どうも筆者です。仙台バトルに脳を焼かれ、筆が焼失した為間が空きました。特級vs準特級は映えますね。パンツジジイはリカの餌になったのだ。漫画より演出増えたから彼も浮かばれるでしょう。
てか、アニメ版黒漆死のゴキの規模えぐ過ぎません?それをラッパ吹きにしてしまった事を後悔する今日このごろ。
「フィーア、アハトゥ。根こそぎやれ。」
『
『
羂索の足元が爆ぜる。生じるは真紅の炎。噴き出た炎は爆発的に広がり樹が枝葉を伸ばすように空に向かって伸びていく。枝葉は伸び、空に届き炎の大樹が屹立する。
黒き風が吹く。全ての生命を蝕む死病の風が炎樹と混ざり、赤茶色の万物を灰燼に帰す死の炎樹が、湧き出る呪霊を消し去っていく。
だがそれでやれたのは初めの方だけ。死の炎樹に対抗するように雪と雷を纏った竜巻がぶつかり合い、対消滅し煙が立ち込める。
カッ!
煙を引き裂き俺に向かって直進する雷。雷速で迫る攻撃に俺は動かない。何故なら俺の最強の矛にして盾がいたからだ。
ガキィィン!
雷が甲高い音を奏でて四散する。俺の前に割り込んだアインがなんの痛痒も感じさせず弾いたのだ。
『
アインの術式は自らより劣っていると思った一切合切を破壊する。スピードと言う面ではアインに優っている雷だが、今回は比較対象が悪かった。
『ふん。雷速程度、我が弟たるノインの光速と比べれば児戯に等しい。そして音速程度の貴様なぞ話にならんぞ、寄生虫。』
今のやりとりでできた隙をついて体を治して俺に接近していた羂索をアインがカウンター気味に殴り返す。
動きがフリーズし、迫っていた速度の倍近い速さで炎樹があった場所に殴り返され、着弾した。
その勢いで煙が晴れ、見えたのは約1000体の呪霊。そしてその先頭に立つ推定特級と思われる10体の呪霊。
おそらくさっきの竜巻を出したであろう風神雷神っぽい呪霊に雪女っぽい呪霊。
輪郭が曖昧な人形の霧と闇が人型になったのっぺらぼうの呪霊。
巨大な鹿の全身骨格に生々しい目が全身にある呪霊。
巨大な12枚の純白の翼だけの呪霊。
そしておそらく外国産の呪霊っぽい3体。
漆黒の鱗を持つ龍のような見た目の蛇。
3つの龍の頭を持ち人の体を持つ呪霊。
そして最も力を持つであろう嵐を纏った巨人の呪霊。
初めに説明した風神雷神と雪女は特級の中でも弱い方。原作ならナナミンレベルならソロでもワンチャン程度には弱い。だがそれ以外の特級が問題だ。
霧と闇の呪霊はおそらく条件を満たさない限り倒せない厄介なタイプ。それにどちらも自然現象の呪霊な上に霧も闇も人から忌避されるもの。弱いわけがない。
鹿の全身骨格呪霊と翼の呪霊はおそらくだが前者は祟り神的な奴。後者は天使的なサムシングだろう。
後は外国産の奴らだが、呪霊が発生しにくい海外産といえど、ネームバリューのせいか格が違う。
砂を纏う漆黒の龍蛇。おそらくヴリトラの呪霊。
3つ首の龍人。まず間違いなくアジ・ダハーカの呪霊。
嵐纏う巨人。主神を打倒した怪物の中の怪物。テュポーンの呪霊。
呪霊操術もないのによくもまあこんな奴らを蒐集したなと感心すらする。原作にいなかったぞこいつら。
本来はもっといたんだろうが、フィーアとアハトゥのおかげで大体は削れたようだ。
特級10体の内霧と闇の呪霊を除く8体がアハトゥの術式に感染している。放っておけば感染した奴らは死ぬだろうが、かえってそれが解放され羂索に従う理由のない呪霊共に羂索と協力する理由を与えてしまったようだ。
「彼を殺さないと私達は死ぬよ。今は仲良く共闘しようじゃないか。」
いけしゃあしゃあと宣う羂索に殺意の視線が集中するがそれよりも俺達を殺すのを優先するようだ。
『キキキキキ!!』
『ガアアアア!!』
『オォォォォ!!』
飛べるモノは飛び立ち、飛べないモノは地を駆け迫り来る。
「ゼクス、ズィーベン、ツヴォルフ。出来るだけ削ってくれ。」
『了解。
『ヒヒヒ!さあ開演だぁ!
『ようやく出番か。
ゼクスが地に触れながら術式を発動。灰が噴き出す。溢れた灰は雲霞の如く呪霊に殺到する。呪霊も術式を持つモノは術式で、持たぬモノは肉体で払おうとする。
『馬鹿め。』
ゼクスが嘲う。灰に触れた呪霊は触れた部位を起点に干からび痩せ、朽ち果て灰になる。術式で防いだ呪霊はなんとか生き延びたが、それ以外は全滅。
これで残ったのはおおよそ100。残ったのは全て術式持ち。即ち最低でも1級クラス。ツェーンの術式で掃討しようにもゼクスの灰が反射されているのを見た。おそらく反射の術式持ちがいる。それに対し完全遠距離のツェーンは具合が悪い。流石にこの数を11人の子達で捌くのは難しい。特級以下の子達を出せば容易く片付く。だがそれでは下の子達に犠牲が出る。
故にこの3人だ。
『これだけあれば十分か?ズィーベン。』
『オウ、十分だゼクスゥ。これだけあれば舞台の開演には十分だ。ツヴォルフ、キャストの手配を頼む。』
『承知した。』
ツヴォルフが消える。そして現れるのは顔が見えない数十人の人々。顔がないのではなく顔が見えない。そんな存在が動くことなく何かを待っている。
『さあさあ!舞台の素材は揃った。キャストも揃った。なら後は劇のタイトルを宣言するだけってな。『拡張術式・廻戒喜劇』さて、今回は素材とキャストに因んでタイトルは『火に焚べられた灰の英雄譚』だ!!』
灰が浮き世界を覆う。真紅のテクスチャを塗り替え、作り上げるのは灰の荒野。荒れ果てた灰色の地平線に灰色の炎が燻る。
顔のない人々の姿が変化する。灰色の和服姿の侍。平安貴族風の術師。僧侶の拳士。半裸の槍兵。雑兵姿の大太刀持ち。その他多様な姿の顔のない者達が呪霊に向かって駆け出す。
『カアアアア!!』
カッ!
雷が迸る。顔のない戦士達の先頭を走る雑兵姿の大太刀持ちに向けて放たれた雷は狙い過たず当たると思った雷神の呪霊がいやらしい笑みでニヤつく。
当の標的たる雑兵姿の英雄は雷が放たれると同時に大太刀を逆袈裟に構えていた。
『キイエエアアアアアアアアアアアァァ!!』
顔のない英雄から放たれる猿叫。振るわれる大太刀。その一刀はあまりにも速く、あまりにも力強いものだった。本来なら切れる筈がない雷を両断するほどに。
『カァ!?』
自慢の雷を両断された呪霊が驚愕する。
「切られて当然だろう。もはや誰も知らない過去の英雄。殺し殺されが日常だった時代の術師の英雄。民の為に生き、民の為に散った叛逆の英雄。雷切小太郎が雷を切れぬ筈がない。」
勢いを落とす事なく突き進む英雄達。その距離が500メートルを切った時、半裸の槍兵が動く。
『シィア!!』
瞬間移動に見間違うレベルの、圧倒的な踏み込みによる移動。肉薄するは三頭の龍人。音を穿ち迫る穂先に対し、正拳突きで対抗する。
ガキィィン!!
『ケヒャ!』
『ぬぅんん!』
ぶつかり合った槍と拳。火花を散らし弾きあったがお互いに今の一合で察した。槍兵は力では及ばぬ事を。龍人は速度では敵わぬ事を。
槍が舞う。乱舞乱舞乱舞。突き、薙ぎ、叩く。灰色の嵐が龍人に殺到する。龍人の背後に展開される千の魔法陣。そこから放たれる魔法群が相殺する。
「古きは平安。呪霊だけを狩り人は殺さず、己が信念に従い処刑された槍兵、呪い穿ちの穿二。その踏み込みは疾風迅雷の如し。」
砂を纏う黒龍が術式により大量の砂を生成、形成。展開される砂の槍。それらは鉄を凌ぐ強度を持ち、雨の如く降り注ぐ。
『闇淤加美神に乞い奉る。渇きに潤いを、砂には水を。』
平安貴族風の英雄が手印と呪詞を唱える。虚空から人間大の雨粒が湧き出し、降り注ぐ砂の槍雨に向かって放たれる。
砂と雨は混じりあい、砂は勢いを失い、雨と共に地に落ちる。込められていた渇きの呪いを中和され、砂混じりの雨が降る。
「日照りに雨を。渇きに潤いを。農村にて現人神として信仰され、朝廷に消された恵の英雄。雨師潤兵。」
俺が語るたびに語られた英雄達の色が濃くなり、更に強く……本来の力を取り戻す。
「ははは!懐かしい名前ばかりだ!不都合故に歴史から消された強者達。その再現体か。興味深い。再現の術式?いや拡張術式と劇……なるほどね、再演の術式と言ったところか!おもしろい!どこの、いつの時代まで再演できるんだい?まったく今回の君も私を楽しませてくれる。ねぇ道満?」
羂索が興奮している。こちらに向ける知古を見るような目。無性にイラつく。殺そう。
「奈落の底・飢える者・第三の騎士。『喰』」
ガチン!
羂索の半身が消失する。直前で横に跳んでかわしたな。何故だ?アイツは呪詞の段階から避ける準備をしていた。まるで俺の術式を知っていたように。
「相変わらず私が嫌いなようだね。君には直接的に手を出していないんだけど。」
軽薄に笑うその顔に怨嗟が溢れる。何が直接的にだ。貴様は、俺の、我の子に手を出しておいて……
「我が子らに手を出し、あまつさえその尊厳を踏み躙った貴様がそのような事を宣うか!?羂索!!」
記憶が溢れる。彼が表に出てくる。
俺は転生者だ。生まれ変わった時に俺以外、即ちこの体本来の魂がある事を知覚した。彼は眠っていた。涙を流し続け丸まり何者かの名前を呟きながら。
彼もまた転生者だった。俺と違う、古き時代から現代への転生者。何かを、誰かを失いその失意と怨嗟を抱えた孤独な魂。
そんな彼が今目覚めた。煮えたぎる様な嚇怒と共に。
「呪霊を祓っただけさ。私は酷い事なんてしていないさ。」
「黙れ黙れ黙れ!!貴様は、我が子らを、人として生きる事を望んだあの子達を陥れ穢し、呪霊と呼び殺した貴様だけは!!我が手で殺してやる。あの子達の仇討ち、ここで果たしてやる!」
「千年も経てば時効でしょ。過ぎた事をうじうじと。しつこい男は嫌われるよ。」