第19学区・廃工場。
御坂美琴と白井黒子が敷地へ踏み込む。中に入った瞬間、異様な光景が広がっていた。床には数人の男が倒れていた。
美琴「何よ、これ」
白井黒子が1人に近づき、脈を確かめる。
そして、静かに首を振った。
黒子「既に事切れてますわ」
美琴「やっぱり、アイツらの仕業ね」
二人は警戒を強め、さらに工場の奥へと進み、そこで目にしたのは拷問台に拘束され、苦悶の梨で責められている東光太と、その周囲に立つ「正義の拷問師」四人の姿だった。
東光太は息も絶え絶えで、声にならない悲鳴を漏らしている。
不知火「遅かったね、3位」
美琴「何してるのよ、今すぐやめなさい」
黒子「こんな野蛮な行為、断じて認められませんわ」
不知火は表情一つ変えず、淡々と言い返す。
不知火「先に犯人を捕まえた方が、自由にしていい勝負だったよね」
東光太「た、助けてくれ」
懇願する声を無視するように、陽炎と黒潮は拷問を続ける。
それを見た美琴は陽炎と黒潮に攻撃する。
美琴「離れなさい」
電撃が放たれるが、次の瞬間、空間が歪む。
不知火の重力が美琴の電撃を押し潰した。
不知火「3位。君は勝負に負けたんだ」
不知火「約束だろ。これ以上は同じレベル5として見苦しいよ」
美琴「それでも、拷問して殺すなんて絶対に間違ってるでしょ」
白井黒子もテレポートで割って入ろうとする。しかし、その動きを睦月が制する。
睦月「これ以上は暴れるのはやめた方がいいよ」
睦月「東光太の前に明石さんが居るって分かってる?」
不知火「レベル5同士が、このボロボロの廃工場で本気で戦えばどうなるか、3位なら分かるよね」
その言葉に、御坂美琴と白井黒子の動きが止まる。
美琴「アンタたち、、、、」
不知火は静かに、しかし確固たる声で告げる。
不知火「だから、そこで静かに見てて」
不知火「3位とジャッジメントさん」
廃工場の空気は、張り詰めたまま凍りついた。
黒潮は美琴をちらりと見てタメ息を付いた。
黒潮「御坂はん、まだ納得してへん顔やな。ほな、コイツがどんなクズかって証拠を見せたるわ」
黒セルリカバリーの能力を発動させる。
東光太の傷はみるみる塞がり、意識もはっきりと戻った。
重力で拘束されたままの東光太は、回復した途端、怒気を爆発させる。
東光太「ふざけんなよ。お前ら絶対許さねぇ。絶対に殺してやる。俺にはまだ仲間がいるんだぞ」
不知火は無感情に死体を浮かせて見せる
不知火「仲間って、この人たちのこと」
そこには、既に動かなくなった三人の男の姿があった。
東光太「お前が殺したのか?」
不知火「ええ。何か問題でも?」
不知火「あなたは大元有里さんを殺し、金品を奪った。それだけじゃないわよね」
東光太は一瞬言葉を失うが、すぐに怒りを剥き出しにして睨み返す。
陽炎「他にも、似たようなこと何件もやってるよね」
陽炎「私の能力で全部見えてる。犯罪隠蔽の為に防犯カメラの細工もしてさぁ。クズじゃん」
不知火「お前は大元有里さんや、明石さんに対して、悔恨の念はあるの」
東光太「あるわけねぇだろ。ボケ」
東光太「弱いヤツが悪いんだよ。弱いヤツは強いヤツに従うのが道理だろ?」
東光太「俺はレベル4だぞ。雑魚とは違うんだ」
その言葉に、空気が一気に冷えた。
睦月「これが、御坂美琴の正義なの?」
睦月「反省も後悔もなく、逆ギレして、それでも人権があるって言うの」
黒潮「御坂はんらの正義でコイツ更生させられるんか?」
黒潮「無理やろ。人の皮かぶった悪魔や」
御坂美琴は拳を震わせながら、必死に言葉を絞り出す。
美琴「正直、ぶっ飛ばしたい」
美琴「こんなヤツが生きてるのが許せない気持ちもある」
美琴「それでも。殺すのが正しいとは私は思えない」
白井黒子も静かに頷く。
黒子「この下劣な男に価値を見出せませんのは同感ですわ」
黒子「ですが、非道な方法に手を染めた瞬間にそれは正義ではなくなりますの」
不知火は二人を一瞥し、淡々と言った。
不知火「その正義で誰かを救えたの?」
不知火「無駄話は終わり。時間の浪費よ」
不知火は東光太へ歩み寄る。
不知火「さっき言ったわよね。弱いヤツは強いヤツに従うのが道理だって」
不知火「なら、従いなさい。レベル5の私に」
冷たい視線が、東光太を射抜く。
さっきまで吠えていた男は言葉を失い恐怖で震えていた
不知火「早くここに入れ、雑魚が私に逆らわないで」
抗う間もなく、重力が東光太を引き寄せる。
目の前には、鉄の処女が静かに待っていた。
東光太「や、やめろ」
東光太「もうしない、強盗もしない、仲間も死んだ、自首するから」
不知火「あなた自身の理屈でしょう」
不知火「レベル5の私に従え。文句はないはずよ」
冷酷な宣告とともに、扉が閉じられる。
その後も東光太は拷問→黒潮のセルリカバリーで回復→拷問→回復→拷問→回復の「拷問サイクル」を受け続ける。叫び声が廃工場にこだまする。