の広間。俺はミスター・ポポの動きを追いつつ、新たな次元の「気」の制御へと足を踏み入れた。