午後の昼下がり、それは午前の仕事に一区切りをうち、食事と休憩も終えてまた労するまでのワンクッション。
穏やかであればなおよい。
しかし、カルデアの所長たるオルガマリーには刺客が迫っていた。
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「所長、突然ですがこのマシュ・キリエライトが現在執筆中の『ファーストサーヴァント
は譲れない』の文書の構成について相談をお願いして良いですか?」
「えっ、何それ。」
「失礼しました。簡潔に説明すると、これまでの旅において私と先輩がカルデアの一員として
歩んできた旅路を小説として纏めたものになります。特異点の内容、異聞帯での出来事。
諸々について小説という形式で形にしたものになります。」
「いや、流石にそれは....。(いや、待つのよ。オルガマリー。これは良い機会よ。現場で
の活動を記録したものとなればまた違う情報が見えてくるかもしれない。)いいわ。見せ
てみなさい。といっても、全部は見れないから、ざっくりとかいつまんでいくつかに目を
通してみるだけだけど。」
「ありがとうございます。では、こちらがいくつかの章立てでの原稿の写しとなります。書
き上げるための要点を纏めた概略版ですが、おおよその全体像はつかめるようになってい
ます。」
「えぇ、ありがとう。じゃあ机の腕に置いておいて。夜にまた読むから。」
「はい!では失礼します」
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~その夜~
オルガマリー・アニムスフィアは悩んでいた。本当に悩んでいた。というか困惑していた。最初に頭に思い浮かんだ感想は
「???????」
だった。
自分はやはり宇宙人なのか、マシュが宇宙人なのか。
真面目な彼女は心底困惑していた。
「知らない知らない!!いや、知ってるのもあるけど!!何これ...?」
「マシュが疲れでおかしくなっ...?いやそんなはずはない。」
「本当に分からない....。内容が情報量の嵐すぎて反応が追いつかずに脳が理解を拒んで
る。」
「マシュに直接聞いてみるしかないわね。聞くのが怖くなってきたんだけど。」
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「マシュ、昨日の夜読ませて貰ったわ。」
オルガマリーは内容が気になりすぎて満足に寝れず、少し疲れた顔でマシュへ話しかけた。
「おはようございます。所長。...大丈夫ですか?すこし顔色が優れませんが。」
「気にしなくて良いわよ。そ れ よ り も。」
「何よあの原稿!?フジマル銀河帝国って何!? ORTが同居人ってどういうこと
よ!? あとなんか知らないサーヴァントが多い多い!。特異点も見覚え、聞き覚えが
ないものがたくさん!何か悩みとか抱えてる?相談に乗るわよ?」
まくし立てるようなオルガマリーの言葉。それに対するマシュの反応は
「ご心配には及びません、、所長。私が経験したことを、先輩の雄志を。克明に記録した
のがこの『ファーストサーヴァントは譲れない』です。何の問題もありません。」
頭を抱えるオルガマリーは、はっとした表情でマシュへと向き問いかける。
「....どの程度まで書いてるの?」
「先輩との出会いから、終局特異点までですね。細かい特異点も記録しています。」
「嘘でしょ?」
オルガマリーは思う。これは危機なのでは? ここで明らかにしておかなければ何か大事に繋がるのではないか? ビーストに関わる話もあるのではないか?
オルガマリーは選んだ。このトンチキな展開に対して選択を下したのだ。
「マシュ、落ち着いてゆっくりと。」
「あなたが経験したという話を。」
「念のために。そう、念のために聞かせてくれるかしら?」
「所長...!! お任せ下さい。このマシュ・キリエライト。人類最後のマスターの
ファーストサーヴァントとしてお話しします。」
「加減はしてちょうだいね? いや本当に」
始まってしまった地獄。オルガマリーは逃れられない