アヴォリオンだ!   作:マイmk3

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登場艦艇&艦載機紹介に、ブリッジの解説と兵装紹介を追加しました。

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21話 新艦隊

「シティキャリヤ1、シティキャリヤ2への各ステーション、ドッキング完了しました!」

「全艦隊、準備完了を確認!」

「これよりゼクトル船団は超空間ジャンプを実施。座標、−70:−300セクターへ移動する。総員、配置に付け!繰り返す、総員配置に付け!」

 

オニキス造船所、司令部。

慌ただしく、クルーたちが持ち場へと散っていく。

 

10隻のシドカム移民船を受け入れた後、神聖コルゴラズ選民国を避けるため、拠点の移転が急遽決定された。

 

いずれ別宙域へ移動し、居住惑星の探索を行う予定だった。

予定が少し前倒しになっただけだ。

 

シドカム移民船の全艦長を集めた会議では、ほとんどの船がゼクトル船団への加入を希望した。

 

どの船も状況は悲惨だった。

カーハリアと同じく、30年に及ぶ航海で多数の死傷者を出し、人口は5万人前後にまで減少。

中には、残された食料を巡って争いが起き、暴動に発展した船もある。

 

だからこそ、加入は驚くほどスムーズに進んだ。

 

……とはいえ、例外もあった。

 

一部の者は、自らの手でシドカムの再建を望み、こちらの提案を拒否。

支援物資のみを受け取り、移民船へと戻っていった。

 

が。

 

その翌日。

新たに艦長へ就任した者から、「前任者が不慮の事故で死亡した」との報告が入り、加入を希望してきた。

 

まあ、そういう事だろうな。

 

彼らはシドカムの復活を望んでいた。

だが民衆が求めていたのは、安定した生活。

前任者は、それを理解していなかっただけの話だ。

 

ともあれ。

 

彼らの加入により、シドカム人の人口は60万を突破。

(うち約5万人はクローンによる新生児)

船団総人口は約120万人に達した。

 

ゼクトル船団は、確実に成長しつつある。

 

「船団長、ジャンプ経路の計算完了。全ての準備が整いました」

 

思考を巡らせていると、ルオコスの報告が入る。

 

初となる、ステーションをドッキングした状態での超空間ジャンプ。

時間がかかると踏んでいたが、どうやら杞憂だったらしい。

優秀なクルーのおかげだ。

 

「よろしい。全艦、超空間エンジン充電開始」

 

命令と同時に、この宙域に展開していた全艦が一斉に動き出す。

艦首をジャンプ方向へ揃え、加速し始める。

 

「ジャンプ、10秒前!」

 

青白い光が各艦から滲み出し、やがて船体全体を包み込んでいく。

 

「5、4、3、2、1――ジャンプ!」

 

掛け声と同時に、光は爆発的に膨張。

次の瞬間。

ゼクトル船団はその場から消え、超空間へと突入したのだ。

 

***

 

「ラティ・ヴェッティア少佐、フィルデアルを救った貴官の功績を称え、中佐の階級を授与する」

「はっ!ありがとうございます!」

 

俺の目の前で、ヴェッティアが威勢よく敬礼をする。

それを、作戦室に集まったメンバーが拍手で称えた。

 

何の問題も無く、超空間ジャンプでの別セクターへの移動は完了。

現在はヴェッティアの昇進式を取り行っている。

各艦の艦長や提督も呼び、作戦室に集まってもらった。

 

まあ、今回は独断行動をやらかした奴がどうなるか、その見せしめの意味も含まれているが。

 

「じゃあ次ね。ラティ・ヴェッティア中佐、貴官は独断で禁止されているトランスワープを使用し、センエイ級駆逐艦2隻、クロスボウ級フリゲート艦8隻のワープ機関を破損させた。我が船団は、この一件を非常に重大な命令違反であると判断した」

 

一拍置く。

 

「よって、罰として貴官を降格処分とする」

「……はい」

 

先程とは打って変わり、ヴェッティアがしおらしく返事をする。

周りの者たちも、「まあ、そうなるやろな」という顔をしていた。

 

ちなみに、これでもヴェッティアへの罰としてはかなり軽い。

フィルデアルを救った件と、セカトンが珍しく俺に頭を下げてきた為だ。

 

あいつが頭を下げなければ、降格に加えて反省文30枚コースだった。

 

「どれだけ急いでいても、まずは司令部に連絡を入れるべきだったな。次はもっと上手くやるように」

 

少なくとも、人命がかかっているなら俺やルオコス、司令部は今回のトランスワープの使用に理解を示したはずだ。

 

「他の者も気を付けたまえよ。宇宙では報告、連絡、相談を忘れた者から死んで行くのだ。ホウ!レン!ソウ!」

「確かに、砲、練、操を忘れれば死ぬな」

 

セカトンが腕を組みながら頷く。

……何か今、違う意味で言ってなかったかオメェ。

 

「では、これにて昇進&降格式を終了する。さて、本題に入ろうか」

 

ヴェッティアが「それ本題じゃなかったのかよ」と言いたげな顔をするが無視。

お前のやらかしなんぞ、いくらでも取り返せる。重要なのはそこじゃない。

 

そう思いながら、作戦室中央にコルゴラズの巡洋艦と戦艦のデータを立体映像で映す。

 

「技術開発部から、コルゴラズの艦について新たな解析結果が出た」

 

俺の言葉で、作戦室の緩んでいた空気が一気に締まる。

それ程、皆が神聖コルゴラズ選民国を脅威と感じているのだ。

 

「まず1つ目は、コルゴラズ艦には脱出ポッドや、それに類する避難用装置が何一つ取り付けられていなかった」

 

生き残りが居なかった時点で妙だとは思っていたが、案の定だ。

あの規模の艦なら、ポッドか脱出艇くらいはあって当然だろう。

 

我々のように、船体が深刻なダメージを受けた際にクルーを近くの艦へ自動転送する、緊急脱出用トランスポーターの類を搭載している可能性も考えたが、それも確認されていない。

 

「そして2つ目に、彼らは戦闘中に艦内の生命維持装置を切っていた」

「そんな!それでは搭乗員の酸素が持ちません!」

「それどころか、艦内の温度調整もできませんね。恒星の熱に晒されれば蒸し焼き、影に入れば凍りつきます。船体は耐えられても、人体は耐えられないでしょうね」

 

クロッゼルが目を見開き、リカーナが冷静に補足する。

 

「おそらく、戦闘時には何らかの宇宙服を着用していると思われる。だが、それでも人命軽視である事に変わりはない」

「我々の艦に搭乗しているマーヴィンのようなロボット、あるいはAIによる無人艦の可能性はないのでしょうか?」

 

ヴェッティアの質問に、首を横に振る。

 

「第1、第2突撃艦隊の戦闘記録を確認したが、コルゴラズ艦は感情的な動きを見せていた。あれは無人艦の挙動じゃない」

「確かに、第2突撃艦隊が現れた瞬間、艦の動きに焦りや恐怖が見えましたな」

 

セカトンが顎髭を撫でながら頷く。

 

実際、敵艦隊は増援が現れた時、明らかに動揺している動きを見せていた。

一部は逃走を試み、統制が乱れ隙を晒す。

この動きは感情が無ければ、まず有り得ない。

 

「コルゴラズ艦は、戦闘時の無駄を極限まで削り、全艦が量産性を前提とした設計をしている。それに、たった1隻の移民船に対して120隻の艦隊を差し向けた」

 

ここまで揃えば、大体の答えは見えている。

 

「以上の事から、神聖コルゴラズ選民国は、多少の人員損失を問題としない程の人口を持ち、砲戦特化の量産艦を多数運用する、大量突撃ドクトリンを採用した国家と断定する」

 

圧倒的な人員や物量で押し切る、どっかの真っ赤な国が思い浮かぶ。

 

「幸い、彼らの艦はそこまで性能は高くない。シールドや維持フィールドを発生させる装置も確認されていない」

 

直接戦った者たちが頷く。

 

「……だが、数は異常だ」

 

セカトンが険しい表情で、立体映像のコルゴラズ艦を睨む。

 

「ひとまず、セカトン中将の進言通り、無人艦隊の建造に取り掛かる。それと、もう1つ」

 

中央の映像を切り替える。

 

「合同艦隊計画を立案する」

 

立体映像に、複数の艦隊を統合した新たな戦力構成が表示された。

 

⸻

 

【合同艦隊】

 

■突撃艦隊 計80隻

センエイ級駆逐艦×20隻

クロスボウ級フリゲート艦×60隻

 

■航空機動艦隊 計36隻

ホシカゼ級巡洋艦×6隻

クロスボウ級フリゲート艦×30隻

 

■艦載機 計708機

戦闘用航空機×576機

輸送機×132機

 

■第1遠戦艦隊 計23隻

グレイゼファー級巡洋戦艦×3隻

クロスボウ級フリゲート艦×20隻

 

■支援艦隊

ハードボックス級補給艦×4隻

 

――合計艦艇数 143隻

 

⸻

 

「合同艦隊計画は、複数の艦隊を統合し、1つの戦力として運用することを目的とする」

 

俺は映像を指し示しながら続ける。

 

「これまで我々は、艦の特性や運用方法ごとに艦隊を分けていた。その方が扱いやすかったからな」

 

実際、今まではそれで問題は無かった。

 

「だが、コルゴラズのような物量相手には、それでは足りん」

 

その言葉に、作戦室の空気が僅かに重くなった。

 

「確かに、この艦隊なら様々な戦況に対応できるでしょう」

 

セカトンが腕を組みながら頷く。

 

「しかし……俺もヴェッティア少佐も、艦載機の扱いは専門外ですぞ?」

「そうですね。航空戦力の運用経験は、ほぼありませんし、訓練もしていません」

 

ヴェッティアも続く。

まあ、当然の反応だ。

 

「そうだな。だが、もうそう言っていられる状況じゃない。やらなければ死ぬ、それだけだ」

 

一瞬、沈黙が落ちた。

 

「指揮官は全員、艦種を問わず運用方法を習得してもらう」

 

その言葉に、全員の顔が露骨に歪む。

今まで触れてこなかった分野を、一気に叩き込まれるのだ。

嫌に決まっている。

 

……うむ、分かるぞ、その気持ちは。

 

なので、楽な道を教える。

 

「なぁに、心配するな。どうしても無理なら、俺が直接頭の中にやり方を叩き込んでやる」

 

満面の笑みでそう告げると、作戦室に居た全員の表情が、見事に引き攣った。

 




新しい敵として、神聖コルゴラズ選民国を出しましたが、この人らは暫く出てきません。
もうちょい、勢力拡大ができたら潰します。
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