とあるライダーオタクが絶望の世界に来てしまった件   作:キラトマト

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Epilogue 英雄から繋がる、新たな(よすが)
第27章 終わった戦い、始まる物語。


 

 ────英雄の価値はなにか、わたしはいまだ分からない。名声など、わたしはいらない。わたしはただ、死からの脱却を望むだけなのに。

 

 変身を解除した賢人は停泊していた巨大船舶を発見する。大きさは豪華客船には劣るものの、この場の全員は乗れる程という大きさ。

 

「あかつき号みたいな……」

「ケンティー! こんなの見つけたよ! もしかしてこれってケンティーの好きな仮面ライダーってのに関係あるんじゃな〜い!?」

 

 走りよるアドが持ってきたのはとある映像を記録したディスク。

 

「なんですかそれ……?」

「ほら見てこれ!!」

 

 彼女が指し示したパッケージには様々な戦士が掲載されていた。

 

「……これ、え!? は!? どういうこと!?」

「他にもあったんだよこれが!! 来てきて! ハリー!!!」

 

 アドはもう一度斜目病院まで走って賢人を呼ぶ。

 

「えちょ待ってください!!!」

『爆走うさぎとカメ!!』

 

 興奮で、そんななんでもない事にブックの力を使ってしまう賢人。

 

「え!? 賢人様!?」

 

 ウサギとカメのウサギもかくやという速さで走る賢人を、綴は追いかける。

 

「何やってるのあの子たち……?」

「行ってみようよ不絵。もしかしたらあの人たちの手がかりがあるかもしれない」

 

 それを見た不絵と毛糸も着いていくこととなった。

 

「帰るぞ音姫。これは約束の外だ」

「うん」

 

 一方のメルターは自らの安全を確認するとそのまま渚輪ニュータウンにある拠点まで帰っていったのだった。

 元 銀の国。かつて深見がいたその部屋には未だ八月朔日真綾の遺物が残っていた。

 

「まじか」

 

 仮面ライダーセイバーの全巻……だけでなくそれ以前の全ての『仮面ライダーシリーズ』の記録デバイスが網羅されていた。

 

「なんですの……このDVDの数々は……」

「ちょっと甘噛これはとてつもなくやばい事だぞ!? 誰の部屋だったんだ一体……!?」

「うっるっさ……!」

 

 遅れて不絵と毛糸も到着する。

 

「クッチーに不絵っち!!」

 

「やばいんですよ!? これ実質部屋がTTFC*1になってるってことですよ!?」

「アド、これは一体どう言う状況だ……?」

 

 珍しく賢人に翻弄される毛糸はアドに助けを求めた。

 

「あはは……まさかこんなに興奮するなんて思わなかったよ〜」

「こんな賢人様初めてですわ……」

 

「いやぁマジか……てか昭和もあるしネオライダーも……マジで誰が……」

「神川さんちょっと落ち着いて? ……貴方知ってるのよね?」

「仮面ライダーを!?」

 

「仮面ライダー……っていうの? このベルトで変わる人達を……」

「そうです!!」

 

「ならこのベルトの人たちも別の世界ではフィクションの存在ってことね……。ケイちゃん」

「あぁ、分かってる。この中にあるかも、なんだろ?」

 

 過去2度助けてくれたデザグラのライダー達。

 

「いや俺全ライダー確実に見落としはないはずなんで、それで見たことないってことは……」

 

 賢人は落ち着きを取り戻し、グルグルと思考を張り巡らせる。そんな彼の背中をバシッと叩き、アドが指し示したのは1冊の資料。

 

「ケンティー! 本題はこっち」

「『シルヴァニアの不死兵士(アタナトイ)製作日誌』……?」

 

 賢人がそんな物騒な単語を読み上げると場の緊張感が一気に上がる。

 

「不死の兵士……聞いたことあるよ。……真綾から。素案だけだけど」

「八月朔日真綾が……あ、それに共著・神峰透露になってますよ……?」

 

「受け継いだか、もしくは乗っ取ったんだろうね。……これは……」

「おいおいおい待てよこれ……」

 

 そこには姉妹たちに移植された歴代英雄達の遺伝子情報が事細かに記載されていた。

 

『なお、該当人物の個体選別については別紙(本型多機能デバイスの扱い方)を参照』

 

「これは……いや本人じゃ無いはずだけど……」

「どういうことですの?」

「仮面ライダーの変身者の部位や臓器が移植されてるかも……ってこと」

 

 末恐ろしい想像が、賢人を襲う。

 

「……あ、待ってください賢人様。この方……しずくさんでしょうか。この方の能力……工業地帯の死体に似通ってませんか?」

 

「……ん? どれどれ……? 不可視の斬撃……確かに軍人だけ傷の種類違ったけど……」

 

「ってことは生きてるってこと……かな? でもあの神峰が脱走した実験体を放置しておくとは思えないんだけど」

 

 アドはねちっこかった神峰の性質(タチ)を思い浮かべる。

 

「あぁだから追いかけて殺された軍人ってことか!! まじ頭いいな甘噛!」

「何なに? 話が見えてこないんだけど」

 

「つまりですね私荷崎さん! もしかしたらこのシルヴァニアファミリーの5人、生きてるかもしれないんですよ!」

「へぇ……それで仲間に引き入れるってこと?」

 

「いや〜そこまではあまり……。てか、完全な興味です。仮面ライダーの力持ってる女の子ですよ? そんな空想みたいなこと……」

 

「ちょっとケンティーテンションおかしいよ?」

「あぁすみません。……でもまぁ真面目な話、戦う為だけに生み出されたこの子達に仮面ライダーを教えてあげたいんです」

 

「中々いいこと言うんだね。ポートラルの神川くんは」

「あ、あはは……カッコつけてたんで」

 

 賢人が苦笑するとアドが手を叩いて注目を集める。

 

「それじゃあここにある資材は今回の参加生存組合で分割ということで!」

 

「あ、アドさん。このライダーのDVDは渚輪区と渚輪ニュータウンの生存者全員の共有財産ってことにしませんか?」

「およ? なんでかな?」

 

「皆にもこれを見て欲しいんです。見て何も思わない人だっていていい。……でも見る価値は確実にある」

「つまりは教材……学校みたいな感じってことね。……りょーかい」

 

「学校……そんな大層なもんじゃありませんけど。ありがとうございますアドさん!」

 

 彼ら5人は斜目病院を後にし、後日ポートラル ハルノート メルターの3生存組合にて資材を分け合うこととなったのだった。

*1
東映特撮ファンクラブ。仮面ライダー等が月額で見放題のサービス




原作では(ここ辺り。展開が全く違うので)ここでサン以外全員死にます。

Tips.ハルノートのキャラは元々不絵、毛糸、ほたる、まにか以外はそれ以前から実装されていたぞ。ナナシスのスリーセブンス以外のように
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