マシュ・キリエライトしか分からない   作:ats376

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8.藤丸のサーヴァント

---前回までのあらすじ---

①冬木へ突入。藤丸、マスターになる

②盾使いと戦闘

③マシュ・キリエライトによるフラウロスへの暴行事件

④ORT、動きます

 

 

 

=========================

 

 

「あの、ORTさん・・・ですよね?何をされようと?」

 

マシュが明らかな警戒心を見せながら藤丸の側にヌルリと現れた美女へと問いかける。

自身の盾が、藤丸にも見せていない力が、目の前の存在を脅威だとして明らかに異常な反応を示している。

マシュ自身も勝てるかどうか不安しかないがファーストサーヴァントとして退くつもりはなかった。

 

「あぁ盾使い、お前の行動は見ていた。お前の盾も調べた。カルデアという場所ではサーヴァントというものを呼べる仕組みがある。サーヴァントを従える者はマスターとして扱われ、戦いに身に置く必要がある。断じて認められない。藤丸を危険に晒すなど受け入れられない」

「ORT...俺は」

「藤丸。お前は被害者だろう?短期アルバイトないし、小遣い稼ぎの求人に応募したらこのざまだ」

「ですが、先輩は私を真っ当に支えてこの特異点を____」

 

マシュがORTへ言葉を投げかけようとする。あきらかに自分と藤丸を遠ざけようとしているように感じられてその言葉には焦りが加わる。

現れるときは明確にこちらへの敵意を隠そうともしない存在。

盾を握る手にも力が入る。

 

「特別なことはしない。それに藤丸自身がやると言っていた。異論は無い。だが、いきなり連れ去るような連中を信頼は出来ない。お前の盾を使わせて貰う」

「...えっ?なんでそうなるんですか!?」

「サーヴァントを出す。藤丸を魔術師として相応しい存在にするにはそれに見合った者が居る。お前を使い、藤丸に最適な者を達を私が創る」

「ちょっと、ORT。無理矢理は流石によくないって」

「遠慮は駄目だぞ藤丸。お前は良い奴だが、そういうものは食い物にされる。多少好き放題するくらいでいい」

「何を根拠に」

「テレビドラマでそう言ってたぞ」

「「.........」」

 

マシュと藤丸は黙る。「あっ、これ何言っても駄目だな」と。

盾に触手が張り付きマシュに一瞬の不快感が走る。マシュが抗議の意味も含めてORTを見やるとそこでは

 

「さぁ、藤丸。お前の血肉とあれの性質。私が得た力で最高の一品を出してやるからな.....」

「む、むぐぅ!?」

 

わざわざ鎧とも甲殻とも言えそうな銀の部品を外してその胸に藤丸を埋めているORTが目に入った。

双球の狭間に自身のマスターが埋め込まれている。その光景にファーストサーヴァントは

 

「なにやってるんですか!? 羨まs...ではなく、こんな状況で何を意味不明な!は、ハレンチですよ!!」

「別に良いだろう? 裸の付き合いをしていたほどだ、今更。それにこのほうがいい」

「なにか魔術的な理由があるとでも? あと裸の付き合いについて詳しくお願いします」

「いや、私がやる気になれるだけだ。それと後者は内緒だ」

 

なんだこいつ....という目を向けていたマシュだが、盾が輝きはじめたことに身を固くする。

意味不明ではあるがサーヴァントが本当に現れるようだ。

それも反応は一つではない。

 

「これは、サーヴァント!?」

「あぁ、私が弄り回して一番強い器を使ったものだ。ビーストのな。サーヴァントとは兵器なのだろう?それに適合した運用を可能にした」ドヤァ

 

相も変わらず藤丸を胸に強く抱きしめて頭をなでながら話すORT。

マシュ自身は内心イラッとしていたが、事態を見守るために動けない。

盾が輝き召喚陣が展開する。

8つの光が現れ人の形を取り始める。

一瞬禍々しい光が走ったが、藤丸の方を見ていたためマシュはそれに気づかない。

 

 

「サーヴァント、ランサー・ジャンヌ・ダルク。貴方のために応じました」

「ライダー、ブーディカ。怒りと嘆きに応じて参上したよ。仲良くしてね?」

「貴方様が私の雇用主でしょうか?わたくしはアーチャー、フランシス・ドレイク。よき働きを提供しましょう」

「アサシン。ジャック・ザ・リッパー。よろしくね、お父さん」

「───よくってよ。このキャスター、エレナが、あなたを導いてあげるわ。根源の魔女としてね」

「俺を呼ぶとは酔狂だな?セイバー・リチャード。進軍のためにここへ馳せ参じた」

「.......喚ばれたのは私でしたか。私はバーサーカー、モルガン。二つの人格を統合して貴方の配下として従いましょう」

「よかった...!!新しい体で復活できた・・・!!!、........!? え、えっと、その....フランチェスカ・プレラーティ、です?よろしく、お願いします、であって,マス?」

 

呼び出された8つの影。

いずれもがほとばしる力を感じる。しかし、その大半はマシュの知る人物達とあまりにも異なっていた。

 

ジャンヌからは清廉さよりもべったりとした感情を。

ブーディカからは優しさよりも煮えたぎる怒りの気配を。

ジャックからは尽きない欲を。

エレナからは誠実さよりも不穏な気配を。

後半3名はよく知らない。なんなら最後の人物はまるで聞いたこともない。

 

「え、えっと。そうだ、先輩!お体は大丈夫ですか!? いきなりこんな数のサーヴァント、負担は!?」

ハッとした顔を向けると藤丸はようやくORTの胸から解放されたのかすこしげんなりしている。

 

「え? いや、別に。なんともないけど...」

「そのためのビースト霊基。お前だけのサーヴァント。完璧だろう、藤丸。褒めて」

「よく分からないけどありがとうORT」ナデナデ

「...フッ」マシュチラミ

「は?」

 

絶妙に場の雰囲気が悪くなりかけたとき、喚ばれた影の一人であるエレナが語り始める。

 

「楽しそうなところ悪いのだけれど、そろそろここの空間崩壊するわよ?逃げるならお早めにお願いするわ」

「「えっ」」

「そうですね。限界が近づいているようです。バーサーカーの私でも感じ取れます」

緊迫感に包まれる現場。サーヴァント達からの提案が上がり始める。

 

「まずいですね...私の船では厳しいかもしれない」

「おいおい、船出前に壊れる船とか勘弁願うぞ。もろいのは困る」

「何か文句でも?」

「いやぁ?別に?」

「なんです?」

「なんだよ」

 

 

 

訂正。そうでもないかもしれない。白いドレスの女性に関しては隅でなるべく目立たないようにするほどのバチバチの嫌悪感。

新たな問題が起きかけたその時。

 

 

 

『ようやく繋がった!! マシュ、藤丸君、オルガマリー所長! 無事かい!?』

 

 

 

■■■

 

 

 

「フォウ、フォーウ」

「いやぁ君は良い子だなぁ。何を食べるんだい?果物とか? いやでも肉とか食べそうだね。何の動物だかさっぱりだ。まぁでもいいか。かわいいし」

 

無機質で清潔な部屋の中。

美しい女性と小動物が戯れる。絵になりそうな光景というのはこういうものを言うのだろう。

....奇妙な声を上げる動物が少年の胸で跳ね回っていると言うことを除けば。

 

「......はっ!?」

「フォーウ、ンキュ?フォフォウ」

「ん? 本命がお目覚めだね。眠り姫よりも主人公らしい反応だ。おはよう、こんにちは。それともこんばんはかな、藤丸。意識は確かかい?」

「ここは一体?」

「んー?意識が回復しても思考能力はまだ戻ってないか。あ、それにこうして話を直接するのは初めてだね。君は飛び入り参加のようなものだったし」

 

 

藤丸へ語りかける女性。

彼女は自身を指してダ・ヴィンチちゃんとした。召喚英霊第3号でもあるという。

あれこれ聞きたい藤丸だったが、ダ・ヴィンチから管制室へ行くように促される。

藤丸が呼ばれている、という話らしい。

 

「俺を?マシュ?それともロマン?」

「ロマン?まぁ確かに待ってるけど、あんのどうでもいいでしょ」

「あ ん な の」

「他にもいるだろう?大事な大事な娘がさ。主人公としての勘が備わってないなぁ。....まぁ、もっとやばいのもいるっぽいけど」

「フォウ、フォフォウフォーウ」

「ほらぁ、この子もそう言ってる。何言ってるかは分からないけど多分言ってる」

 

 

藤丸はベッドから起き上がり、急いで管制室へと向かう。

管制室では輝かしいあの鎧を纏ったマシュが立っていた。

 

「先輩、お目覚めですか。無事で何よりです」

「ありがとう」

 

「再会を喜ぶの結構だけど、こっちにも注目して欲しいなぁ。まずはありがとう。例外尽くめの状況でも勇敢に対処し乗り越えてくれた。こちらからの支援もほとんど無い状況でね。君のその健闘に心からの感謝と敬意を。君たちのおかげでカルデア、そしてマシュは救われた。....所長は残念だったけど、今の我々には弔うための余裕がない。その最後を悼むことくらいだ」

 

その言葉に藤丸は押し黙る。

何も出来なかった。見ているしか出来なかった自分を思い出して手をぐっと握る。

 

「いいかな? ボクらは所長に代わってこれから人類を守るんだ。所長の無念を晴らすためにもね。マシュからの報告を聞いたよ。レフの発言に聖杯と呼ばれた物体。カルデアスの状況と照らし合わせればレフの言葉は真実とみていいだろう。外部との連絡は取れず、カルデアから外に出たスタッフ達からの連絡も途絶えている。....恐らく、人類はすでに滅びているだろう」

 

 

続くロマニからの説明は猶予がないと分かる内容だった。

カルデアだけが世界から切り離されたコロニーのようになっていること。シバによって観測された時空の乱れの数々と、過去の改竄のメカニズム。

そして____歴史の修復力。

特定の時代が迎える結末とそれによって生じる結果。人類史の分岐点に創り上げられた7つの特異点。それを修復できる機会があるのは、力を持つのは自分達だけであると。

 

「結論を言おう。観測された7つの特異点へレイシフトし、本来のカタチへ戻す。それが人類を救う唯一の手立てだ。こんな状況で言うのは強制のようなものだというのは理解している。それでも言わせてもらう。マスター適正者48番、藤丸立香」

「君が人類を救いたいのと願うのならば、2016年から先の未来へと進みたいならば。君はたった一人でこの7つの人類史と戦わなくてはならない。覚悟はあるかな?カルデアを、人類の未来を背負う力はあるか?」

 

「...出来ることなら」

「----ありがとう、その言葉でボク達の運命は決定した。これよりカルデアは前所長オルガマリー・アニムスフィアが予定したいた人理継続事業を全うするべく過去へと立ち向かう。人類を守るという偉業のために人類史へと挑戦するんだ。生き残るために、未来を取り戻すためにはこれ以外の道はない。....結末がどんなものであってもね。以上の決断を持って作戦名は『ファーストオーダー』より、『人理守護指定・G.O(グランド・オーダー)』へと改める。カルデア最後にして原初の使命だ」

 

 

 

 

「言い残すことはそれだけですか?では、さようなら」

「!?」

 

ロマニへ槍を向けるのは冬木で現れた影、ジャンヌ。

その顔は穏やかで微笑を携えているが、目には光がない。

それだけではない。セイバー、バーサーカーが魔力を滾らせてロマニを狙っている。

 

「藤丸君。ORTとかのことはマシュからある程度聞いたよ」

「はい」

「マシュが想定とは遙かに並外れた力を持ったこと、そして君が思ったよりもマスターとしてすごいかもしれないこと」

「あ、ありがとうございます?」

「それは後で色々話すとして」

 

 

 

 

「とりあえず、助けてくれるかなぁ!」

 

 

 

 

□□□

 

 

「なるほど....。これは機密扱いじゃないと駄目だね」

 

藤丸からORTとの馴れ初めについて聞かされたロマニは頭を抱える。

ORTがなんでここに、ビーストサーヴァントってなんだ、マシュが強くなりすぎている、フランチェスカとかいうどこかで聞いた名前。

どうしたらいいんだよ.....という感想しか出なかった。

「あの、ドクター」

「あ、あぁ。何かな?」

「俺、マスターとか魔術に詳しくないんだけど、サーヴァントってこんな感じなんですか?」

「....今度色々勉強しようね」

 

 

 

□□□

 

 

「はぁ~....、俺やっていけるかなぁ。いや、俺しかいないんだ。頑張れ!俺!」

 

藤丸立香。いかに周りがとんでもないものだらけでも彼自身は(彼視点で)平凡なものだった。

学び、鍛え、自己を鼓舞してただ進む。

素人が出来ることなど知れている。素人から抜け出せるように頑張ることが自分に求められていることだと言い聞かせてマイルームへと入る。

 

「......なんか布団が膨らんでる。もしかしてORT?」

「なんだ?」

藤丸の影からぬるりといつも通り現れる。

どうやら違うらしい。とすると、あれは...

「あれって何?フォウくんとかと比べて大きいよね。分かる?」

「あぁ、あれか?アサシンだな」

「何で俺の布団に?」

 

藤丸がバサッと掛け布団を剥ぐと、バッとアサシンが抱きついてくる。

小学校高学年くらいの少女が凄まじい速度で飛び込んでくる。貴方は逃れられない。

 

「お帰りなさい、おとーさん!」

「ゴハッ!? た、ただいま・・・?それで、なんで俺の布団にいるの、ジャックちゃん」

「? あなたがお父さんだから?」

「(事案になるよこれ!!)」

 

「先輩、失礼しまs...。な、先輩!?何をしているんですか!?」

「ま、マシュ。違うんだよ、誤解だ!」

「夜当番は私のはずです!!」

「マシュ!?」

 

 

 

----------------------------------------

 

 

私、フランチェスカ・プレラーティは怯えていた。

最後に見た光景は、味わった感覚は確かに碌でもないものだった。好奇心で近づいた結果ではある。だがこれはないだろう、いくらなんでも。

 

聖処女かと思ったらなんか色褪せた奴がいる。

見たことのある気がするセイバーかと思ったら物騒極まりなくなってる。

新米マスターかと思ったらなんかおかしい。

挙げ句の果てには二度と顔を見たくない化け物も居る。

 

サーヴァントの体にされて強化も施されているが、常に監視されている気持ちがして吐きそうだ。

 

「あのマスターに取り入るしか、いやでも! あいつに狙われたらまた....」

「なにをぶつぶつ言ってるのかしら?」

 

ビクゥ!!と恐る恐る振り返るとそこにいたのは共に召喚されたエレナとブーディカ。

露骨に魔女、マジで悪そうな魔女を体現した容姿のくせに優しい声で語りかけてくるのが不気味で仕方なかった。

とはいえ、他に比べるとまともそう。幼すぎるアサシンに、なんか気持ち悪いバーサーカー。妙に演技臭いアーチャー。違和感しかないライダー。

話しやすそうな印象を持てるキャスター。消去法で残るのはこいつだろって思ってたら来た。

 

「い、いやー。見回りをしてたのよね! 心配させちゃった? ごめんねー。死徒とかいたら面白いなーって思ってたんだけどね♪」

「別に聞いてないわよ。ただ....」

「ただ?」

「マスターの邪魔したら殺すから、それだけよ。これから仲良くしましょうね」

「」

「おねーさんも同意見かな?この剣で首刎ねる日が来たら、マスターに申し訳ないけどね」

「」

 

 

 

 

約一名。未来は暗い。頑張れ、プレラーティ!

 




こんな文章読んでる人は居るんだろうか。
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