半人半妖に救えるものはあるのか【魔】   作:紡縁永遠

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ヤクモウワサヤチヨ

 「『今からそっちに行くから駅にいなさい!』」

 「それは良いんだが、ソウルジェムの状態は?」

 「『問題ないわよ、それに、気になることもあるしね』」

 「それなら、気をつけてこいよ、ほむら」

 「どうだった?」

 「ほむらがこっちに来るってさ、どうする」

 

 電話を終えた廻喪は捌咎に向かって質問する。

 

 「さぁな、ただ、噂をよく知るものを探したほうがいいってことだ、」

 「それもそうか、【アラモウ聞イタ、誰カラ聞イタ】、まるで子供のお遊びだ」

 「子供のお遊びだろうが、馬鹿にできん、噂は物語は、怪異に成る、怪異を呼ぶ。事実、荒唐無稽にしちゃ、出来過ぎている」

 「だな、」

 

 神浜全域を見渡すように、上空から、蔓延る怪異を見続ける。学校に、電波塔に、山奥に、街中に、小さくも確実に根付く噂のストーリー、専門家たる二人が、見逃さないわけがなかった。

 

 「待たせたわ」

 「うん、それじゃぁ行こうか、」

 「その軒だが、さっきの結界がまだ残ってる」

 「行くのか?」

 「刀だせ、」

 「アレ完成してないぞ?」

 「それでいい」

 「だそうだ、行くぞ」

 「ええ、いいわ」

 

 結界、すでに一度入り、二度目は自業自得だと忠告をして、一人の少女を送った結界、かなりの時間が経っているはずではあるが、中には三人分の気配があった。

 廻喪と捌咎は、鍔どころか持ち手すらない刀を持って使い魔を、切裂いていく。

 

 「最高品質の未完成品だけど使えるんだな」

 「さっきの並品質で完成品よりかはマシだな」

 「いや、連絡しなさいよ」

 「めんどくさかったからな」

 

 ほむらも魔法少女として使い魔を倒している。比較的強い使い魔ではあるが、持ち前の経験によりものともせず専門家二人について行く。

 

 「ここが最深部か、っと先客か、」

 「あら?誰かしら、しかも男がなんで?」

 「仕事で来てんだよ……力を貸す必要ないな?」

 「ええ、」

 

 ハルバードに似た槍を扱う青髪の女性は、魔女を片手間に相手しながら廻喪達を見る、専門家を知るものは少なく、男が魔女の結界内にいることは異常なため警戒される。

 

 「ここが魔女のプライベート空間だよ、いろはちゃん!」

 「はい!」

 「ん?おお、さっきの、生きてたか」

 「不謹慎だぞ捌咎」

 「何で男がここに?って早すぎでしょ!」

 「あなた達が遅いのよ、現にあとから来た三人に追い越されてるじゃない。まぁ、もう一度チャンスをあげるわ、一人であの魔女を倒しなさい。そうしたら認めてあげる、私の食べかけだけどね」

 

 青髪の女性は、悪びれる素振りもなく、言い切った。状況を知らない廻喪達も、競争をしていたことがはっきりと分かる会話だ。

 

 「わかった、やってみる」

 

 いろはと呼ばれた少女は挑戦を受けて一人で魔女へと向かっていく。

 それを止めようと砂嵐を生み出すが避けて左手のクロスボウで攻撃に移る。

 

 「ぎこちないな、」

 「そうか?ヒットアンドアウェイができてるぞ」

 

 傍観に移った専門家二人は手持ちの刀で飛んできた攻撃を落としていく。

 

 「届け!」

 「上、ああ、なるほど」

 

 空に飛ばした矢は、幾重にも分かれて振り注ぎ魔女を貫き殺す。一人でと言う課題をこなしてみせた少女は嬉しそうに振り向いた。

 

 「やった!やりました!」

 「どうだ、やちよさん!」

 「なんでももこが得意げなのか、」

 

 大剣を携えていた少女の言葉に呆れるように、青髪の女性は答える。

 

 「でも、いいわよ。途中からは問題なさそうだったし、見ればだいたいは分かるからね」

 「よかった…だから魔女を、譲ってくれたりしたんですね」

 

 認めてくれたと、嬉しそうに感謝する少女、だが、青髪の女性の意見は全くの別物だった。視線は大剣を携えていた少女の腕、小さなキュゥべぇに向けられる。

 

 「たた、目的があったからね。ちょっといじめすぎたかしら。この小さなキュゥべぇは私の前には現れてくれないから、

 「気がついたら神浜市からいつものキュゥべぇは消えていて、この子しか存在しなくなった。

 「イレギュラーな存在、どう考えても危険な因子にしか思えないのよ」

 

 それは明確な敵意であり殺意、強く握られたハルバードに似た槍を振るって小さなキュゥべぇをはたき落とす。

 

 「ももこさん!」

 「しまっ「遅い!」ぐうっ」

 「プキュッ!」

 「キュゥべぇ!ももこさん!」

 「これでようやく消せるわ」

 

 反応できずにキュゥべぇを落としてしまい、気絶する少女、それに割ってはいったのは、いろはと呼ばれた少女ではなく、間に入る、間に立つ。間殻を保つ専門家の廻喪であった。

 

 「はいはい、そこまで。流石に説明位はしてやりなさいな。にしても、魔法少女同士には問題ごとが多いのかね、この短い期間に二回目とはね」

 「どきなさい!あなたごと串刺しにするわよ!」

 

 横薙ぎの攻撃を片腕だけで抑えた廻喪に臆することなく、攻撃すると宣言したが、痛みや怪我は当たり前である専門家にとって、怪我は部位欠損を負ってからである。

 

 「好きにすればいい、ただし、正体もわからぬものに牙を剥いて、面倒なことを起こさないでほしいな。それとキュゥべぇが神浜にいないのは結界が張られているからだ。此奴が原因じゃない。

 「一概に関係なしとは言えないけどな。

 「どっちにせよ、俺達は仕事できてるんだ、このまちに貼られた結界を含めても、魔法少女には色々聞きたいことがある。此奴の処遇についてはそれからにしてくれ」

 「……分かったわ、それで、貴方達は何者なの?」

 「専門家。この世ならざるもの、人ならざるものと人を繋げる、間を持つ、間に入る。主な役割は怪異との交渉。それができなければ戦闘も行う。そして魔法少女システムについて追っている組織の最前線だ」

 

 あくまで交渉において廻喪が絶つ位置は対等であり平等な場所である。どちらにも牙は向くし、殺すことも視野にある。でも、それは互いに戦闘の意思があることが前提であり、話し合いで終われるのならばそちらを優先する。

 専門家内、臥煙ネットワーク内では魔法少女システムの対象を廻喪と捌咎の二人に任せてあり、全ての決定権は臥煙伊豆湖に次ぐ発言権を持つ。

 

 「七海やちよよ、一応よろしく」

 「銀憑廻喪だ、でこっちが」

 「鬼灯捌咎」

 「暁美ほむらです」

 「そっちは?」

 「環いろはです…」

 「アタシは十咎ももこだ」

 

 全員の自己紹介が終わり、物語は加速する。

 専門家二人と言う異形の専門家、見滝原よりも神浜のほうが分野である。

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