マシュ・キリエライトしか分からない   作:ats376

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冬木後アフタータイム

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「_____と、ここまでが先輩がカルデアに来られてから冬木での出来事の概要になります。あ。戦闘描写は簡略化してます。そんなに重要ではないので」

「・・・そう」

 

力なく返事をする女性。カルデアの所長たるオルガマリー・アニムスフィア。

マシュから唐突に振られた謎の書籍「ファーストサーヴァントは譲れない」について内容の確認を求めた結果がこれだ。

頭の中で冬木での出来事を要約する。

 

①藤丸はORTと同棲していて、カルデアにも着いてきている。否、憑いてきている。

②謎のシールダーと戦闘になっていた

③自分が死んでる

④境界記録帯と化したマシュが覚醒してる

⑤ビーストに近い何かを藤丸が早々に従えていた

⑥まだ第一特異点にすら入ってない

 

 

オルガマリーは懸命に頭を回転させていた。なぜこんなにも必死なのか?

マシュがマスターを讃えつつも混沌とした書籍でしかなかったはずが、いつの間にか贋作とはいえビーストが出てきている。

 

    『ビーストが出てきている』

 

           『ビ ー ス ト が 出 て き て い る』

 

 

おさらいだが今のオルガマリーは経営顧問により物理的にクビが飛びかねない状況である。

ビーストによるものである現在の状況。その疑いや危険性が睨まれている今。

本来終わったはずの旅が再開し、それぞれの道を歩み始めた者達が今一度カルデアに集められている。それも記憶を一部失った状態でだ。なのにマシュは謎の記憶を有している。

もしも。そう、万が一にその真犯人についてのヒントがこの脳が理解を拒む書籍にあるとしたら....? そんな可能性が捨てきれない。捨てたいのに。

 

「ねぇ、マシュ」

「なんでしょうか所長」

「嘘偽りはないのよね?アスクレピオス達に頼んで診察して貰う必要は無いわよね?」

「もちろんです!体も健康そのものです。自己管理は完璧ですので」

 

曇りが一切無い瞳と自信に満ちた表情。マシュの性格的に嘘をついていないのは間違いない。

先ほどから心拍数がかなり上がっているのが感じられる。冷や汗も止まらない。

なぜこんなトンチキ文章で苦しまねばならないのか。

いやまて、冷静に考えよう。あり得るのかこんな話。

じっくり考えて数分。

 

 

 

「やっぱり認められないわ!!」

「ど、どうしたんですか!? 所長。急に声を荒げられて....」

大きく深呼吸しオルガマリーは決意を口にする。

「この書物は発禁処分にするわ! いや、おかしいでしょ!? なにこのやっばい爆弾の塊! なにこれ、ふざけてるの...?」

「大真面目です。パーフェクトですよ、オルガマリー所長」

 

意志が堅い。まるで粛正防御と防御アップバフを合わせたような堅さ。

どうしてこんな目に。

「マシュ、もしもこの先の話を私が聞いた場合はどうなるのかしら?一応確認だけしておくわ。見所は?」

「この先はあまり流れに変化はありません。第一特異点、第二特異点と....、順番に旅をしていく話となります。見所は内緒です。なぜなら今はまだ語るときでは無いからです」フフッ

「そんなところで先代経営顧問に近づかないでいいのよ・・・・」

「これは間違いない作品となるでしょう。先輩の偉業を後世へ語り残す参考文献として扱われる日が来るかも知れません...!」

「(こないで)」

 

 

□□□

 

それからもマシュとオルガマリーの話は続いた。

例の書物についてではなく、果たしてこの特級呪物の存在を許すか許さないか、というテーマで。

議論は平行線で決着が見えない。

なんとしても文字にしたいマシュ。なんとしてでも阻止したいオルガマリー。

 

この戦いに、正義は……ない。

そこにあるのは……純粋な願いだけである……。

その是非を問える者は……。

 

 

 

 

「何してるの二人とも」

「っ!先輩」

「なっ、藤丸!?」

 

そこに現れたのは藤丸立香。人類史を救う戦いを幾度となくくぐり抜けたマスターである。訓練の終わりであろうか。

ほんのり汗ばんでおり袖をまくった腕は鍛えられた筋肉がまぶしい。

「ありがとうございます!!」

「どうしたのマシュ」

「お気になさらず。ただ、なにか心が満たされた気がしましたので」

「そう、まぁそれならいいか・・・」

「いや、よくないのよね。本当に。藤丸、貴方の助けが必要よ」

 

「え?」という抜けた声が口から漏れる。何気なく通りかかったらものすごい深刻な顔で見つめられている。マシュからはなぜかじっとりと見つめられている。

自分の知らない空気感。心優しい青年は快く返事を返す。

 

「助かるわ...。とりあえず一通り話すから内容を確認してちょうだい」

 

 

□□□

 

オルガマリーがメモを取りながら聞いた話を藤丸へ伝え終わりげんなりしている。

どこか満ち足りたような表情をするマシュとは対照的である。では話を聞かされた藤丸がどうなったかというと

 

「??????????????」

宇宙に放り出された猫のようになっていた。

ORT? ORTってあのORT? 自分が同棲していた?

あとマシュのパラディーンへの変化が唐突すぎる。

 

「えぇ....何それ...知らん...怖.......」

「先輩!?」

 

藤丸は歴戦のマスターである。

ビースト達と戦い、特異点を少なくない数攻略した。一癖も二癖もある英霊達とつながりを持った。

夏やクリスマス、ハロウィン...。意味不明なことも思い出せばたくさんある。

忘れたくても忘れられない思い出が山ほどある。だが知らない。

マシュが言う話はどれだけ頑張っても記憶に浮かび上がってこない。

 

「マシュ、多分疲れてるんだよ......」

「先輩まで...、このファーストサーヴァントの私を信じていただけないのですか?」

「そういうわけじゃ、いや。それも違うな。俺の記憶にないんだよ。サバフェス用の本なら手伝うよ?」

「サバフェス用ではありません。これは先輩の偉業を書き残した書物『ファーストサーヴァントは譲れない』です。僭越ながら、お間違えなく」

 

オルガマリーは頭を抱えていた。これもう藤丸でだめなら無理じゃないの....。そんな結論が頭に浮かんでいた。

 

「.....いいでしょう。ここは結論は譲ります。所長」

「き、急にどうしたのよ」

「我々の意見は平行線です。それは貴方が所長という地位、これまでの経験から来ているものもあるかもしれません。ですので中立的な方にお伺いしましょう」

「うん、俺もそれがいいと思う」

 

 

 

 

 

「というわけで先輩。ご判断お願いしましゅ」

「ゑ”?」

「藤丸...頼んだわよ...!! 場合によっては私の首が飛ぶのよ。聡明な決断をお願いするわ」

 

 

 

                 【マシュの意思を尊重する】

                  【所長の意志を尊重する】

                   【銀歌に願いを】

                【そんなことよりおうどん食べたい】

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