魔物使い、はじめました。   作:YTとりあえずぶん投げてみる

12 / 105
第12話 仲間を求めて

「俺と一緒に冒険しないか!?」

「ぐぎゃぁ!?」

 

 飛び散る鮮血。

 

「俺と一緒に冒険――」

「ギャァ!?」

 

 上がる断末魔の叫び。

 

「俺と―」

「ウギャァァ!?」

 

 俺の歩く跡には、死体と絶望しか残らない。

 あ、死体は残らないわ。魔石になるし。

 

「って、ゴブ太郎! いい加減にしろよ、お前!」

「ゴブ?」

 

 着ていた汚い腰ミノを脱ぎ捨て勝手に俺のTシャツを着たゴブ太郎。

 血塗れのナイフをクルっと回し、キラキラな目で俺を振り返り、小首を傾げる。

 その仕草はなんとも可憐で……いや、不細工だわ。

 

「ゴーブリン♡」

「いや、ダーリンじゃねぇよ! くそっ、声かけるやつみんなゴブ太郎に瞬殺される!」

 

 畜生、何でこうなった!

 

 ☆★☆★

 

 ゴブ太郎の『魔物教育』を終わらせたあと。

 俺たちは昼飯を食べながらテレビやネットで情報収集し、再び終末世界へと舞い戻っていた。

 

 この世界、噂通りどうやら滅亡一直線らしい。

 テレビじゃ魔物が人々を蹂躙、街が次々に壊滅していく様子がずっと流れている。

 ネットも主要なサイトの更新が止まり、SNSの勢いもめっきり落ちてしまっている。

 噂だとそろそろインフラも全滅って話だ。

 

 現に、うちのアパートの電気が止まってしまった。

 昼メシを終えて、洗い物をしようとしたら水も出なくなってたし。

 うーん、いつかはそうなると思ってたけど早かったな。

 

 さて、そんな終末世界で生き残るには、兎にも角にもレベルを上げて強くなるしかない。

 それと並行して、『魔物使い』である俺は仲間を増やして戦力強化する必要がある。

 

 だけど、ただのモブである俺がレベルを少し上げたところで、ゲームの主人公のようにチート級に強くれるはずもない。

 俺一人がちょっと強くなっても、たかが知れている。

 

 故に、仲間を増やし数で圧倒するのだ!

 誰が言ったか、「力とは数」らしいからな。

 つまり、魔物をガンガン仲間にしまくり、俺だけの軍隊を作る!

 

 そしたら……強い敵が現れても、逃げる時間くらいは稼げる……はずだ。たぶん。そうであってほしい。

 

 正直、魔物と戦うのはまだ怖い。

 だけど、何もしないと早々に詰むのはわかってるから動くしかないんだ。ラノベ的に考えて。

 

 そんなわけで意気揚々と仲間を求めて街を彷徨ってみた。

『魔物使い』ということで、気分は某国民的RPGの主人公だ。

 

 ふふふ、どの魔物を仲間にしようかなぁ。

 スライムに乗った騎士とかいねぇかな?

 馬鹿でかい猫でもいいぞ、ゲレゲレっと鳴きそうなやつ。

 個人的には爆弾みたいな岩が好みだ。

 小説版に出てきた彼の散り際ったら、もうね。

 最後に「メ……ガンテ」って言うところがたまらんのよ。分かる人には分かると思う。

 

 俺はどちらかと言うと、『最後の幻想』的なRPGよりも『竜を探索』する系のRPGの方が好きなんだ。

 ゴブリンって前者の方の魔物で、後者には出てこないから馴染みが薄いんだよな。それっぽいのはいるけども。

 

「ゴブゴブ〜♪」

 

 チラッと横を見ると、ゴブ太郎が手に持ったナイフをクルクル回しながら、なんだかご機嫌な様子だ。

 さっきからデートだなんだとうるさい。

 デートじゃないっての。

 

 こいつ、戦力として考えたら最初の仲間としては破格の性能で当たりな部類だよな。

 性格は終わってるけど。

 

 でも正直、最初の仲間はスライムが良かったよ、ゴブ太郎。

 絶対言えないけど。言ったら刺されそう。

 

 だから、二匹目の仲間はゴブリン以外の魔物にしようと必死で探してる……のに、

 

「なんでこの街にはゴブリンしかいねぇんだよ! しかも、声かけた奴、ゴブ太郎がみんな殺しちゃうし!」

 

 街を彷徨って2時間ほど、犠牲になったゴブリンの数は数え切れない。

 行けども行けども、出てくるのはゴブリン♂、ゴブリン♂、ゴブリン♂ばかり!

 しかも、エンカウントした瞬間、ゴブ太郎がノータイムで殺しにかかる、てか殺す。

 あのボロいナイフで、一撃で首をスパッと。

 感心するくらいの鮮やかさで感心するわ。

 

 おかげで俺のレベルの上がりも順調だ。

 スマホの謎アプリ――『終末はじめました』――でステータスを確認すると、経験値もガンガン溜まってる。

 ゴブリン一匹のそれはたかが知れてるが、殺した数が数だからな。

 あと300年ほど殺しまくれば、レベルカンストしそうだ。

 

 ちなみに、このアプリ、インフラが死にかけても動いてるし、充電も全然減らない。

 なんか不気味だけど、これがないと詰むからな……気にしたら負けだ。

 

 

「お前、元々普通のゴブリンより強かったみたいなのに、『戦士』ジョブに就いてからバケモン化してね?」

「ゴブ!」

 

 ゴブ太郎は『戦士』ジョブで『能力』が底上げされて、『スキルアップ』でガッツリ強化した。

 なぜか最初から俺への『信頼度』がバッチリ高かったので、溜まっていた『信頼度ポイント』がそれなりにあった。

 

 目についた有用そうなスキルをポイントの限り取得してやった結果、ご覧の有様だ。

 

 ……正直、こいつを強化するのは将来自分の首を絞めそうで怖い。

 でも、今は生き残ることに全力を尽くすんだ。

 未来の俺、なんとか刺されないように頑張れ。

 

 この2時間でゴブリンを倒しまくったけど、今のゴブ太郎のステータスってどうなってんだ?

 

 スマホを取り出しアプリを起動、ゴブ太郎のステータスをチェックだ。

 

 ============

 

 名前   : ゴブ太郎

 種族   : ゴブリン(♀)

 レベル  : 10

 信頼度  : ♡ゆうと♡

 ジョブ  : 戦士

 能力   : こうげき ☆☆☆

        まもり  ☆☆☆

        すばやさ ☆☆☆

 状態   : アゲアゲ

 弱点   : 頭(色んな意味で)

 好み   : コーラ

        ♡ゆうと♡

 性格   : 恋する乙女

 スキル  : 『戦士の心得』+2

        『先制斬り』+1

        『剣術』+1

《備考》

 戦士としての道を歩み始めた乙女戦士。過去に群れの♂に無理矢理手籠めにされそうなところ、♡ゆうと♡に颯爽と助けられた過去を持つ。同担拒否勢。ゴブリン絶対殺すマン。ゴブリンスレイヤーゴブリン。あと『処女』だよ!   

        

 ============

 

 ツッコミどころ満載だが、もう慣れた。

 ダメだこいつ、早くなんとかしないと。

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。