とある科学の重力操作(グラビトン)   作:クロモコッチ

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第2話 拷問サイクル

数日後

 

私達は東山登の居場所を突き止め、迅速に捕縛した。睦月の重力操作による拘束により逃げる隙も叫ぶ暇も与えなかった。

 

東山登は「正義の拷問師」の隠れ家にある拷問部屋の中心に鎖で縛られている。

 

東山「ふざけるなオレはやってない 証拠もねぇだろうが」

 

不知火は顔色ひとつ変えずその叫びを無視する。

 

不知火 「クズの言葉に耳を貸す時間なんて私達には無いの」

 

睦月が石山佳奈を迎えに行き拷問部屋へ案内する。

 

拷問部屋の扉が開いた瞬間、石山佳奈の顔から血の気が引いた。

薄暗い照明。壁に設置された無数の拷問道具。

石山佳奈は一歩、また一歩と部屋に足を踏み入れる。 身体は震えていた。だがその目は、決して逸らし ていなかった。

 

石山「この目で見届ける。私が依頼したこと。 私が背負うべきことだから」

 

不知火は拷問器具収めている引き出しを開けた。

中には名前も分からない古代の拷問器具が整然と並んでいる。

 

不知火 「これ、なーんだ?」

 

不知火は微笑みながら手に取った金属製の装置を東山に見せた。

 

東山「ふざけるな、やめろ」

 

口から色々な叫びが飛び出しているが無視する

 

睦月 「 それはファラリスの雄牛。古代ギリシャの拷問器具。 中に人を入れて下から炙って金属を真っ赤にするまで焼き上げて蒸し焼きにする」

 

陽炎 「次は鉄の処女これもいいよね 閉じた瞬間、内側の棘が身体に突き刺さるの」

 

黒潮「次は異端審問の椅子っちゅうやつや。座るだけで皮膚がズタズタになるらしいで」

 

と次々と拷問器具を取り出していく。

 

不知火は重力操作で無理やり拘束しファラリスの雄牛の内部へ東山を押し込んだ。

 

東山 「やめっ、助けーーうあああああああああああああああ!」

 

下部に火が灯され次第に雄牛全体が赤熱していく。

中から響いてくるのは、人間の悲鳴とは思えない絶叫。

 

だが不知火は冷ややかに告げた。

不知火「 佐知さんが受けた痛みや苦しみに比べたら、こんなもの まだまだ軽い」

不知火「お前が何を言おうが、どれだけ喚こうが関係ない。

“私達は被害者のために拷問する”それが正義の拷問師だから」

 

石山佳奈はその様子を見つめながら両手を強く握りしめていた。涙を流しながらも目を背ける事なく。

 

拷問をしばらく続けた後ファラリスの雄牛から引きずり出された東山登の身体は真っ赤に焼け爛れていた。

 

東山「 俺が悪かった。自首する。頼むから助けてくれ」

 

その声は震えていた。 だがその言葉に誰一人として反応を示すことはなかった。

 

石山佳奈は首を横に振っ た。

石山「今さら謝罪なんて絶対に許さない。佐知の代わりに、私はお前の最後を見届ける」

 

不知火は東山の顔を覗き込み、氷のような目で告げ た。

不知火 「 許さないとのことよ。楽に死ねるとか思わないことね」

 

黒潮が無造作に東山の身体へ手を当てる。

黒潮「治療したるわ。せやけど、これは休憩やないで続きのためや」

 

黒潮のセルリカバリーの能力によって、東山の焼け爛れた肉体がみるみるうちに再生していく。 しかしそれは救いではなく地獄の延長線だった。

 

陽炎「こんなもんで済むと思わないでね。 クズにはまだまだ足りない」

 

鉄の処女の扉が開き東山がねじ込まれる。

再び悲鳴と血が流れる。 だが拷問が終われば、また黒潮が回復させる。

そして次は異端審問の椅子。

座らせ固定し鋭利な棘が肉体に突き刺さる。 皮膚が裂け筋肉が切れ骨が砕ける音が聞こえる。

 

不知火「まだまだ終わらないから」

 

拷問 → 回復 → 拷問 → 回復 → 拷問を繰り返す「正義の拷問師」の殺戮のやり方「拷問サイクル」

 

黒潮「これがウチらの拷問サイクルやで、 最低でも20回は繰り返すで」

 

陽炎「まだまだ、クズに甘いくらいだけどね」

 

睦月 「次は異端者のフォークでも使おうか。 肉が裂けても治してまた裂いてその繰り返しだよ」

 

「正義の拷問師」は拷問を止めない。

被害者と被害者遺族の痛みの分だけ拷問は続き、30回に及ぶ拷問サイクルの末、東山登は完全に自我を崩壊させた。

痛みにも苦しみにも、もう一切の反応を示さず、 ただの生きた屍となっていた。

 

不知火「耐えた方か、最後の仕上げだ」

不知火が東山を重力で引きずりながら別室へと運んでいく。

 

黒潮「これ、なんやと思う?人間粉砕機やで」

 

睦月「さようなら」

一切の躊躇なく東山の身体が人間粉砕機の中へと落とされる。 轟音と共に機械が稼働し 肉と骨の混ざった音が部屋に響き渡る。

 

東山は人肉ハンバーグになり東山登の命は完全に潰えた。

 

石山佳奈は一言も発さずにその光景を見届けていた。

拳を握り、何かを押し殺すような表情で

 

拷問を終えた「正義の拷問師」は先ほどまでの狂気に満ちた表情から一転、穏やかな笑顔になっていた。

 

黒潮「復讐は何も生まへん、新たな悲劇を生むだけとよう言われるけど、ウチはそうは思わへん」

 

陽炎「復讐は残された人間が前に進むために必要な儀式だと思うな」

 

睦月「これで、石山佳奈さんの未来が開かれたと思いたい」

 

不知火は最後に石山佳奈に静かに語りかける。

不知火「佐知さんのことは、どうか忘れないであげてください。だけど人は大切な人の死を乗り越えなくてはいけない時もあると思います。前に進めるかどうかは今後の佳奈さん自身の生き方だと思います。そして、こんな場所に二度と来ないように祈っています」

 

石山佳奈は少しの間、黙っていた。

だがその目には、確かな光が宿っていた。

石山 「はい、頑張ります。二度とこんな悲しみに戻らないように、佐知の分まで生きてみせます」

多生の笑みを浮かべて石山佳奈は 拷問部屋を後にした。

 

「正義の拷問師」のひとつの復讐の依頼が静かに終わる。

 

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