羂索?ああ、さっき蟲の餌にしたよ。   作:童慈

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残業、休日出勤は悪い文明。だから執筆が遅いのは俺のせいじゃない!


蟲の露見

 やぁ、皆!あれから2年経って小学4年生になった蟲蔵創夜だよ!今俺は猛烈に感動しているんだ!

 

 「ガッデム!!1級との話だった筈だが、とんだ見当違いだ。どう見てもこれは特級案件だぞ!?」

 

 最早使われていない朽ち果てた駅のホームであの野生のヤクザことガッデム夜蛾を発見したのだ。因みにドライの視界を共有してベッドの上でポテチ片手に家から生中継を見てます。

 

 「おーおーよく動くね〜。流石次期学長。っぱこの世界は最後はゴリラ力がものを言うね。」

 

 飛んで跳ねて滑って襲いくる氷を避けながら呪骸と連携しながら攻めているけどありゃ千日手だな。

 

 『はぁ、憂鬱だ。』

 

 呪霊がため息を溢すたびに氷が溢れ雪崩の様に周囲を襲うが、あれ別に攻撃してるわけじゃないからなー。

 

 『何故拙者とフィーア、ヴァニティは居残りなのですかな若?』

 

 『疑問、総力戦、捕獲、容易。』

 

 ツヴァイとフィーアが問いかけてくるが、ツヴァイは特級と戦えない事を不満に思ってるだけだな。フィーアは純粋な疑問なんだろうな。

 

 「そうだなぁ、まずツヴァイを残した理由は今回の呪霊は下手に四肢切断して無力化すると面倒になるからアインに一撃で畳んでもらってフンフに無力化させるのが一番安全なんだよ。ヴァニティはメロンパン潰すまで出来るだけ秘匿したいからあんな目立つとこに連れてけないし。」

 

 今もなおヤクザが氷を砕きながら接近しようとしている青白い肌に頭から角を生やした鬼の呪霊は一切敵意を見せていないのだ。

 

 1月前に発見し監視を続けていたこの呪霊は基本的に人間に害をわざわざ与えに行かない。言動と行動的にこいつの起源は人間の憂鬱だろうと考えられる。そのせいかおかげか知らないが、あまりに被害がない上に日頃から呪力を抑えているっぽいから勘違いされたんやろなぁ。

 

 あいつが作り出す氷は水を凝固させた物ではなく、氷の形をした結界と言うのが適切な物だ。あの氷は憂鬱の概念そのものが付与されており、触れたモノ一切合切のエネルギーを奪う。適当な呪霊をけしかけて様子見したことがあるが氷に囚われた呪霊が蒸発したので呪力や命すら触れた端から奪われるっぽい。

 

 「ちぃ、埒が開かん。」

 

 『さっさと帰れ。定時で帰れ。』

 

 「夜蛾センじゃ相性最悪だからな〜。アイン、やっちゃって。」

 

 『御意。』

 

 俺の命令により呪霊の真上から黒い流星が堕ちる。重力にプラスして翅による加速を加えたその速度は音速に匹敵する。そして万力の力で振るわれる拳はマトモに通ればすっくんに微ダメージを与えられる威力だと思う。

 

 『崩理呪法・砕』

 

 『サビ残!?』

 

 「ぐぉぉ!?」

 

 呪霊の頭上1メートルにて術式と共に空に振るわれる拳は、空を砕き辺り一体に伝播する。氷は砕け呪霊は全身を均等に潰され瀕死。夜蛾センは呪骸と一緒に吹っ飛んでるな。

 

 『崩理呪法・砕』は烏鷺の宇守羅彈によく似ているが、宇守羅彈は空間を割ることで相手にダメージ与えるのに対し、砕は指定した単一の触れているモノを破壊する。今回指定したのは空気。空気だけ破壊したのなら呪霊にダメージはないと思われるだろうが、崩壊は対象を破壊した後、余った力を四方に均一に放出する。

 

 数式にするとわかりやすいが1000の力で抵抗1の空気を破壊した場合999の力が余るためこれが放出される。砕は敵を一撃で粉微塵にすることもできるがどちらかと言うと広域破壊に向いた術式であると言える。奴の氷は触れた時間が長いほどエネルギーを奪う。なら一瞬かつ一撃で潰せば問題ないのである。今回は威力を下げるためにあの辺り一帯の空気を対象にしたから竜巻が通った後みたいに全部吹っ飛んでるな。

 

 「ガッデム!新手か。」

 

 『お前と戦うつもりはない。フンフ、拘束と回収を頼む。』

 

 『はーい、お兄様。』

 

 『定時……退社は……人の夢……』

 

 夜の闇が歪みそこから黒い糸が飛び出し呪霊を簀巻きにしながら歪みに引き込み消えた。

 

 「貴様等何者だ!?何故呪霊を攫う!?」

 

 『答える道理はない。さっさと帰れ。』

 

 興味はないと言わんばかりに背を向け歩き去っていく背中に夜蛾は危惧している事を伝える。

 

 「ここ数年、千葉県全域で呪霊の被害報告が激減している。おまけに千葉にいた呪詛師が軒並み消息を絶った。原因は貴様らだな。」

 

 『それがどうした?』

 

 「お前たちの主人に、呪術師にならないか聞いてくれないか。このまま活動を続ければいずれ呪詛師として命を狙われっ!?」

 

 ガァァン!!

 

 夜蛾の眼前に振り切られた拳が止まっていた。先ほど背を向け10メートル以上の距離があったにも関わらず、瞬きの間に距離を詰め瞼が開く前に拳を振り抜こうとし、歪な空間の盾に塞がれたのだ。

 

 『お兄様、いけませんわよ。悪くない人を殺しちゃ。お父様に叱られますわ。』

 

 『すまないフンフ。カッとなって主に迷惑をかけるところだった。不出来な兄ですまん。』

 

 歪みは捩れ曲がり、距離をあやふやにしたそこから少女の顔が現れる。それだけで夜蛾は場の圧力が倍以上になったのを感じていた。

 

 「くっ、お前たち、一体どこから現れた。一体何を目的にしている!?」

 

 (おそらくこの2体は特級の中でも上澄み。人ではなく呪霊に近いが何かが違う。そもここまで明確な意思がある呪霊は見たことがない。)

 

 『二度も言わすな。答える道理はない。だが、主から言伝を預かった。』

 

 『4年待て。4年経てば貴様の前に現れると主は言っている。』

 

 「4年?何故4年なんだ。今ではダメなのか?」

 

 『貴様如きが主の言葉にケチをつけるなど万死に『お兄様。』チッ。言うべき事と為すべきことは成した。さらばだ。』

 

 歪みに入りその場から消え、俺の前に現れるアインとフンフ。そして簀巻きにされた特級呪霊。

 

 『残業は……悪い文化……ビバ社畜ライフ……』

 

 ほぼ死にかけの癖に真っ先に喉を治して残業への恨みを垂れ流すのは最早シュールである。こいつ憂鬱じゃなくて社畜の呪霊じゃね?

 

 呪液に変換するために手を向け呪詞を唱えようとすると……

 

 『雇用契約……残業時間……月120時間以内?』

 

 「どんなブラック企業だよ。うちは仕事の時間は決まってないからな〜。出来高制かな。ノルマをクリアしたら後は好きにしてていい感じだぞ。ここにいないけどゼクスなんかは2時間でノルマクリアして後は趣味の時間にしてるぞ。」

 

 てかこいつこれから辿る末路に気づいてるな。気づいた上で抗わずに諦めてやがる。(周りに特級5体とその主がいるため悟っただけ。)

 

 『2時間!?……ありえないっ!?……残業時間の事?』

 

 「勤務時間だけど?」

 

 『あぁっ……ありえない……罠だ……これは罠だ!』

 

 さっきまでの陰鬱さをどこかに放り投げ、某神になろうとした少年の様なセリフを吐き痙攣する呪霊。オモロ。

 

 『俺を騙す……ために仕組んだ……罠だ。そんな理想郷は存在しない!』

 

 「あるんだなこれが。縛り結んでもいいぞ。」

 

 『ああ……ここが……エデンか。』

 

 なかなかのイケメンフェイスなのにその雰囲気のせいで草臥れたリーマンみたいになっていた顔が、某団長の死に顔みたいになってら。

 

 「同意も取れたし、共食い・蠱毒・奈落の底。『嚼』」

 

 『新たな職場へ……転職ビズリーチ。』

 

 鬼が変換され現れる2Lペットボトル。手慣れた動作で一気に飲み干す。うんダークマター味!命が削れる〜。

 

 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 特級呪霊:憂鬼氷戒(ゆきひかい)取り込みに成功。

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 特級呪霊:憂鬼氷戒を素体とし構築を開始。

 術式を最適化。リソースを最適化

 術師の意思を反映……反映……

 呪霊の意思を反映……反映……

 構築完了。

 名称:憂鬼蟲 個体名:憂鬱(メランコリア) 術式『灰色の終末(ソドム)

 ロールアウトします。

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 灰色の雪が固まり、人型を成して崩れる。新生した姿はベースとなった呪霊とほぼ変わらないが背中から薄い一対の翅が生え、背の全面に綿毛の様な霜が付いている。

 

 「憂鬼蟲……雪虫って事か、そのまんまやな。」

 

 『名はメランコリア……これからよろしく……社長。それで仕事は?』

 

 「他の呪蟲達との顔合わせと性能評価会。それが終わったら呼ぶまでゆっくりしてていいよ。」

 

 『ふふ……顔合わせ……歓迎会……アルハラ……無限に続くn次会……品評会……根回し……うっ頭がっ。』

 

 何この社会の悲しみを背負った生き物?呪蟲か。今は黙らせているヴァニティと別ベクトルで面倒な奴だな。

 

 「さっそく試運転に行くぞ〜。」

 

 『了解……社長。』

 

 『新たな兄弟よ。これからもよろしく頼むぞ』

 

 『なんとまぁ覇気がない事よ。切り甲斐がなさそうな事だ。』

 

 『話し方、酷似、歓喜。』

 

 『あらあらフィーアが笑顔だなんて珍しいモノを見たわ。』

 

 新たな仲間を加えてまた一歩目的に近づいた。タイムリミットまで後4年。まだまだ戦力を蓄える。だがこれからは慎重に行動しないとな。

 

 夜蛾センに知られたから上層部が俺らへの干渉してきそうだし、御三家辺りが調べに来るかもしれん。

 

 てか上層部にメロンパンのシンパがいたんだっけな。下手するとこっち来るか?まあ来たら来たで確実に殺すがな。

 

 後4年。特級クラスはこれで7体。もっと増やしたいが呪術の本場と比べて千葉は特級クラスはそうそう湧かない。これからは特級を探すことより身内の強化に力を入れよう。6〜10番目の子達ももう少しで特級に届く。

 

 嗚呼、待ち遠しい。メロンパンをこの手で潰すのが。原作キャラ達に合うのが楽しみだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 




 残業は悪い文明!!残業は悪い文明!!筆が進まないのも残業のせいだ!!

 拙作に感想を書いてくれた皆さま、ありがとうございます!様々な意見を見ているとメロンパンがどれだけ恨みを買っているのかよくわかりました。やはりメロンパンは許しておけぬ。

 後オリ主はほぼ呪霊操術の上位互換ですが明確なデメリットがあることも明記しておきます。

 デメリット1、呪蟲創術は創り従える事に重点が置かれた術式。その為意思持つ呪蟲に命令した場合、愚直に命令をこなすのではなく、命令を曲解し主人に害を与える事が可能。又は命令を拒否できる。好感度次第では命令される前に殺しにくる。

 デメリット2、呪蟲を作る事に関しては呪液がゲロまずの為デメリットはない(常人ならヤクルトサイズすら飲めないレベル。内のオリ主やっぱキチガイ?)が拡張術式と極の番を使いすぎると人間性を喪失する恐れあり(オリ主はマジキチの為たいした影響どころかキチに磨きがかかる。)

 デメリット3、呪蟲達の人格は構築時に大筋を決められるが、成長する感情は主人の行動によって異なる。故に悪意をぶつけるとそれを学ぶ。下手すると人の悪意をよく理解した第二の真人みたいなのができて、術師を傀儡にして暴れ回る。

 この術式をドブカスが持つと禪院3分クッキングが始まり、原作が始まる前に滅びます。虎杖が持つと呪蟲を創らず、何故か自身のステータスを盛りに盛ってアルティメットシーイング虎杖が出来上がります。
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