ヤムチャになったってどうしたらいい   作:茉莉

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第23話

「ナメック星……か。聞いたか、ピッコロ。お前の故郷があるらしいぜ」

荒野に静寂が戻る中、俺はベジータが残した言葉を反芻していた。原作の知識を持つ俺にとって、これは想定内の流れだが、仲間たちにとっては未知の希望であり、恐怖の始まりでもある。ベジータが宇宙へ逃げ去った直後、俺たちはすぐさま次の一手へ動き出した。

まずはナメック星の正確な位置を知る必要があった。俺は悟空に頼み、神殿の神様を通じてあの世の界王様にコンタクトを取ってもらう。悟空が精神を集中させると、やがて界王様の、これまでにないほど狼狽した声が響いてきた。

「悟空よ、ナメック星は確かに存在する。だが、絶対に行ってはならん! あそこには今、ベジータなど比較にならんほどのとてつもない悪の気が集まりつつある……宇宙の帝王と呼ばれるフリーザという怪物がな!」

界王様の震える声が響く中、俺は悟空に向き直った。

「悟空、ナメック星へ行く前に……俺に『界王拳』を教えてくれないか。お前の戦いを見ていて確信した。あの技の理論を俺の『剛気纏』と組み合わせれば、さらに上の次元へ行けるはずだ」

悟空は驚いたように目を丸くしたが、すぐにニカッと笑った。

「おう、いいぞヤムチャ! おめぇのセンスなら、きっと使いこなせるはずだ!」

ナメック星への移動手段は、ブルマがすぐに見つけ出した。神様がかつて地球に来た時に乗っていた宇宙船をユンザビット高地で回収し、それをベースにブリーフ博士が最新鋭の修行用宇宙船を完成させてくれたのだ。

「ヤムチャ、悟空くん。最大で『重力300倍』まで設定可能にしたわ。死なない程度に頑張ってきなさいよ!」

ブルマの激励を背に、俺、悟空、悟飯、クリリンはナメック星へと旅立った。そして、宇宙を移動する数週間、俺たちの船内は言葉通りの地獄と化した。

「よし、悟空! 重力100倍だ! ここから界王拳の修行を本格化させるぞ!」

俺は悟空から界王拳の極意――体内の気を一気に増幅させ、爆発的なパワーを引き出す術を学び、それを自分の「剛気纏」と融合させていった。本来、界王拳は肉体への負担が凄まじい諸刃の剣だが、細胞レベルで気を循環させる「剛気纏」が、その負荷を劇的に和らげる緩衝材の役割を果たしたのだ。

修行の日々は過酷を極めた。150倍、200倍と重力を上げるたびに、俺は「界王拳二倍」「三倍」と出力を上げていく。

「はぁっ……はぁっ……! 剛気纏……界王拳、五倍だぁ!!」

白銀のオーラに赤い輝きが混ざり、俺の肉体は眩い光を放つ。300倍の重圧の中でも、俺は羽が生えたかのように軽く、そして鋭く動くことができた。

悟空もまた、俺の科学的な気のアプローチに刺激を受け、自身の界王拳をさらに研ぎ澄ませていく。

「すげぇぞヤムチャ! おめぇの界王拳は、オラのと違ってブレがねぇ。気が体にしっかり固定されてるんだな!」

「ああ、これが地球の武術と科学の結晶だぜ、悟空!」

目的地が近づく頃、俺はついに300倍の重力下で、肉体に一切のダメージを残さず界王拳十倍を維持するまでに至っていた。もはやかつてのヤムチャではない。俺たちは、宇宙の帝王をも震撼させる「究極の戦士」へと変貌を遂げたのだ。

「(待ってろよ、フリーザ。お前が絶望を味わう番だ)」

窓の向こうに、緑豊かなナメック星が見えてきた。

激しい振動と共に船が着陸する。ハッチが開くと同時に、鼻を突くようなおぞましい殺気と、助けを求めるナメック星人たちの悲鳴のような気が流れ込んできた。

俺と悟空は顔を見合わせ、静かに頷くと、戦火に包まれた大地へと飛び出した。

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