思春期男子が心配なナースさん
「シンヤさん、また怪我をしてしまったんですね?」
「は、はい……」
今日私はシンヤさんのお家にお邪魔しています。掃除中に床で足を滑らせてしまったそうで、数カ所の打撲傷がありました。私は何度もシンヤさんを治療しているのでいつ怪我をしたのかを感覚で分かるようになっていました。なので今回もすぐに駆けつけることができました
「ほんと何度も申し訳ないです……」
「いえ、大丈夫ですよ。これが私のお仕事なので。でも、なるべく怪我はしないでくださいね?1月に1度は必ず怪我をしているので私は心配で……」
「ごめんなさい……気をつけてはいるんですけどね……」
「今回は軽い傷だったので幸いでしたけど、お家の中でも危険はいっぱいあります。今まで以上に注意してくださいね?」
「はい……」
「今日中は患部を冷やしておいてください。2〜3日後に回復期に入るのでそこで適度に温めたり軽くマッサージなどをすれば血流が良くなり治りが早くなります」
「へ〜、そうなんですね!わかりました、では言われた通りにしておきます」
「では、私はこれで。もう転んだりしちゃダメですよ?」
「はい、気をつけます」
私はシンヤさんのお家から出て学園に戻ることにしました。その道中で、ふとシンヤさんと初めて会った日の事を思い出しました。あのときはいい出会いとは言い難いものでした
────────────────────
「はぁ……はぁ……」
「ッ!?あの!どうかしましたか!?」
いつも通り、学園内を歩いていると、見慣れない男性がボロボロの状態で歩いているのを見かけてつい声をかけてしまいました。所々血が出ていて、ふらふらと歩いている姿はとても悲惨な状態でした
「ッ……あなたは……?」
「私は鷲見セリナ。トリニティ総合学園2年生で、救護騎士団に所属しています。それより!とうしてそんなひどい傷を…!」
「ここの生徒の人たちにやられたんですよ……あなたもあの人達と同類ですか?もしそうならあまり関わらないでください」
「やられた……?少しお話を伺っても?」
「殴ったりしませんか?」
「そんなことは決してしません」
「はは、ならあなたを信じてお話します」
この後聞いた話では、彼、日向シンヤさんは自身が入学する学園を決めるために見学に来ていたそうなのですが、トリニティに来る前にゲヘナ学園の見学に行っていたらしく、その事を話したら過激派の人達から数人がかりで暴力を受けたそうです。その他にも「ゲヘナの地を踏んだ穢れた足でトリニティに踏み入るな」とか「ゲヘナに訪れるような野蛮な方はこの学園に相応しくない」など暴言まで言われていたそうです
「そんな、なんて酷いことを……」
「まあ、あんな感じの人たちだけじゃないのはわかってますよ。学園内を回ってみましたけど優しい人も多くいました。セリナさんも、親切な人です」
「そんな、親切だなんて……」
「それで、なんで僕に声をかけてきたんですか?セリナさん以外はほとんど見て見ぬふりだったのに」
「ひどく怪我をされていたので。救護しなければならないと思って。もしかして迷惑でしたか……?」
「……むしろこちらから頼みたいぐらいですよ。すごく助かります」
「よかった……では私についてきてください。ここでは手当てが出来ないので」
「はい」
私はシンヤさんを保健室へ案内して、ベッドに寝かせてから手当てを始める。シンヤさんは少し痛そうにしていますがそこは我慢してもらうしかありません
「幸い骨折などはありません。1、2週間もあれば完治するはずです」
「本当にありがとうございます。この恩は忘れません」
「そんな、大袈裟ですよ私は私の役割をまっとうしただけですから」
「謙虚なんですね……あ、そうだ。よければ連絡先を交換しませんか?」
「連絡先ですか?」
「はい、また都合の合う日でいいのでお礼をしたいと思って」
「そうですね。では交換しましょう」
私はなぜかなんの躊躇いもなく連絡先を交換した。なんだか、彼とは長い付き合いになる予感がしたから。その予感は当たっていて半年、1年と、シンヤさんとの交流は続いていた。そして私は彼に惹かれていった。優しくて、ちょっと恥ずかしがりやで、でも寂しがりやでもある。そんなシンヤさんを支えてあげたいと思うようになった。でもそんなある日、彼は意識不明の重体に陥ってしまった
─────────────────────
「シンヤさんっ!そんな!?」
「セリナ、運悪く現場にいたシンヤは私を庇って撃たれてしまったんだ……!」
「はい、応急処置は施しましたがそれでもあまり容態はよくありません。一刻も早く治療をしなければ」
「は、はい!」
私はシンヤさんが銃で撃たれてしまったと聞いて、取り乱しそうになった、けど救護騎士団としての責務を果たすために落ち着きを取り戻し、彼を救護室へと運びました
「大丈夫です。貴方は絶対助けます」
「………」
治療を施したシンヤさんは、急所を外れていた事もあり一命を取り留めました。ですが数日目を覚ましていません。また、彼の元気な姿が見たい。優しく笑う顔を見たい。だから、早く目を覚ましてください……!
それからさらに数日後、いつも通りシンヤさんのもとに向かうと、彼の姿がありませんでした。私はひどく動揺し、周囲を探し回りましたが見つかることはありませんでした。ですがその数分後、シンヤさんからメールが送られてきました
『ごめんなさい。目を覚ましたら誰もいなくて、暇だったから散歩してたら先生とアリウススクワッドの皆さんを見かけたからこっそりついていくことにしました。危ないのはわかってますけどどうしても抑えられませんでした。説教なら後でいくらでも受けます』
「………」
私は帰ってきたらシンヤさんにお説教をすることに決めました。それに多分、お説教をするのは私だけではないと思います。この後のシンヤさんの事を考えると気の毒ですが自業自得なので私は助けません
そして案の定、帰ってきたシンヤさんは正座をさせられて先生たちからお説教を受けていました。その後は、私もシンヤさんを呼び出して叱りました。でもその後は、無事でよかったとシンヤさんを抱きしめました
「あの、セリナさん……?」
「本当に良かった。心配したんですから……!」
「ごめんなさい」
「もうこんな事しないでください。いいですね?」
「はい」
「またやったら絶対許さないので覚悟しておいてくださいね?」
「はいぃ……!」
彼は青い顔をしながら頷いてくれました。たぶんこれで今回みたいな事をすることはないと思います。これからも彼には健康でいて欲しいので、常に見守りながら彼を救護したいと思います
────────────────────
「ふふ、シンヤさん……いえ、やっぱりさんだと距離を感じます。君呼びしにましょう。シンヤ君、うん、しっくりきますね」
「これからも見守り続けますから、ずっと健康でいてくださいね?」
この日以降、急に君呼びされるようになったシンヤ君はかなり動揺していましたが、割とすぐ慣れました。でもなんか距離感も近くなってるような気がして気が気ではないみたいですね
各話の長さをどうするか
-
今のままでも十分
-
もう少し長くてもいい