マシュ・キリエライトしか分からない   作:ats376

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パン。神(かん)パン

巨大な孔をその背骨へ作り上げた。

穿たれた穴の奥から、灼けつくような黄金光が溢れ出す。熱ではない。発酵と焼成を同時に行うような、濃密な魔力の奔流だ。

 

「侵入口、確認。急いで」

 

エルキドゥが振り返る。

孔の縁が蠢いている。削れたはずの黄金骨格が、生き物のように再生を始めていた。

 

「ティアマト、ORT、突入!」

 

藤丸の合図に、母なる竜が翼を打ち宇宙蜘蛛が歩脚を抉りこませる。

巨体が孔へ滑り込む瞬間、雷光が迸った。だが懐へ入り込んだ今、威力は分散している。ティアマトは意にも介さず、爪で縁を押し広げながら内部へと侵入した。

 

視界が反転する。

 

外殻の内側――そこは、神殿と工場とが無理やり融合した異様な空間だった。

 

天井には歯車が浮遊し、鎖で繋がれた巨大な捏ね鉢がゆっくりと回転している。床は生地のように柔らかく、踏むたびに弾力が返る。壁面には無数の窯が並び、内部で黄金色の何かが脈打っていた。甘い匂いが鼻を刺す。だがその奥に、鉄とパンの焦げた臭気が混じっている。

 

「うわぁ〜……パンの神殿ですね〜」

 

パンドラが、のんびりと呟く。

 

「藤丸、私はいつもと同じようにお前の魔力サポートに戻る。ではな」

 

人型に戻ったORTが影に潜り込む。戦えば恐ろしく強いが基本的にやる気が無い。人類の問題はそっちでなんとかしろ、こっちは藤丸で忙しい。そんなスタンスはこの期に及んで変わらないらしい。

 

「それにしても、歓迎は手厚いようだ」

 

ネビル・シュートの車輪が静かに回転を始める。

 

その瞬間、床が波打った。

製造ラインの生地が裂け、丸パンが弾丸のように射出される。続けて、三日月状のクロワッサンが回転刃と化して襲いかかる。

 

「右から来ます、マスター!」

 

マシュが盾を構え、魔力障壁を展開。衝突した丸パンが弾け、蒸気を上げる。

だが数が多い。

天井の窯が一斉に開き、今度は巨大な食パンが落下してきた。角ばった質量がそのまま押し潰しにかかる。

 

「些か乱暴な歓迎だ。しかし食欲を刺激する外見ではない」

 

ネビルが前へ出る。

回転数が跳ね上がり、パンジャンドラム形態の巨体が突進。落下する食パンを正面から粉砕し、その勢いのまま通路を押し広げる。

砕かれた欠片が雪のように舞う。

 

「ノープロブレム!多少の焦げ跡は勲章だ!」

 

「多少で済んでない!」

 

だが笑っている余裕はすぐ消えた。

奥から、低い唸り。

焼成炉の扉がゆっくりと開く。中から現れたのは、牛頭を持つ超大型パンエネミー。全身が飴色に硬化し、表面には雷紋が走っている。

 

「・・・・・グガランナの魔力を直接通している」

 

エルキドゥが呟く。

牛頭が咆哮した。

音波と共に、空間が歪む。天井の歯車が高速回転し、魔力を圧縮。次の瞬間、黄金の光線が掃射された。

 

「伏せて!」

 

藤丸の声。

ティアマトが翼で一行を庇う。光線が竜の鱗を焼くが、母は退かない。

 

「母は、平気」

 

だが床が崩れる。

生地が溶け、下層へと通じる縦穴が露出する。

 

「構造そのものが可変式か……!」

 

エルキドゥの鎖が伸び、天井へと絡みつく。崩落から一行を引き上げる。

その間にも、ベーグル状の浮遊体が輪となって迫る。中央に魔力を溜め、圧縮砲として放つつもりらしい。

 

「箱、ちょっとだけ開けますね〜」

 

パンドラが囁く。

蓋が僅かに持ち上がる。黒い風が漏れた。

瞬間、ベーグル群の動きが鈍る。内部に満ちたプチ厄災が魔力循環を乱したのだ。

 

「今だ!」

 

藤丸の号令。

エルキドゥの鎖が射出され、浮遊体をまとめて貫く。

牛頭が再び咆哮。今度は全身を震わせ、突進してくる。

 

「ここは僕が抑える」

 

エルキドゥが前へ出る。

 

「マスター、本体は頭の方だ。魔力の流れが集中している」

 

確かに感じる。

工場中央を貫くグガランナ胸元の巨大な縦軸。その上方、灼熱の炉心部から女神の霊圧が満ちている。

 

「・・・・・・ここで止まるわけにはいかない」

 

藤丸は決断する。

 

「突破する!牛頭は倒さずに無力化!」

「了解です、先輩!」

 

マシュが盾を打ち込み、牛頭の進路を逸らす。ネビルが横合いから体当たりし、巨体を揺らす。

その隙を見逃すほどお母さんは優しくない。ティアマトが光線を吐き出して区画ごとグガランナの外へと吹き飛ばす。

 

生じた一瞬の隙。

 

「行こう!」

 

一行は縦軸へ飛び込む。

内部は巨大な螺旋通路だった。壁面を無数のベルトコンベアが走り、歴史上のパンが流れていく。平焼きパン、黒パン、バゲット、食パン、菓子パン。時代と文化を象徴するそれら全てに、黄金の刻印が押されている。

 

「紀元前から現代まで……全部、自分の印を刻むつもりか」

 

藤丸は歯を食いしばる。

 

それを横目に見ながらネビルが静かに言う。

 

「強欲というより、必死に見える。黄金律が欠けているなら、黄金を生む仕組みそのものを掌握する。実に欲深い」

 

頭の方へ向かって上へ、上へ。

魔力濃度が増す。

通路の終端、巨大な扉が現れた。

オーブンを模したそれは、太陽のように輝いている。

隙間から漏れる光は、もはや眩いというより刺すようだった。

内部で、何かが脈動している。

女神の笑い声が、微かに響く。

 

「ようやく来たのね、カルデア」

 

炉心。

製パン特異点の中心。

藤丸は一歩前へ出る。

 

「終わらせよう」

 

マシュが盾を構える。

ネビルが回転を高める。

パンドラから黒い靄が立上る。

エルキドゥの鎖が静かに鳴る。

ティアマトの翼が広がる。

 

黄金の扉が、ゆっくりと開いた。

 

女神の待つ炉心へ――突入する。

 

 

□□□□□□□□□□□□

 

 

炉心は、夜空に輝く金星が如く。

 

巨大な円環構造の中央に、黄金の窯が浮かんでいる。周囲を巡るのは歴史そのもの。粘土板の平焼きから始まり、石窯、王侯の食卓、革命の象徴、近代工場――無数のパンが光の帯となって回転していた。

その中心に、女神は立つ。

 

イシュタル。

否――フィリア。

 

霊基は華やかに輝き、背後には牛の角を模した光輪。足元からは魔力が湧き上がり、その源流は窯と生産ライン。

 

「遅かったわね、カルデア」

 

その声は余裕に満ちていた。

 

「見ての通りよ。グガランナは完全稼働中。紀元前から現代まで、すべての製パン文明はこの炉心を経由する」

 

光の帯が強く脈打つ。

 

「黄金律がない? 笑わせないで。なら黄金を生む“仕組み”を握ればいい。貨幣、流通、文化、象徴。パンは人の営みそのもの。ならばそれを独占すれば、私は永久に潤う」

 

両腕を広げる。

 

「神話の時代、私は天の牡牛を地上へ落とした。だが今は違う。私は世界の食卓を握る女神よ」

 

魔力が跳ね上がる。

 

「この工房が回る限り、私の霊基は強化され続ける。人類がパンを焼く限り、私は安泰。誰にも奪わせない」

 

その瞳に迷いはない。

 

「藤丸立香。あなたは人理を守る? 結構。大変素晴らしいことよ。でも私は“自分”を守る」

 

炉心が唸る。

 

「さあ。止められるものなら止めてみなさい。この製パン文明の守護神を」

 

――戦闘が始まる。

 

 

--------------------------------------

 

 

 

 

 

炉心に足を踏み入れた瞬間、空気が変わった。

 

熱ではない。圧でもない。

 

“従属”だ。

 

大気そのものが、女神へと靡いている。

フィリアは微笑んだ。

 

「気づいた? ここはもう、私の“市場”なのよ」

 

指先がわずかに動く。

それだけで、空間が軋んだ。

炉心を満たしていた甘い香りが濃度を増し、粘度を持つ。吸い込んだ空気が肺に絡みつく。

 

「……空気が、重い……!」

 

マシュが息を詰める。

 

「魅了の拡張……大気を媒介にしている」

 

エルキドゥが鎖を構える。

フィリアの瞳が淡く輝く。

 

「私は“豊穣”と“富”の象徴。人は私に魅せられ、供物を捧げる。ならば人の営み――パン作りも、空気も、石も、私に従うのは当然でしょう?」

 

床が波打った。

焼成炉の外殻が蠢き、壁面の歯車が軋みながら角度を変える。

無機物が、意思を持ったように動く。

 

「来るぞ!」

 

藤丸の声と同時に、空間が圧縮された。

空気そのものが刃となる。

見えない断層が走り、マシュの盾に衝突。衝撃で膝が沈む。

 

「これは……斬撃!?空気の流れを操作している……!」

 

「正解」

 

フィリアが笑う。

次の瞬間、天井の歯車が射出された。

巨大な金属円盤が音速で回転しながら降下する。

ネビルが前へ。

 

「私としては、空からの落下物は御免被る。特に空襲はよくない」

 

超高速回転で迎撃。

金属歯車が砕け散る。だが破片が止まらない。

破片一つ一つが、再び女神の魅了に応じ、針のように方向を変えて襲いかかる。

 

「せこくない!?二段構えは聞いてませんよ!」

 

キャアキャアと逃げるパンドラのマントが裂かれ、ネビルの車輪に無数の傷が刻まれる。

 

フィリアは片手を掲げる。炉心のパン帯が加速。だがそれだけではない。

回転によって生じる気流が制御され、竜巻となる。

黄金の竜巻がティアマトを拘束する。

 

「母の、動きが……」

 

強大な竜でさえ、空気に絡め取られる。

 

「大気は私のドレス。風は私の裾。あなたたちはその中で踊っているだけ」

 

エルキドゥが鎖を放つ。だが鎖の軌道が逸れる。

空間そのものが曲げられている。

 

「空間屈折まで……!」

「文明が回っている限り、私は補強され続ける」

 

炉心が脈動。

世界中でパンが焼かれるたび、その熱と祈りがここへ流入する。

フィリアの霊基がさらに膨れ上がる。

藤丸は歯を食いしばる。

 

「パンドラ!」

 

「はい〜」

 

箱が僅かに開く。

黒い風が吹き出す。だが風は途中で霧散する。

空気が、女神側に“味方”している。

 

「希望も絶望も、ここでは私の商品よ。まぁ、いらないんだけど」

 

フィリアが掌を握る。

床が一斉に隆起。

焼成炉の金属フレームが蛇のように伸び、マシュへ巻きつく。

 

「くっ……!」

 

盾で弾くが、別方向から金属柱が叩き込まれる。

さらに、大気圧が急激に変化。

鼓膜が軋み、視界が歪む。

 

「……環境そのものが敵だ……!」

 

エルキドゥが低く呟く。ティアマトが咆哮。

その声で空気が震え、竜巻が一瞬裂ける。

 

ネビルが突進しフィリアへ肉薄する。

だが直前で目に見えない壁に阻まれて停止する。

 

空気が極限まで圧縮され、透明な盾となっている。

 

「大気の装甲……!」

 

ネビルの回転が減速する。フィリアの髪が風になびく。

 

「私に触れたい? なら文明を止めてみなさい」

 

その言葉と同時に、炉心外壁が変形。

巨大な黄金の腕が形成される。神殿の柱、窯の縁、歯車、すべてが組み合わさり、拳を作る。グガランナの力が込められた破壊の塊。

 

「――潰れなさい」

 

拳が振り下ろされる。

マシュが全力で防御。

 

衝撃。

 

空間が爆ぜる。

全員が吹き飛ばされる。

藤丸は床を転がる。

立ち上がると、見えるのは――

 

無傷の女神。

空気も、金属も、炉心も、すべてが彼女を中心に整列している。

 

「ここは私の市場。私の厨房。私の空気」

 

フィリアの瞳が金に染まる。

 

「人がパンを求める限り、この工房が動く限り私は支配者。永遠の君臨者なのよ!」

 

炉心がさらに加速する。空間が、完全に女神側へ傾く。

一行は初めて理解する。これは単なる霊基強化ではない。

“世界の営み”を背負った概念的優位。

 

正面突破は不可能。

その時、工房へと踏み入る誰か。聞き慣れた声。

黄金の破片を突き破り、別種の光が差し込む。

 

「やれやれ。女神が空気まで独占とは、笑わせる。パン屋に転職するとは笑わせる」

 

聞き慣れた、不遜な声。

戦局が、変わる。

 

 

--------------------------------------

 

 

炉心が脈動する。

 

黄金の熱と甘い香りに満ちた空間で、フィリアは微笑んでいた。

 

「今更あなたが来て何のつもり?まだ抗うって? 空気も、石も、炉も、すべて私のものなのに」

 

周囲の大気が震える。

圧縮された空気の層が幾重にも重なり、彼女の周囲を守っている。

ギルガメッシュが前に出る。王の威圧が炉心に響く。

 

「分配なくして繁栄はない。富は循環してこそ価値を持つ」

 

その言葉と同時に、空間の偏りがわずかに揺らぐ。

フィリアの眉が僅かに動いた。

 

「……王権による干渉でもするつもり?」

 

「当然だ。貴様が市場を名乗るなら、我は王だ」

 

エルキドゥが動く。

 

「今だ」

 

天の鎖が射出。

空間を縛る鎖が、女神の防壁に絡みつく。

だが空気装甲が反発する。

 

「効くわけないでしょ?」

 

フィリアが指を弾く。

無数の金属片が浮上し、嵐のように襲いかかる。

マシュが前へ。

 

「マスターには通しません!」

 

盾が展開。

だが今度は金属ではない。

“気圧”。瞬間的な減圧と加圧の波がマシュと藤丸を打つ。

肺が悲鳴を上げる。

 

「空気そのものを叩きつけている……!」

 

ティアマトが咆哮する。

原初の母の声が空間を震わせる。女神の制御する気流が乱れる。

 

「母性は独占を嫌う。イシュタル、悪い子」

 

エルキドゥが呟く。

ティアマトの翼が炉心の天井を叩き、構造体を崩す。

だが崩れた破片が再び浮上。

フィリアの魅了が無機物を再編成する。

 

「無駄よ。ここは私の厨房」

 

黄金の腕が再び形成され、巨大な拳が振り下ろされる。

だがそれは届かない。ギルガメッシュが宝物庫を開き無数の宝具が射出され、拳を貫く。

 

爆散。

 

だが破壊された金属が再び再構築される。

 

「再生……!?」

「何度も言っているでしょう、文明が稼働する限り、私は補充され続ける!あなた達は勝てないのよ!!」

 

炉心外周がさらに加速する。

エネルギーが流し、フィリアの霊基が一段と肥大する。

エルキドゥが鎖を床と壁にに打ち込む。

 

「ならば縛るのは女神ではない。炉心そのもの」

 

鎖が構造体へ食い込む。

炉の回転が一瞬鈍る。

その隙にマシュが跳ぶ。盾を振りかぶり、空気装甲へ全力で叩きつける。

衝撃。透明な壁に亀裂。

 

「王よ!」

 

「分かっている!」

 

ギルガメッシュが叫ぶ。

 

「王の財は民のためにある!受けよ!」

 

黄金の鍵が回る。概念の位相が変わる。

独占の市場に“配給”の理が侵入する。

フィリアの周囲の空気層が不安定になる。

 

「なっ……!」

 

ティアマトが突進。

 

原初の爪が女神へ迫る。

フィリアは大気を圧縮し壁を形成するが追いつかない。完全ではない壁ではティアマトほどの存在を防ぎきれない。

亀裂が走る。

 

「っ、まだよ」

 

フィリアの瞳が輝き、炉心全体が震える。

昂ぶる主人に応えるようにしてパン帯が極限加速。世界各地の熟成が流入し、超熟。

霊基が再膨張。

 

エルキドゥが歯を食いしばる。

 

「止まらない……!」

 

 

 

 

 

一方その頃、ネビル達は腕を組んで戦いを眺めていた。フィリアは強い。それは疑いようもない。

だからこそ、こうして戦闘にかかりきりになる時を待っていたのだ。

 

「合図を」

 

藤丸が頷く。

 

工房内部の戦いは第二局面へ移行する。

 

 

――――――――――――――――――

 

 

炉心外周。

無数の歯車と搬送帯が唸る。巨大工房全域を支えるまさに心臓部。

 

ネビルが深く息を吸う。

 

「さて。紳士の嗜みとして、裏方を支えるとしようか」

 

パンドラがスキルを使用、それに加えて。

 

「贈り物は……災厄です」

放たれるべきで無い宝具が解放される。

 

全ての贈り物(パンドラボックス)

 

箱から溢れる黒い霧が空間へ広がる。それは物理ではない。

“工場災害”という概念。

 

過負荷、整備不良、注意義務違反、事故連鎖。

それらが工房へ書き込まれていく。歯車の噛み合わせが狂い、連結部が過負荷で歪む。搬送帯が不規則に揺れ、製造ラインが機能不全になり、圧力計が異常値を示す。

 

警告灯が点滅。

炉心の制御系がノイズを発する。これまでと明らかに異なる変化に激闘の最中にも関わらずフィリアが顔を上げる。

 

「何をしたの……?」

 

 

「贈り物ですよ、女神様」

不安げな表情を見せる女神をを離れたところから眺めつつパンドラが微笑む。

 

「文明には必ず影がある」

 

ネビルが走る。巨大車輪が回転させつつ巨大製造ラインへ突撃。

 

とある紳士の決戦兵器(パンジャンドラム)!」

 

宝具展開。

パンジャンドラムが加速。構造体へ突入。本来のものと違って真っ直ぐ爆進し、金属を粉砕しながら内部へ食い込む。

唐突だが、このグローバルパン工房「グガランナ」には問題がある。それはこの激闘が繰り広げられる工房内でそこかしこに目に入る光景がその証明。

 

それは白い霧。

 

有毒なガスでも水蒸気でも無い。その正体は掃除されず蓄積した粉塵。激闘で舞い上がった小麦粉が空間に充満している。

パンドラの概念災害が“引火源”を誘発しネビルが叫ぶ。

 

「マスター! 距離を!」

 

次の瞬間。

 

 

爆発。

 

 

粉塵爆発。

 

ずさんな管理が生んだ失敗で炉心外周の生産ラインが連鎖的に吹き飛ぶ。爆発で舞い上がった粉に着火しさらに連鎖することでグガランナ内部のあちこちで規模を問わずに爆発の花が咲く。

炎の波と衝撃波が炉心へ到達。発生した重大インシデントに内部制御系が強制停止命令を下す。

 

                 『システム、メンテナンスモード移行』

 

重低音と共に、製造ラインの全てが停止する。それはつまり、フィリアへの魔力の流入が断たれることになる。

炉心の光が急速に減衰し、防御層が揺らぐ。

 

「……嘘……」

 

空気装甲が霧散。

無機物の統制が切れる。

エルキドゥの鎖が真っ直ぐ届く。

 

「今だ!」

 

鎖が女神を拘束し機動力が奪われ、ティアマトの質量が押しつぶす。なんとか這い出して逃れたフィリアへギルガメッシュが宝物庫を最大展開し名だたる武器群が降りそそぎ、それをなんとか展開した防壁で迎え撃つ。そこへパラディーンが盾を構え突進し、壁へ弾き飛ばす。

 

四騎のサーヴァントの力が一点へ収束する。

焦りを隠せないフィリアが叫ぶ。

 

「私は、まだ!」

 

「だからなんだ。・・・そうだ、いいことを教えてやろう」

 

ギルガメッシュが言い放つ。

 

「富は独占されるものではないわ!」

「あなただけには言われたくないんだけど!?」

 

 

がめつい女神には後が無い。

だが、未だ健在ではある。この戦いの行方、果たして。

 

 

 




戦闘描写、難しい....。難しくない?

みんなもマニュアルは守って今日もご安全に
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