ヤムチャになったってどうしたらいい 作:茉莉
あの日、天下一武道会の決勝で悟空に勝利し、運命の歯車を強引に書き換えてから数年。世界は穏やかな時を刻んでいた。
俺、ヤムチャは、カプセルコーポレーションの広大な庭で、懐かしい顔ぶれを待っていた。隣には、五年前よりもさらに洗練された美しさを放つ妻、ブルマがいる。
そう、俺たちは結婚した。
「噛ませ犬」の汚名を返上し、世界最強の武道家の一人となった俺に、ブルマはもう愛想を尽かすことはなかった。それどころか、俺の「修行バカ」な面に呆れつつも、誰よりも俺の安全を気遣い、最高の修行環境を提供し続けてくれている。
「ヤムチャ! ほら、みんな来たわよ!」
ブルマの声に顔を上げると、空からクリリン、天津飯、餃子、そして亀仙人のじっちゃんたちが降りてきた。
「よお、ヤムチャ! 随分と幸せそうじゃねえか」
「相変わらず凄まじい気だな。結婚しても修行を怠っていないようだな、ヤムチャ」
クリリンたちが笑い、天津飯が感心したように俺の肩を叩く。かつてのライバルたちとの再会を楽しんでいると、ひときわ懐かしく、そして凄まじく澄んだ「気」が近づいてきた。
「おーーーい! みんなーーー!!」
筋斗雲にまたがった悟空が、後ろにチチを乗せて、そしてその腕には小さな子供を抱いて降りてきた。
「よお、みんな! 久しぶりだな!」
「悟空さ、ほら、悟飯ちゃんも挨拶して!」
チチに促され、悟空そっくりの尻尾を生やした少年——悟飯が、恥ずかしそうにぺこりと頭を下げた。悟空は数年ぶりだというのに全く変わらない無邪気な笑顔で、俺たちの前で胸を張った。
「へへ、驚いたか? オラの息子の悟飯だ。……それよりヤムチャ! おめえ、ブルマと結婚したんだってな! 驚いたぞぉ!」
「はは、お前こそ立派な父親じゃないか。……でも、悟空。今日はただの同窓会じゃないんだ」
俺の表情が引き締まると、場に緊張が走った。俺はこれまで隠してきた「未来の脅威」について、少しずつ話し始めた。宇宙から来る戦闘民族サイヤ人のこと、そして、その先兵がもうすぐこの地に降り立つことを。
その時だ。俺の腰にある通信機が激しく鳴り響いた。
「……来たか」
東の地点に、凶悪な気が激突する。かつてない絶望の幕開けだ。
俺は悟空と目を合わせ、静かに頷いた。
「行こうぜ、悟空。……地球を、俺たちの家族を、守るために」
俺はブルマの手を一度だけ握り、白銀のオーラを爆発させた。
幸せな日常の終わり。だが、今の俺には守るべき妻が、仲間が、そして確かな自信がある。
サイヤ人編、開幕。