ヤムチャになったってどうしたらいい   作:茉莉

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第22話

「ふん……この星のゴミが。少しばかり出力を上げた程度で、この俺を脅せると思ったか。その増長、万死に値するぞ」

ベジータの冷徹な宣告と共に、荒野の空気が凍りついた。

その直後、凄まじい衝撃波と共に一人の男が地面を割って吹き飛ばされてきた。巨漢のナッパだ。

「がはっ……!? 馬鹿な、この俺が……こんな下級戦士に……!」

ナッパの全身はボロボロで、その自慢のタフネスは完全に破壊されていた。背後から静かに歩み寄る悟空の周囲には、一切の無駄がない研ぎ澄まされた気が立ち昇っている。

「ナッパ、もうやめろ。おめぇじゃ、オラには勝てねぇ」

悟空の冷たくも重い一言に、ナッパが逆上して飛びかかる。だが悟空は、目にも留まらぬ速さで背後に回り込むと、強烈な一撃をその背骨に叩き込んだ。

「ぐああああああっ!!」

動けなくなったナッパをゴミのように一瞥し、ベジータが冷酷に指先から光を放って始末する。「動けぬサイヤ人は必要ない」という非情な幕引き。そして、ベジータは鋭い眼差しで俺と悟空を捉えた。

「カカロット、そして名もなき地球人よ。……どうやら、ただのゴミ掃除というわけにはいかなくなったようだな」

「ヤムチャ! ひとりじゃねぇ、オラも一緒に戦うぞ!」

「ああ、心強いぜ悟空。最強のサイヤ人の王子様に、地球人の意地を見せてやろう」

二人の気が共鳴し、荒野に巨大な渦を巻く。一瞬で間合いを詰めたベジータの鋭い回し蹴りを、俺は「剛気纏」を施した腕で受け止め、その隙を突いて悟空が死角から重い拳を叩き込む。

「くっ……! なんて連携だ、全く隙がない……! 初対面の貴様らが、なぜこれほど正確に俺の動きを封じてくる!?」

ベジータの顔に屈辱と驚愕の色が混じる。俺が「繰気弾」を十数発展開し、ベジータの逃げ道を封鎖する檻を作る。そこへ悟空が神速の踏み込みを見せる。

「界王拳……三倍だぁーーーーっ!!」

赤いオーラを纏った悟空の連撃がベジータを襲う。俺は「繰気弾」を悟空の拳の軌道に合わせて爆発させ、打撃の威力を物理学的に増幅させる。武術と科学の融合が、名門戦士を翻弄する。

「がはっ、あがっ……! おのれぇ……! この俺が、カカロットならいざ知らず、こんな星の原住民ごときに!!」

ベジータが全身から禍々しい紫色のオーラを爆発させ、力任せに俺たちを突き放した。彼は上空高く舞い上がり、狂気を感じさせる笑みを浮かべる。

「よかろう。貴様らごと、地球を塵にしてくれる! 避けてみろ、避ければこの星は終わりだぞ!!」

ギャリック砲の構え。惑星破壊級の光が指先に収束していく。

「ヤムチャ! あれを受け止めるには、もっとデケェ気が必要だ!」

「分かってる、悟空! 元気玉だろ? 俺が時間を稼ぐ、作ってくれ!」

俺は悟空の前に立ち、全エネルギーを「操気結界・零式」に注ぎ込んだ。

「ギャリック……砲ォォォーーーーッ!!」

紫の閃光が俺の結界を叩く。結界が悲鳴を上げ、俺の肉体がミシミシと軋む。だが、俺の後ろでは悟空が地球の、生き物たちのエネルギーを集めていた。

「待たせたなヤムチャ! 準備はいいぞ!!」

「今だ、悟空!!」

俺は結界を解くと同時に、ベジータのギャリック砲の周波数を一瞬だけ「反転」させた。爆発的な反発力が生まれたその刹那、悟空が巨大な青白い光の球を放り投げる。

「くらえぇぇ! 元気玉だぁーーーーっ!!」

反転したギャリック砲の勢いに乗り、加速した元気玉がベジータの光を真っ向から貫いた。

「な、何だと……!? 俺のギャリック砲が……押し戻されている……!? ありえん、ありえんぞぉぉぉーーーーっ!!」

自身の全力と、地球のエネルギーが融合した巨大な光に飲み込まれ、ベジータの叫びが空の彼方へと消えていった。

閃光が晴れた時、そこにはボロボロになり、膝をつく「惑星ベジータの王子」の姿があった。

俺と悟空は肩を並べ、戦慄するベジータを見下ろした。

「……これでおしまいだ。俺たちの運命は、もう俺たちが決める」

ベジータは苦しげに息を吐きながら、傍らで戦況を見守っていたピッコロを忌々しげに睨みつけた。

「……ふん、笑わせるな……。貴様らのようなゴミに、この俺が屈したままでいると思うか。……ナメック星人……。貴様らと同族の故郷、ナメック星に行けば、もっと願いの叶う強力なドラゴンボールがあるという話だ……」

ベジータは血を吐きながら不敵に笑う。

「……俺はそこへ行く。そこで不老不死を手に入れ、貴様ら全員を、そのナメック星もろとも……地獄へ送ってやるからな……!」

ベジータは這いつくばるようにしてリモコンを操作し、宇宙船へと乗り込んだ。

悟空はそれを追おうとはしなかった。

「……行かせてやろう。あいつとは、もう一度真っ当に戦いてぇ」

宇宙船が空の彼方へ消えていくのを、俺は静かに見守っていた。

「ナメック星……か。聞いたか、ピッコロ。お前の故郷があるらしいぜ」

俺の知っていた「未来」が、ベジータの口から自然な「現実」として語られた。俺は隣に駆け寄ってきたブルマを抱きしめ、新たな決意を胸に秘めた。

「ヤムチャ、あんた最高だったわよ! でも、あいつの言ってたこと、放っておいていいの?」

「ああ。……ナメック星だったな。次はそこに行かないとな。もっとすごい修行が必要だぜ、悟空、みんな」

「おう! 負けねぇぞ、ヤムチャ!」

俺たちの戦いの舞台は、ついに宇宙へと広がっていく。

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