半人半妖に救えるものはあるのか【魔】   作:紡縁永遠

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マドカイゴウバラ

 「はぁ……」

 「どうした、」

 「臥煙さんいわく、あの子、佐倉杏子は重要な立ち位置らしい。見滝原と風見野は俺達の管轄だと」

 「今のところ、使い魔を圧殺する方法しかないのにな」

 

 風見野市で二人があった佐倉杏子は重要な立ち位置にいる、何でも知っている人の言葉からそれは本当であり、言葉にするということは魔女と魔法少女というこの世ならざるものに対する対応として優先度が高いと言える。

 ただし、二人が倒せるのは現状使い魔までであり、それも鉄の山や塗壁と重し蟹を利用した圧殺する方法だけであり、魔女には通用しないのである。

 

 「この戦いも限界が来るし、速い所殺し方を理解しないとな」

 「臥煙さんが伝えないはずはないから、すでにできるということでもあるが」

 「あったら、殺し続けるしかないけどな」

 

 使い魔を殺し回って数日、転校してから一月、クラスに慣れた頃、新たな出会いが到来した。

 

 「皆さん、心して聞くように」

 

 「目玉焼きにかけるのは、醤油ですかそれとも胡椒ですか」

 『何言ってんだこの人』

 「はい、銀憑くん!」

 「別にかけなくても上手い、」

 「は?」

 「強いて言うなら、俺は塩だ」

 

 空気を読むとかではなく、本当に味覚がズレている廻喪は何もかけないことに対する皆の疑問に気づかない。

 

 「えっと…鬼灯さん!」

 「どうでもいい、手元に一番近いものを使う」

 「……」

 

 捌咎に質問をした先生は思っていた反応が返ってこなく、言葉が詰まる。

 

 「ちょっと二人に質問、食べるときにつける味付けって……」

 「その都度変わる、というか、喧嘩でそれどころじゃないとこが多いな」

 「ああ、捌咎が塩をぶん投げて、始まったあれな」

 「アルコール消毒ぶん投げたお前が言えることじゃないだろ」

 「それは俺の甘味を奪ったことに対する謝罪の変わりだ」

 「ほお、俺の作っていた漬物を勝手に開けた馬鹿は何処の誰だった?」

 「「……」」

 「「表出ろ!!」」

 

 ヒートアップしていく会話に、転校生として扉の外にいた少女は先生に声をかける。

 

 「先生、早くしてください」

 「ごめん…ちょっと二人とも!転校生来てるから!」

 「知ってる」

 

 気配で壁越しに存在を認識していた二人には関係ないことで、既に手元には笛と十手が握られている。

 

 「互いに叩いて、気絶が負けな、」

 「おう、」

 

 結果は、他人の机を利用して上を取った廻喪の勝利となった、捌咎は気絶して机に突っ伏している。

 

 「暁美ほむらです」

 「席は廻喪さんの隣で…」

 『あの二人、前回はいなかったはずだけど』

 「悪い…」

 「いえ、」

 

 暁美ほむらは時を渡る、過去へと戻れる。希望を持って、絶望から逃げるように、幸せを願って。

 

 『負けた…魔法少女じゃないのにどんな体力をしてるのよ』

 

 体育の授業、魔法少女としての魔法を少なからず使い上位の記録を取るが、半人半妖の怪異もどき二人には到底及ばす、本来の目標とは違うかたちで、やり直しが始まった。

 一方それを見ていた鹿目まどかは、本来驚く的要素の転校生の数段上を行く廻喪と捌咎と友達故に少し凄いた程度の認識だった。

 

 「ねえ、鹿目さん、今の自分は大切かしら」

 「え?そうだけど」

 「ならいいわ、くれぐれも今とは変わった自分になろうとしないでね」

 

 この質問をされるまでは、昼休みの屋上で廻喪と捌咎、美樹さやか、そして、志筑仁美、廻喪と捌咎が仲良くなった在校生の一人である。

 

 「……」

 「……」

 「なんだそりゃ、文武両道でスポーツ万能かと思いきや、今度は電波ちゃん!? どんだけ属性盛り込めば済むんだよ、あの転校生は~!」

 「それを言うならそちらの二人もでしょう」

 「まぁ、確かに笛と十手で手合わせする人は居ないもんね」

 

 昼休み、食事の時間ではあるが、それを無視して喧嘩の続きとなっている廻喪と捌咎の二人を見ながら残る三人は昼食を食べる。

 

 「変わった自分、か」

 「ん?」

 「何か知っているな、」

 「それだけじゃなさそうだけど、どちらにせよ、面倒事であることには変わりない」

 「だな、」

 

 喧嘩をしながらも、転校生について語る二人は切り替えの仕方が他とは違う、よくわからないもの、怪しいものに対する事柄においては、0と1の違いくらいには切り替えが早い、それでも喧嘩をやめることはないが。

 

 「二人とも、転校生とは違った印象だよな」

 「確かに、入学三日で窓ガラスを五枚も壊す人はそうそういないよ」

 「しかも、二人で五枚ではなく、一人づつの換算ですからね」

 

 入学三日目にして喧嘩で窓ガラスを計十枚破壊した二人は一部の教師から目をつけられている。そもそも喧嘩する時点で停学をできるが、それが無いのはとあるところからの回し金があるからである。

 

 「負けた……」

 「やり返せたか」

 「転校生には、何かある、けど、基本的に暗黙の了解とか、巻き込まないよう、してたりはするから、気にするようなことでもないよ」

 「ねぇ、喧嘩の時は普通に会話してるけど怪我してるのか?」

 「え?ああ、怒りは、感覚を鈍くする、のどの痛みも、頑張れば、話せるような物だから」

 

 これに関しては、作者の実力不足であり、カタコトを意識していながらも、専門家イコールよくしゃべる、会話ができる、言葉が多い、という認識のもとから来る弊害である。

 

 「ようは、足怪我したけど歩ける程度の痛みってやつだ、それが続いているだけだから慣れで話せてみるみたいなもんだ」

 「そっか…」

 「あっ、そうだ、今日CD買わないと行けないから付き合ってくんない?」

 「問題ない」

 「すいません、私は稽古がありますので」

 

 志筑仁美は稽古で抜けた放課後、四人繁華街を回っている。CDを探す美樹さやかと鹿目まどかの隣でパフェを持った廻喪は無言で周囲を見渡す。

 

 「えっ?」

 「ん?」

 「誰、なの?」

 『やっぱりか、魔女とは少し違う気配を感じていたが、このパフェ捨てたほうがいいかな、けど、こちらに聞こえないということは、踏み入ったのは鹿目だけか、面倒くさいことになったな、今のところ避けようが相手からの干渉か、』

 「ねぇ、二人とも聞こえない?さやかちゃんは聞こえないっていうんだけど……」

 

 廻喪の考察の中、自分の頭のなかに響く声に少しながらの恐怖と同情を持った鹿目まどかは廻喪と捌咎にも質問する。

 

 「聞こえないが、一応聞きたい、どんな言葉を言っているんだ?」

 「助けてって、あっちから……」

 「やっぱりか……てっ、先に行くな!」

 

 鹿目まどかは、自分が聞こえる声を信じて動き出す。そこに何があるかとしれずに、ただ走る、その声が正しいと信じて。立ち入り禁止の場所にも入っていく。

 

 「まて、その先は……」『コイツはインキュベータ、孵卵器か、少女達への説明は無くていいと臥煙さんは言っていたけど、警戒するに越したことはないな』

 「大丈夫?」

 「ソイツを離して!」

 「……怪我をしての同情、言いたいことは分かるが鹿目、ソイツから手を離せ、普通の存在じゃないぞ」

 「でも…こんな酷い状態なのに」

 

 怪異の総集譚として、猫と兎が混ざったような生物を警戒する廻喪と、手元にある銃でその生物を傷つけたであろう暁美ほむら、そして声を聞き庇おうとする鹿目まどかの三人による膠着状態が起きている。

 

 「わかった、助けずに手助けという形で行こう、暁美「あなたには関係ないことでしょう」……それはそうだな、でも、関わってしまった事柄からは、逃げられない」

 「何言を言っているの?」

 「それはこちらも言いたいが時間切れのようだ」

 

 横合いから、消火器が散布され、目眩ましとなる。

 

 「二人ともこっち!」

 「消火器使っちゃだめだろ」

 「殴るよかマシだと思うんだが……ちっ、入っちゃったか」

 

 路地裏から抜けるように走り出す四人だったが、廻喪と捌咎が転校初日に巻き込まれたあの場所に、たどり着く。

 何百、何千と、咲き乱れる薔薇園は記憶に新しい。

 

 「二人とも、離れるなよ」

 「え、うん、」

 

 戦えない美樹さやかと鹿目まどかを庇うように立つ二人は使い魔が襲ってくるかの見定めを始める。

 

 Das sind mir unbekannte Blumen.

 

 Schneiden wir sie ab?

 

 Die Rosen schenken wir unserer Königin.

 

 Und die schlechten Blumen steigen auf die Guillotine.

 

 Ja, schneide sie ab!

 

 Ja, schneide sie heraus!

 

 「またこれか、写真撮れるか?」

 「いや、なんでこんな冷静なのよ」

 「慣れ、一回あってる……塗壁」

 

 襲ってきた使い魔に合わせるように塗壁を発動時壁を作る廻喪、壁ができたことにより襲ってくる方向が限定され、そちらに集中が可能となった捌咎は十手で相手を粉砕とまでは行かないが、動けないくらいにダメージを与えている。

 

 「鉄山、刀葉林」

 

 さらに、鉄の山と枝葉が剣の木々が生い茂る。

 

 「一般人いるんだ、幻覚はなしだ」

 「ああ、それもそうだな」

 

 刀葉林、衆合地獄にあり、枝や葉が刃物や剣のように鋭く尖っており、その葉が風で触れ合うと罪人の身を切り刻む、

 浮気や不倫などの「邪淫」の罪を犯した者がここに落ちます。木の上にいる愛しい相手(鬼が変身している)に会おうと登れば、その葉で身を引き裂かれ、降りればまた下から刃で刺される、という責め苦を永遠に受け続ける場所とされている。その愛しい相手も幻覚というものではあるが。

 

 「出る方法といえば…」

 「まったく、なんでまた巻き込まれてるのって……新しい子もいるわね」

 「お久しぶりです」

 

 数の多さに苦戦していると、黄色の弾光と、同じく黄色リボンが周りの使い魔をはじき飛ばす。見滝原の魔法少女、巴マミの攻撃である。

 

 「とりあえず、倒しちゃうからそっちの護衛を頼むわね、」

 「了解」

 

 二人が巴マミと出会った時のようにマスケット銃を使い捨てにする形で魔女を狩る。

 

 「魔女を專門とする専門家か、」

 「ねぇ、今違うけど、あの服私たちと同じ学校?」

 「ああ、先輩、それも魔法少女」

 「魔法少女?」

 「説明は本人から聞いたほうがいい」

 

 美樹さやかと鹿目まどかの質問に答える捌咎、

 

 「なんで巻き込まれたの?」

 「それはそっちに聞け、あくまで巻き込み、きっかけを作ったと言える人間だ」

 「キュウベェを傷つけたのはあなた?」

 「ええ、けど巻き込んだと言われるのは心外ね、貴方達は魔女の結界があることを知っていたでしょう」

 「……そうだな、けど最初に言っただろう、関わってしまった事柄からは、逃げられない、鹿目まどかは既にインキュベータに触れており、美樹さやかも見えている、この時点で突き放すことはできない、一応俺達はバランサーでもあるからな、交渉をしたければ、通してもらえれば齟齬がなくて済む」

 

 専門家としての考え方は忍野メメに近しい、人は他人を助けることはできず、ひとりでに助かる。関わったことに対する事柄の大半は自業自得ということである。

 

 「そう、でも貴方達には用はないの」

 「そうだろうな、けど言っただろうバランサーだって、アンタと鹿目まどか、場合によっては巴マミ、美樹さやかとの橋渡しになると言っているんだ。まぁ、魔女に関しては被害が大きすぎるから見つけ次第討伐というのがうちのネットワークでのルールだがな、」

 「勝手に話を進めないでくれるかしら?」

 「進めてはいない、話し合いができる場をつくっているだけだ」

 「わかったわ、じゃぁまた会いましょう」

 

 そう言って暁美ほむらは去っていく。話術、話し合い、交渉、それが専門家の最大の武器であり、戦いなどの討伐は基本的にすることはない。ルールを知っているからこそ、踏み込まないし、避けることも可能である。

 だが、魔女は避けられない人間が多いため臥煙ネットワークでは見つけ次第討伐というのが決まりである。必要以上の行方不明、不審死は、未知を物語を生み化物を怪異を作る。人一人で作れるものは、臥煙遠江や羽川翼などの特殊例を除いて基本はいない、物語は語り語られる、複数人数がいるから成り立つのである。

 

 「……わかったわ、貴方達にも説明しないとね、魔法少女と魔女について」

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