「ルカ、おいで」
「にゃ~」
「どうぞ、お茶です」
「ありがとう、シンヤ」
「いえいえ」
現在、僕は愛猫のルカと白と黒の髪が特徴的な顔のいい女の人が戯れている光景を見ながらお茶出しをしている。ルカと戯れている女性は便利屋68の鬼方カヨコさん。年齢は18歳で僕よりも年上。本来なら卒業している年齢のはずですがなぜまだ3年生なのかは知りません。でも便利屋どころかゲヘナ学園全体を含めても割と常識人よりなので僕からすれば非常に有難い存在です
「来る度にルカと遊んでくれてありがとうございます」
「いいの。私がやりたくてやってることだから」
「家に来る人達はみんなルカと遊んでくれますけど、目的は別の所にありますからね。こうやってルカと遊ぶために道具まで持ってきてくれるのはカヨコさんだけですよ」
家に来るのは食事が目的だったりゲームや漫画が目的だったり、果てには僕の貞操が目的の人もいますからね。その中でもやはりカヨコさんは有難い。たまに僕のパソコンでカヨコさんが集めたCDの曲を聴くんですけど、なぜかその時に僕も一緒に聴くことになって、体が密着しそうなぐらい近くに座るのはちょっと心臓に悪いのでやめてほしいです。でもそれぐらいならまだいいです。余裕ではありませんが耐えられます
「今日も僕のパソコンは使いますか?」
「そのつもりだったけど、もしかして何か使う用事があるの?」
「いえ、使う予定はありませんよ」
「そう、じゃあ今日も使わせてもらうね」
「はい」
暫く遊んで、疲れたルカは猫用ベッドに戻って眠ってしまった。それからはカヨコさんは僕が買っておいた外付けのCDドライブに自分の持つCDをセットしてそれをパソコンにつなげて音楽を聴き始めた。でも何で片方のイヤホンを外して僕を手招きしているんでしょうか
「一緒に聴こう?」
「あ゛ッ゛」
そう言ってにこやかに微笑むカヨコさんに僕の心臓は限界を迎えそうになるが、数々の誘惑に耐えてきた歴戦の心臓はこの破壊力抜群な微笑みにもなんとか耐えてくれた。やはりキヴォトスは危険だ。思春期男子キラーが多すぎる……!!
「どうしたの?そんな百面相して……」
「いえ、何でもありません……もちろん聴きますよ」
「うん、じゃあここに座って」
「はい」
うん、カヨコさんは純粋に音楽を聴きたいだけだ。そこに僕がいるから一緒に聴こうと言ってくれているだけで邪な気持ちなど微塵もない筈です。絶対そうです。でもやっぱり距離近くないですか……?
「どう?って前も聞いたから感想は変わらないと思うけど」
「そうですね。前も言ったようにヘビメタは普段あまり聴きませんがこうして2人で聴いているぶんには悪くないなと思います。でもこれからはたまに1人で聴くのもいいかなとは思ってます」
「うん、それはよかった」
こうしていくつかのCDを聴き終えた後に一旦片付けてから僕は昼食を作り始める。カヨコさんも手伝おうとしてくれたんですけどお客さんに働かせるわけにはいかないと思いゆっくりしててくださいと伝えた
「どうぞ」
「ありがとう、でも本当に手伝わなくてよかったの?料理って意外と手間がかかるでしょ?」
「いえ、一人暮らしなので家事は結構得意です。それに料理を作るのって楽しいですし、自分の作った料理をほかの人に食べてもらうのも好きなんですよ。だからって料理人とかそんなのにはなりませんけど」
「そうなんだ」
「はい、だからあまり気にしなくても大丈夫ですよ」
「うん、貴方がそう言うなら」
──────────────
昼食を食べ終わって。しばらくしてから、なぜか僕はカヨコさんに膝枕をされていた。なぜ!?え、マジで何で?
「カヨコさん、ど、どどど、どういう状況なんですかこれは……!?」
「だから、日頃のお礼だって」
「そ、それでなぜ膝枕を!?」
「先生が男の子は膝枕をすれば喜ぶって言ってたから、もしかして嫌だった……?」
「嫌ではないんですけど……」
「それならよかった」
いや、確かにすっごい心地いいんですけどそれ以前に心臓が……ていうかあのクソ教師は相変わらず何言っちゃってくれてるんですかね、そろそろぶん殴ってもいい気がしてきました。今度シャーレに乗り込もうかな
「いつもありがとう」
「え?」
「シンヤは私だけじゃなくて便利屋のみんなにも良くしてくれてる。みんなもシンヤにはいつか借りを返したいって言ってた」
「ああ、そういう。僕はやりたくてやってるだけですから」
「それでも私達は嬉しかった」
カヨコさんは僕の頭を撫でながらそう言う。あばばばばばば。これはまずい。これ以上は心臓が耐えられない。何か、何かこの状況を抜け出す手を考えなければ……!でも、なんだか眠くなってきたな……
「……zzz」
「もう寝ちゃったんだね……シンヤは自分よりも先生のほうが好かれて当然。みたいに考えてると思うけど、ていうか実際にそう言ってた。でもそれは違う。あなたのことが好きな人はあなたの想像より多い」
「先生だって、それを分かってて私に膝枕をすれば男の子は喜ぶって言ったんだと思う。だから、私はこれからも行動で示していくつもりだけど、貴方はちゃんと気づいてくれる?」
────────────────
「ふわぁ……」
「起きた?」
「ファッ!?」
目を覚ましたら、頭上にはカヨコさんのご尊顔。美しすぎる。なんでキヴォトスには顔のいい女性しかいないのでしょうか?純粋な人間の男が僕と先生しかいないのは少々肩身が狭いんですけど
「そんなによかった?私の膝枕。気づいたらもう眠ってたよ」
「は、はは。お恥ずかしい。じゃあこのぐらいで……」
「まだ早いよ」
「うおっ!?」
僕が起き上がろうとすれば、カヨコさんは頭を押さえて自身の膝の上に乗せる。なんで?しかし、僕の経験上こうなったらもう抜け出せないので無心でひたすらカヨコさんの言葉に相槌を打つだけの機械のような存在になるしかなかった。そして解放されたのは夕方だった。よく耐えた、僕。後でご褒美をあげなくては。新発売のゲームを買いに行こう
なお、カヨコさんはやりすぎた?と苦笑いで僕に聞いてきた。はい、やりすぎです。思春期男子の女子への耐性の低さを甘く見ないでください。力なんかも劣るので抵抗もできないんだからあまり心臓に悪いことはしないでください
こいつは生徒からの矢印は大抵先生に向けられていて、自分のことはからかっているだけだと思っています。まあシロコとクロコに関しては自分の貞操を奪おうとしてくるから矢印は自分に向いてるんだろうなとは思ってるけど付き合ったりする気は現状一切ありません。それはそうと心臓は保ちませんが
各話の長さをどうするか
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今のままでも十分
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もう少し長くてもいい