「はい、ぴょんこちゃん」
「プゥ」
「美味しいかい?」
僕は今、ぴょんこちゃんといううさぎに餌をあげている。真っ白い、小さくて可愛いうさぎです。まあ、僕が飼っているわけではないんですけど。ある人から少しだけ面倒を見てほしいと言われたので家で保護しています。これまでも何度かこういうことはありました。でも家にはルカがいるからどうなのかとも思ったのですが、意外と仲良くやってくれているようで安心しています。猫は肉食でうさぎは草食ですからね。ルカは人見知りとか全くしないタイプなのでぴょんこちゃんにも積極的に関わりに行ってました。それが功を奏したのか、今では兄弟みたいな距離感になってますね
「よし、じゃあ飼い主さんが帰ってくるまでゆっくりしてようね」
撫でながらぴょんこちゃんにそう言って、僕はキッチンに向かう。そして軽食を作って、テレビを見ながらそれを食べる。いつの間にかルカが膝の上に乗っていたけどいつものことなので取り敢えず撫でておいた。ぴょんこちゃんもソファの上でくつろいでいるみたいですね。と、今インターホンが鳴りましたね。誰が来たかは想像がついているので僕は玄関に行き、扉を開ける
「お疲れ様です、ミヤコさん」
「はい。シンヤさんもありがとうございます。ぴょんこの面倒をみていただいて」
「いえいえ、僕は動物が大好きなので全然問題ないですよ」
「そう言ってもらえると気が楽です」
今僕の目の前にいるのは月雪ミヤコさん。SRT特殊学園のRABBIT小隊に所属する1年生です。でもSRT特殊学園は廃校になったそうなので、今は公園暮らしをしているそうです。本来ならヴァルキューレ警察学校に編入する予定だったのですがそれを断ってまで公園にいるのはSRTの誇りを守るため、なんだとか。
「じゃあぴょんこちゃんを連れてきますね」
「いえ、その必要はありませんよ」
「え?」
「私も上がらせてもらいますので」
あ~……うん、まあいいか。任務から帰ってきて疲れてるだろうから、労ってあげなければ。僕はミヤコさんを家に上がらせて、取り敢えず自由にしていいよと伝えた
「ではお風呂を貸していただけますか?」
「お、お風呂ですか?」
「はい、任務で汗をかいてしまったので、それを流したいんです」
家に来るぶんには別にいいんですけどミヤコさんはたまに僕の家でお風呂に入ろうとする。ほかのRABBIT小隊の方々はシャーレのシャワールームを使っているのになぜミヤコさんだけ僕の家でお風呂に入るのか。以前もシャーレで入ればいいのでは?と聞いたのだが、ほかのメンバーと鉢合わせたら気まずいし、ここならシャーレよりもゆっくりできると言われ、結局家の風呂場を貸すことになってしまっている
「あ、浴槽にお湯はためますか?それともシャワーだけ浴びますか?」
「そうですね……気分的には湯船につかってゆっくりしたいですね」
「じゃあ浴槽にお湯をためてくるので少し待っていてください」
「はい」
僕は風呂場の浴槽にお湯をためる。そしてついでに少なくなっているシャンプーとコンディショナーを足しておいた。僕だけが使うぶんには少なくてもいいんですけど、ミヤコさんや、家に来る他の人達もなぜか僕と同じ物を使うので減りが早いんですよ。やっぱり女性は髪が長い人が多いですから必然的に1回で使う量が増えるんですよね。ちなみに浴槽のお湯をためるのは僕がやってますけど抜くのは使った本人にやってもらっています。まあ僕が抜こうとするともしかして自分の知らない間に残り湯で何かをしてるんじゃないか?というあらぬ誤解を引き起こしかねないんですよ。僕は残り湯で何かをするような変態性は持ち合わせていないのでそこはいいんですが念の為です
と、そうこうしているうちにお湯がたまったみたいです。それじゃあミヤコさんを呼んで、風呂場でゆっくりくつろいでもらいましょう
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あれから30分程度がたった。ミヤコさんもそろそろ出てくるころかな。ちなみに今はミヤコさんのために卵やベーコンを焼いています。それをトーストに乗せればベーコンエッグトーストの完成です。ついでにコーヒーも用意しておきましょう
「シンヤさん」
「ああ、ミヤコさ───って、うわぁぁぁぁぁぁ!?」
な、ななな、なんで体にタオルを巻いただけの状態で出てくるんですかぁぁぁ!?痴女!?痴女なのか!?ま、まずい!目に毒だ!思春期の僕には刺激が強すぎる!!ミヤコさん僕より年下だけどそんなの関係ない!結局顔はいいんだから変わらないんですよッ!
「なぜ服を着てないんですか!?」
「いや、それは……私の着ている服は汗を吸っていますから少し……」
「ああ……じゃあ僕の服でいいなら貸しますので早く服を着てください。服は僕が洗濯しておきますから」
「はい♪」
「あ、そうだ。洗面所に化粧水や乳液やクリームが置いてあるのでよければ使ってください」
「え、いいんですか?」
「もちろん。ミヤコさんの肌が乾燥でもしてしまったら大変なので、しっかり保湿してください」
まあ、化粧水とかに関してはどうしても必要になってくるんですよね。入浴後は何もしないと肌が乾燥しやすいですから。僕もたまに使ってますし。まあ僕のことはどっちでもいいんですよ。取り敢えずミヤコさんには服を着てもらいます。でもなんだろうこのデジャヴ感。なんか嫌な予感するんですけど。僕が嫌な予感を感じていると、ミヤコさんが戻ってくる。そしてやはり僕の勘は当たっていた
「なんだよもぉぉぉぉぉ!!またかよぉぉぉぉぉぉ!!」
「えっと、どうしたんですか……?」
案の定ミヤコさんは下を履かずに上だけ着ていた。分かってたよ!!何となくそうなんじゃないかとは思ってましたよ!!なんで付き合ってもない男の家で下を履かない女性が2人もいるんですか!!バカなんじゃないんですか!?バカですよ!バァァァァカ!!……まあ、面と向かってそれを言えるほど度胸はないので言いませんが……ヘタレ?何とでも言ってください。僕は女性には強く出られないんですよ。と言うことはキヴォトス最弱ということです
「一応聞きます。なぜ下を履かないんですか?」
「シンヤさんのズボンは私には少し大きすぎましたので……それにこの長袖のシャツでも十分なぐらいには隠せています」
……確かにそこは盲点でした。サイズが合わないかぁぁぁ……いや、なんで気づかないんだよ僕。見りゃわかるでしょ、僕とミヤコさんの身長差とか。もしやトキさんもそれが原因で履いていなかったのでは?だとしたら悪いことをしましたね。今度謝らなければ。いや、それよりも先に来客用のスカートとかを買うべきでしょうか?いや、僕がそれを買えば変な目で見られそうだし……今度から来るときは服を持参してもらいましょう
「ま、まあいいです。目に毒なのは変わりありませんが取りあえずはこれでいいです。ミヤコさんの服は洗濯機に入れて回しておきます」
「ありがとうございます」
「それと、コーヒーとベーコンエッグトーストを作ったのでよかったら食べてください」
「何から何までありがとうございます」
「いえいえ、家に来たからにはどんな方もお客さんなので」
みんな心臓にクリティカルヒットを連発してくるけど、お客さんであることにかわりはない。ならば全力でおもてなしをするまでです。普段から苦労してるんだから僕の家に来たときぐらいはゆっくりしていってほしいですし
「シンヤさん、私の隣に座ってくれませんか?」
「え?急に何を」
「まあいいですから」
「ま、まあミヤコさんがそう言うなら」
僕はミヤコさんの隣に座る……隣の女性から自分と同じ匂いがするのはなんか落ち着きませんね。シャンプーの匂いも服の柔軟剤の匂いも全部僕と同じ。そして下を向けば綺麗な生足が……はっ!?ダメだ。意識がそっちに持っていかれる……もう少し離れ───
「なんで離れようとするんですか……?」
「い、いや、あまり近づきすぎたら気まずくなるかなぁと思いまして……」
「そんなことはありません。それに……うさぎは寂しくても弱らないそうですが、私はうさぎではないので」
そのセリフ便利過ぎません?そんな事言われたら離れられるわけないじゃないですか。ま、まあちょっとの間の辛抱です。保ってくださいよ僕の理性!
あれから僕はミヤコさんの無自覚?な誘惑を耐えきった。そして夕方頃にミヤコさんは乾燥機で乾かした自分の服を着てからぴょんこちゃんを抱えて帰ろうとしていた。そこに僕は作りすぎてしまった料理をタッパーに詰めて渡した。初めは受け取ろうとはしてくれなかったが料理を無駄にしたくない。僕が食べてほしいと伝えれば笑顔で受け取ってくれた。よかったよかった
もしこいつが何かの迷いで彼女が欲しいなんてネットで呟こうものなら一瞬で生徒達が家になだれ込んでくるぐらいには好かれてます。なんならモブ生徒からは先生より人気高いです
各話の長さをどうするか
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今のままでも十分
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もう少し長くてもいい