アヴォリオンだ!   作:マイmk3

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主人公達は原作開始のだいたい15年前ぐらいに送られてます。
テレザート探し取ったし多分おるやろと言う感じでガトランティス君に登場していただきました。


3話 小惑星帯の戦闘

確認できたガトランティスの艦影は、合計22隻。

内訳は、ククルカン級襲撃型駆逐艦が16隻、ラスコー級突撃型巡洋艦が6隻だ。

ナスカ級打撃型航宙母艦の姿が見当たらないこと、そしてこの中規模な編成を考えれば、おそらくは威力偵察を目的とした艦隊だろう。

ピッケル建造中に来ていたらと思うと背筋に冷たいものが走る。

 

「ガトランティス艦隊、本艦ニ接近中」

「高エネルギー反応、確認」

「撃ってきたか! 小惑星帯に潜んでいたというのに、連中、いい目と耳を持っている」

 

モニター越しに、緑色の光線が何発も打ち込まれ近傍の小惑星を粉砕するのが見えた。

こちらの位置は完全に露見している。

ガトランティス艦隊は迷いのない動きで、真っ直ぐにピッケルへと向かってくる。

迎撃態勢を整えたいが、小惑星帯の深部に位置していることと、ピッケルの巨体が仇となり、思うように舵が切れない。

 

「小惑星帯を脱出するぞ。最短ルートを検索しろ!」

「了解。スキャン開始……脱出ルート算出中」

 

ピッケルには強力なエネルギーシールドが張れるシールド発生装置が搭載されている。

並大抵の攻撃で沈むことはない。

だが、このシールドは波動防壁のように万能ではないのだ。

ビームやミサイルは防げても、敵艦によるラムアタックのような大質量攻撃や、巨大な小惑星との衝突ダメージまでは防ぐ事ができない。

 

船体は5メートルの厚さを持つトリニウム装甲で覆われ、フィールド内の船体が強固になる維持フィールド発生装置を装備し耐久性を底上げしてある。

多少の接触ならびくともしないが、ピッケル以上の質量を持つ小惑星に全速力で激突すれば、ビリヤードの球のように弾き飛ばされ、連鎖的な衝突を招くだけだ。

 

それに、懸念はもう一つある。

この世界が原作のどの時期にあたるのかは不明だが、もし「奴」が近くに潜んでいたら最悪だ。

映画『星巡る方舟』で猛威を振るった、ガトランティスのメダルーサ級殲滅型戦艦。

あの「火炎直撃砲」の直撃を喰らえば、いかにアヴォリオン技術の結晶であるピッケルといえど、無傷では済まないだろう。

 

「ルート検索完了。モニターへ表示シマス」

 

航行システム担当のマーヴィンが仕事を終えモニターにいくつかルートが表示される。

その中からナビィが通りやすい候補を映し出す。

 

「2番ルートが最も障害物が少なく、通りやすいようです!」

「いや、それは敵もわかっているはずだ。罠が仕掛けられている可能性がある」

 

俺は顎を撫でながら、複雑に絡み合う岩石の群れを凝視した。

 

「6番ルートを使う」

「! しかし、そこは極めて困難なルートです。よろしいのですか?」

「ああ。俺たちが通りにくいということは、敵にとっても同じだ。それに、狭い場所の方が迎撃の的を絞りやすい」

 

あえて最も小惑星が密集しているルートを選んだ。

おそらく、脱出する前に敵に追いつかれるだろう。

ならば、いっそこの岩石の迷路を「戦場」に選び、奴らの数を減らす。

 

背を向けて逃走する現状、ピッケルの武装は心もとない。

前面に火力が集中している設計上、後方へ投射できるのは18連装小型反物質ミサイルのみだ。

だが、この狭く身動きの取れない小惑星帯こそが、敵の回避を封じる絶好の機会を与えてくれる。

 

「各武装、用意。誰に喧嘩を売ったのか教えてやるとしよう!」

 

手が小刻みに震えている自分自身を鼓舞する為、威勢よく啖呵を切った。

マーヴィンたちとは違う、初めての実戦に直面した生身の人間としての本能だ。

拳を握り締めモニター越しに敵を睨みつける。

 

「ガトランティス艦隊、小惑星帯ニ突入」

「来たか、ミサイル発射。当てなくていい、バラ撒け!」

 

複雑な迷路を突き進むピッケルを追い、ガトランティス艦隊が殺到する。

その鼻っ面をへし折るべく、ミサイル発射機から無数の反物質ミサイルが放たれた。

狙いは敵艦ではない。

進路を塞ぐ巨大な小惑星だ。

 

着弾と同時に岩塊が粉砕され、超高速の破片が天然の散弾となって敵艦隊を襲う。

回避不能の岩石流に飲み込まれ、ククルカン級2隻がエンジンを喪失。

コントロールを失ったまま小惑星に激突し、光の渦に消えた。

さらにラスコー級1隻とククルカン級3隻が、ミサイルの爆炎に直接飲み込まれ爆散する。

 

「シールド、99.6%ニ減少」

「流石に当ててくるか。だが、そんな豆鉄砲ではなぁ!」

 

ピッケルのシールドを緑色のビームが幾度も叩くが、表面をわずかに焼く程度に過ぎない。

しかし、敵もただの獲物ではなかった。

この戦場で最も警戒すべき兵器が放たれる。

 

「敵艦、魚雷発射」

「対空防御!」

 

迫りくるのは量子魚雷。

ガトランティスが誇る、空間そのものを削り取るような強力な魚雷だ。

28基の連装ガトリング砲が一斉に火を噴き、200mmレーザーの濃密な弾幕を形成する。

数発を撃墜したものの、防ぎきれなかった2発が着弾。

凄まじい衝撃と共にシールド残量が削り取られた。

 

「シールド、93%マデ低下」

「あの魚雷、格別に強力なようです!」

「ああ、知ってるよ。前世で何度も画面越しに見てきたからな!」

 

何発も魚雷を防がれ痺れを切らしたのか、6隻のククルカン級が加速し、ピッケルの左舷へと滑り込んできた。

 

「敵艦、速度上昇。本艦左舷ニ並走シマス」

「同航戦か? バカめ、火力の違いを思い知らせてやる」

「主砲、左舷砲塔群、照準固定」

「撃て!!」

 

この世界では規格外となる200cm陽電子砲が、3秒間隔で咆哮を上げる。

極太の橙色の光線が宇宙を切り裂き、ククルカン級を紙細工のように貫く。

ある艦は中央に巨大な風穴を開け、ある艦は艦橋ごと上部構造物を吹き飛ばされ、一瞬でデブリへと変わった。

 

「敵艦、前方へ突出。進路ヲ塞サギマス」

「速度そのまま。踏み潰せ!」

 

左舷の乱戦に乗じ、1隻のラスコー級がピッケルの進路を遮るように躍り出た。

だが、全長240メートル程度の船で、900メートル級の巨体を止められるはずがない。

ピッケルの衝角がラスコー級の横腹に突き刺さる。

紙を破るような手応えと共に、敵艦は粉々に砕け散った。

残り、9隻。

 

ここで、後方に張り付いていた残存艦が距離を取った。

連中は艦の小ささを生かし、小惑星の陰に隠れながら斜め上方から追撃してくる。

ミサイルや魚雷を放っては隠れる、徹底した一撃離脱戦法だ。

ピッケルの斜め上に撃てる武装が少ない弱点を付いた良い戦法だろう。

だが、弱点に気がつくのが少し遅かったな。

 

「間モナク、小惑星帯ヲ脱出シマス」

「小惑星帯を抜け次第、180度回頭。全武装をもって残存艦を殲滅する!」

 

小惑星帯からピッケルが飛び出した瞬間、ジャイロアレイが唸りを上げ内蔵されたスラスターから猛火が噴き出す。

巨体が慣性を無視するように反転し、艦首が追撃してくるガトランティス艦を正面に捉える。

 

「全主砲、照準完了」

「ミサイル、ロックオン」

「敵艦、小惑星帯から露出しました!」

「攻撃開始!喰らい潰せ!」

 

陽電子砲の橙光と36発の反物質ミサイルが、漆黒の空間を埋め尽くした。

初撃を逃れようと小惑星の背後へ逃げ込む敵は、その小惑星ごと陽電子砲で撃ち抜くき、逃げ場を失い、背を向けた艦には容赦なくミサイルが突き刺さり、宇宙に新たな火花を咲かせた。

 

「敵艦ノ消滅ヲ確認」

 

レーダー担当のマーヴィンが淡々と告げる。

その言葉を聞き、俺はようやく握りしめていた拳を解いた。

 

「サワミヤ艦長、お疲れ様でした。見事な指揮でしたよ」

「ああ、ありがとう」

 

ナビィの労いに短く答えつつも、勝利の余韻に浸る余裕はない。

 

「敵の増援が来ないとも限らん。超空間ジャンプで直ちにこの星系を離脱するぞ」

「了解、ジャンプ先座標は何処にいたしますか?」

「−40:−349のセクターだ」

「ジャンプ経路ヲ計算中......計算完了」

「超空間エンジンヲ充電中」

 

船体を青白い光が包み込む。

時空を歪め、次元の窓を開く際に発生する膨大なエネルギーの余波だ。

 

「エンジン、充填完了」

「ジャンプ!!」

 

俺の叫びと共にピッケルは光の尾を残して超空間へと跳躍した。

 




Avorionのジャイロアレイは重力を操作する装置だと思ってます。
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