「貴方達、何者なの?」
「専門家、バランサー、調停者、橋渡し、いろいろ言い方はあるが、この世ならざるもの、人ならざるものと人をつなぐ役割を持つ、それで、何のようだ?」
「鹿目まどかが魔法少女にならなければ私は危害を加えない」
「それじゃだめだ、軽はずみに言えないことはあるけど、それじゃぁ足りない、君の持っている手札をそれなりに明かしてもらわないと」
「ふざけないで!」
己の役割を開示したうえで、暁美ほむらの言葉を切り捨てる。否、切り捨ててはいない、判断基準になり得ていないだけである。それでも暁美ほむらには癇に障ったのか、銃を取り出す。
「はっはは――何か、良いことでもあったのかい?言葉が通じないのなら戦争をする、それが俺達専門家のやり方ではあるんだけど、まどかが、魔法少女にならない、なってはいけない理由と、それを知った方法についてくらいは答えてほしいものだ。それとも、君の持つ手札というのは少ないのかな?魔法少女としての、技が、今俺が言った提示してほしいことに繋がるというのなら、出したくない気持ちもわかる。けどね、間違っても君が鹿目まどかを助けるなんて思っては行けないよ、人は誰かを助けることなんてできないんだから、手伝うことしかできないんだよ」
「私はまどかに助けてって言われてるの!助けないなんて選択肢はない!」
「そうか、分かったよ、君の気持ちは理解した。俺も精一杯の説明を三人にしよう、すでにあの二人にはインキュベータのやり方に対する疑問を伝えてある、ああ、安心してくれ、あっちには同じ専門家がいる、万が一は無いと思ってくれて大丈夫だ」
「……そう、ならいいわ」
持ち前の話術で最低限ではあるが暁美ほむらの目的と大体の手札を理解した廻喪は、その場を後にする。捌咎はすでに魔法少女体験コースにて、巴マミと共に魔女と使い魔を殴っていた。
「よっ、」
「……ねぇ、技命とか無いの?」
「あるにはあるが、戦闘中に叫ぶようなものでもないだろ、静かにつぶやくように声にすることはあるがな、」
「そう、まぁ、これにておしまい、ありがと、おかげで楽ができたわ」
「そういうのは廻喪に行ってやれ、俺ができることなんぞ咎を燃やすことくらいだ、ソレに人の横に立てるのはアイツのほうが向いてる」
「信用してるのね」
「信用じゃねぇよ、できないから言ってんだ」
得手不得手、捌咎は己の怪異性から人に寄り添うことができないと決めつけていた。己が向き合うべきことは罪だけと、燃やし続けて、精神も焦がしている時に出会ったのが銀憑家であり、それまでは燃やさことしか知らなかったのだ。そして廻喪も、周りにあるのは人ならざるもの、この世ならざるもの、孤独とはいい難いが、それでも寄り添うことは言葉にしかできなかったのである。
「身を焦がす炎ってのは残酷でな、弔いだけじゃないんだ。アイツはよく言っていたが、不死の焔は月まで煙るってな、見方によっては、今の技術を知れば、悪い選択にも見えるかもな」
「?」
「どういうことだよ?」
「さやかちゃん、聞かずに考えたほうがいいやつじゃない?」
「まぁ、そのうちわかる、でも終わったなら連絡位は欲しかったな」
「なんだ、交渉は終わったのか?」
「おう、」
捌咎の言葉が理解できずに悩む三人の前に廻喪が現れる。手にはお茶を持っていた。
「とりあえず、はい、でもってだが、暁美ほむらの目的だが、まどかを魔法少女にしない、これが目的だった」
「やっぱり」
「けど、それだけじゃない、まぁすでに捌咎から、聞かれてると思うが、願いは決まったのか?」『恐らくインキュベータあたりだろうが、友愛だけじゃなさそうなんだよ』
暁美ほむらとの会話で、まどかに対する認識が、魔法少女になることを重きとする喋り方だと気づいた廻喪は、その歪な見えない愛情を理解しようとしていた。それと同時に、立てた仮説から、アドバイスできることがないか、願いの内容を質問をする。
「そう言われると出てこないんだよね」
「さやかちゃんは不老不死や億万長者って言ってたけど」
「努力もせずに手に入れた金に何の意味がある、それに、不死者がすることなんで自殺しかないぞ、不死者の中にはスーサイドマスターって言って、自殺のプロなんかもいる、まぁコロナで逝ったけどな、」
「そんなにあっさり……」
「不死性を奪われればそうなる、まぁ満足していったから俺たちが気にするべきことじゃない」
スーサイドマスター、必死にして万死にして決死の吸血鬼デストピア・ヴィルトゥオーゾ・スーサイドマスター、真祖の吸血鬼であり、怪異の王の親であり祖母である。文字どうり万回死に、それでもなお生きる、しがないぞんざいが生きているというのも変ではあるが、自殺の専門家というわけである。
「まぁ、願いが決まったら教えてくれ、言葉一つで色々変わるのがこの世界だ」
「うん、」
「わかった」
「ところで、不満顔の、巴先輩は、どうしたんですか?」
廻喪の言葉に頷く美樹さやかと鹿目まどかに対して、不満げに廻喪をみる巴マミ、
「後輩を取らないでちょうだい」
「……魔法少女じゃなくとも、魔女を倒すことはできますよ、俺達みたいに」
「それでも、魔法少女じゃないんでしょ」
「専門家ですから、まぁ一人じゃないんですからいいじゃないですか」
「!そうね、確かに一人じゃないわね」
「それじゃぁお開きということで、また明日」