魔物使い、はじめました。   作:YTとりあえずぶん投げてみる

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第8話 モンスター新人

 アパートへ帰る道中。

 コンビニから歩いて5分の距離にも関わらず、またゴブリンと2回エンカウントした。

 

 1回目は犬の死体を一心不乱に食べているゴブリンで、こちらに気づいていないようだった。

 犬を食った奴なんて仲間にしたくない。

 なので、そのまま後ろから金属バットで頭をかち割ってやった。

 

 2回目のエンカウントはゴブリンが3体。

 1体が見張り役で辺りを警戒していて、2体が人間を襲っている場面に遭遇した。

 

 襲われていたのはよく近所で散歩してるのを見かけるチワワ。

 そして、飼い主である近所に住むおっさんだった。

 犬はともかく、毎朝通勤時に道で顔を合わせると会釈する程度に見知った人間が、ゴブリンに襲われて血だらけになっていのは……心にくるものがある。

 

 すでに事切れてるおっさんを見て、下手したら俺もこうなっていたのか、とあり得た未来を想像して震える。

 やっぱり俺が今生きてるのは本当にただの偶然で、たまたまラッキーだっただけだ。

 

 上手いことゴブ太郎を仲間にして、ゴブリンを複数倒したからって調子に乗ってちゃダメだな。

 慢心は事故の元だ、危ない危ない。

 

 

 ゴブ太郎も襲われているおっさんを見て何か思うところがあったようで、俺に隠れるように言うやいなや、率先して同胞であるゴブリンたちに向かっていった。

 

 さすが同胞を手に掛けたことのあるゴブリン(トドメは俺だったとはいえ)、普通のゴブリンとは面構えが違う。

 しかしゴブ太郎、お前は同胞であるゴブリンを殺してもなんとも思わないんか?

 

 人間に置き換えて考えみ?

 いじめられてたからって逆恨みして、無差別に他人を襲うヤバい奴だぞ、お前。

 

 うーん、こんな奴仲間にして大丈夫か?

 なんかちょっと気分を害したら後ろから刺されたりしない?

 怖ぇんだけど。

 

 そんなゴブ太郎は、見張りのゴブリンにスススっと近づき「ゴブ!」っと片手を上げ挨拶する。

 やはり同じゴブリンだからか、見張りゴブリンは同じようにゴブ太郎に笑顔で挨拶を返していた。

 

 だが、ゴブ太郎。

 そんな笑顔で迎えてくれた警戒ゴブリンの目ん玉に、いきなりナイフを突き刺してた。

 確実に殺すために刺したあとグリッと捻ってたし。

 やっぱ怖ぇよ。

 殺意マシマシじゃねぇか。

 

 次にゴブ太郎はおっさんに夢中になってるゴブリンの1体にコソッと近づき、後ろから口を塞いで首元へナイフを回して、スッと音も無く首を掻っ切る。

 

 それに気づいていないもう1体のゴブリンは、そのまま脳天にナイフをぶっ刺されて死んだ。

 

 その動きがなんとも堂に入っていて、まるで訓練された暗殺者のようでドン引きした。

 笑顔で魔石を持って駆け寄ってくるし。

 

 うん、何度も言うけど……怖ぇよ。

 

 

 ★☆★☆★

 

 

「さて、無事に家に帰ってきたな」

「ゴブ!」

 

 ゴブ太郎の活躍で難なく自宅へと帰り着けた。

 俺だけだったら死にはしなくても怪我くらいしてたかもしれない。

 マジでゴブ太郎様々だ。

 怖いけど。

 でも、なんでこんなヤベェ奴が他の弱いゴブリンたちなんかに虐められてたんだ?

 聞いたら詳細を教えてくれるのか……いや、なんか面倒臭そうだしやめとこう。

 

 

 リビングのソファに2人で腰掛け、俺はスポーツドリンクを口にする。

 連戦に次ぐ連戦で疲れ切った体に染み渡る。

 

 ゴブ太郎にはコーラだ。

 何飲みたいか聞いたらノータイムで答えたからあげた。

 ゴクゴク喉を鳴らして飲んでるけど、炭酸大丈夫なのか?

 

 とりあえず、ひとまず休憩だ。

 

 

「……で、ゴブ太郎。これからについて方針を話し合いたいんだけど……」

「ぐえぇっぷ! ゴブゴブ?」

「お前、こっち向いてゲップすんなよ。で、ステータス? それがどうしたんだ?」

 

 なんか、なんとなくだけどゴブ太郎の言葉が分かる。

 言葉自体は「ゴブゴブ」としか聞こえないけど、言ってる意味が伝わってくるというか……。

 

 俺が選んだジョブのせいか?

 まぁ、魔物使いなのに魔物と意思疎通できないんじゃ話にならんからな。

 分かるんなら、深く突っ込まんとこう。

 

 ゴブ太郎に言われてアプリ『終末はじめました』をタップする。

 

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《レベルアップ! レベル3→4》

 

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「あ、そういやさっき追加でゴブリン倒したからレベル上がったんか」

 

 帰り道のゴブリン、計4体を倒した時に通知が来たのを忘れていた。

 だって、ゴブ太郎がヤバくてドン引きしてたんだもの。

 血塗れ不細工な笑顔で駆け寄ってくるんだぞ?

 恐怖以外の何物でもないわ。

 

「ゴブ!」

「ああ、はいはい、今開くよ。急かすなよ、ほら」

 

 食い気味のゴブ太郎と一緒に俺のステータスを確認する。

 

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 名前   : 望月 友人

 レベル  : 4

 ジョブ  : 魔物使い

 スキル  : 魔物雇用 

      : 魔物鑑定

      : 魔物教育

 雇用魔物 : ゴブリン

 

 ============

 

 レベルが4に上がっている。

 スキルは覚えなかったみたいで、そのまま。

 

「ゴブゴブ!」

「え? うわ、くっさ! お前、すげぇ臭うぞ!? 待て待て、なんだよ? 『魔物教育』? これをタップしろって?」

「ゴッブ!」

 

 なんかゴブ太郎がスマホを覗き込んでグイグイくる。

 それにしても、臭い。

 ゴブリンの返り血はハンカチで拭いたんだけど、臭いまでは取れなかったらしい。

 あとで風呂に入らせよう。

 お湯まだ出るかな?

 

「えーと、どれどれ……」

 

『魔物教育』をタップして詳細を見る。

 

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 ・魔物教育

 仲間にした新入魔物を教育し、業務遂行に必要なスキルを習得させる。信頼関係を築くことが大事。信頼ポイントの運用が鍵。

 

 ============

 

 

「なん……なんだこれ」

「ゴブ?」

 

 いや、うん。

『魔物雇用』の時からちょっと、いやかなり違和感あったけどさ……おかしくね?

『魔物教育』ってなんだよ。

 仕事か?

 俺のステータス、なんか変じゃね?

 

 

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