コトリヤゴクヨウ
コトリバコという存在は知っているだろうか、呪いたい相手に送ると死に至るという呪具である。【間引き】や【子殺し】を主とする物であり、小箱と書いてコトリバコと読み、子を取る箱という意味が込められている。
生贄にされた子供の体の一部を動物の血で満たした木箱に入れるなどして作られるとされており、その死の苦しみが【内臓が千切れる】【内臓が捻れる】といった苦しみを味わう。
①寄せ木細工等の見た目のよいカラクリ箱の中に、動物の雌の血を入れて満たす
②間引いた子供の死体の一部を入れる
③決して開けられないよう厳重な封をする
④殺したい人物に渡し、もっともらしい理由をつけて身近に置かせる
⑤呪われた者は血を吐き、苦しみ悶えながら死ぬ
この呪いは【呪う対象の一族を根絶やしにする】事を目的としているらしく、呪いを受けるのは【幼い子供】と【子供を産むことができる女性】に限られる。
ある程度以上の年齢の男性と、高齢で閉経している女性には効果が無い。
しかし、効果がある人物が呪いを受けると、内臓が少しずつ捻じれて千切れて、血反吐を吐いて死んでいくという。
なお、何人の子供を使用するかによって呪いの強さが大きく変化するらしく、子供は【水子】と呼ばれる。
一人から順に
【イッポウ】、【ニホウ】、【サンホウ】、【シホウ】、【ゴホウ】、【ロッポウ】、【チッホウ(シッホウ)】、最大の八人はを使用する【ハッカイ】、
特に【ハッカイ】は非常に危険な代物であり、呪う側も命を落とす危険がある。呪詛を伝えた人物が二度と作ってはならないと念を押した上で渡したとされる。
その部屋は、対凶悪犯罪者、テロリストをを閉じ込めておくための部屋である。複雑な【カラクリ】ともとれる部屋、その中には【妖怪】【怪異】【呪】という怪異譚そのものと言える怪異性を持った子供が収容されている。
天井に空いた排水口からは【赤い液体】が滴り落ち、怪異実験で積み上げられた子供が七人、物言わぬ死体となって存在している。
呪具【コトリバコ】の再現である。既にその部屋の外には収容された我が子を助けようと同じく拘束された母親が暴れている。既に研究所内の被害は甚大で、母親の怪異性【九妖】が一つ【玉藻前】に充てられて同士討ちにより半数が死んでいる。
「化物が……」
「
「親が親なら子供も子供だな、化物の対処は既にある、お前の子を持って、化物である貴様を殺そう」
収容された子供の監視のためのスクリーンに、赤い液体が【血】が溜められていく部屋が映し出される。
「あの化け物の女なら知っているだろう、呪いの、呪具の恐ろしさを、あの化け物を除いて七人既に場は整っている」
「道連れだ」
部屋に血が満ち満ちて、排水口が閉じる。この時点では扉を開くボタンがあるそれを、破壊することで厳重に密封された状態が完成される。
母親は、己の力を防御に回して迫る呪いを防ごうとする。
幸か不幸か、母親が妖異の力を使うこと、ハッカイではあったが材料に生きた子供が使われたこと、何より母親以外にも呪いが撒かれたこと、それは多くの命を奪っていったが、母親は助かった。
重傷者、1191000人
死者、764300人
内臓が捻れ死んでいる、現代社会においてこの怪奇的な事件は大々的に知見が広がった。直ぐにその道の専門家が集められ被害者の位置から中心点を導きある場所に絞られた。
それが怪異を研究する研究所、それも母親が暴れて、内部は悲惨そのもの、寄せ集めでは対処が難しいとして改めて専門家かの元締めや怪異の王と戦った物達が集められた。
「氷に炎にクレーター……蜘蛛の糸もあるな、複数犯か?」
「いや、複数犯ではないよ、これを見てくれ」
専門家が現場をもとに予測を立てるなら一人だけすべて分かっているように監視カメラの映像を見せる。
「悪いね、二人とも、本来ならこちらの幹部にも声をかけておきたい所なんだけど、1人はやりすぎてしまう可能性があるし、なんだったら協力してすらくれない子もいるんだ、正直言って吸血鬼ではないけど、かのキスショット・アセロラオリオン・ハートアンダーブレードに対する仕事と同じレベルだと考えておいてくれ」
「問題はない、俺は俺達はプロだ」
「わかっているよ、ドラマツルギー、忍野がエネルギー原を取っていたことを差し引いても、怪異の王と戦ったその実績を買っているんだ」
「それは良いんだがよぉ、俺は吸血鬼を殺したいんだ」
「吸血鬼でもあるんだよ、アレは、じゃなきゃエピソードくんは呼んでいない。というより呼んでも乗り気にはなれないだろう、今回戦うのは、怪異の王とも言える総集譚、その前座、そして咎そのものを裁く地獄だ、はっきり言ってこれだけの戦力では心もとない。だが、バンパイアハーフと純粋なる吸血鬼、なら話くらいはしてくれる」
専門家、怪異に対するプロが三人、いや、それ以上の数が研究所を訪れていた。それだけの存在が中にいるからだ。
専門家の元締め臥煙伊豆湖は、この場に相応しいと考えるプロを二人引き連れて中に入っていく。
怪異の王、キスショット・アセロラオリオン・ハートアンダーブレードに地べたを這いつくばらせ、二週間をも屈辱に追いやった四人のプロのうちの二人である。四人の中ではしたから数えるが、プロの中では選りすぐりの猛者である。
血痕をたどりさらに奥へ、奥に進むにつれ死体が増えていく、同士討ち、相討ち、血まみれの研究員達、映像に映った敵の技ではないことは明確だった。
「構図から同士討ちか…」
「みたいだね」
ドゴンっ
「今のは!」
小さいが、打撃音が廊下に響く、
ドゴンっ
さらに進むとまだ息のある研究員が倒れている。
「おい!大丈夫か!」
「化物だ……あれは化物だ、なんで生きている、なんで動ける、なんで、なんで、なんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんで」
「話は聞けないか……」
ドゴンっ
狂気に染まったように、「なんで」とくり返す研究員を警察に引き渡し、専門家の三人がたどり着いた場所には、鋼鉄の扉を殴り続ける母親の場所だった。
ドゴンっ!!!
ドゴンっ!!!
ドゴンっ!!!
「なんだよ鬼は鬼でも、こっちの……ドゴンっ!!!
「聞く耳を持たないか…あの先には何がある……」
「彼女の結付の弱点であり、総集譚がいる」
殴り続ける母親には二本の角が生えて華奢な身体からは想像できない音を響かせている。
叩き続けた扉は歪みヒビがはいる。そこからは、赤黒い液体が滴り落ちる。それを見た母親は三歩下がる。
「一歩入魂、二歩縮地、三歩!必殺!!」
ドガンっ!!!!
三歩の踏み込みとともに扉を殴ると完全に穴が空く。空いた穴からは赤黒い液体が吹き出し周囲に鉄の匂いを撒き散らす。
「まさか…これらすべてが血なのか?……」
「吸血鬼が血を間違えないでくれ」
「廻喪!」
母親は血液の濁流に逆らって部屋にはいる、事情が分からない専門家も警戒しながら後に続く。
「ほう、」
「なるほど…」
血液に流されて死体が七つ転がる、その中で一人血塗れでありながらも息をした子供がいる。
死体があることよりも生きているものがいることに驚くヒーローをよそに、子供に抱きつく母親、
「廻喪!廻喪!」
「お母さん……だい、じょう……ぶ」
「動「駄目だ、彼女は敵じゃない、一人の母親だ…」?!」
子供の為に一人で研究所を破壊した、専門家として許されざる行動とは言い切れない、何故なら回収された研究資料は母親の名も刻まれていた。怪異の中でも異質なそれは父親も含め家族全体で警戒されていたからだ。
性別 男
年齢 23
怪異性 【呪い/怨念】
死亡
歴史に残る呪いに似た発動条件とともに似たような効果を発動させる個性を持つ、発動時に呪いに関わる文字が浮かぶが、そこからの時間に差は0.5秒と短く避けることは不可能であり、死亡時に何か残している可能性がある。
銀憑
性別 女
年齢 24
怪異性 【九妖】
生存
妖怪に九種まで変化が可能である、確認した所【玉藻前】【鬼】【雪女】【女郎蜘蛛】【鴉天狗】【火車】【人魚】【覚】【障り猫】の九種である、人間状態含め十種、どれも強力な力でとくに【鬼】と【雪女】【玉藻前】【鴉天狗】が危険である。
銀憑
性別 男
年齢 5
怪異性 【総集譚】
生存
銀憑呪怨と銀憑十重の間に生まれた子供、【妖怪】【怪異】【呪い】の三種を扱うことが可能、【呪い】は父親呪怨のものと同じとし、【妖怪】【怪異】に際限は無く百という数字は比喩である。【メリーさん】などの現代怪異も扱え、対象が通信機器を持っていた場合場所を確実に捕捉できる。
性別 男
年齢 5
怪異性 【八大地獄】
生存
八大地獄を顕現させる個性、その強さ故に八階分の空間を作り最奥に収容している、階ごとに内容は変わり、内容から予想されるは上から【等活地獄】【黒縄地獄】【衆合地獄】【叫喚地獄】【大叫喚地獄】【灼熱地獄】【大焦熱地獄】【阿鼻地獄】と思われる、近づけるのは上記の三人のみであり近づくことは基本的に不可能である。
以上が危険とされる存在であり、生存をさせる理由は無く始末したほうがよいという考えだが、死亡時に効果を増幅できる物とされ手出しはできない状態である。
「こういう事態を予測して手を回していたはずだが、すべてを対応できるわけではないからね、胸糞悪い話だよねえ」
「そんなことはどうでもいいんだよ。なんだよこの廻喪ってヤツ、怪異の王の半人半妖って認識でいいのか?」
「ああ、その認識でほぼ間違いはない。だが怪異の王ではあるが、眷属だ、四百年前の怪異殺しのほうが近いね」
「なるほど、ハートアンダーブレードの一人目の眷属か、だが地獄はなんと説明する」
「死後の未知というのは君たちに無縁な話だね、未知を怪異とするのが日本であり、死後というのは此処だけじゃないどんな国でも恐怖だろう?そこから生まれたんだろうね」
「なるほど我らにとっては、悠久の時間こそが恐怖の対象だな」
研究資料に書かれたことは人権を剥奪した内容であった。全員が被害者であり、この場にいないがもう一人拘束されている人間がいることである。
「廻喪、いま直ぐに捌咎のところに向かうわよ」
「……うん、」
「待ち給え、私達は専門家だ、助けられず遅れたこと誠に申し訳なく思う、ここから先は我々も最大限手伝わせてもらいたい」
「分かったわ…ただし、それなりに覚悟してね、八大地獄は命がけよ」
専門家も交わり研究所のさらに地下へと進む。
等活地獄と書かれた扉を開けるとそこには【活きよ、活きよ】と言葉が流れ続け、身体を切り裂き、粉砕する効力が働いている場所だった。
想地獄の別名を持つ。いたずらに生き物の命を断つ者がこの地獄に落ち、ケラ・アリ・蚊・蝱の小虫を殺した者も、懺悔しなければ必ずこの地獄に落ちると説かれ、生前争いが好きだった者や反乱で死んだ者もここに落ちると言われている。
身体を傷つけながら進んだ先には黒縄地獄と書かれた扉、焼かれた黒縄、鉄の山、鉄の縄、鉄の釜が置かれている。
殺生のうえに偸盗といって盗みを重ねた者が、この地獄に堕ちると説かれている。
黒縄に打たれながら、鉄の山を背負い、釜の中で煮られながら進むと次は衆合地獄と書かれた扉、剣の葉を持つ木幻影に視界が揺れる。堆圧地獄の別名を持つ。先の二つに加えて淫らな行いを繰り返した者が落ちる場所。
次の扉は叫喚地獄と書かれていた。大叫喚地獄、焦熱地獄と続き大焦熱地獄へ、この時点で専門家は命を優先しは心が入り口に戻っている、それでも尚進む二人は阿鼻地獄と書かれた扉へたどり着く。
「鬼灯!」
「廻喪か?」
「ごめんね、遅くなって……」
鬼灯捌咎が展開する八大地獄はある条件下において幻影、錯覚となる、いな精神に対しての攻撃となる。ただし個性による干渉は個性の燃焼、および最大限の発露で抵抗が可能である。研究によって発見された方法だったが、現状八大地獄を突破できるのは、銀憑家だけであった。
「もう、いいのか?」
「うん、」
行きがけとは違い、灼熱だけに晒されながら三人は元の場所へと戻っていった。
「なぜでしょうか……」
警察風説課、および病院のお世話になっていた所、母親の十重は臥煙伊豆湖の言葉に疑問を投げかける。
「だからね、この度の怪異の使用は被害の最小限へ抑えるものとし、貴方方への法的処置はほとんどかなくなる形ではあるんだよ、でも研究所での内容から最低一年、最大三年の監視下に置くとの考えが……」
「そこでは無いです。なぜ捌咎は別なのでしょうか」
「貴方が引き取るというのは納得したよ。でもね彼らの生活をどうサポートするのかという課題もあるんだ」
危険な怪異であることに対する警戒は研究所内での扱いにより納得できるものである。問題点は三人があまり人を信用できない状態であること、捌咎の親はすでに死んでいること、捌咎にとっての親は十重であること、さまざまである。
それに対する公共機関は、十重が職につけるか、価値観のズレを払拭できるのか、という子どもの未来を考えたものであった。
「なるほど…ですがこれに関しては問題と言えますが方法があります、まず私達の扱いは問題ですが呪怨も私も、研究所の職員としての立場をもらっていました、研究の失敗という話が世間にあり、内容も話されていないのでしたら、退職したという話が作れます」
「なるほどねぇ……無職という訳ではないと、それは良い、ならこっちでも考えさせてもらうよ」
就職活動には、過去の経歴から判断される。此度のコトリバコの呪いは、世間に広がった物の特異な内容だった為に中心点であった研究所にも白羽の矢は立っていない。十重はそれを逆手に取ったと言うものだ。
警察も、銀憑家も捌咎の仕打ちは伏せているため、断ることは難しい、故に改めての報告がなされた。
「君の考えは受諾された。そして、最低年数が二年へと増えた、そしてこれらについて何か知っていることはあるかい?一応聞いておきたくてね、」
職に付く方法は受諾され、新たな問題が一つ、その場には小さな鎖の付いた笛、十手、鉄扇が置かれた。
「それは全て妖刀、呪怨が封印した武器よ。解除できるのは廻喪と捌咎と私だけ、」
「封印……そして刀ではないか……」
「妖刀と言っても前提が違うからね、笛の方は剣のような矢、十手は金砕棒、鉄扇はしっかり刀、脇差だけどね」
「なるほどねぇ」
妖刀だから封印されているわけではないが、本来の形を隠す封印が施されている、これらは個性として分類してはならないほどに危険であり、本人はもう生きてはいない。
「監視が解かれたときに受け取らせてもらうわ、これでも形見だからね」
「それは二年後の判断によらせてもらうよ」
「それじゃあ、後はいいかしら?」
「うん、問題ないよ」
話は終わり、三人は新たな道へと進む、捌咎は引き取られた際に姓は変えないことを決めた、それでも親として十重を慕い廻喪と共に成長していく。
監視から二年、怪異性の暴走可能性が見られながらも制御できるようになり、さらに二年の監視のもと安全とみなされて自由な動きができるようになった。
中学に上がる頃にはもとの身長、遺伝からだが廻喪は157cm,捌咎は176cmとかなりの差ができた。
「……どうする、転校という方法もある」
「さすがに不安がデカいだろ、まさか、髪とは別でイジメが起きるとは……」
廻喪のイジメの原因となる問題は喉だ、口は災いの元、喉を傷つけられ喋るのを苦手とし、捌咎は火傷痕が腕にあった。
廻喪の髪が白黒入り混じっていたり、左右の目が白と黒で分かれてたり、捌咎の髪と眼が赫だったりするのは珍しくはあるが綺麗なものでそれ自体は私立中学ということもあり別段問題はなかった。
「俺の喉はしょうがないが」
「俺の火傷もな……一年は耐えてみるというのも手だ」
「証拠をまとめる」
「そういうこった、方法はいろいろある」
痛みに鈍く、それでもいじめの異常性を四年で学び、成長していた。
「転校するわよ!」
「……分かった」
「そうか…」
一年、十重の働き方ゆえに、二人で暮らしていたため、二人が母親に話した中学一年三学期、転校という方法を十重は取った。
「証拠もある、お金もある、私も移動が言い渡された、なら転校が一番早いわ!」
「なんで移動に?」
「確かにな、ヘマはしてないはずだから……」
「玉藻前も使っていないのに、知らない間に会社内のカップル五つを潰しちゃって……」
「ああ…」
勘違いから、日常会話でカップル五つを崩壊させた十重は、もとの手腕もあり移動が言い渡された、いわば出世である。
「行き先は見滝原市、見滝原中学校は制服あるから」
「和服がいいんだが、」
「動きづらい」
「文句言わな〜い、ほら準備して、いい感じの一軒家があったから引っ越し考えてたしね」
十重のハイテンションに呆れながらも、二人は見滝原への引っ越しに身支度を始めるのだった。
まず、この話は導入です、長いですが導入ですまどマギ要素が全く無いですがオリキャラの設定の為の物語の為ご了承ください