とあるライダーオタクが絶望の世界に来てしまった件   作:キラトマト

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6話 爛漫:IR 悪の生存者

 

 ────わたしは守りたい。そして必ず取り戻す。わたしの希望を。

 

 同年 3月21日

 

 彼女たちは動き出した。

 ニュータウンの外れ、かつて倉庫街と呼ばれていた一角。そこに、生存者たちが「自治」と称して集う区画があるという情報を掴んだのは、礼音とアドだった。

 生存者の意識改革と条約制定。

 不絵、毛糸、来栖崎班の生存者散策と仲間救出。それを同時にこなせる案件が、アドによってもたらされた。

 

「場所はここから北。……5人で足ります?」

 

 待機のミカが心配そうに見つめた。

 

「大丈夫! こっちには最強のヒサギンがいるんだよ?」

 

 その言葉に、少し来栖崎が顔を赤らめる。

 

「……じゃあ行こうか不絵」

 

 恋人が仲間に囲まれて、少し声を落とす毛糸。

 

「そうね」

 

 鉄柵と簡易バリケードで囲われたその一帯は、一見すると秩序立っているように見えた。

 見張りは交代制、焚き火は管理され、配給の時間も決まっている。

 だが、その秩序は“内側の者”にのみ与えられるものだった。

 外れた場所から様子を窺う不絵の視界に、見覚えのある背中が映る。

 

 ────ほたるだった。

 

「ほた────」

 

呼びかけて、不絵は止める。彼女の腕には即席の縄。足取りも重く、まるで監視されるように歩かされていたから。

 

「……捕まってる」

「保護じゃない」

 

 不絵の声は震えていた。毛糸が低く言う。

 

「ありゃ拘束ね」

 

 来栖崎の言葉が重く響く。彼女は無言で双眼鏡を下ろした。

 敵意も殺気も、まだ見せない。ただ、全体を把握するための静かな視線。

 不絵は一歩、前に出た。

 

「待って。不絵」

 

 毛糸が腕を掴む。

 

「今行っても、助けられない」

「でも……仲間が」

「“助けたい”と“助けられる”は違う」

 

 毛糸の言葉は冷たく、しかし真剣だった。それでも、不絵は、引かなかった。

 正面から区画に姿を現し、見張りの女たちに声をかける。

 

「すみません……ここに、私たちの仲間……友達がいるはずなんです。返して、もらえませんか」

 

 その言葉を聞いて、見張りは顔を見合せ嗤った。

 

「返す?」

「保護してやってんだよ」

「医療も、食い物もな。感謝されたいくらいだ」

 

 不絵の胸に、鈍い痛みが走る。

 

「……保護、じゃない。……あの人たちは、縛られてた」

「逃げられたら困るだろ」

「ここは安全なんだ。外より、よっぽどな」

 

 その瞬間、不絵は理解してしまった。ここにあるのは善意ではない。独善と支配だ。

 背後で、低い衝撃音がした。一人の女が、宙を舞って倒れる。来栖崎がやったのだ。

 

「はい。交渉終わり」

 

 静かな声。しかしその中には静かな怒りが込められていた。

 

「あなた達は、守ってるつもりで縛ってるだけ」

 

 武器を構える者がいたが遅い。刃が一閃し、鉄パイプが床に落ちる。

 

「支配っていうのはね」

 

 来栖崎は一歩踏み込む。

 

「力がある側がやるものじゃない? 弱い人間が、力を独占した“つもり”でやるから、始末に負えない」

 

 数分もかからなかった。血は最小限。

 だが、抵抗の意志は完全に折られていた。

 拘束されていた仲間たちは解放された。

 しかし、その中に────まにかの姿はない。

 

「もう1人、いなかった?」

「は、はぁ……? そ、そんなの知らないわよ。……あ、もしかしてあの暗い赤髪の子?」

 

「っ、そうその子」

「あの子なら……連れ去ろうとした時に軍服を来た人に連れていかれたわよ」

「……軍服?」

 

 そして、離れた場所でアドが小さく呟く。

 

「これが、派閥化の始まりだよ」

 

 生存者たちの世界は、もう元には戻らない。だが彼女たちは、進むことを選んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

「よし、二手に別れよう」

 

 生存者の対応班、そして調査班に別れることにした面々。

 

「申し訳ないですけれど、私は廻栖之さんを取り戻すことには反対です。あの方は……危険すぎる」

「え……? どういうこと綴ちゃん」

 

「いえ、私の考えを言っただけです。探したいのならお好きにどうぞ。私は樽神名さんの班に付きます」

「……分かった」

 

「それじゃあ行ってくるよ」

 

 不絵たちはニュータウンに唯一存在する軍事基地へと、生存者組織"ポートラル"として最後の作戦に望んだ。




この話は、ギーツのサブタイトル命名方式を徹底するためのかさ増し回ですが、それにしては上手くかけたと思います。

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