半人半妖に救えるものはあるのか【魔】   作:紡縁永遠

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主人公達の力の説明にヒロアカの、個性を用いましたが、怪異にそんな物は必要ないとして消しました。


まどか☆マギカ 壹話〜
ヘンセントジョウバラ


 「ここか…」

 「みたいだな、整備はしっかりしてるみたいだが……」

 「動きづらい」

 「それは慣れね、でも、ここでのイジメは心配しなくていいわよ、個性を持った子が来るのは珍しいけど、生徒間の問題も少ないから」

 

 見滝原中学校に転校した廻喪と捌咎は担任となる早乙女教師に連れられ教室に向かっていた。全面ガラス張りという思い切った教室をみながら、二人は疑問を投げる。

 

 「そうか」

 「そういえば、なんで同じ教室なんだ?こういうのは別々の教室だろ」

 「それは今から行く教室の人数が少ないのと、鬼灯さんの見た目ね、身長が高いのもそうなんだけど、火傷痕は少し怖いかもしれないからね、隣に銀憑さんがいれば緩和されるかもしれないってこと」

 

 差別はなくとも、捌咎の身長は高く、さらに火傷痕がある、印象は悪いものが先に浮かぶ姿だからだ。逆に廻喪の姿は、男というより女と違うほどの麗人であり、長髪、印象はよいであろう。

 

 「そんなものか」

 「ああ、」

 「では後で呼びますのでお二人はここで待っていてくださいね」

 「ああ、」

 「了解した」

 

 教室に入っていく早乙女先生は最初から本題にはいる。

 

 「皆さん心して聞くようにそして今日は皆さんに転校生を紹介します」

 『『『『あっ、まだ大丈夫なんだ』』』』

 

 早乙女先生の失恋問題が無かったことに安堵すると同時に、転校生の存在に皆入り口に注目する。

 

 「二人とも入ってきてください…………あれ?」

 

 早乙女先生が廻喪と捌咎に入るように促すが二人は入ってこなかった。

 

 「ろくろ首」

 「ビジンサマ」

 「豆狸」

 「狐の嫁入り」

 「龍燈」

 「姑獲鳥」

 「滅法貝」

 

 妖怪しりとりをしていた。早乙女先生は出てくる言葉の意味をつかみあぐね、無視をする。

 

 「入ってきてください」

 「了解」

 「一目連」

 「終わりと、」

 

 きっちりと【ん】で終わらせて教室に入る二人は、自己紹介になり口を噤む。

 

 「何話せばいい」

 「知らん、」

 「とりあえず名前を言ってくれればいいですよ」

 「銀憑廻喪」

 「鬼灯捌咎」

 「銀憑さんはそこ、鬼灯さんは一番後ろの席へ」

 「「了解」」

 

 淡白な自己紹介で、そのまま二人は各々席に着く。廻喪は桜色の髪の毛をした少女、鹿目まどかの隣、捌咎は最後尾に新しい席の為の隣はいない。

 

 「よかったね、先生の恋愛に巻き込まれなくて」

 「どういうことだ?」

 

 鹿目まどかの言葉に疑問を投げかける廻喪、

 

 「うん、先生が彼氏と別れたりするとどうでもいい内容の二択問題を聞かれるからね、対処法はどちらでもいいだよ」

 「なるほど、気をつけるよ」

 「私は鹿目まどか、よろしくね廻喪君。隣だから分からないことがあったら遠慮なく聞いてね?あと私保険係だから、怪我しちゃったら相談してね」

 『怪我か、喧嘩のせいで日常茶飯事なんだがな』

 

 早乙女先生にある恋愛問題、別れた時に起きた二択の選択肢を生徒に理不尽に投げかける。八つ当たりというものだ。

 八つ当たりは慣れている廻喪だが、それ以上に怪我が絶えないのが二人である。そして、転校初日に始まる体力測定で大きな爪痕を残す。

 

 「差別的な発言をするようで申し訳ないが、廻喪お前は男なんだよな?」

 「もちろん、髪は切ってもすぐに伸びるので」

 「そうか…」

 

 廻喪の見た目で少し止まってしまったが、走り出す。最初からトップスピードで。怪異性が原因であるが怪異は使っていない、怪異性を抑え続け、暇さえあれば喧嘩の殴り合い、基礎体力が人よりあるのだ。

 

 「クソッ!負けた!」

 「歩幅の違いだな」

 

 周囲に倍のタイム差をつけてゴールした二人は教師に呆れられる。

 

 「ドーピングとかしてないよな?」

 「もちろん」

 「薬なんか使うつもりはない」

 

 廻喪の怪異性は妖怪に通ずる力すべてが使える、天狗や鎌鼬、一反木綿、怪異ならターボババア、テケテケ、速さに通ずる物語を持つ存在も多くいる。

 捌咎の怪異性は速さに特化するものではないが、地獄に存在するとされる鬼は妖怪のなかでも最強と謳われたほど、速さに特化した存在ではないが、人に比べれば驚異的な速度を出すことが可能である。

 

 「そういや、歩剛術の永続ってできないのか?」

 「無理とは言わない、ただ、体力消費が早い」

 「それはそうか……」

 「な、なんで……全力……疾走………で、きるの」

 「ば、化物」

 「体力の問題だ、怪異にもいるよな?」

 「いる」

 

 鹿目まどかとその友達美樹さやかの二人は平均下あたりの記録であり、走る距離を差し引いても倍の差は二人を化け物たらしめる理由になる。

 

 「まぁ、いろいろある、気に病むな」

 「そうは言っても、」

 「次の時間寝そう」

 「それはまずいよさやかちゃん」

 

 廻喪の慰めもあまり効果はなく、次の授業が睡眠との戦いとなることを宣言する美樹さやかとそれを窘める鹿目まどかの二人の会話に廻喪と捌咎は笑みがこぼれる。

 

 「ふ…」

 「なに?」

 「どうかした?」

 「いや、仲がいいようで、」

 「喧嘩するほど」

 「暴言大会」

 「「??」」

 

 廻喪と捌咎のよくわからない会話の方が仲の良さを際立たせるがそれを言わずにこの授業を終えた。次の国語の授業では宣言した通り教科書を立てて寝息を立てる美樹さやかが怒られて終わった。

 

 「それじゃ、帰る」

 「また」

 「うん、」

 「じゃあね」

 「両面宿儺」

 

 放課後になり、別れた廻喪と捌咎はまた妖怪しりとりを始める。幾度となく繰り返されるこのやりとりは個人の戦いという楽しみもあった。

 

 「鯰狐」

 「猫憑き」

 「気狐」

 「……虚空太鼓」

 「幸庵狐」

 「………寝惚堕」

 「ちっ!龍宮童子」

 「やっぱり狐縛りしてたか」

 「悪いかよ」

 

 勝手に狐縛りにしていた廻喪は【り】から始まる狐の妖怪が出てこず別の妖怪に切り替える。自身の怪異性の汎用性を高くする、知識を日常で使うことで定着させる。逆に捌咎はシンプルな炎と、そこからの地獄の種類のため、汎用性は廻喪に及ばない。

 

 「地黄煎火」

 「飛代路理」

 「……」

 「……」

 

 続く【じ】から二体ほど繋げた後、二人は周囲の異変に気づく。見滝原はガラス張りのビルが多くあるため夕陽が反射されて美しさを感じる。しかしそれとは真逆に暗く影が濃くなり、人成らざるものの到来を知らせる。

 

 「おい、」

 「ああ、」

 「「怪奇現象」」

 

 バックに入っていた笛と十手を取り出した二人は、最大限の警戒をしながら足を進める。怪異の使用は原則禁止である、それは専門家との話で決まっており、怪異の時以外では二人は徒手と妖刀に頼らざるを得ない。

 

 「引き返すか?動きづらいぞ」

 「すでに踏み入っている、無駄だろ」

 

 怪異に行き合うのは、人が怪異の領域に自ら踏み込むからである、無意識的に踏み入った、そういった事柄は先ずない。怪異に行き合う人間の大半は加害者であり、被害者ではなく、土足で踏み込んだ対価を払う。【蟹】に合えば重さがかわり、【蝸牛】に合えば道に迷い、【猿】に願えば、悪魔となる。

 何度踏み込んだ、何度加害者となった、何度仲介したかなど、二人には関係のない。すでに妖異と混ざった半人半妖、進む以外の路は視ていない、知らない怪異、妖怪、物語に遭遇したとしても。

 

 「薔薇園か…」

 「薔薇は、知らないな、」

 

 何百、何千もの薔薇が咲き乱れ、鋭い茎が廻喪と捌咎を囲むように生い茂っている。空はすこし紫がかった青色。薔薇の匂いが漂うが、いい匂いとは言えない異臭が立ち込めている。

 情景と知りゆる物語が一致しない廻喪は捌咎と背中合わせになるように構える。

 シャキン、と音を鳴らしながら、薔薇園の管理者らしき存在が目の前に現れる。蝶々の身体で綿のような顔にカイゼル髭がついた得体の知れないモノが大きなハサミを持ちながら二人をじっと見ている。

 

 「名付けるなら、【蝶鋏(ちょうばさみ)】か」

 「ああ、いいな、もう少し情報があれば確実だな」

 

 怪異や妖怪には物語が存在する、名前をつければ名前に縛られ、存在が確定する。意味が生まれる、物語の登場人物となる、物語は怪異の存在意義であり弱点である。

 

 『薔薇園の管理者、綿に乗り薔薇を管理する鋏を持った蝶の怪異、軽い物語はこんなものか』

 『見た目的に燃やせば終わりそうだが、数が増えれば面倒くさいな、物語の組み立てか、廻喪は動けないなら、燃やすか』「焼縄(しょうじょう)黒縄(くろなわ)

 

 黒縄地獄の罰にある焼かれた黒縄を作り出した捌咎はそれを振るい、廻喪が蝶鋏と名付けたソレに打ち込む。鞭とは違い太さも重さも同じのため音速を超えることはないが、捌咎の筋力によりそれに近い力を生み出す。

 

 「あまり聞いてないな、植物由来の怪異なら大抵は聞くはずだが」

 「鋏は燃えない、黒縄じゃあ意味がない」

 「ああ、なるほどな、なら別の方法を」

 

 シャキン!

 

 Das sind mir unbekannte Blumen.

 

 Schneiden wir sie ab?

 

 Die Rosen schenken wir unserer Königin.

 

 Und die schlechten Blumen steigen auf die Guillotine.

 

 Ja, schneide sie ab!

 

 Ja, schneide sie heraus!

 

 浮かぶ日本語ではない文字、廻喪と捌咎には冷や汗が浮かぶ、専門とするのは日本と外国でも中国やインドまで、目の前に浮く文字から理に対する予想が難しくなっていた。

 

 「なんて読む?」

 「ギロチンしか読めないなぁ」

 「ギロチンか、フランスとかか?」

 

 ギロチンから連想されるフランス革命、ルイ16世とマリー・アントワネット、軽口を叩きながら、持っている武器で叩き落としていく二人は決定打を探していた、そこに一閃、遠距離からの攻撃が、怪異に火を吹く。

 

 「大丈夫?怪我とかはしてなさそうね、後は任せなさい」

 

 マスケット銃を両手に持った金髪縦ロールの少女が、立っていた。

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