とあるライダーオタクが絶望の世界に来てしまった件   作:キラトマト

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第20章 それぞれの思い、決意に変えて。

 

 ────獣はいつでも、獣を殺せる。なればこそ、それを抑えることが、人を人たらしめる理性ではないのか。

 

 同年 7月12日

 

 翌日、ポートラルはゾンビを排除した大型デパート『メグリエ』を新たな拠点として利用し、そこでアドが机に足をかけて高笑いをしていた。

 

「ハーハッハッハッハー!! 私はスーパーヴィラン、モグモグメグミなり〜」

「ちょっ、アドやめてください!! あれは貴方がやれと……!」

「フフフ、それでも着たのはモグッチの意思だよねぇ〜」

 

 そんな光景を見て、ぶわっと涙が止まらなくなる賢人。

 

「え!? け、ケンティー!? 何か泣く要素あった!?」

「……いや本当……よかったなぁ……って」

「アンタ昨日の夜も泣いてたわよね?」

「言わないでください!?」

 

 彼らの日常が戻ってきた。運良くメギドも来ず、束の間の幸せを楽しんでいたそんなある日、アドは突然みんなを集めた。

 

「……もしかしたらさ、PAL研が動き出したかもしれない」

「え!? ────ってPAL研ってなんですか?」

 

「あ……まぁあの時は状況が状況だったから仕方ないね。PAL研究所は私の古巣で、バイオハザードを引き起こした組織だよ」

 

 アドは続ける。

 

「で、それで察した子もいるかもだけど、アイツらが動き出したってことは……もしかしたら滅菌作戦が発動するかもしれないってこと」

「滅菌……嫌な響きだけど、一応聞いてもいいか?」

 

 サンは確信しながらも問う。

 

「渚輪区、渚輪ニュータウン両方の感染者の駆除、だよ」

「駆除って……言い方ってものがあるだろ……。あ、でも感染者ってことは……!」

 

 そんな彼の希望はすぐに壊される。

 

「はは、アイツらにそんな判別、出来るわけないじゃん。……だから全員殺すの」

「そんな雛見沢みたいな……クソっ、メギドだけでも手一杯だったいうのによ……!!」

 

 賢人は焦りからか頭を搔く。

 

「そ・こ・で!! 落ち着いてケンティー、なにも不安がらせたかっただけじゃないよ。言うなれば落として上げる、DVのやり方だよ」

 

 あれからアドは、少しブラックジョークを言うようになった。

 

「なんですか? 対抗策でもあるんですか?」

「いや、対抗策はない。ただ止めたいって言うなら止める権利があるってだけ」

「要はそいつらの居場所がわかるってことだな?」

「そ、君の記憶が戻れば本拠地も分かるんだけどね〜……。今分かってるのは、ある科学者の道楽の為の実験場だけ」

 

「そいつは……PAL研の中では上の立場なんですか?」

「うん。真綾が死んだから多分、今は実質的なトップだと思う」

「トップって! それじゃあその場所に行ってそいつ倒せば終わりじゃないですか!!」

「はあ……本当ケンティーって単純、ヒーローものばっか見てるから。いつでもその科学者がいるとは分からないし、何より……」

「……?」

 

「そいつ自身には戦闘力はないんだけど、そこにたどり着くまでに……人造人間部隊がいるんだよ」

「人造人間……賢神みたいな感じか」

「っていうかアド、さっきから科学者、とかそいつ、とか言ってるけど名前は知らないのか?」

「私真綾の秘書みたい立場だったからさ、名前も知らないんだよね。あとね、そいつと同じ立ち位置の学者がもう一人いたんだよね。真綾なら知ってるだろうけど……」

 

「う……すまない」

「まぁまぁ、思い出さない方がいいこともあるだろう。樽神名君、結局君はどうして欲しいんだ?」

 

 サンの言葉に苦笑したアドは彼に目配せする。そしてそんなサンを思いやり話題を元に戻す礼音。

 

「……そりゃあ阻止して欲しいけど。私だってあそこの一員だったから……でも皆には死んで欲しくないからさ……」

「だったら決まりです」

「でも負けたら────」

 

 賢人は即答し、アドの声を遮る。

 

「飛羽真さんが言ってました。『物語の結末を勝手に決めるな、物語の結末は俺が決める』って。理不尽な現実は絶対に許しちゃいけないんです」

「あぁ……本当に……」

 

 アドは涙を拭い、頭を下げる。

 

「お願いします。……私に力を貸してください」

「なんだよ聞いてりゃ、かしこまりやがって。お前はもっとイイ顔する女だったろ?」

「……栗子、私以外の女(アドさん)と寝たの?」

「バッ……! なんでそうなんだよ……!?」

 

 そんな姫片の反応を見て一通り楽しんだ豹藤はアドの方を向き直す。

 

「栗子が行くなら、私も行くよ」

「それに、私たち戦闘班は一蓮托生、結成当時言っていただろう?」

「怖いけど……でも僕は真綾とは違うってことをアドに見せないとだからさ」

「勇気と無謀は違います! ……と、言いたいところですが、神川さんと……サンさんがいますからね」

 

 それは、確かな実績に裏付けされた信頼。

 

「みんな……もうっ。ホント、ポートラルがみんなで良かったよ」

 

 アドは涙を堪えながら笑みを浮かべた。

 

「それでアドさん……場所っていうのは……」

「鳳凰軍事学校っていってね。ここ渚輪区本島にある政府直結の……まぁ学校とは名ばかりの軍人養成施設だよ」

「あぁあそこか。あんま意外感はねぇな」

「……それと作戦なんだが、一度交渉に行って見るのはどうかな?」

 

 その言葉に、姫片の眉がピクっと上がる。

 

「交渉……? この島を地獄に陥れたとことか?」

「はい。血が流れないならその方がいい……それに、今は交渉に値するだけの武力を持っている。……と思う」

「俺の事か?」

「あぁ、それに僕も行けば────」

 

「サンちゃんはダメ。元はあっち側のトップなんだから。ジョーカーみたいなものだよ。使い所を間違えればその時点で敗北が確定する」

「そっか……。じゃあ誰が行くんだよ? 賢人とあと……」

「アヤネル、頼める? 出来ればヒサギンはこっち側の戦力として残って欲しいんだけど……」

 

「私は別にいいけど、血の補給はどうするのよ」

「……それなら僕に任せてくれないか?」

「え? 何言ってんのアンタ」

「僕が不老不死なら、その血にも抑制効果があるはず……って思ってさ」

「おいおいサン、それは都合良すぎ……あ」

 

『貴方ですね? 本来の主人公は』賢人はストボロスの言葉を思い出す。奴の言葉が戯言でないとしたら……。しかし賢人は思いとどまる。

 

「それは流石に……良くないだろサン。色々と」

「今は倫理観なんて考えている場合じゃ────いやすまない。この考えは良くないな。悪い賢人。反省する」

「……しかしそれなら誰が……」

「賢人様、いえ皆さん。この拠点はわたくしに任せてください。来栖崎さんは賢人様と共に行ってください」

 

 ため息を吐いて手を挙げる甘噛に、サンが心配そうに目を向ける。

 

「甘噛……いいのか? 君1人で……そんなの」

「わたくしを舐めないでくださいまし。賢人様はあなたにお任せします。ですから……必ず無事に帰ってきてください」

「……ありがとう甘噛。じゃあ、この戦いが終わったら……あ〜……やっぱ終わってから言うよ。死にたくないからさ」

「死亡フラグなんてもの信じてますの? ふふ、可愛らしいですね」

 

 ころころと、軽く微笑む甘噛。

 

「ぷっ、バカにされてんぞ賢人」

「ば、バカにはしてませんわ!? わかった風なことを言わないで下さいサンさん」

「大丈夫、甘噛の想いは分かってる」

 

 軽くショックを覚え、頭を抱えるサンを横目に、賢人は拳を突き出す。

 

「……ここをよろしくな」

「ふふふ……こういう時は頭を撫でるものなのですよ」

「あ……いやまだそういうのは早いかと……」

「うし! そんじゃあツヅリンはこのメグリエを、そしてケンティーヒサギンアヤネル! 鳳凰軍事学校への交渉作戦は任せたよ!」

 

 アドはパンと手を叩き、脱線した話題を強引に戻す。

 

 かくして、『渚輪区救出作戦』と銘打たれた一大作戦の第一幕が今、上がった。




Tips.エステ ランクとレベルを最大まで上げたキャラはエステが利用できるぞ。エステには2種類あり、性能を上げる覚醒と、絵柄を変える着せ替えがあるぞ。
着せ替えによっては実装後何かしらの逆に引っかかり、未だに復活していない、とてもセンシティブな絵柄もあったようだぞ。

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