ちょっと、色々と煮詰めまくってるので、投稿ペースがかなりゆっくりになるかと思います。
後、今回から艦や艦載機の画像をまとめられる物は、1つにまとめて行きます。
ハーメルンの画像管理容量がね…
作っていた物。
銀河系の地図
【挿絵表示】
20億人が住めるデッカイ箱
【挿絵表示】
「サワミヤ船団長。本当に、あの男に我々の艦を与えてよろしかったのでしょうか?」
地上監視ドローンから送られてくる映像を見つめながら、ナビィがぽつりと呟く。
映されているのは、横一列に並ばされたアシエム人たちと、それを淡々と処理していく兵士たちの姿だった。
アシエム残留派や最高議長に反抗的な議員や軍人。
そして、その家族や親しい者たちの処刑だ。
……ジェノサイドか。
好きじゃないね。
クーデターから半年。
未だ、最高議長の強権政治は収まる気配を見せていなかった。
狂った頭をすげ替えたところで、次がまともとは限らない――というわけか。
ゼクトル船団は内政干渉を避ける為、地上で行われている残虐行為に手を出さず、ただ傍観している。
「構わんよ。建造知識を手に入れたところで、奴らに同等の艦は作れない。仮に作れても、せいぜいガトランティスのナスカ級と張り合える程度だ」
宇宙に出たばかりの文明を圧倒するには十分。
だが、我々の艦に対抗するには性能不足。
クロスボウ級を再現するには、アヴォリオンやトリニウムといった素材が不可欠だ。
だが向こうに渡したのは、移民船整備に必要な分しか生成できない小型マテリアル変換器のみ。
艦隊規模の素材を揃えるには、途方もない時間がかかる。
彼らがクロスボウ級を1隻造る頃には、こちらは500隻を宙に浮かべているだろう。
それだけじゃない。
内部にはナノマシンを仕込み、構造を解析しようとすれば、変換器は即座に破壊される仕組みにしておいた。
つまり、次の1基を手に入れるには、必ずこちらに頭を下げるしかない。
さらに言えば、渡したのはあくまで「建造知識」だけ。
サブシステムの製造方法は一切教えていない。
ゼクトル船団の根幹――レクレト強化システムに至っては、絶対に辿り着けない。
仮に向こうが牙を剥いてきても、容易く潰せる。
「ああ、そうだ。亡命希望者の受け入れ準備はどうなってる?」
「抜かりなく進んでおります」
「よろしい。ダルディーナ博士が、そろそろ仕掛けると言っていたからな」
博士は研究成果の報告を理由に地上へ戻った。
その際、こんなことを言い残している。
――「爆破事故で死んだことにするから、回収よろしく」
おかげでこちらは、亡命希望者の受け入れと並行して回収準備を進める羽目になった。
「しかし爆破、ですか。相当な騒ぎになるのではないでしょうか?」
「いや、そこまで大事にはしないと言ってた。あれでも分別のある人だし、大丈夫だろう」
そう言いながら、俺は新たに栽培が始まった茶を口に含む。
うむ、悪くない。
湯呑みの中身を飲み干した、その瞬間だった。
轟音が響き渡り、地上の映像が閃光とともに白く弾けた。
否。
中央タワー上層部が――爆発した。
「は?」
「へ?」
俺もナビィも、完全に思考が止まる。
「サワミヤ船団長……博士がおっしゃっていた“爆発事故”って、これでしょうか?」
「……いやぁ、流石に違うだろ。そんな“大事にはしない”って言ってたし」
タ、タワーの五分の一が吹き飛んでいる。
……というかこれ、最高議長、死んだんじゃないか?
***
数時間後。
アシエム協同盟約国の最高議長より、今回の件は「残留派による爆破テロ」であると正式に発表された。
生きとったんかワレ!
どうやら地下居住区の視察へ向かっていたらしく、奇跡的に難を逃れたらしい。
最高議長は演説の中で、今後さらに残留派への取り締まりを強化すると声高らかに宣言していた。
加えて、犠牲者も発表される。
ダルディーナ博士。
そしてパルローナ中将と、その部下たち。
「ルオコス副船団長。念のため、輸送機をいつでも飛ばせるようにしておいてくれ」
『了解です。オニキス航空輸送隊、及びイシオキ航空輸送隊を待機状態に移行させます』
今回の爆破テロによって、情勢は一気に変わる。
ダルディーナ博士が本当に生きているかは不明だが、今回の件で最高議長の粛清はさらに激化するだろう。
となれば、亡命希望者は確実に増える。
そんな事を考えていた時、懐の通信端末が鳴る。
「もしもす?」
『やあ、船団長君。僕だよ』
聞こえてきた声に、思わず目を見開いた。
「博士、生きていたか!随分派手な爆発を起こしたじゃないか」
『僕がやったんじゃないよー。残留派の過激派が勝手にやったんだ。おかげで、こっちで進めてた準備は全部台無しさ。まあ、その混乱のおかげでパルトネアを簡単に脱出できたけどね』
死んだと思っていたダルディーナ博士からの連絡に驚きつつ、俺は別端末を操作し発信位置を確認する。
パルトネアから南へ50km弱。
速度は時速60km。
地上には居ない。
地下を移動しているのか?
「博士、そっちの位置を把握した」
『仕事が早いね。今、地下鉄道を車で移動している』
「目的地は?」
『ここから100km先の放棄された基地。そこで回収して欲しい』
あそこか。
先週、航空隊が周辺を爆撃していた場所だ。
安全性も高く、パルトネアから視認されない位置にある。
回収地点としては悪くない。
『それから、君について行きたいって人が20万人ほど、一緒に来てる』
「20万!?随分な大所帯だな。誰が来てるんだ?」
『博士、少々失礼します。――私です、船団長殿』
通信越しに聞こえてきた声に、俺は目を細める。
「……パルローナ将軍か」
報道では、死亡したとされていた最高議長の腹心。
警戒心が一気に強まった。
20万人という規模が本当なら、おそらく第77防衛軍を丸ごと連れてきている。
だが、こちらへ攻撃を仕掛けるには兵力不足。
潜入工作にしては、あまりにも堂々とし過ぎだ。
……白か?
「パルローナ将軍。貴官は最高議長の懐刀だったと認識していたのだが、逆らってもよろしいのですかな?」
『構いません。もはやあの方は、我々が忠義を尽くすに値しない』
パルローナ中将は、静かな声で続ける。
『最高議長の邪魔をするつもりはありません。しかし――我々は、別の道を選びます』
つまり。
『我々、第77防衛軍はゼクトル船団への亡命を希望します』
……ううむ。
最高議長から最も信頼されていた軍人と、その指揮下の防衛軍が丸ごと亡命か。
だが、簡単に信用して良いものか……。
『それと、手土産として有益な情報をいくつかお持ちしました。どうぞご活用下さい』
直後、端末へ大量のデータが送信される。
ざっと数千人分の個人情報だ。
「これは?」
『最高議長が送り込む予定だった工作員たちです』
――思わず吹き出した。
「はっはっは!なるほど、確かに有益な情報だ」
これはもう、答え合わせみたいなものだ。
「ようこそゼクトル船団へ。貴官らを歓迎しよう」
……間違いなく白だわ、この人。
***
「諸君。長らく遠征任務ご苦労だった。これでステーションを移転させれば、本格的な拠点構築に取り掛かれる」
俺の言葉に、セカトンが深々と安堵のため息を漏らす。
「ようやく輸送船のお守りから解放か……」
「ざっと半年。ここから天陽系まで、ずっと往復は流石に堪えたわ…」
「おまけに、コルゴラズ艦隊への警戒も続けなきゃならなかったし、全く気が抜けませんでした」
リカーナとヴェッティアも同様に、肩の力を抜いて胸を撫で下ろしていた。
亡命希望者の対応をルオコスへ丸投げし、久方ぶりにオニキスへ帰還した各合同艦隊の提督たちを執務室へ招き、現在の状況報告を受けている。
この3名には、拠点最優先候補――“天陽系”と名付けられた星系への輸送任務を担当してもらっていた。
資材、建設機材、居住設備。
様々な物資を積載した輸送船団を護衛しながら、半年近く星の海を往復し続けていたのだ。
その成果もあり、天陽系の惑星調査と周辺500光年宙域のマッピングはほぼ完了。
さらに、惑星改造に適した星には既に何万機ものドローンが降下し、本格的な開拓作業が始まっている。
アシエム協同盟約国への支援が完了次第、ゼクトル船団はステーションを移転。
天陽系を本格的な拠点にする予定だ。
「各艦隊のおかげで、アシエム支援と拠点化作業は順調に進み始めている」
ちなみに、今もっとも地獄を見ているのは採掘艦隊である。
膨大な建設資材を確保するため、昼夜問わず資源採掘を続けているからだ。
この前、クロッゼルが“しわしわのピカチュウ”みたいな顔になっていた。
「……だが、問題もいくつか出てきている」
俺は表情を引き締める。
「その中でも、最も警戒すべきなのが――新たに確認された“例の艦”だ」
「第3合同艦隊が遭遇した、コルゴラズの空母か?」
セカトンの言葉に頷き、デスク上へ立体映像を展開する。
そこに映し出されたのは――
神聖コルゴラズ選民国が保有する空母と思しき艦と、その艦載機群だった。
【コルゴラズ空母】
全長497m / 全幅206m / 全高198m
武装
・連装レーザー対空機銃×40基
防御
・2m厚のチタニウム装甲
艦載機
戦闘用航空機60機
コルゴラズ戦艦の船体を流用して建造されたと思われる航空母艦。
主砲などの重武装を撤去し、その代わりとして船体各所へ大型格納庫を増設。
純粋な航空戦力運用に特化した設計となっている。
船体には合計14ヶ所のカタパルトを備えており、艦載機を短時間で一斉発艦させる事が可能。
また、各部には戦艦と同様の対空砲火網が配置されており、高い防空能力を持つ。
全体的な構造は簡素で、量産性を重視した設計思想が見て取れる。
しかし、その性能は決して侮れるものではなく、この宇宙においても十分通用する水準に達している。
【コルゴラズ攻撃機】
全長20m / 全幅14m / 全高2m
運用人員数
操縦士1名
武装
・30mm長砲身レーザー機関砲×3丁
・300mmプラズマ砲×6門
中央の円柱状胴体へ、薄い板状の主翼を貼り付けたような異様な外見を持つ攻撃機。
機体は極めて薄く、全高はわずか2mしかない。
通常の座席式コックピットを収容できる厚みではなく、操縦士は機内で“うつ伏せ姿勢”を取っているのではないかと考えられる。
武装の大半が機体上部へ集中している点も特徴的だ。
コックピット上部には、高威力な30mm長砲身レーザー機関砲を3丁搭載。
さらに主翼上面へ、300mmプラズマ砲を左右3門ずつ、計6門配置している。
薄型機体による被弾面積の小ささと、正面火力を重視した、コルゴラズらしい攻撃機と言えるだろう。
「この攻撃機は特に厄介だ。何せ、我々の艦に搭載されているシールドは、プラズマ系の攻撃に弱い」
実体弾や通常のエネルギー兵器なら、300mm級の砲など大した脅威ではない。
だが、プラズマ兵器となれば話は別だ。
「コルゴラズの攻撃機が脅威である事は、実際に戦って嫌というほど思い知りました」
第3合同艦隊を率い、コルゴラズ艦隊と交戦したリカーナが苦い表情を浮かべる。
敵艦隊の編成は。
巡洋艦200隻。
戦艦60隻。
空母40隻。
艦載機2400機。
そんな大艦隊と、リカーナ率いる第3合同艦隊は不意の遭遇となり、戦闘は真正面からの殴り合いとなった。
始めに、双方が艦載機を発艦。
大規模な航空戦が展開された。
(宇宙なので、空とは言わないかもしれない)
ゼクトル船団の主力艦載機たるビックホークは、全ての性能面でコルゴラズ攻撃機を圧倒。
だが、数が違い過ぎた。
敵は4倍以上。
576機中62機を失い、その隙を突いた約200機の攻撃機が後方へ突破。
前衛を務めていたクロスボウ級22隻のシールドを削り取った。
更に、コルゴラズ艦隊は突入してきた第3合同艦隊所属の突撃艦隊を無視。
損害を受けようとも構わず、シールドを失った艦へ火力を集中。
その結果クロスボウ級2隻轟沈、6隻大破、10隻中破した。
加えて、生き残った攻撃機は特攻を敢行。
幸い被害は出なかったが、その光景は船団員たちに強烈な恐怖を植え付けた。
その後、コルゴラズ艦隊は第3合同艦隊の猛烈な砲撃によって壊滅。
第3合同艦隊は初めて、艦隊戦に勝利した。
――だが同時に。
ゼクトル船団史上初となる艦の損失を出してしまった。
今まで無敗無敵だった艦が沈んだ事実は、船団内へ大きな動揺を広げている。
リカーナは、その事を気にしているのだろう。
むしろ、143隻という戦力で、あの規模の艦隊を相手に被害を抑えて勝利した時点で十分誇れる。
それに、人的損失は少ない。
ビックホークには改良が施され、全機へトランスポーターを搭載済み。
撃墜される前に、最寄りの艦へ瞬時に脱出可能となっている。
さらに各艦クルーには、脱出用携帯式トランスポーターを配備。
艦の損傷が一定値を超えると自動起動し、他艦へ転移する仕組みだ。
……死んだ者たちには申し訳ないが、ここで“無敗無敵”だと思い込んでいた連中へ現実を叩き込めたのは、悪い事ばかりではなかった。
「はっきり言って、私は神聖コルゴラズ選民国を“数だけの敵”と侮っていました……。もう少し警戒していれば、被害を減らせたのでしょうか」
リカーナが表情を曇らせながら呟く。
「そうだな、リカーナ少将。貴様が侮っていなければ、死者は出なかったかもしれん。あるいは、被害はもっと減らせただろう」
そんな彼女に、セカトンが厳しい声で口を開いた。
「貴様は指揮官だ。部下たちは、お前の判断を信じて戦う。そんな者が敵を侮るなど、本来あってはならん」
……耳が痛い話である。
どういう経緯であれ、力を手にした者は間違いを犯しやすい。
俺も例外じゃない。
気を付けなければ。
「もっとも、今回の件はコルゴラズを正しく認識できていなかった、こちらの情報不足も原因の一つだ」
俺は腕を組みながら続ける。
「敵の脅威は数だけじゃない。連中は“狂気”を孕んだ戦い方をする。いや、そういう命令系統を敷いていると言うべきか」
カミカゼなど、普通の国家が採用する戦法ではない。
まして、連中は追い詰められていた訳でもない。
それなのに、コルゴラズの兵士たちは“生き残る事”より“敵を殺す事”を優先していた。
これを狂気と言わずして、何と言うのか。
「今後の対応として、航空機を多数運用可能な空母と、敵艦を寄せ付けない長距離砲撃戦を担う戦艦を建造・配備する予定だ」
「各艦隊への配備数はどうなりますか?」
ヴェッティアの問いに答える。
「それぞれ2隻ずつだな。両艦とも全長2kmを超える大型艦だ。流石に大量建造はできん」
その言葉を聞き、ヴェッティアが少し考え込む。
「そうなりますと、合同艦隊は更に小回りが利かなくなります」
彼は顎へ手を当てながら続けた。
「船団長。偵察を主任務とした艦隊を別途編成してはいかがでしょう? 偵察任務のみであれば、クルーを全てマーヴィンへ置き換えても、さほど問題は無いかと」
「有りだな。不意の遭遇でなければ、もっと的確な対応が取れる」
俺は頷きながら、端末へその案を書き留める。
すぐには着手できない。
だが、いずれ必ず必要になる。
「さて、コルゴラズの話はここまでだ。次の問題に移ろう」
どちらかと言えば、こっちの方が優先度は高いかもしれない。
そう思いながら、俺は採掘艦隊から送られてきた画像を表示した。
遠距離から撮影されたため多少ぼやけてはいるが、そこには非常に見覚えのある2種類の艦で構成された艦隊が映っていた。
鈍い青灰色の船体に、赤と灰色のラインが走る葉巻型の艦。
青い船体に、濃紺の艦首。
白いラインが描かれた太い円筒形の艦。
アマンガ型ミサイル戦艦とクロトガ型標準戦艦。
紛れもなく、ボラー連邦の艦隊だった。
……すいません、ボラー連邦さん。
ここ、そっちの国境から2万光年以上離れてるんすよ。
なんで居るんですか?
と言う事で、お久しぶりの原作勢力登場となりました。
しかし、現状でリメイク版ボラー連邦の全容がわかっていないので、続編によって何かしら変わるかもです。
パルローナ中将たちが、ゼクトル船団に加入するまで。
最高議長「がははは!宇宙人のおかげで政権握れた!こんな小汚い星捨てて移住じゃい!残留とか寝ぼけた事言うとる奴は全員死ねい!」
数万人規模の虐殺。
パルローナ中将「ファ!?やり過ぎやろ、このジジイ!あかん、このままでは口封じで、部下諸共殺されるかもしれん。身分偽ってゼクトル船団に加入するンゴ…」
↓
ゼクトル船団「流石に1億人の面倒は見れんどす!」
パルローナ中将「ファ!?加入できるの5000万だけ!?こんなんで、部下全員確実に加入できる訳ないやん!爆発事故で、死を偽装して亡命するンゴ!」
↓
部隊総出で、爆弾を設置する第77防衛軍。
「タワーの最上部に爆弾設置完了。後は爆破して逃げるンゴ」
爆弾ペター。
時を同じく、騒ぎを起こすべく爆弾を設置する博士。
「タワー最上部の実験室に爆弾をセット!部屋を吹き飛ばして混乱を起こすだけだからねー。大した威力じゃないよー」
爆弾ペター。
時を同じく、最高議長を殺害する為に爆弾を設置する残留過激派の皆さん。
「我らが故郷を捨てるなど納得いかん!最高議長を殺し、政権を奪取するのだ!」
爆弾ペター。
↓
結果=タワーの5分の1が吹き飛ぶ大爆発★
ブチ切れる最高議長。
今が好機と逃げ出す第77防衛軍。
死を偽装する事に成功したが、肝心の貨物が無く泣いてた所をパルローナ中将に拾われた博士。
目標も達成できず、更に取り締まりが厳しくなり頭を抱える残留派。