とあるライダーオタクが絶望の世界に来てしまった件 作:キラトマト
────わたしはあなたが好きなのだろうか。恋をする、自分が好きなのだろうか。
これは、ひとりの少女の胸の奥に沈む、誰にも触れられずにいた“軋み”の物語。
彼女自身さえ目をそらしてきた小さな想いが、世界の崩壊という闇の中で、静かに静かに動き始める。
誰のために戦うのか。何のために傷つくのか。その答えを、甘噛綴はまだ知らない────。
覚えていますか。初めて私とあなたが、会った日のこと。
私は鮮明に覚えていますよ。
……今だから言えることですけれど、最初の貴方のイメージは、パッとしない人。
根明だけれどひょろっとしていて、剣の握り方はぎこちなくて、正直興味の欠片もありませんでした。
────でもあなたは黙々と鍛錬を重ねて、誰よりも早く走り、誰よりも強くなろうとした。
そして、たった一人の女性を守るために、迷いなく命を懸けるその背中を見た時……胸が震えたんです。
惚れたんです。
……
…………
………………
……………………いや。なんで心の中でさえ本当のことを言えないんでしょう。惚れてなんていません。私は貴方に惚れてなんていなかった。
ただ、……羨ましかったんです。……あの女が、羨ましかった。
あの愛が欲しいと、子供が他人のおもちゃを強請るように、妬んだんです。その羨望の眼差しを、その情熱を、私にも向けて欲しいと。私も満たして欲しいと。
……
…………
………………嘘。これも嘘っ、彼の気を惹きたいだけの、浅ましい嘘っ。
……本当はただ、恋をしてみたかったんです。身を焦がすような情熱も、大げさな奇跡が起きなくてもいい。
ただ、普通の恋がしたかったんです。なのに貴方はあの女とずっと一緒にいると言った。だから私、諦めようとしたんです。
……諦めた……はずでした。なのに……貴方が他の女に気を向ける時、何故か胸が傷んだんです。
あなたは戦って、姿を変えて、みんなを救っているのに。私は何ひとつ変われなくて、釣り合わないまま。
それが悔しかったんです。
だから、私だって何かしなくちゃって、そう思って飛び出してもあの女が一緒に行動する始末。
────そして今、私は来栖崎さんを庇って死にかけている。
あぁ……いっそ、このまま死ねれば……ほんの少しは悲しんでくれるんでしょうか。
それとも、あの怪物のせいでみんな死んでしまうのかな。
……嫌だ。それだけは絶対、阻止しなければならない。
「……さんを、救います!」
遠くで、愛しい声が聞こえる。誰を、救うんだろう。私かな? 来栖崎さんかな?
「甘噛さんッ!」
その数秒後。姿を変えたあなたが、ゾンビの群れの前に立ち塞がった。
「安静にしててください!」
自分だって私たちとそう状態は変わらないはずなのに、あなたは血を分けて私たちを回復させた。
鎧は剥がれ、体勢は崩れていく。何度も、何度も倒されても────あなたは立っていた。
私が諦めかけたその瞬間、空から落ちてきた乗り物が私たちを拾い上げた。
あぁもう……本当に。……どこまでも、"皆"のヒーローなんですから。
……だからこそ、胸の奥が、また軋むんです。
仮面ライダーセイバー 第32章『僕の想い、結晶となりて』から
次回予告
第2部 本の怪物、渚輪を襲う。
第14章 吹き出す新風、蠢く策動。
現れた2人目の男。そして蠢く白い本棚。
「────裸!?」
「男の後輩ゲット!!」
「火葬作戦だよ! 行っくよー!」
「あの白い剣士が、どれ程のものか、試してみましょうか」
彼らは、新たなる魔の手から渚輪を救えるのか!?
甘噛綴は好きか
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好き
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嫌い
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キャラが薄い
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