魔物使い、はじめました。   作:YTとりあえずぶん投げてみる

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第4話 ゴブリン

 ドアを開け、マンションの廊下に出る。

 

 静まり返ってるかと思いきや、遠くでドン!って爆発音みたいなのが響いて心臓がビクッと跳ねる。

 

「うっ、なんか外マジでヤバイな……。やっぱり今日はやめとこうかな……」

 

 意気揚々と出てきたものの、いざ現実を目の当たりにすると足が震える。

 

「……いや、今動かないと絶対後悔する。こういうのは初動が大事って、ラノベに書いてあったんだ」

 

 震える足をなんとか動かし、ビビりながら階段を下りて外に出る。

 アパート前の道路はガランとしてて、全くと言っていいほど人がいない。

 普段なら朝の通勤時間で人や車が行き交ってるはずなのに……今は静かすぎる。

 

「いや、静か……じゃねぇな」

 

 道の向こう、コンビニの駐車場あたりでなんか動いてる影が見えた。

 デカい犬……じゃない。あれ、ゴブリンだ!

 

 緑色の肌にボロ布みたいな服着て、棍棒持ってる不細工なやつ。

 ゲームで見たことあるような典型的な雑魚モンスター。 

 

「うぉ、早速エンカウントか!?」

 

 ゴブリンはまだこっちに気づいてないみたいだ。

 距離は……20メートルくらいか。

 

 SNSで見た情報だと「ゴブリンは群れで行動する」、「単体なら弱いけど、数が多いと厄介」って話だった。

 

 周りを見回すと幸いこいつは単体っぽい。

 スライム探してぶらつくのもいいけど、せっかくのチャンスだ。

 魔物雇用の初陣、試してみるか!

 

「でも正面から突っ込むの怖ぇ……」

 

 ゲームならこういう時は不意打ちが基本だ。

 コンビニの駐車場脇に停まってる車に隠れながら、そろっとゴブリンに近づく。

 金属バットを握りしめ、息を殺して物陰から様子をうかがう。

 

「ふぅ、大丈夫、大丈夫だ。こんな状況、今までに何度もあった」

 

 ゲームで、だけど。

 気分はスニーキングミッション中の傭兵だ。

 

 ゴブリンはコンビニのゴミ箱を漁ってるみたいで、こちらに背中を向けている。

 

 チャンス!

 心の中で「魔物雇用!」と気合を入れて念じる。

 

「もし!? そこのお方! お、お主も俺の仲間になって、一緒に終末世界をトゥギャザーしようぜ!」

 

 ……って、緊張と恐怖で焦りすぎて変なこと口走ってる!?

 

「……ゴブ?」

 

 ゴブリンがビクッと反応して、こっちを振り向く。

 

 だめか!?

 でも、ゴブリンの目が一瞬ボーッとしたように曇る。

 

「お、おぉ……やったか!?」

「……ゴブゴブ」

 

 ゴブリンがなんか呟きながら棍棒を下ろす。

 

「お、マジか? 仲間になるか!? 無休無給だけど」

「ゴブっ!?」

 

 ……と、思った瞬間。

 ゴブリンの目が急にギラッと光って、棍棒を振り上げてきた!

 

「うおっ、ダメだった!? なんでぇ!?」

 

 俺の腰くらいの高さしかないゴブリンのくせに、今は異様にでかく見える。

 

「うわ、うわわわっ!」

 

 咄嗟に金属バットを振り抜く。

 リーチの差からか、ゴブリンの棍棒が俺にめり込む前に、不意打ち気味にバットがゴブリンの頭にクリーンヒット!

 

 ゴッ!

 

 鈍い音。

 その直後、ゴブリンが「グギャ!」って変な叫び声を上げて倒れる。

 

「い、いまだ! 殺らなきゃ殺られる!」

 

 すかさずもう一発。

 倒れて頭を押さえてるゴブリンの頭部にバットで追い打ち。

 

 ゴキャっ!

 

 ゴブリンの体がビクッと震え、全身がビンっと硬直する。

 

「うおぉぉぉお!」

 

 ゴッ、ゴッ、ゴキャ、ゴスッ!

 

 何度も何度も、小さな頭めがけてバットを振り下ろす。

 バットが頭にめり込む度に、衝撃が伝わってきて手が痺れてくる。

 

「はぁっ、はぁっ、はぁっ……」

 

 数秒後、頭がぐちゃぐちゃになってビクビクと痙攣しているゴブリンは、突然キラキラした光の粒になって消滅、スマホに吸い込まれていく。

 

「死んだ、か? 仲間になるかと思ったら、消えちゃったよ」

 

 肩で息しながら、金属バットを地面に突いて立つ。

 

 ダメだったか。

 それよりも……想像以上に怖かった。

 心臓バクバクだ。

 

 でも、なんか……めっちゃアドレナリン出てる気がする!

 モブの俺が、ゴブリンに不意打ちとはいえタイマンで倒せたぞ!

 ゲームなら「かいしんのいちげき!」って感じの爽快感だな。

 

 地面を見ると、ゴブリンが消えた跡に小さな石がコロンと転がってる。

 

「お、これが魔石ってやつか?」

 

 恐る恐る拾ってみる。

 ふむ、さっきのスライムの核より少し大きい。

 ビー玉より一回り大きくて表面はザラザラ、なんか濁ってて不気味だ。

 

「ドロップアイテムだし、キモいけど取っておくか」

 

 ピロン!

 

 スマホを見ると、画面にメッセージが。

 

 ============

 

《レベルアップ! レベル1→2》

 

《スキル獲得:魔物鑑定》

 

 ============

 

「おお、マジか! レベル上がった! スキルも増えた!」

 

 急いでスキルをタップして詳細を確認。

 

 =============

 

 ・魔物鑑定

 魔物を鑑定する。成功すると、魔物の能力や弱点、好みが分かる。レベルが上がると成功率上昇、より詳細に情報を得られる。鑑定方法はスマホのカメラで対象を撮影すること。

 

 =============

 

「おぉ! ここで鑑定来たー!」

 

 

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